「文学横浜の会」

特集

「 箱 根 駅 伝 」



    目次
2017年のみどころ H28.12/21

予想 H28.12/21
 ・優勝に最も近いチーム
 ・対抗として
 ・波乱を起こすとすれば
 ・上位を窺うのは
 ・先ずはシード権

 振り返って H29.01.11
 <往路>
 <復路>
 

2017年の見どころ

ー2017年箱根駅伝出場大学ー
 <シード校>
 青学大、東洋大、駒大、早大、東海大
 順大、日体大、山学大、中学大、帝京大
 <予選会上がり>
 大東大、明大、創価大、法大、神大
 上武大、拓大、国学大、国士大、日大

 今回の注目は青山大が今年度の学生3大駅伝での制覇、そして箱根駅伝3連覇がなるかどうかだろう。

 近年の箱根駅伝の傾向は、予選会の結果をみれば明らかだ。

つまり大学の知名度を高めるための手段として、取分け新興大学でより力を入れている傾向がある。 その結果、予選会の通過ラインである10位前後に位置する大学が以前と比べると増えた印象だ。 チームの調整の出来によって、本戦に出場できるかどうか、まさに天国と地獄だ。

そして外人選手、言わばたすっと的選手が増えたとの印象もある。 私が知る限り今までは予選会を走る外国選手は2、3チームと印象があったが、今回の予選会では5人、 つまり予選会で5チームが外国選手を入れた、と言う事だ。 恐らく、その傾向は増えるだろう。

そうした事とは別に、学生長距離のレベルの向上が続いているのも記録を見れば判る。 1万米の持ちタイムがたんに28分代と言う事だけでは一流とは言えなくなった。 日本の長距離のレベルは世界から見て、まだまだだから、レベルの向上は良いことである。 しかし選手の目的が箱根駅伝と言うだけでは、世界のトップレベルには追いつけない。 学生にはもっと上をみて練習に取り組んでほしい。

 提出されたエントリーを見て、やはり青山大は強そうだし、東洋大や駒沢大にはかつての勢いが感じられない。 大学スポーツは年ごとにチーム内での選手の入れ替えがあり、強いチームでも、何時までも強いとは言えない。 そんな中で3連覇に挑むとなれば、やはり監督の手腕、選手の起用・采配に掛かってくる。

箱根駅伝の知名度によって、優勝監督ともなればマスコミへ顔を出す機会が多くなるのは仕方ないとは言え、 スポーツとは関係のない方面での顔出しが目立つと「どうかな?」とも思う。

昔は中大や早稲田大・日大が強く、日体大や大東大が強い時期があり、神大や順大、駒沢大そして東洋大が強い時期があり、 そして今は青山大が強い時期だ、と振り返ればそう言われるだろう。これが何年続くかは誰にも判らないが、 ずっと続くとは誰も思わないだろう。

そう言う事で、過去89回連続出場していた中大が予選敗退したのもそうした表れだろう。

学生スポーツは監督の熱意、指導力に因るところが大だから、またどの大学が復活、或いはどんな新興大学が伸してくるか、 それも楽しみだ。

そして今年の傾向としては有力な新人が多数入部した東海大の戦いも見ものだ。 高校時代に活躍した新人でも、全区間20キロの箱根で、初年度から活躍できるわけではないから、今後を占ういみでの興味だが、 果たして何人の新人が走り、どんな結果を残すかの興味がある。

勿論、高校では一流ではなかったが、大学入学後成長する選手もいる。それも楽しみの一つだ。 5区の走り次第で波乱が生じ、思わぬ結果になるかも知れない。

<予想>

 毎回のことながら1月2日、3日の本番に向けていかにコンデションを整えるかの勝負、と解ってはいるが、 予想するのは楽しい。

 区間エントリーが気になるが、ここ数年は1区を重視する傾向があり、今回もその傾向は変わらないと思うが、 1・2区、或いは1〜3区を一つの目安と考えるチームも多い。 つまり優勝を狙うチームはトップ、或いはトップの見える位置にいる事を目安にする。

そして5区に自信をもって配置できる選手がいるかどうかによっても4区までの順位を重視するチームもあるだろうし、 復路に配置できる選手を考えたチーム編成かによっても往路の順位を重要だと見るチームもある。

今回からは5区の距離が以前に戻り短くなったとは言え、往路の順位に大きく左右されるのは同じだ。 その点で言えば神野選手の抜けた青山大の唯一の弱みだろう。

・優勝に最も近いチーム

 青山大

 チームの勢いから言って上げない訳にいかない。全日本大学駅伝のアンカーを務めた一色選手が印象に残るが、 まだまだ実力のある選手もおり、実力は一番だろう。

欠点があるとすれば5区に誰を配置するかで、誰にせよ前回までの神野選手のようなタイムは期待できない、と思う。 と言うことで波乱要因は5区で、無難にこなせばまず監督としてはまずまずだろう。

・対抗として

 東洋大、駒沢大

 両校とも元気がないのが気になる。が、それぞれ有力な選手を抱えており、過去の実績もあり、対抗としてはずせない。 持ちタイムで言えば青山大に見劣りするが、レースの流れが上手くいけば或いは、との期待はある。 現在のチーム事情がどうか分らない門外漢だから過去の実績から判断せざるを得ない立場としては、 この2チームが元気でなければレースは面白くない。

