「文学横浜の会」

特集

「 箱 根 駅 伝 」



    目次
2008年のみどころ H19.12/10

予想 H19.12/22
 ・優勝に最も近いチーム
 ・対抗として
 ・波乱を起こすとすれば
 ・上位を窺うのは
 ・先ずはシード権

 振り返って H20.1/7
 <往路>
 <復路>
 

2008年の見どころ

ー2008年箱根駅伝出場大学ー
 <シード校>
 順大、日大、東海大、日体大、東洋大、
 早大、駒大、中大、専大、亜大
 <予選会上がり>
 中学大、帝京大、城西大、山学大、
 大東大、神大、国士大、東農大、法大

 今年は駒沢大の充実が目を引く。恐らく駒澤大を中心にしたレースとなり、 絡むチームとしては伊達・佐藤両選手の区間配置が注目の東海大、 それに先の全日本では沈没した日大も本来の力を発揮すれば侮れない。

また、有力な選手が卒業して新たなチームになった順天大、「往路優勝」を公言し竹澤選手を擁する早稲田大、 出雲駅伝や全日本駅伝で新しい選手が台頭した日体大、 上野選手を擁する中央大と言った箱根を知り尽くした常連校がどう絡むかも注目したい。

一方、1万米の記録だけをみれば新興勢力の城西大、中学大、東洋大が充実しており、 今年は直前レースでは派手な記録を出していないが亜細亜大の存在も不気味でどんなレースをするのか楽しみだ。

 最近の傾向として各市町村が主催するマラソン(ハーフ)大会が多くなった。そして 今年の傾向としては上尾ハーフを始めとする直前のレースに参加する大学、選手が少なくなったことだ。 横須賀ハーフなどは箱根出場大学からの参加はなくなった。昨年は箱根出場の多くの大学が上尾ハーフに出場したが、 今年はそんなこともなく各大学の直前の力を見るレースではなくなった。 出場した選手も力試しののレースであり、学内でのボーダーラインにある選手のアピールの場であり、 調整のレースになりつつある。
それだけ各大学内での選考過程が進んだ結果だろう。

 これは我々部外者には各大学の戦力を比較するのが難しくなったと言うことでもある。 元々長距離のレースでは各選手の持ちタイムは、参考になる程度で、今選手がどんな状態かが大きなポイントだからだ。 直前のレースで良いタイムを出したからと言って、当日どんな状況かは、本人自身にも判らない場合もある。

それに箱根駅伝には“箱根”と言う関門がある。山の今井選手のような存在があれば一気にトップに、と言うこともある。 今井選手が卒業した今年、どんな選手が現れるか楽しみだ。

 昨年のような五千メートル13分台の記録を持った選手は少ないが、今年もまた多くの高校生が各大学に進学した。 年々スカウト合戦も熾烈になっているそうだが、高校時代に良い記録を出しても、 それを越えられずに大学を卒業する学生もいる。早大・竹澤選手のように大学生になって急激に記録の伸びる選手もいる。 本人の努力と長年に亘る練習のたまものだが、人それぞれに記録の伸びる年齢がある。

既に大学でのレースに出場を果たし、結果を出している新人もいるが、 どのような新人が出てくるか楽しみなのも箱根駅伝だ。

<予想>

 毎回のことながら、これは全く個人的な楽しみである。
 1月2日、3日にいかにチームのコンデションを最高に整えるかの勝負だ、と解ってはいるが、 予想するのは楽しい。それを他人に言うのも楽しい。多分、選手諸君には迷惑な事だろう。

 今回の傾向はどのサイトの予想をみても「駒澤大が強い」だ。 過去の実績、選手の顔ぶれをみても大方の予想通り駒澤大の有利は動くまい。 だが、それは学生駅伝であり、1区間がおよそ20キロの駅伝では何が起きるか判らない。 それが観る楽しみであり、人気のゆえんなのだ。

