「文学横浜の会」

特集

「 箱 根 駅 伝 」

  目次
2003年のみどころ 12/5
 <駒沢大、順天大、早大>
 <中大、大東大、神大>
 <亜大、帝京大、山梨大>
 <東海大、東洋大、法政大>
 <日大、中央学院大、日本体育大>
 <拓殖大、國學院大、関東学院大、専修大>

予想  12/28
 本命はやはり、 駒沢大学
 対抗は、 山梨学院大、日本大学
 面白いのが、 東海大学、中央大学
 注目の、  大東文化大学、早稲田大学、順天堂大学、神奈川大学
 シード権をめぐって、
 日本体育大学、東洋大学、帝京大学、亜細亜大学、中央学院大学
 来年に繋げたい、
 法政大学、拓殖大学、専修大学、国学院大学、関東学院大学
 どんな順位で来るか、選抜チーム

振り返って  H15/01/06


2003年の見どころ

 さて、毎年のことながら、今年も箱根駅伝の季節がやってきた。 今年は参加チームが増えて、19大学、1混成チームの20チームが新春の箱根路を走ることになった。 5チーム増えたことに賛否はあるが、より多くの大学が走る機会を得ることになり、いい事ではある。 それに混成チームも加わると言う事で、より大くの関東の学生ランナーに夢を与える事だろう。

今回からのルール変更で言えば、エントリー選手が2名増えて16名になった。 エントリー後の故障や、故障から復帰しつつある選手の事を考えれば、妥当な処置だと思う。 益々、総合力が物をいう駅伝になった。

箱根の前哨戦とも言える上尾ロード、府中ハーフ、名古屋ハーフ、横須賀20キロレース、 それに日本体育大学での10キロの記録会も終わって、早くもルール改正の影響は出ている。 それは出場を逃した大学のメンバーが、混成チームでの参加に向けて、各レースで奮闘して いる姿だ。これは今までには見られなかった。

 今年の出場チームは昨年度9位までの、 駒沢大、順天大、早大、中大、大東大、神大、亜大、帝京大、山梨大、 と予選会上がりの、 東海大、東洋大、法政大、日大、中央学院大、日本体育大、拓殖大、國學院大、関東学院大、専修大、 の19大学だ。

毎回の事ながら、ひと月後の20キロを超えるレースでは、前哨戦の記録などなんの参考にもならない。 その時の選手の調子が大きく作用するからだ。 でもそのチームの状況を見る上では、直近のレース成績は大いに参考になる。あくまでも参考程度だが。

年々、各チームの戦力は拮抗してきていると言われているが、今年もその傾向は続いている。 とりわけ9位以内のシード権をめぐる戦いは熾烈になるだろう。各チームのレースの出来 不出来がもろにシード入りかどうかに直結する。上位を窺うチームでも少しでも狂いが生じれば シード落ちもあり得る。今年の状況はそんなところか。

・駒沢大学

 先の全日本大学駅伝で優勝し、今年の箱根駅伝は連覇がかかっている。 府中ハーフで10位以内に6人、1時間5分以内が11人と、選手層の厚さでは他チームの追随を許さない。 欠点のないチームだが、唯一、エース松下に最近のレースに生彩が感じられないことか。 それを差し引いても、総合力で今年も最上位にランクされる。

・順天堂大学

 カルテットと呼ばれた、岩永、奥田、入船、中川の抜けた穴はとてつもなく大きい。 例によって、直近のレースには今年も出場してないから、今のチーム状況は判らないが、 今年はかなり苦しいのではないか。でも箱根駅伝ともなれば過去の経験が力になるだろう。 どんなレースをするか興味深い。

・早稲田大学

 前回は予選会上がりながら、見事3位になったが、今年は昨年のような勢いは感じられない。 日本インカレまでは調子の良かった空山・森村が、ここにきてレースで良い結果を出してないのが気になる。 府中ハーフでも1時間4分代が4人と、やや生彩を欠いているが、それは伝統校。 きっと本番に標準を合わせてくるかだろう。

・中央大学

 ここ数年、4位以内をキープしているが、今年はどうだろう。 府中ハーフでも1時間4分台が4人と低調だったが、日本体育大学での記録会では 何人かが自己記録を更新したのは明るい材料か。昨年活躍した野村(佳)、家高がレースに参加 していないのが気になるが、全日本で活躍した1年生の存在には希望が持てる。 エース藤原の出来によっては、全日本大学駅伝の悪夢が箱根でも。 とは言え、こういった傾向はここ数年続いていて、今年に限った事ではない。

・大東文化大学

 かつての強豪校もここ数年、シード入りがやっとの状態が続いている。今年は上尾ハーフで50位以内 が7人いるものの、なんとなく元気がない。3年の村田がレースに参加していないのも気になる。 本番ではどんなレースをするか楽しみだ。

