「文学横浜の会」

特集

「 箱 根 駅 伝 」



    目次
2016年のみどころ H27.12/20

予想 H27.12/20
 ・優勝に最も近いチーム
 ・対抗として
 ・波乱を起こすとすれば
 ・上位を窺うのは
 ・先ずはシード権

 振り返って H28.01.07
 <往路>
 <復路>
 

2016年の見どころ

ー2016年箱根駅伝出場大学ー
 <シード校>
 青学大、駒大、東洋大、明大、早大
 東海大、城西大、中学大、山学大、大東大
 <予選会上がり>
 日大、帝京大、日体大、順大、神大
 拓殖大、法大、中大、東国大、上武大

 今回の注目は青山大の進撃が今年も観られるか、東京国際大(東国大)の初予選突破ではないか。

 少子化の中で学生数の減少と言う社会状況を反映してか、大学の知名度を上げようと関東学連に所属している大学間で、 箱根駅伝に力を入れる大学が近年益々増えてきた。 その関係でか高校生の有望選手の獲得競争の激化、と言う声も聞かれる。 その中で、今年卒業する高校生の有望選手の多くが東海大に進学との情報が流れているが、それが毎年なら、 各校との戦力差もつくだろうが、一度だけならそうはなるまい。 過去の実績から見ても、高校時代のヒーローが必ずしも大学で活躍するとは限らない。

有望選手の獲得競争は仕方ないにしても、周りで応援している身には、やはり学生スポーツだと言う事を前提に関係者は考えてほしい。 例えば、奨学金はいいけれども、その他の金銭に纏わる事は絶対になくしてほしい。

 提出されたエントリーを見て、今年の青山大の充実ぶりが判る。持ちタイムを見るとなんと1万米が28分台が10人。 無論、持ちタイムだけがその選手の実力だとは思わないが、実力を測る目安にはなる。 これは前回の駒大に似ている。一昔前なら、持ちタイムが28分台の選手は学生での一流選手と言われたが、 今では27分台で一流選手と言う事か。それだけレベルが上がったと言う事なのだ。

各選手の持ちタイムから言うと、今年の青山大は前回の駒沢大に似ている。その駒沢大を破ったのが青山大だ。 だから今回の青山大も絶対と言う事ではない。 箱根駅伝は各区間が20キロにも及ぶので、選手の充実している3校でも、何処かの区間でブレーキを起こせば下位に沈むこともある。

前回、青山大の優勝の立役者は間違いなく5区の神野選手のぶっちぎりの区間賞だろう。 今回の見どころは神野選手が今回もぶっちぎりで山を登るのかの注目が集まる。 次回からは5区の区間変更があるとアナウンスされているから、5区23キロは今回限りになる。 5区を短縮するのは、上りの強い選手を持つチームがより有利になるからだと言うが、 それは23キロにした何年か前に判っていた事なのに、と思うのだが。 まぁ、どうなるにせよ5区の山登りは箱根駅伝を特徴づける区間には違いない。

 毎年4年次の学年が卒業して、新入学生が加わる学生スポーツではどんな大学でも優位を保ち続ける事はまずない。 箱根駅伝でも、近くは駒沢大が強い時代(今も有力だが)、そして順天大、神大が強い時期があり、 日体大、大東大が強い時期もあった。もっとさかのぼれば中大、日大、早大が競った時期もあった。 そして東洋大と青山大が今有力校として新たに名を連ねようとしている。

そうした中で今回、駒沢大がどんな結果をだすのかも見ものだ。 面白いもので同じ監督の元でも、ずっとずっとトップであり続ける事はまずない。 かつての有力校が何時しか予選会グループに追いやられる、と言ったケースも多々ある。 年々入れ替わる選手、長年同じ監督であり続ける事の弊害、大学のてこ入れ(予算の出し方)の変化、 等が原因と考えられるが、要は「盛者必衰」と言う事だろう。駒沢大が有力校である事は間違いないが、 今日の出の勢いの中にある青山大、東洋大に一泡ふかせるか、或いは今までの有力校が沈んでいったと同じ道を歩むのか、 大いに関心を持って観たい。

 今年の新入生を見てみよう。大学長距離のレベルアップによって、いきなり区間賞を取る1年生は少なくなったが、 今年も有望な1年生はいる。有力なチームだけで見ると、先の2つの大学駅伝を走った東海大・湊谷選手、明大・田中選手、 さらに全日本大学駅伝を走った駒大・下選手、早大・永山選手等があげられる。 それら以外でもまだ多くの1年生がエントリーされていて、その中からどんな1年生が活躍するかも楽しみだ。

<予想>

 毎回のことながら1月2日、3日の本番に向けていかにコンデションを整えるかの勝負、と解ってはいるが、 予想するのは楽しい。

 区間エントリーが気になるが、ここ数年は1区を重視する傾向があり、今回もその傾向は変わらないと思う。 しかし箱根駅伝は各区間が長いし二日間のレースだから、1区での1分程度の遅れは他の区間で挽回可能だ。 とは言えスタートでつまずくとやはり不利になるから、各校とも起用する選手は持ちタイムより調子のいい選手、 と言う事になるが、これが監督には難しい。