この時期の各大学の応援サイトを覗くと、「我がチームは絶好調」「好い結果を残せそうだ」との書き込みが多い。 応援サイトだから当然だが、それでも駒澤大は別格だ、との書き込みは一致している。 それでも、各大学が箱根駅伝に力を入れているからに違いないが、大学間の力の差はなくなっている。 特にシード権を巡る戦いは益々熾烈になってきた。優勝争いよりも面白いのは確実だ。

・優勝に最も近いチーム

 駒澤大

 「10人を選ぶのが大変だ」と監督自身が悩むように選手の層は厚い。特に4年と2年の選手が充実している。 逆に負けるとしたらどんな展開でかと考えれば、「当日、調整に失敗」或いは「予期せぬブレーキの発生」等が考えられるが、 これらはどんなチームでも起こる可能性はあり、駒澤大に限ったことではない。

この大学の強みは10人目の選手でも、他大学に行けば準エースクラスに当たると言うことだ。 他大学の監督には羨ましいことだろう。それだけ大学内での練習が厳しいのだろうが、 燃え尽き症候になってしまわないように、卒業後も多くの学生が競技を続けてほしい。

・対抗として

 東海大 

 伊達選手、佐藤選手の2看板と他に1万米28分台の選手を3人いる東海大が、対抗の一番手だ。 ただこの大学は箱根での実績がない、それに今年は2枚看板に昨年程の爆発力が感じられないのが気掛かりだ。 でも、2看板が力を発揮して、他の選手も波にのれば、駒澤大も慌てるだろう。初優勝も夢ではない。

力的には間違いなく駒澤大に次ぐのだが…、歯車が狂えば優勝圏外になる可能性もある。 前回のように佐藤選手を1区に起用するのか、他大学の注目の的だが、2看板をどの区間に配置するのかも注目したい。 それによってチームの戦略が見えてくる。

・波乱を起こすとすれば

 日体大、日大、それに東洋大を挙げる。

 日体大

 東海大の次に日体大をあげたい。日体大は北村選手を中心にしたチームであることは前回と変わりないが、 森選手の成長と、今年入学した1年生の出口選手と野口選手の成長が先の駅伝でみられた。 主力選手と新勢力の力が発揮されれば、あるいはとの期待がある。 前回まで“山登り”の北村選手が2区を走るとすれば、“山”が大きなポイントとなるだろう。

 日大

 先の全日本駅伝では沈没したが戦力は侮れない。ダニエル選手という絶対的なエースがおり、 先の上尾ハーフでは学生1位となった阿久津選手を始め準エースクラスの選手が何人かいる。 無論、大砲としてダニエル選手の活躍が前提だが、駒澤大を脅かす戦力は十分ある。

 東洋大

 前回5区のブレーキにも関わらず5位の力は、十分優勝争いをする力があったとみる。 その中の7人が残った今回も侮れないチームだ。特に前回1区から5区を走った選手がそのまま残っているのも期待を抱かせる。 無論、優勝を勝ち取るには一つのミスも許せないし、新しい選手の台頭も欠かせせない。

・上位を窺うのは

 中大、早大、亜大、順大、中学大、城西大

 中大

 上野選手の存在は大きいが、一人だけで優勝を狙うほど箱根は甘くない。でも28分台をマークした徳地選手や、 上尾ハーフで好走した梁瀬選手もおり、チームとしては上昇ムードにある。前回は4区でブレーキを起こして、 トップから遠ざかったが、どのチームにも言えることだが、ミスがなければ上位の方でレースをする力は十分ある。 何れにしても前回山を登り下った選手が卒業して、“山”をどう克服するかにかかっているとみる。

 早大

 中大と同様に絶対的なエース(竹澤選手)の存在が大きい。しかしエースが転けると、前々回のようにシード落ちもあり得る。 全日本駅伝でのシード獲得と、前回の経験者7人が残っているのは心強いが、 距離の伸びる箱根で本当のチーム力が出てくる。中央と同様に、“山”をどう克服するかが鍵だ。