・神奈川大学

 相変わらず横須賀20キロでは上位を独占したが、気になるのはエース吉村の動向だろう。 前回は見事往路優勝わ果たしたが、今年はきついか。 他チームの底上げもあり、連覇した当時の勢いはないが、伝統的に総合力で勝負するチーム。 今年はシード入れ狙いか。

・亜細亜大学

 前回は予選会上がりながら、見事シード入りした。 上尾ハーフでは50位以内に5人が入ったが今回もシード入りできるかだろう。

・帝京大学

 谷川、中崎、北島の抜けた穴は大きい。 日本体育大学の記録会では5人が29分台で走っているが、これと言った記録は出せなかった。 チーム状況はよく見えないが、前回より劣っているのは確かだ。

・山梨学院大学

 モカンバ、カリウキの2留学生と、橋の口、高見沢の4枚看板。 2留学生が本来の力を発揮して、日本人選手が大きな失敗をしなければ充分に優勝を争える。 しかし留学生の一人が崩れると、前回のようにシード入りさえ危うくなる。 良くも悪くも、留学生のでき次第で、他の選手が力を出しきれば、 駒沢大といえども楽に勝たせて貰えないだろう。

・東海大学

 予選会を1位で通過した力は侮れない。 しかも、上尾ハーフでは50位以内に12人、それも3分台が5人、と記録だけでみると駒沢大学に ひけを取らない充実ぶりだ。上位を充分に窺えるし、流れによっては…、と思わせる。 欠点は絶対的なエースの存在しない事か。 それに予選会出のチーム全てに言える事だが、本番に再度調子をピークに持って行けるかだろう。

・東洋大学

 新しい監督の元、今年もっとも飛躍したチームだろう。 本番ではどんなレースをするか?

・法政大学

 いいも悪いも、徳本からいかに脱皮したかが問われる。 1・2区で抜け出したような、2年前のようなレースは出来ないにしても、襷をどう繋げるか?

・日本大学

 予選会は4位と大方の予想を裏切ったが、ここに来て充実してきた。 清水兄弟、藤井の充実ぶりがチームに活力を与えているように思う。 果たしてこの好調さを維持できるかが問題だが、 元々力のあるチームなので今年はどんな活躍をするか楽しみだ。 充分に上位を窺うだけの力はある。

・中央学院大学

 予選会でも活躍した、エース福山が引っ張るチームか。 上尾ハーフでも50位以内に7名がはいりチーム力は近年にまして充実しているのではないか。 本番でどんなレースをするか?

・日本体育大学

 上尾ハーフでは1年生の熊本が2分台で優勝し、日本体育大学の記録会では2年の四辻が28分台を記録し、 明るい空気に包まれているだろう。1・2年生の活躍は上級生をきっと刺激する筈だ。 かつての強豪校もここ数年、シード入りさえ出来ないでいるが、今年はどんなレースをしてくれるか、楽しみだ。

・拓殖大学、國學院大学、関東学院大学、専修大学

 学生長距離界のエースにまで成長した尾田のいる関東を始め、 各校、シード入りを目指して本番に標準を合わせる。

予想

 今年の優勝校は? と自分勝手に予想してみるのも、箱根駅伝の楽しみの一つだ。 箱根駅伝は何が起こるか判らない、それが面白さの一つになってもいる。

毎回の事だが、ここにきて各チームの状況が少し判ってきた。 故障者の事だが、長距離の宿命でもある。 大学生活の四年間、或いは一年を通して同じように活躍する事は難しい。 まずエントリーされた16人の中に入ってない有力な選手もいたし、 秋から直近のレースに出ていない選手もいる。 出ていても、突然故障したり、風邪を引いたりと、体調を維持するのは大変だろう。 逆に言えば、そうした事を乗り越えてチームを作りあげてきたチームが勝つ。そう言うことなのだ。

エントリーされている中で、故障と噂されている選手と言えば、 まず法政大の土井、黒田の両主力。中央大ではレースに出ていない野村(佳)、家高。 それに神奈川大の吉村。その他にも、多分、いるだろう。 どんな状態なのかは身近な者にしか判らないが、もう既に戦いは始まっている。

 今年は、選抜チームが初めて主場する。選抜チームで走る選手は各区間の記録に賭けるから、 1区は昨年までと違った展開になるとの指摘もある。今から号砲が待ち遠しい。

 毎年、予想しながら勝手に楽しんでいるのだが、 予想が全く外れて、意外な展開になる事を期待している。 全区間が20キロを超すレースでは、何が起るかは予測できない。 出場したどのチームにも「優勝」の可能性はある。それが箱根駅伝だ。