学生だから自分の調整の仕方も定まっていない選手もいるから、走ってみなければ判らない、なんて言う者もいる。 どんなに持ちタイムがいい選手でもその日の調子次第でタイムは1・2分違ってしまうのもざらだ。 まあ、1区にどの選手を充てるかでそのチームの事情も見えてくる。

 さて、今年の大学駅伝の結果を見ると、10月の出雲駅伝では予想通り青山大が優勝し、 11月の全日本大学駅伝では予想を覆して東洋大が優勝した。この結果をみても青山大と東洋大の充実ぶりが判るが、 両校に駒沢大が絡んでくるのが今年の展開だと思う。

5区23キロのコースも今回限りと言う事で、今回も5区を制したチームがより優位に立つことは間違いない。 青山大・神野選手が前回のような走りをされたら、恐らく青山大の優位は動くまい。 だがその神野選手だが今年は春からのシーズン中からレースには出ておらず、11月の全国大学駅伝には出場したが、 昨年の走りよ比べるとやや精彩を欠いたのが気になる。

上位3チームの他に、特に大学が力らを入れていると思われる東海大、明治大のレースにも注目だ。 時うに東海大は有力な新人が多く入学予定と聞くから、今年のレース結果によるが、次回以降、一気に有力校の仲間入り、 と言う事になるかも知れない。

そしてなんといっても毎年有力な高校生を入学させている早大も見逃すことは出来ない。 あれだけの有力な新人を毎年入学させているのに、どうして優勝に絡めないのかと外野は思うが…。 まあ、高校時代に優秀でも、必ずしも大学でも優秀とはならないと言う事なのだろう。

・優勝に最も近いチーム

 東洋大

 前回、持ちタイム的にも最も有力だったチームの駒沢大優勝を候補に挙げたが、見事外れた。 と言う結果を受けて今回は青山大をはずした訳ではない。 前回青山大の優勝の立役者は間違いなく神野選手だった。 その神野選手が前回のような走りができるのか,一抹の不安がある。 春から夏にかけて故障していたとの記事を目にしたが、そう言う事では23キロの上りのコースで前回のような走りが出来るか?

神野選手が前回のような走りが出来なくとも、他の選手の力からして十分に優勝を狙える力はあるが、 全日本大学駅伝で見せた東洋大の気迫に注目した。 確かに個々の持ちタイムでは劣るが、箱根は持ちタイムではない。チーム力であり調整能力であり、気迫だ。

・対抗として

 青山大、駒沢大

 無論、両校とも優勝の可能性は高いが、5区の出来次第だ。それは東洋大にも言えるが…。 結局、5区の出来が優勝できるかどうかと言う事になる。

 青山大は持ちタイムが最も良いと前にも述べたが、1万米の持ちタイム28分代の選手が11人いる。 エントリーした選手の中に11人もいるのは、恐らく初めてではないだろうか。 欠点と言えば、神野選手の5区を除けば、区間賞が絶対に取れる絶対的なエースが見当たらない、と言う事だろう。 それに優勝が確実視されているチームにありがちな現象だが、意識しすぎて実力を出せなくなってしまう事だ。 1区のスタートでつまずくと…、の懸念がある。

 駒沢大は前回は5区で失速したが、4区までは前評判通りの走りだった。しかし今回は前回活躍した選手が卒業し、 明らかにチーム力は劣っている。優勝間違いないと思われていた前回、優勝を逃した事はチームにもショックだったろう。 有力な選手は卒業したが、各学年毎に有力な選手が揃っているのも駒沢大の強みだ。 ここ何年か優勝から遠ざかっており、今回のレースがどんな結果に終わるか、 それによってはこれからの駒沢大が有力校として残れるか、の試金石になるかも知れない。

・波乱を起こすとすれば

 東海大、早大、明大だろう。

 3校とも、高校時代に実績のある選手を獲得しているので、各学年ごとに有力選手がエントリーされている。 レースの流れで好いポジションで襷を受けると、ニューヒイロ―が出て来る可能性があり、 持ちタイム以上の記録を出す可能性もある。

 東海大は持ちタイムから言えば、前出3校に引けを取らない充実だ。5区に前回好走した選手がいるのも強みだ。 とは言え絶対的なエースがいないのが気になる。2区を終えてどんな順位で襷を渡すか、 それによっては、あるいはとの期待も抱かされる。 来年有力な新人が多数入学予定とされており、今後有力校に躍り出るのは間違いない。

 早大は持ちタイム28分代の選手が4人。持ちタイム以上に伝統のあるチームだけに、調整力は優れている。 山登りを誰が担当するかで、或いは2区をどんな順位で終えるかで前出のチームを脅かす力はある。

 明大は昨年よりチーム力は劣っているが、4年生の実力者が多数残っているのが強みだ。 1万米の記録が27分代の横手選手を中心に、各学年に高校時代実績のある選手が揃っている。 問題はやはり5区、誰が担当するのかが問題だ。