 亜大

 前々回優勝、前回10位と箱根の厳しさを身をもって体験したのではないか。 いかに箱根が、選手の走力だけでは結果を残せない、という事だ。如何に選手の力を最大限に引き出すことかが必要なのだ。 前回は周りから“連覇”とはやし立てられて、それを意識しすぎて、走る前から負けていた。 直前の記録会等のレースで、今回は前回程の派手な記録は残していない。全日本駅伝の予選会でも大敗した。 しかし経験者が6人残っている。 ハーフの記録も1時間3分台以上が9人いるだけに、優勝候補のチームが躓けば前々回の再現も夢ではない。

 順大

 山登りの今井選手が卒業したのは大きな戦力ダウンだ。それに今年は各レースで結果を残せていない。 しかしそれでも箱根の常連校、本番にはきっと、と言う期待がある。

 中学大

 予選をトップで通過した力は十分シード入りの力はある。 しかし、エース木原選手や篠藤選手等の準エースクラスの選手と他の選手との差が大きく、主力選手が実力を発揮できないと、 シード落ちの懸念も残る。何れにしろブレーキを起こさないことだ。

 城西大

 1万米の持ちタイム28分台が3人になって、チームは上昇傾向にある。 選手の構成も中学大と似ていて、主戦クラスの選手と下位の選手との力の差は大きいが、 当日のコンデションを整え、ブレーキを無くせば、上位にいく可能性もある。

・先ずはシード権

 専修大、帝京大、山学大、大東大、神大、国士大、東農大、法大

 山学大のモグス選手の走りが注目されるが、これらのチームはまずはシード入りを狙ったレースとなろう。 当然どのチームにも、調整さえ順当にいけば、シード入りの可能性はあり、上位に行く可能性もある。

<振り返って>

 今回も時間を忘れて楽しませもらった。
箱根駅伝がなかったら、正月三が日、きっと時間を持て余しているに違いない。

 予想は、今回も外れてしまった、と言うのが実感だ。優勝校は駒澤大で当たってはいるが、誰もが予想した事で、 当たったと言う実感はない。それより対抗と思っていた東海大が途中棄権で、 波乱を起こすとすればに挙げていた日本大(9位)、日体大(シード落ち)、東洋大(10位)の結果に、 改めて箱根駅伝の意外性とすばらしさを感じた。

ここで改めて言う事でもないが、箱根駅伝とは、如何に良い選手を抱えていても調整を失敗すれば、 例え優勝候補とみられていてもたちまち下位に低迷する、と言う事だ。 20キロを越すレースでは、体調管理に失敗すればもうそれだけで負けとなる。

そうした中で、駒澤大の監督はじめスタッフには敬意をすら感じる。 優勝候補に挙げられて、期待通り優勝を勝ち遂げられるのは、並の精神では出来ない事だ。 テレビの画面を通してだが、駒澤大の監督車からの叱咤激励の言葉は、他の監督車より力強いように思ったのは私だけだろうか。 それは試合当日だけではなく、きっと日頃の練習の中でも同じなのだろう。優勝は日頃からの絶え間ない鍛錬の結果なのだ。

 予想が良い意味で外れたのは、レース前にエースの負傷が懸念された早稲田大の2位、 中央学院大の3位、それに山梨学院大の6位だ。早稲田大の場合はエースの負傷で、 かえってチームの緊張感が高まり、レースに集中できた結果ではないか。 これらのチームに言えることはチームの主力が期待通りの活躍をし、5区を無難に乗り切ったことだろう。 5区で往路の帰趨が決まるのは、従来からその傾向はあったが、特に23キロ余りになってからその傾向ひゃ強くなった。

それに、学連選抜が4位になった事は来年以降に大きな影響を与える事と思う。つまりチームとしては参加出来ないが、 選抜チームとしての道が大きくクローズアップされて、箱根を目指す高校生の進路に多くの選択肢が広がり、 ひそかに箱根駅伝出場を狙う選手が出てくるだろう。

