「文学横浜の会」

 文横だより

<11月号>

過去の「文横だより」

2015年11月 8日 更新


ヨーロッパは今、
シリアから避難民がわんさと押し寄せて大変だ。

命がけで海を渡る避難民の事を思えば、
同情心もおこる。

しかし、わんさわんさと押し寄せれば、
如何に人道援助と言おうと、
受け入れる側の国としてはさぞ複雑だろう。

顧みて我が国の戦国時代、
領民の命と引き換えに我が首を差し出した城主を思う。

どんな事があっても国は平穏が第一、混乱させては駄目、
その為の国主であり国王なのではないか、
シリアの国様。

      ★

文横だより2015年11月号を送ります。

◆出席者(敬称略)
 浅丘、遠藤、河野、金田、佐藤ル、清水、杉田、山口、山下/藤野

◆読書会
 11月7日(土)17時30分〜
 読書会テーマ:「宴のあと」三島由紀夫、

 担当(山下)

 今年は三島由紀夫生誕90年、没後45年にあたる。 新聞社の号外で見た床に転がっている三島の生首、言い知れぬ嫌悪感に襲われたことを思い出す。 三島ほど、好悪の別れる作家はいない。しかし、彼がある極みに達した天才だという点において異論を唱える人は少ない。

今回取り上げた「宴のあと」は翻訳したドナルド・キーンによれば 「19世紀フランス文学小説の手法で描くことのできる作家であることを実証した作品」であるという。 フローベル、スタンダールなどゴシップから生まれた近代文学、この作品にもそんな小説の面白さの原点があるのかもしれない。

出席者の感想
・野口、山崎も面白いが福沢かづの女性像が圧倒的重量で描かれている。
・35歳の作家が、これだけの事件を掌中にして、三島流の美的世界を作り上げた筆力に圧倒される。
・政治家や選挙屋や女のどろどろとした欲望の世界を、すこし美しく書きすぎたのではないか。
・料亭「雪後庵」を買い取るには大変な金が要る。そこに福沢かづの凄まじい過去が隠されているのではないか。
・「花ざかりの森」を読んで以来、なんとなく三島文学は心に響かない。
・従来の私小説と違って、膨大な資料、想像力によってきらびやかな美の世界を作っていくいわば人工宝石的作家
・二十歳で夭折したラディゲの肉体の悪魔などの心理小説と相通じるものがある。
・三島文学にある同性愛はどう理解していいかわからない。
・女性同士でも美しい人にはひかれる。美意識の問題ではないか。
・理想化肌で純粋な野口に魅かれるかづの心は理解できる。
・着物や献立の詳細さ、知識もさることながら、美しい日本語として表現されている。
・絢爛豪華だけではなく味わい深い日本語を駆使している。

    以上、山下記

◆次回の予定; 担当は篠田さん。
  日時;12月5日(土)17時30分〜
  テーマは「知られざる傑作」オノレ・ド・バルザック作 岩波文庫

  AMAZON,「日本の古本屋」、書店又は図書館等で…。

◆その他
 (1)1月以降の担当者(予定)は佐藤ルさん、佐藤直さんの順です。

 (2)47号はまだ届いていません。届き次第郵送します。、

(金田)


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