『誰が為の剣か…』
ジェノア城・・・
アイラが自らの意思とは無関係にシグルド達に剣を向けた場所。
イザークの王子、シャナンが捕らわれていた場所。
そして・・・・アイラとシャナンがシグルド達のかけがえのない仲間となった場所・・・
ジェノア城を落としたその日の夜・・・
シグルド達はジェノア城にとどまっていた。日が落ちる中を進軍するメリットは何もない為だ。
エーディンを早く救いたいと誰もが思っていたが、そのために自らの身を危険にさらすことはできない。
それは指揮官であるシグルドが兵士達に徹底的に教え込んだことであった。
何よりもまず自分の命を守る為に動け、と。
戦争をする軍として、その支持は愚の骨頂であったろうが、それでもシグルドはそれを許さなかった。
夜の帳が完全に降りた頃、シグルドは部屋の扉をノックする音に目を覚ました。
こんな時間に部屋を訪れる者は・・・キュアンかエスリンだろうか・・・
そう思いながら、
「どうぞ」
と、扉の外にいる者に入室を促した。
ガチャ・・・
控えめに扉が開かれ、シグルドの部屋に入ってきたのはイザークの王女アイラだった。
わずかに俯き、申し訳なさそうな目でシグルドを見つめている。
「アイラ王女・・・」
シグルドは予想外の来客に少し驚きながらも、落ち着いてアイラの為の椅子を用意した。
アイラは無言で用意されたその椅子に座る。
「・・・・・・」
だが、一向にアイラは用件を切り出そうとしない。
「アイラ王女・・・?」
シグルドはアイラの顔を覗き込むようにその表情を見つめた。
いつもの凛とした表情ではなく、どこか落ち込んだような、それでいて悲しそうな雰囲気が滲み出している。
(・・・・・・)
「何か・・・ありましたか・・・?」
「私は・・・弱い・・・・」
アイラは突然、何の脈絡もない話を始めた。
シグルドも一体なんのことなのか判らない。ただ、その神妙な雰囲気に押され、黙って話を聞くことにした。
「シャナンを人質にとられて貴方達に剣を向け・・・・私が死ぬ気でかかったあの闘いで貴方に敗れ・・・しかも、貴方達にシャナンを助けられた・・・」
「・・・・・」
「私は・・・・何も出来なかった・・・」
シグルドはようやく彼女の言わんとしていることが理解できた。
シャナンを守る為に剣を振ってきたのに、肝心な時に自分の力は何の役にも立たなかった。
それについて苦悩していたのだろう。
「私達を憎みますか・・・?」
「いや・・・それは単なる逆恨みだ・・・・1つ・・・頼みがあってきた・・・」
「頼みとは・・・?」
アイラは初めて顔を上げ、シグルドの顔を正面から見つめた。
そして、微かに震える唇を開いて言葉を紡ぐ。
「私が本当に強くなるまで・・・シャナンを守ってやってほしい・・・」
「・・・・・・」
「そのためなら・・・私の全てを貴方に捧げよう・・・・」
そう言ってアイラは身に付けていた黒い衣服を全て脱ぎ去った。
その肢体は戦いに生きてきた戦士としての体であったが、女性としての美しさも充分に備えていた。
シグルドも男である。その美しい体に目を奪われないわけはなかったが、それ以上にシグルドはアイラに伝えねばならぬことがある。
「シャナンを守るのは構わない・・・しかし、その為に貴女が体を差し出す必要はない」
「私は・・・他に差し出すものがない・・・・」
「シャナンを守る為の剣、そしてその覚悟は素晴らしい。しかし、貴女は少し自分の為に剣を振るうということも覚えるべきだ・・・・」
「?」
「自分の為に剣を振るう時、望まぬ者に体を許した自分を・・・貴女は許せるのかな・・・?」
「!!」
アイラははっとした表情でしばらくの間固まってしまう。
図星を指されてのことか、それとも・・・
シグルドは放心しているアイラに黙ってコートをかけた。
婦女子があまり裸身をさらすものではない・・・
「それが判ったならもう貴女に迷いは無くなるだろう・・・早く服を着てシャナンのもとに行ってやれ・・・」
そう言ってシグルドはアイラに背を向けた。
だが、一向に背後からアイラの気配は消えない。
(まだ放心しているのか・・・?)
