「文学横浜の会」
新植林を読む
2012年11月07日
「新植林49号」
「巻頭言」
随筆「こころの帰趨するところ」 野本一平
亡くなったドクター津川は「一切の宗教は信ずるに足りない」と思っていたのではかと推測し、
「人間のこころの遍歴は複雑で、ひと筋ではない」と言う。
随筆「思い出」 花見雅鳳
作者の大学卒業から渡米するまでの事か。最初の「キャッ!」から数行の意味が解らなかった。
小説「でけそこない」 入江健二
最初に「この物語を、〜娘の朋子に与えます。」とあるから、主人公「野呂二郎」に託して、
作者の生い立ちからを小説仕立てに仕上げたのだろうか?
短歌「西瓜の花」 中條喜美子
以前、朝日新聞の投稿歌壇で同名を見た記憶があるが、同じ方だろうか。
エッセイ「お邪魔でしょうが(続 柴犬 愛ちゃん2)」 中條喜美子
45号に続く愛犬「愛ちゃん」との交友を書いた一文。
今回は「愛ちゃん」を連れての一泊旅行。アメリカでの生活や交友関係がよく判ります。
随筆とファンタジー 柳田煕彦
「たらぶら」とはプール程の渕で、そこには河童がいるとの言い伝えがあったと言う。
「太郎渕」と書いて「たらぶら」と呼ぶと、友さんにおしえられたり、作者は小さい頃を思い出す。
しかしそうした渕も今はコンクリートに囲まれて…、もう昔の面影はない。
ファンタジー「鹿喰(かじき)峠のきつね」
富さんという村一番の力持ちが、鹿喰峠で、部落の札付きの遊び人の貞夫と守に騙されて、お金を盗られる話。
それがきつねに騙された、と言う話を面白おかしく、どんな男でも色欲には勝てない、と言う事か。
創作「ダイアナ」 シマダ・マサコ
横浜から2週間余り船に揺られてロサンジェルスに着いたその年の感謝祭の日、裕子はダイアナと初めて会う。
裕子の目を通したダイアナの奔放に生きた「生き様」が描かれている。これもアメリカ社会の一面なんだろう。
随筆「在米半世紀の回想録(その十二) 井川齋
副題に「一大転換期の三年間―1962〜65年」とあって、作者にとっての重大な時期だったのだろう。
幾つかアルバイトをしながらの学業、と相変わらず忙しい日々が続いているが、裕子との結婚式をあげる。
ケネディ大統領の暗殺事件や、禁を破って自動車を持ったが欠陥車で、ほろ苦い事故も体験した。
ノンフィクション「ある国際結婚(その八)」 清水克子
日本では在日韓国人社会でも日本語だったが、アメリカでの韓国人社会では韓国語で、
日本で育った子供と共に韓国語は全く理解できない。
私小説「インディアン サマー(十一)」 杉田廣海
刑務所にいると言うペリーの息子がどんな罪を犯したのか不明だが、ペリーは息子に会いにいくと言う。
当日、ヨーコの弟カズが死んだと言う。食事に出掛けた店での急死だと。
文芸誌 in USA 新植林 <金田>
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