 本命はやはり、駒沢大学

 選手層の厚さ、実績から言って、やはり本命は駒沢大学だろう。 松村・布施と言った実力のある選手を故障でエントリーから外しても、やはり本命に挙げざるを得ない。 付け入る隙があるとすれば、エントリーされた7人の一年生と、連覇という重圧だ。 それにエース松下に、昨年のような勢いが感じられない事か。 でも間違いなく、優勝候補の筆頭である事に間違いはない。

 対抗は、山梨学院大、日本大学

 今年は、どのチームが駒沢に迫るかが悩ましい。  メンバー表を見ながら、カリウキ・モカンバ・橋ノ口・高見沢の4本柱のいる山梨学院、 それに今年大きく記録を伸ばした清水兄弟と藤井の3本柱のいる日本大学、の2校を挙げたい。 それらの主力が期待通りの走りをして、他の選手が力を出し切れば、優勝もある。 反対に主力の一人でもこけると、シード権争いになる可能性もあり、目が離せない。

 面白いのが、
東海大学、中央大学

 先の3チームに比べると、主力の数と爆発力では劣るが、予選会を一位で通過し、 直前のレースでも好調さを維持している東海大学、それに出雲・伊勢と両駅伝では不本意な成績だが、 昨年4位のメンバーが8人エントリーされている中央大学がどんなレースをするか注目したい。 両チームとも1年生を5人エントリーしているが、1年生が思わぬ力を発揮し、 チームの力と合体すれば、上位といえども脅威だろう。

 注目の、
大東文化大学、早稲田大学、順天堂大学、神奈川大学

 地味だが、ここ数年、シード権を維持している。しかし各チームとも今年は問題を抱えている。 大東大は昨年までの山の強さを今年も引き継ぐだろうか。早大は空山の調子は戻っているのか。 順天堂大は卒業した5人が余りに大きい。神奈川大は吉村の調子は戻っているのか。 4チームとも確実にシード権を取りたい。しかし良い方向に流れれば、各チームとも上位を伺える力はある。

 シード権をめぐって、
 日本体育大学、東洋大学、帝京大学、亜細亜大学、中央学院大学

 前回はシード入りした帝京大、亜細亜大だが、今年はどうだろう。 主力選手が卒業して、新しい戦力の台頭はあるのだろうか。 予選会上りの日体大、東洋大それに中央学大は直近のレースで多くのメンバーが自己記録を更新して、 チームに勢いがある。しかし予選会あがりのチームに言える事だが、 本番までにチーム力を維持し続けるのは難しい。

 来年に繋げたい、
 法政大学、拓殖大学、専修大学、国学院大学、関東大学、

 ここに来て、主力2人の故障が痛い法政大学。 それに拓殖大学、専修大学、国学院大学、関東大学は来年に繋げたい。 でもどのチームでもそうだが、メンバーが100パーセントの力を発揮すれば、大いに上位には出られる。 それに学生長距離界の雄、関東学院大の尾田選手が有力校のエースと、 20キロを超すレースでどんなレースをするか楽しみだ。

 どんな順位で来るか、選抜チーム

 チームとしては参加できなかったが、予選会に参加した中から、今回初めて選抜チームがでる。 でる選手は、各区間での記録だけが記録されるから、他のチームにどんな影響を与えるか注目したい。 早くも、1区の展開が変るのでは、との指摘も出ている。 出場する選手には大いにレースを楽しんでもらいたい。

振り返って

 終わってみれば、駒沢大学がやっぱり強かった、と言う結果だが、レースは見ごたえのある展開だった。

レースが終わった感想は、往路を終わった時点で、4校(選抜チームを含めると5チーム)が繰り上げスタートと少なかった事。 それに、選考会上がりの日大、東洋大、東海大、日体大、中央学院大の5チームがシード入りした事を含めて、 全体のレベルが上がった事だろう。

復路の小雪の舞うレースは、まさに箱根駅伝にふさわしい舞台装置でもあった。 凍結した悪路を駆け下りる映像を観て、アクシデントが起こらないかと、 ハラハラしながらテレビの画面に釘付けになっていたのは、私だけではあるまい。

ー往路ー
<1区>
 例によって、今回のスローなペースでレースは始まった。予想された選抜チームの抜け出しもなかった。 実力差があるなら兎も角、集団から一人抜け出すのは、余程勇気のいる事なのだろう。 それに各チームとも失敗は許されないのだ。ラスト3キロ辺りで、スパート合戦になり、12秒差で駒沢大の内田が区間賞だった。 しかし20秒以内に10校がいる、まさに混戦模様の2区への襷リレーだった。