そう思ってシグルドは背後の様子を窺おうと視線を向けた。
しかし、その直前、シグルドの体に軽い衝撃が走る。
ふわっとした甘い香りと共に、アイラがシグルドに抱きついたのだ。
両手を首に回し、その体をシグルドに密着させている。
「アイラ王女・・!?」
当然のごとくシグルドは狼狽した。
目の前にいるアイラの意図が全く読めない。
シャナンを守ってくれと言い、それを諭されると呆然と立ち尽くし、そして今は自分に抱きついている。
その行動の不可解さにシグルドは面食らう。
「な、何を・・・」
「すまない・・・しかし・・・そんなことを言ってくれたのは貴方だけだ・・・」
アイラはシグルドの背中に顔を埋めて泣いているようであった。
女性が泣いているのを無下にできるわけもない。
シグルドは態勢を入れ替えて、アイラを正面から抱きしめた。
「もう・・泣かなくてもいい・・・ここには貴女を守ってくれる人間が何人もいる・・」
「・・・・私は・・貴方に守られていたい・・・」
アイラはそう言って、少し背伸びをしてシグルドに口付けた。
シグルドは特に嫌がることも驚くこともなく、自然に口付けを返した。
「・・・・ん・・ふ・・・」
アイラの口から少し吐息がもれ、シグルドの頬をくすぐる。
その甘い感触に、シグルドの精神ははっきりとわかるほど燃え上がっていった。
「アイラ王女・・・」
シグルドはアイラの腰を引き寄せ、さらに深くキスをする。
アイラもそれに応えるようにシグルドの口内に自らの舌を差し込んだ。
「んんっ・・・・ん・・はあ・・んっ・・・」
クチュクチュと湿った水音が部屋に響く。
2人の舌が絡まりあう音。
互いの唾液を送りあうたびに、2人はどんどん昂ぶっていった。
既に衣服を脱ぎ去っているアイラの美しい肌を、シグルドは優しく撫でていく。
「はうっ・・・」
胸、脇腹、脚・・・
真っ白な陶器のような肌を満遍なく愛撫していく。
さらさらとした肌の感触がシグルドには心地よい。
その豊かな胸を持ち上げるように揉んでいく。
「ひあっ・・・あう・・・」
アイラの過敏な反応に満足したシグルドは同時にアイラの股間に手を伸ばした。
その部分は案の定既に湿ってきている。
胸と同時にアイラのヴァギナをそっと擦り上げていく。
「くぅんっ・・・く・・・ああ・・・!!」
アイラの声は最早甘い嬌声に変わっている。
もとから感じやすいのか、それとも相手がシグルドだからだろうか。
シグルドは弾力のある胸をそっと揉みしだく。
「はあっ・・」
揉むたびに形を変えるアイラの胸はシグルドの精神を掌から昂ぶらせていく。
やがて、その双丘の頂点が快感で突き出してきた。
それを掌で押しつぶすように撫でていく。
同時に下半身に伸ばしていた指に愛液をまぶして、股間の突起にもかすかに触れる。
クチュ・・
「ひああっ・・・シグルド公子っ・・・そこはっ・・!!」
「もう感じてるみたいですね・・・」
シグルドの言葉どおり、アイラの身体はかなり敏感で、シグルドが愛撫するたびにその身体を震えさせる。
胸と股間の突起は綺麗に突き出し、ヴァギナからは多量の愛液が溢れていた。
シグルドはその愛液を充分指に塗りつけてから、アイラの膣内に指を入れた。
ジュプッ・・・・
「っ・・・ああっ・・・!!」
股間へ侵入する指にアイラの背が反り返った。
あまり慣れた様子のないアイラは指を受け入れるも、その指をぎゅっと締め付ける。
「少し、キツイか・・」
