「文学横浜の会」

 新植林を読む


2019年 5月21日


「新植林62号」



「巻頭言」

 新元号「令和」を迎えるにあたって、その出典元である「万葉集」に掲載されている和歌の作者たちの多様性を述べ、 併せて日本の特異な文化について述べている。

小説「福島ラプソディ(五)」            中野隆一郎

 物語もどうやら核心が見えてきたようで、
「政府が放射能汚染地域だと指定している土地へ、ホームレスを移住させる井村の「狂詩曲(ラブソディ)」に 巻きこまれてしまったが、信弘に悔いはなかった。」
 とあり、どうやらこの辺りが物語の核心のようだ。

 信弘は「NPO福島支援隊」の集会に早苗を誘ってみよう、と考える。

短歌「朝日歌壇の入選歌」              中條喜美子

 朝日新聞の「朝日歌壇」に1998年から投稿されて、今迄に77作の入選作がある。それを順次紹介していて、、 今回は最終回(七回目)です。2014年した分からの最後の12首の入選歌を掲載している。
 作者の歌は主に、暮らしの中の自然、異国の地に生きる自分、そして異国に溶け込む家族・子供達、 それらをみつめる感性豊かな作品を醸し出しています。

エッセイ「おじゃまでしょうが(ボランティア)」   中條喜美子

 スーパーボランティアと呼ばれている尾畠春夫さんのテレビ特集を観て、 母から聞いた「困った時はお互い様」の精神を思い起こし、アメリカでのボランティア活動について述べている。
何処で生活しようが、困った時に助け合うのは当然の事として、それを実行するには気持ちだけではだめ。 体力も必要だし、何より自分にゆとりがなければ…。作者の心の豊かさを感じます。

ノンフィクション「八十才 ホームレス(三)、他」  柳田煕彦

「こだわり大根」

 これを読むで、一度でいいからそんな大根を食してみたくなった。
食物を育てるにはまず土作り、土択び、と言うことなんでしょうね。葉っぱの漬物もおいしいとあり、 ぜひ作り方も書いてほしいな、と思いました

「八十歳 ホームレス 三話」

 多摩川、六郷橋辺りの河川敷に生活するホームレスの人々との交友に、 今回は訳アリの夫婦(六十代)と娘(三十代)三人家族のホームレスが加わります。

家族には夫のかけ事による借金で本名も名乗れない事情があり、ホームレスに身を投じているようだ。 家族のために安アッパートを借りてやり、家族を含めたホームレスで何やら商売を始める。
作者自身はアメリカに帰国しなければいけないので、心配は残るが成田行きの電車に乗る。

随筆「砂漠のブランコ(十一)」           ケリー・晴代

「体験入学 U」

 2度目の夏。5週間、日本に戻りJJ、ミミちゃんは何日か日本の小学校へ通うが、日本の変貌に戸惑い、 アメリカとの違いにも戸惑う。子供の適応能力には関心しますが、文化の違いは致し方ないですね。 きっと将来に役立つ体験をしているのでは、と思いました。

「アメリカのお母さん達から学んだ学んだ事の一つにコミュニケーションがあります。 親子と言えども、お互い人と人。黙っているだけでは通じません。」と言う言葉が心に残りました。

「おわりに」

 JJやミミちゃんの成長も楽しみですが、お母さんも、異文化の中であえぎながら成長しているのだと感じました。
アメリカは広い国ですから、宗教、生活文化、そして考え方等、 様々な方々がいますので日本より遥かに大変だなぁと思いました。

随筆「私の小さい住まい」              太田清登

 自分の家に以前住んでいたと言う人が訪ねて来て、家のいきさつを聞く。
家を購入した経緯なども書かれています。

ノンフィクション「私見・環境と人間(五)」     清水克子

 1994年にアリゾナのスノーフレイクに36エーカー(約44,000坪)の土地を購入した事が書かれている。
と言うのも農家の長男として生まれた父の影響を受けての事だと筆者は思っているようだ。 農業に関心をもち、引退後はアリゾナで農業をしたいと思うが、70歳をすぎては老後の事も気になる。

小説「冬の浜辺」               シマダ・マサコ

 作者の一連の小説に多く登場する裕子の、夫そして夫の母親を巡る回顧談のように読みました。
今は息子家族の近くに住み、穏やかな生活に満ちています。

小説「インディアン サマー(二十四)」       杉田廣海

 通訳のいない裁判が始まった。
アドレスを間違えて私の住まいに踏み込んだシェリフに、私は大怪我を負わされ、私は後遺症で苦しみつづけていると、 腹部を見せながら訴える。弁護士や裁判官が私の剣幕に驚いたような視線を向ける。


文芸誌 in USA 新植林
第62号・2019年 春期
e-mail:shinshokurin@aol.com
homepage: http://www.shinshokurin.com
定価:7ドル+TAX


<金田>


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