「文学横浜の会」
特集
「 箱 根 駅 伝 」
2010年の見どころ
ー2010年箱根駅伝出場大学ー
今回シード校が8校と少ないのは前回10位以内に学連選抜が入った事と、日体大が学内で体育会系の不祥事が発覚して
一時は出場も危ぶまれたがシード返上で予選会に廻った事による。
それにしても今回の箱根駅伝はこれまでのレースとは趣が違ってきたように思う。
それは前哨戦と言われていた上尾ハーフや府中ハーフ、その他の競技会における位置づけが全く違ってきたし、
各校のレベルがこれまでと比べて秀でたチームが見られなくなったことだ。
優勝は難しいと思われるチームはあるにしても、どのチームもシード入りは可能だし、シード落ちもあり得ると言う事だ。
各区間が20キロ余りのレースでは、同じような実力の選手でも、体調やその日の調子によって1・2分の開きがでてしまう。
大ブレーキでもおこせばもっと大きな差がつく。どんな優勝候補でも選手のアクシデントによっては途中棄権も生じる。
だから面白いのだが、今回は益々その傾向が強くなった。
と言うことは結果は各校のレースに向けての調整力であり、選手の起用にかかっていると言える。
直前のレースに出なくなった、或いは出てもただ調整レースとして位置づけるのは、
それだけ学内でみっちり競い、練習しているからだと思う。
部外者には益々チーム事情は掴めなくなり、予想する楽しみは半減した。
<予想>
毎回のことながら、これは全く個人的な楽しみだ。
今回は前回以上に混戦が予想される中で、東洋大、駒澤大、早稲田大、そして日大が最も有力視されるが、
1区間でもこけたチームが優勝から遠ざかる、というのが大方の見方だ。
シード権争いも前回以上に予断を許さない。前回優勝候補の駒澤大がシード落ちしたように、
一区間でも大ブレーキを起こしたり、或いはチームの歯車が狂えば、例え優勝候補のチームでもシード落ちするだろう。
・優勝に最も近いチーム
東洋大、を挙げる
何と言っても柏原選手の存在だろう。昨年のような活躍をすれば往路優勝は堅いが、
それには1区・2区をどう乗り越えるかにかかっている。
柏原選手に刺激されたのか、全体の1万米の持ちタイムがアップしたのも強みだ。
駅伝は一人だけでは勝てないが、チームに上昇気運が感じられる。
・対抗として
対抗として駒澤大をあげる。
総合力からみれば駒澤大が有力と思われるが、ここにきて負傷者と言うか本調子でないな選手がいるとの報道が気になる。
前回・前々回のレースでは、箱根を4連覇した当時には考えられなかった選手の起用ミスが見られたのも気になる。
箱根駅伝は持ちタイムより、如何に調子のよい選手の起用にかかっているのに、選手起用に失敗したのは、
大八木コーチが監督になったことと関連しているのかと考えざるをえない。
つまり監督になると大学によっては雑用が増え、その分コーチ達に練習を任すことが多くなる。
それが選手起用に微妙に影響してくるのではないか。これは少し考え過ぎか。
・波乱を起こすとすれば
早稲田大、日大、明治大をあげる。
早稲田大
主力の竹澤が抜けたのは大きいが、個々の選手の持ちタイムをみれば、やはり侮りがたい。
でも全日本大学駅伝の結果は、関係者を落胆させた。あれだけ有力選手を集めているのに、との声も聞く。
調整さえしっかりすれば、個々の能力は問題ないので、優勝争いに絡んでくるだろう。
日大
やはりサイモン選手の存在だろう。2区での起用が有力視されているが、そこで2位以下をどのくらい離すか。
そして各選手がその流れにのれば侮れないチームだ。
逆にサイモン選手が予定通りの走りが出来ないと、思わぬ結果になる危険性も持つ。
明治大
1万米の持ちタイムが28分台の選手が3人いるのは心強い。
全日本大学駅伝でも7区を終えた時点でトップだった実績もある。
前回の箱根ではしっかりシード権も取り、更に上を目指す意気も上がっているだろう。侮りがたい。
・上位を窺うのは
日体大、城西大、中大、山梨学大、東京農大、の各大学をあげる。
日体大
なんとしても学内の不祥事を乗り越えて、予選会を勝ち取った事は大きいし、団結力はどのチームより備わっただろう。
また1万米の持ちタイムが28分台の選手が3人いるのも大きい。
もともとチーム力は上位にあるので、チーム全体の調整さえしっかり出来れば上位を伺う力はある。
城西大
このチームも個々の持ちタイムはここ数年は確かに上位にある。
今回も1万米の持ちタイムは28分台が2人と、29分20秒以内が7人もいる。
どうしてシード落ちするのか不思議に思うのだが、毎回必ず大ブレーキを起こしてしまう区間に原因がある。
と言うことは選手起用に問題があるように思えるのだが、、。
中大
このランクに上げたのはやはり実績だ。25年連続シード権の実績はやはり金字塔だ。
チームとしては取り立ててエースとなり得る実績を持った選手も、全体としての持ちタイムも良い訳ではない。
しかし全日本大学でシード権を獲得した事に、伝統力を感じる。
過去の2つの駅伝で大石選手や棟方選手がクローズアップされたが、明るい材料ではある。
だが、やはりこのチームは総合力で勝負だろう。一方、一つでもブレーキを起こせば26年連続のシード権も危うい。
山梨学大
コスマス選手の活躍次第では、と思わせる。