シグルドはそう呟くと、あまり激しくしないようにゆっくりと動かし始める。
愛液が増してきたかと思うと、膣内で指をくねらせたり、と。
グチュ・・・グチュ・・・
「ひああああっ!!」
アイラの身体がビクンッと大きく痙攣した。
どうやら軽く絶頂に達したらしい。
「イったのか・・・」
「はあ・・はあ・・・あっ・・はあ・・・」
荒い息を整えながら、絶頂の余韻に浸っていたアイラは、しばらくすると嬉しそうにシグルドに肌をすり寄せてきた。
年不相応な意外な可愛らしさにシグルドのモノは更に大きく膨張する。
「アイラ王女・・・いいか・・?」
「・・・・・ああ・・・」
少し戸惑いながらもアイラはしっかりと頷いた。
了承を確認したシグルドはアイラを正面から抱きとめ、ゆっくりと挿入していく。
ずぶずぶっ・・・・
「あっはああああっ・・・大きいっ・・!!」
アイラは目に涙を浮かべながら、身体を大きく反らせた。
やはりそれほど慣れていない為だろう。
内部はきつく、アイラも痛みを堪える仕草を見せる。
シグルドはできるだけ優しく、ゆっくりと腰を動かした。
「うあっ・・・シグルド公子っ・・・はうっ・・!!」
そのシグルドの心遣いが伝わるのか、アイラの涙はいつの間にか嬉し涙へと変わっていた。
「シグルド公子・・・・ああっ・・・やはり・・・貴方でよかった・・・」
「私が・・・?」
「今だけでも・・・貴方に愛されたのが私で・・・よかった・・・ああっ!!」
そう。
今だけかもしれない時間だから、2人は精一杯愛しあう。
2人の性感は同じように高まっていき、リズムもまた同じように同調していく。
グチュ・・・クチュ・・・
「くああっ!!」
シグルドはアイラの身体をぽすっとベッドに押し倒し、突き上げると同時に胸を揉みあげた。
身体中が性感帯になっているような今のアイラは、それだけで絶頂に達しそうになる。
「ああんっ・・・これ以上感じたらっ・・・・またっ・・・また・・・」
「いいぞ・・・・何度イッても・・・」
そう言うとシグルドは、アイラの乳首を少し強く摘み、腰の動きを速めた。
それがアイラには限界であった。
「もう・・・ダメだっ・・・イクッ・・・くあああああっ!!」
アイラの身体がビクビクッと震え、大きな絶頂の波に身を任せる。
シグルドも絶頂と同時にきつく締め付けてくるアイラの膣内に我慢が出来ず、自らもその欲望のたけを吐き出した。
「くあっ!」
ドクッ・・・ドクッ・・・・
「あふ・・・・熱い・・・シグルド公子の精子が・・・私の胎内に入ってる・・・」
アイラは幸せに溢れた笑顔でシグルドに抱きついた。
シグルドもそれを力いっぱい抱きしめる。
「誰が為の剣か・・・」
アイラはそう呟いた。
シグルドはそれを耳に入れつつも、何も聞こえない振りをしてベッドに横になっている。
「私の剣は・・・大切な人を守る為の剣・・・・シャナンや貴方を守る為の剣ですよ・・・シグルド公子・・・」
「・・・・・・」
「誰かを守る事が・・・私にとっては私の為に剣を振るということなんです・・・」
「なら・・・・そうすればいい・・・私にそれを止める権利はないよ・・・」
そうぶっきらぼうに言いながらもシグルドの表情には笑みが浮かんでいた。
アイラもそれに応えるように笑った。
それは迷いのない、澄んだ微笑み・・・・
あとがき
あとがきです。聖戦です。アイラです〜w
親の世代はちょっと書きづらかったんですけど、いかがでしょうか?
でもたまには親世代もいいですねw
廃帝