新しい選手が出て、区間新を出すような走りを見せれば優勝を狙えるし、 逆に悪い流れになると、下位に沈む危険性はあるが、両校とも経験値があるから、そこは期待する。

・波乱を起こすとすれば

 東海大、早大をあげる

 東海大は1年生が8人登録された事でもわかるように、これからのチームだ。 その中でもスーパールーキーと言われる新人が期待通りの走りができるかに尽きるが、多くを期待するのは気の毒だ。 距離の短い出雲駅伝では実力を示したが、少し長い全日本大学ではそうもいかず、箱根は更に長い。 スーパールーキーとは言え距離に対応できるようになるには、この何ヵ月かが重要になる。 何れにしろ、何人走るか分からないが、スーパールーキーの走りに掛かっている。

 早稲田大は全日本大学駅伝で7区までの走りができるかだろう。同校は高校時代実績のある選手を多く抱えており、 素質のある選手がいるから、レース運びが上手くいけば、全日本の時のような戦いができるかも知れない。

両校とも当日の調整次第、上手くいけば上位校も侮れないだろう。

・上位を窺うのは

 順大、山学大、日体大、大東大を上げる。

 順大や山学大、日体大は持ちタイムから言っても有力だが、スーパーエースが存在しないのが、 優勝を狙うチームと比べると見劣りする。しかしかつての有力校でもあり、1区、5区を上手く乗り切れば、と言う感じだ。

 大東大は予選の勢いを買いたい。予選会の調子をそのまま維持するのは難しいが、調子を維持すれば上位に食い込めるだろう。

 何れも5区の走りであり、往路の順位を上位につける事だ。

・先ずはシード権

 中学大、帝京大
 そして予選会上がりの
 明大、法大、創価大、神大、上武大、拓殖大、国学大、国士大、日大

 先に上げた9校と、こちらの11校を含めて、今年もまた最後まで、シード権争いは続くだろう。 結論から言えば、当日、上手く調整出来たチームが上位10校に滑り込む。それだけは間違いない。 予選会上がりの何校がシード権を取るのか、創価大は初のシードを取れるか興味は尽きない。

それ以外の興味としては外国籍の選手のいる日大、拓大、創価大、そして山学大で、外人選手がどの区間を走るかにも興味がある。 恐らく2区が予想されるが、どんな記録をだあうのかも見ものだ。

 さて今年はどんなレースになるのだろう。番狂わせがあるのか、 どんな新しい新人が出てくるか、大いに期待したい。

<振り返って>


<往路>

 始まる前の私の関心は各校のチームの仕上がり具合はどうかと言う事と、スーパールーキーを含めて新人4選手を投入した東海大の走りだった。

 結果的に3区を終わった時点で、青山大の優位がはっきりした往路だったが、 各校の状態が判った区間でもあった。特に駒大の1区の走りは駒大のチーム状態がそれほど良くないと思わせ、 逆に神大のチームが良い状態にある事を印象付けた。特に2区の区間賞を取った神大・鈴木選手の走りは印象に残る。

2区の区間賞が外国人選手でもなく、高校時代から名のある、つまりそれ程名の知られていない選手が2区・区間賞を取ったのは久しい事ではないだろうか。選手の努力もさることながら、どんな選手でも努力すれば区間賞が取れる事を見せてくれた。

往路のレース自体は4区を終わった時点で青山大の優位がほぼ見えて、5区で大崩しなければ大丈夫と関係者は考えたのではないか。 だが青山大を追うのは約1分半差の早大、2分近い差の東洋大。5区は今回から距離が短縮されたとは言え、山登りの適性選手なら、 そんな差はひっくり返せる。幸い追うチームに新山の神的な選手がいなかったこともあって、青山大はこの区間8位の走りながらも、 2位との差はそのままの往路優勝だった。

 5区の距離が短縮された事や、新山の神的な選手が出なかった事で復路の繰り上げスタートのチームが5チームと少なくなったのも、 見る方としても良かった。

<復路>

 始まる前は6区で青山大との差を詰めるチームがあるか、青山大が見える距離にまで詰めて7区に繋げれば面白くなる、 と思っていたのだが、6区を終えた時点で2位に上がった東洋大との差は少し広がっていた。こうなれば選手層の厚い青山大の絶対的な優位は動かない。

が7区終盤での田村選手の失速には関係者も冷や汗だったのではないか。 選手には申し訳ないが、こう言う事があるから駅伝は面白い。もし前半或いは中盤でそんな事態になれば結果も違ったかも知れない。

そんな事があっても2位には10秒程度詰められただけで8区に襷を繋げた事が青山大の強さだ。8区・下田選手の区間賞の走りで、 2位とは約5分のさを付け、ほぼ優勝を確実なものにした。

結果的には青山大の強さだけが目立ったレースだった。3連覇を達成し、今青山大の黄金期でもある。来年も有力な選手が残り、 青山大のの優位は続くだろう。しかし栄枯盛衰は学生スポーツ界にも言える。何連覇するかは未知数だが、そういつまでも続く訳ではない。

東海大のスーパールーキー達も、結果を出せた者、出せなかった者こもごも、来年、成長した姿を見せてほしい。 そして神大・鈴木選手のような2区・区間賞を争える選手が各チームに育ってほしい。

そして一部マスコミでも問題にされたが、学連チームの在り方だ。 順位にどうして入れないのか、ましてや各個人の記録も参考とはどうしてなのか。走らせる以上、それはない、と言いたい。

今年も大いに楽しんだ。

結果:
<シード権>
1位;青学大、2位;東洋大、3位;早大、4位;順大、5位;神大
6位;中学大、7位;日体大、8位;法大、9位;駒大、10位;東海大
<シード落ち>
11位;帝京大、12位;創価大、13位;大東大、14位;拓大、15位;上武大
16位;国学院、17位;山学大、18位;明大、 19位;日大、20位;国士大
*学連は 20番目 <棄権>なし

(K.K)


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