<2区>
 山梨大のモカンバ、駒沢大の松下、日大の清水(兄)、そして中大の藤原、各校エースによる対決は見物だった。 圧巻は後ろから追ってきた清水がまず追いつき、そして藤原が先頭グループに追いついた場面だろう。 2区と言えば外国人留学生のごぼう抜きのイメージが強いが、今年は日本人エースの活躍に強い感銘を受けた。 ラスト勝負に残った松下、藤原のマッチレースになり、ラスト1キロで藤原がスパートして、2区を制した。 また今回、20チームになったレースでの、順大・中川の15人抜きもすばらしい。 1区の展開によっては、これからもごぼう抜きがある可能性があり、1・2区でワンセットと考えた方がいいかも知れない。

<3区>
2区で先頭に立った中大・池上が軽快にピッチをあげ、二位との差を30秒余りに広げる。 この辺りはまだ快晴で、例年悩まされる風も出ていなかった。 この区間になると、区間賞も襷の位置によって大きくかわる。つまり前が見えていれば、タイムにも大きな差が出ると言う事だ。

<4区>
山梨大・カキリウキと日大・藤井の走りが印象に残る。この辺りに来ると、各チームの順エースの差がもろにでる。 高校時代実績のあった藤井が、大学駅伝で実力を発揮出来ないでいたが、今年はひと味違った走りを見せるようになった。 間違いなく、学生長距離界をリードする存在だ。

<5区>
印象に残るのは、トップを走る山梨大・森本の頑張りだ。 追うのは昨年も走った駒沢大・田中で、田中の方が圧倒的に強いとみなされていた。 しかしどうして、その差18秒だけで、2位と1分41秒差で往路優勝。 4区まで3位につけていた中大が5区のブレーキで12位に後退、1位と8分31秒差になってしまった。まさに山登りの怖さだ。 山登りでのブレーキは平地での2区間のブレークに匹敵する。

ー復路ー
<6区>
スタートは刻々と変わる山の天気の有様を如実に現していた。山梨大が最初にスタートした時は小雪は落ちていなかったが、 刻々と天候は悪化し、5・6分後には小雪が舞うスタートとなった。 ここでも前を行く山梨大・川島を駒沢大・吉田が、途中で捕らえるとの予想だったが、 天候の影響もあったか、その差は、結局詰まらなかった。 その中で、中大の野村の走りが最も印象に残った。ただ一人60分を切る走りで、2位に1分以上の大差をつける区間賞だった。

<7区>
山梨大が何処まで駒沢大を離せるかにかかっていたが、駒沢大・糟谷(1年)が粘って12秒のさに留めた。 まさに駒沢大の層の厚さだろう。1位と2位の差は1分53秒。

<8区>
駒沢大の追撃が始まった。持ちタイムから、明らかに駒沢大の有利は間違いないが、何処で山梨大を捕らえるかに注目が集まった。 しかし、前を走る選手には持ちタイム以上の何かがある。それに20キロを超すレースでは、その日の体調にも大きく左右される。 持ちタイムがそのままレース結果にはならない。 しかし、さすが駒沢大と言うべきなのだろう。8区で55秒詰める。

<9区>
2位との58秒差を何処で詰めるかに興味が集まった。それとも……、何が起こるか判らないのが箱根駅伝だ。 前評判通り差を詰めて、逆転するだろうか、と見ている内に、差はどんどん詰まっていき、5キロを辺りであっさり逆転。 まさに駒沢大の強さだろう。実力のある選手が実力を発揮できないままに終わってしまう事もあるのに、どの選手も最低限のレースをする。 それゆえに強いのだが…。1分31秒差で駒沢大がトップ。

<10区>
山梨大・森が意地を見せて、追撃するも、実力差はなんともしがたかった。その差はさらに開いて、4分41秒の差をつけてゴール。 評判通り、駒沢大の強さを見せつけた。

ー来期へー
 駒沢大の強さだけが残ったが、しかしそうだろうか。 勝負事に「たられば」を出しても意味はないが、駒沢大と言えども決して順当だった訳ではない。 予定通りの走りが出来なかった区間もある。ただそれ以上に他チームに狂いが多かったと言う事ではないか。

神奈川大がシード落ちしたように、1区間の出来不出来が、箱根駅伝では思わぬ波乱を起こす。 連覇したとは言え、駒沢大が何時までも勝ち続けるとは限らない。来年こそは他チームの意地を見せてほしい。

結果は駒沢大、山梨大、日大、大東大、中央大、東洋大、東海大、順大、日体大、中央学大までがシード権、 神奈川大、拓大、帝京大、國學院大、早稲田大、選抜チーム、法政大、亜細亜大、関東大、専修大、と続いた。

早稲田大、神奈川大、帝京大、亜細亜大がシード権を失った。

(K.K)


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