そのコスマス選手抜きの全日本大学ではシード権を獲得できたのも評価を高くした。
箱根でのコスマス選手の実績はないが、モグス選手に匹敵するような活躍ができれば、
前回のように上位をキープできるかも知れない。反対の結果になればシード落ちもあり得る。
東京農大
1万米の持ちタイムは全体でも上位にくるのではないか。28分台の選手も2人いる。
前回は最後の区間でシード落ちした悔しさをどこまで払拭できるかだ。
気になるのはエースの外山選手に昨年のような勢いが見られないことだ。エースの勢いはチームに微妙な影響を与える。
・先ずはシード権
亜大、帝京大、上武大、中学大、法大
予選会で見るように、チーム状態次第でこれらのチームも上位に食い込むことも可能だ。
全員がベストコンデションなら、どのチームにも上位を脅かす力はある。
前前回は3チーム、前回は1チームがアクシデントでゴール出来なかった。今回は全チームが無事ゴールしてほしい。
そう願いつつ「今回もどんなドラマが生じるか」そんな期待も心の底に秘めているのだから、見る方も勝手なものだ。
<振り返って>
箱根駅伝の熱気が冷めてレースを振り返ってみると、やっぱり今回も充分に楽しませて貰った、と言う印象が強い。
途中棄権というアクシデントはなかったが、復路6区での中大選手の転倒には肝を冷やした。
監督も最悪の場面を思ったとの記事を読んだが、チーム関係者だけでなく同様の思いを抱いたテレビ観戦者も多かろう。
恐らく6区の7・8キロ地点だったと思われるので、転倒した走者には大きな打撃だ。
幸い途中棄権することもなく走りきったのは不幸中の幸いだった。しかも区間2位で走りきったのは立派だ。
曲がりくねったコースを、しかも高速で走り下る6区では今後も同様のアクシデントが起こる可能性はあり、
観戦者には是非注意してほしいし、ランナーにも注意を促してほしい。
でもやはりここは観戦者のより多くの注意を望みたい。
今回の結果は波乱なく予想通りの結果になったと言えるし、大学によっては大きな波乱だったとみる方もいよう。
有り体に言えば日大のシード落ちや、早稲田大の上位に絡むことなく総合7位という結果は関係者には大誤算だったに違いない。
両校ともに優勝候補にも挙げられていたのだ。
でも現在の大学駅伝は戦国駅伝と言われ、ほとんどが20キロ以上の箱根駅伝では一区間でも間違えば、
前回の駒澤大のように、例え優勝候補でもシード落ちもある。
だから冷静に見れば大きな波乱ではないと言えるし、関係者には大きな波乱だろう。
何れにしてもそう言うことがあるから箱根駅伝は面白くて、人気があるのだと思う。
<往路>
明治大の天国と地獄、それに東洋大・柏原選手の強さに尽きる。
4区を終わった時点で明治大は2位に2分40秒余り、7位東洋大に4分30秒余り離してトップを走っていた。
それまでの明治大は1区での良い流れを繋いでいた訳だが、箱根の5区は普通の区間ではない。
というより柏原選手の余りの強さ、と言えるだろうか。5区の2位選手とでも4分近くも早く走るのだから、
ここは柏原選手の強さと言うしかない。
終わって見れば東洋大が2位山梨学大に3分36秒離してトップにたち、明治大は
5分43秒離されて6位に後退した。当に箱根駅伝の怖さであり、醍醐味であり、面白さだ。
柏原選手にはこのまま怪我をせず成長してほしいし、日本を代表する長距離選手になってほしい。
出場レースが多くなって、身体に負担が残らないように注意してほしいと願うのはぼくだけではないだろう。
<復路>
東洋大の安定した走りと駒澤大の復路優勝に尽きる。
山梨学大や日体大がどこまで東洋大を追い上げるか、駒澤大が目標とした3位以内に入るかに注目していた。
しかし3分以上の差があると、平地の区間ではトップを走る選手のアクシデントや、
余程の走力差がなければ1区間だけで詰めることは難しい。
少しずつ差を詰める必要があるが、東洋大の選手は安定した走りで、7区では区間賞の走りだった。
2位のチームに最後まで背中を見せることなくゴールした。
反対に3位でスタートした日体大は6区のブレーキで10位に後退。
一方、駒澤大は6区の1年生が区間賞の走りで順位を上げて6位に。その後も除徐に前を詰めて、9区でついに2位に出た。
1区では想定していた選手が出られなかったこともあって低迷していたが、流石、優勝候補、復路優勝で総合2位を勝ち取る。
シード争いだが、今回は11位の学連選抜までが時差スタートだったこともあって、10位の城西大までがシード圏内にいた。
12位以降の9チームが一斉スタートで、その中の日大がどんなレースをするのかと見ていたが、結局、
時差スタートの劣性を跳ね返すこともなく、結局15位で終わった。
歯車が狂うと、優勝候補でもシード圏外に落ちてしまうと言うことだ。
反対に青山大の8位には多くの予想を覆した結果だろう。これはチームが上手く調整できた結果だろう。
城西大と東農大も新たにシード権を獲得した。以前から力のあるチームと思われていたが、力を発揮できるのも本当の力だ。
今回は学連選抜が16位という事で、予選会から出場できるチームは一つ少なくなり、予選会は益々熾烈になるだろう。
結果: (K.K)
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