「文学横浜の会」

 随筆

これまでの随筆

2008年03月20日


「江戸ことばと若者」

 携帯のメールの中ではあるが、若者の間で密かに「江戸ことば」が流行っているという。江戸時代に使われていた言葉を集めた本なども売れているというから不思議だ。そういえばいつごろか若者の間でやり取りしていたメールの「略式言葉」などあまりテレビで取り上げなくなった。「超」とか「マジ」とか、まだテレビの中で使っているタレントもいるようだが、当初私にはちんぷんかんぷんであった。若者自身忘れ去られることに敏感なのか分からないが、新たな「江戸ことば」の火付け役がいることは間違いない。「せっしゃ」「有難きしあわせ」「いかがいたしましょう」テレビの「鞍馬天狗」や「篤姫」「水戸黄門」の世界のようだが、理由はともあれ、若者が江戸ことばをメールに利用していることは嬉しいかぎりだ。

 私自身歴史を勉強しているが、娘とのメールのやり取りで「江戸ことば」で返すことが多々ある。娘は笑って(メールなのでハ、ハ、ハ、)と返してくる。私は調子に乗って「明日の予定?そうよのう、花見と洒落てみるか」なんてやっている。

 そういえば最近突如テレビに現れた「ジェロ」をご存知だろうか。ポップスのリズムに乗って踊り、若者を魅了していると思いきや「イントロ」のあと演歌「海雪」を歌う。踊りもうまいが、歌(声)がまたいい。またたく間に若者を惹きつけ、中高年も虜にしてしまったようだ。初の黒人演歌歌手は紅白歌合戦に出場するのが夢だそうだ。多分年内に達成されるであろう。(おぬしもそうは思わんか?)海を渡った異国の地で祖母が口ずさんでいた日本の歌。それを子守唄に聴きながら、ポップスも受け入れ育ったそうだ。同時代に受けている若者の「江戸ことば」といい「ジェロ」といい、ミスマッチなところが面白く、流行りそうな予感がする。「めでたし、めでたし」

(こいけ 志穂)


[「文学横浜の会」]

禁、無断転載。著作権はすべて作者のものです。
(C) Copyright 2007 文学横浜