そうでなくとも箱根駅伝での宣伝効果を狙って、各大学間での選手獲得競争が激化し、有望選手の獲得競争が熾烈になっている。 昨年インターハイで活躍した高校生の上位3人が早稲田大への入学との報道もあった。 大学によって、有望選手獲得に当たっては特有の恩典があると聞くが、 大学スポーツの発展のために、それらの事は全て公開してほしいものだ。

一方、高校で活躍した選手が大学でも活躍するとの確証は何もない。 過去をみても、期待されながら入学して、さして活躍もせず卒業した選手も多い。 20歳前の年齢では大学に入学後、大きく伸びる者もいる。 高校時代にはさして実績のなかった選手が、大学入学後、めきめき頭角を現すのを観ているのは気持ちがいい。

有望選手の獲得競争が激しくなって、これからは入学後の選手育成が大きな要素になるだろう。

 最優秀選手には9区区間新を出した中央学院大・篠藤選手が選ばれた。中央学院大の躍進に大きく貢献した事は間違いないが、 2区で好走した木原選手こそ中央学院大躍進の立て役者だ。 最優秀選手は日本人選手と決められているのなら別だが、 2区で区間新記録を出したモグス選手も当然最優秀選手に該当すると思う。 山梨学院大がシード権内(6位)に入ったのも、モグス選手抜きには絶対あり得ない。

蛇足ながら、木原選手も篠藤選手も大学入学後成長した選手である。

<往路>

 1区の団子状態のレースに始まって、結果的には2区、5区での結果がそのまま順位になった。 特にタイム差のつきやすい5区での結果がそのまま往路での結果になった印象が強い。

 2区で印象に残ったのはモグス選手の走りと、それに付こうとした木原選手の走りだ。各大学のエース達が走るこの区間で、 日本人1位の走りは見事、に尽きる。

3区では早稲田大の竹澤選手、中央大の上野選手と大学を代表する選手が走ったが、両選手とも体調が万全ではなく、 区間新とまではいかなかった。

 往路で一番印象に残ったのは5区・早稲田大の駒野選手だ。 早稲田大往路優勝の立役者で、昨年の今井選手の作った区間記録に匹敵する走りで、みるみるトップに躍り出て、 そのまま後続に差を広げた。

<復路>

 先を行く早稲田大を1分14秒差で追う駒澤大が選手の力から言って、何処で早稲田大を捕らえるかが注目だった。

6区早稲田大の加藤選手の走りに、オーバーペースではないかとハラハラしながら観ていた。 しかし早稲田大の勢いが加藤選手に乗り移ったかのように、そのまま突っ走り、 区間賞の走りで2位駒澤大との差を3分11秒に広げる。

しかしチーム力の差はいかんともしがたく、7区・6区で差を縮められて、9区では15秒差で襷が渡る。 そうなるともう勝負あったで、3キロしないうちに追いつき、除除に引き離して1分21秒さに広げて10区に繋げて、 危なげなく駒大はゴール。

一時は10位を巡って東洋大と日本大の激しいシードを巡る戦いがあったが、 前を走っていた東海大のアクシデントによる突然の棄権により、2校とも10位以内がほぼ確定した。

今回のレースでは3校の途中棄権があった。 全く、20キロを越す駅伝は何が起きるか判らない。その中で20年以上シード権を確保している中央大は、 別の意味ですばらしいの一言だ。

結果:
<シード権>
1位;駒澤大、2位;早稲田大、3位;中央学大、4位;関東学連、5位;亜細亜大
6位;山梨学大、7位;中央大、8位;帝京大、9位;日本大。10位;東洋大
<シード落ち>
11位;城西大、12位;日本体大、13位;国士舘大、14位;専修大、15位;神奈川大
16位;法政大、17位;東京農大
<棄権>
順天堂大、大東文大、東海大

(K.K)


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