・上位を窺うのは

 日大、山学大を上げる。

 両校とも外国籍の有力なエースをもっているのが強みだ。2区に起用するのか、5区に起用するのか注目だが、 結局は他の9人の日本人選手がどんな走りをするかだろう。うまく絡み合えば上位を窺える力は十分ある。

・先ずはシード権

 城西大、中学大、大東大
 そして予選会上がりの
 帝京大、日体大、順大、神大、拓殖大、法大、中大、東国大、上武大

 過去優勝経験のある中大、日体大、大東大、順大、神大の各大学がシード権を取れるか、 初出場の東国大はどんな順位でゴールするかがまず見ものだ。

中でもかつての強豪校と言われ、ここ何年か予選会に回っている中大だが、 前回は9区までシード権内で来たが10区でまさかの大ブレーキでシード落ちした。 こんな事も起こるから見ている方では面白いぼだが…、関係者は最後までハラハラ・ドキドキだろう。

中大で言えば90回と最多の出場を誇り、かつての強豪校だが、今年、 全日本大学駅伝では予選落ち、箱根の予選会でも8位通過と元気がない。 でもそこは箱根の常連校、本番では前回のようにシード権を争うようなレースはするだろう。 今回はどんな順位でゴールするのか見ものだ。

同じく大東大、日体大、順大、神大と言ったかつての有力校がどんなレースをするのかも見ものだ。

 さて今年はどんなレースになるのだろう。番狂わせがあるのか、 どんな新しい新人が出てくるか、大いに期待したい。

<振り返って>

 今回も予想が外れた。

 と言うか青山大の強さが兎に角印象に残る大会だった。青山大の強さは各選手の持ちタイムから解ってはいたが、 各選手の実力が十分に発揮されたレースでもあった。
唯一つ、昨年優勝の立役者だった5区神野選手が万全ではないとの状況の中で、周りの不安を一掃させる最低限の走りで、 それでも区間2位のタイム(昨年より約3分遅いのだが)で山を駆け上がった事が、青山大の強さを際立たせる結果となった。 もし神野選手が本調子なら、2位のチーム以下ともっともっと差がついただろう。

今回走った青山大10人のなかで4年生が4人、従って残り6人が残り、その他にも沢山の実力ある選手を抱えていることから、 来年以降も青山大の優位は続くだろう。チーム内でメンバーに選ばれるための競争も激しだろうから、 益々強くなる印象だ。

そうなると一チームだけが抜きんでてしまい、観ている方では面白くない。他チームの奮起を促したい。

<往路>

 予想より早いペースで始まった。抜きんでた選手がいない場合、或いは主力を投入してレースを先行させたいチームがない場合、 どうしても自重してゆったりとしたペースで1区は始まるのだが、今回の1区の流れは速いペースで進んだ。
そうした早いペースでも青山大の走者が区間賞の走りで1区を走ったのが、青山大にはいい流れになったのは間違いない。 青山大は各校のエースが集まる2区では区間2位だったがトップは譲らず、 3区、4区とも区間賞、一度も先頭を譲らず、そのまま往路を駆け抜けた。

東洋大は2区の服部勇選手が区間賞の走りで健闘したが、3区服部弾選手が区間3位の走りでトップに離されたのが痛かった。 でも区間3位の走りで選手を責められる事ではなく、やはり青山大の強さを認めるべきだろう。 レースにもしと言う事はないが、もしここでトップと拮抗すれば、5区の神野選手に圧力を掛けただろうなと思うが…。

駒沢大は1区の出遅れが響いた結果となったが、3区の中谷選手で4位に出た。結果、往路3位に終わった原動力となった。

<復路>

 青山大6区1年生・小野田選手の走りに注目してスタートした。

2位との差は3分余りで、6区の走り次第では2位に差を縮められ、2位チームに勢いがつく。 時間が経つにつれて1年生の走りに、観ている方で安心感が出て、2位との差を逆に引き離しているとの事で、 青山大チームにとってはしてやったりの思いだろうが、観ている方の興味はそがれた。 結局、小野田選手は区間2位の走りだった。

その後は7区、8区と青山大の走者が区間賞でほぼ優勝を確実なものにした。

 優勝の興味とは別に、10位以内のシードチームに興味が移ったが、復路の一斉スタートが13チームもあり、 見た目の順位と実際の順位が違うため、興味が散漫になる。 ここはなんとか見直しはできないか、と思うが…。 来年からは5区の距離が短くなるから、トップとの差は少なくなるとは思うが、 一斉スタートのあり方をもった検討してほしいと思うのは私だけだろうか。

 いずれにしても今回も大いに楽しんだ。

結果:
<シード権>
1位;青山大、2位;東洋大、3位;駒沢大、4位;早大、  5位;東海大
6位;順大 、7位;日体大、8位;山学大、9位;中学大、10位;帝京大
<シード落ち>
11位;日大 、12位;城西大、13位;神大 、14位;明大 、15位;中大
16位;拓大 、17位;東国大、18位;大東大、19位;法政大、20位;上武大
*学連は11番目 <棄権>なし

(K.K)


[「文学横浜の会」]

禁、無断転載。著作権はすべて作者のものです。
(C) Copyright 2000 文学横浜