Yamazaki Masayoshi Tour2001-2002 TransitTime

2001.9.7  盛岡市民文化会館
Reporter is ちゃーりー

当日までの岩手県内陸地方の天気予報は曇りのち雨。
ましてピンポイント予報では、ちょうど開演の18時には雨の予報。
そんな中、盛岡駅のコンコースを抜け、ライブ会場である盛岡市民文化会館へと足を向ける人の波があった。
小生は会場入りする前、同行する友人の部屋で軽くビールを飲んで、女性が大半を占めるであろう3列目の席に向けてテンションを上げていた。
開演18:30ではあるが恐らく18:40開演と読み、我々は18:20に会場に到着。
入り口付近で販売されているツアーグッズを横目に、自分達の席へと向かった。
「1階3列目18番」その席はまさに中央にそびえるマイクの真正面。嫌がおうにも期待感は高まる。
時間の経過と共に会場の雰囲気も段々と高揚していくのが肌で感じ取れる。
アシスタントの人たちがギターなどの搬入を始め、いつしかステージ上にはライトアップされたスモークのみが立ちこめる。・・・そして、ライトの明かりが変わらないまま山崎まさよし登場。
おもむろにギターを手に取り、軽い調弦を始める。いつしかそれがギターソロへと昇華し始める。
ライトアップこそされない中、山崎のギターが会場を包む。会場内には動揺と歓喜の入り交じった不思議な空気が立ちこめていた。
そこへベース・中村キタロー氏が登場、しかしこの登場シーンに気づいた者は何名いただろうか?
未だに暗がりに近い状態の中で山崎のギターが空気を揺らす。
30秒もしただろうか、同様にドラムセットに江川ゲンタ氏が腰を据える。
いよいよ山崎のギター・ソロが『タイム』のイントロに変貌を遂げた頃、会場の雰囲気はステージ上の男達によってコントロールされていた。

曲調等触れることは特にしないが、One Knight Stand Tourとは違いあくまでもスリーピースの形態を重要視していた。
特に違いの大きさを感じたのはギターでのリズムセクション。
さすがにドラムとベースのサポートがあったので、ギターはアクセント程度にしか使われていない感が否めない。
とはいえ、エレキギターも駆使し、スリーピースとしてのギターというポジションでの最高のパフォーマンスは発揮していることは言うまでもないことだが。

さて、話はライブに戻り、初めて彼のコンサート(というかちゃんと聞いたのも初めてに近い)に行った友人にも感銘を与えたのが、楽曲のイメージとはかけ離れたMC。

ご当地ネタ(盛岡の場合「わんこそば」「冷麺」「小岩井農場」etc.)はもちろんのこと、『区役所』の前には「水増し請求・・・みなさん税金は払ってますか?」など。
小話としては「昨日小岩井農場で乗馬しました。・・・将軍の気分になれるかと思ったんですが、1周500円で・・・。」でも思い通りにならなかったらしく「そのあとアーチェリーで吉宗(暴れん坊将軍)気分♪」とご満悦のご様子。
「あと、シープ&ドッグショー見たんですけどいまいちですね。だって奴らにとっちゃ、あれは仕事なんですから見せ物にしちゃいけません!・・・って、俺も(音楽を作る&歌うことが仕事)か・・・(苦笑)」とも・・・。

演奏も3曲目くらいが過ぎ、会場の雰囲気も一段落した頃、山崎君特有(?)の予知が目覚めた。
「ん?今日は雨なんですかね?」前述の通り天気予報では一時雨の予報は出ていた。
しかし、会場内からはもちろん外の様子を伺い知ることはできるはずもない。会場内には「?」という空気が流れたが、「いや、髪の毛が・・・天然パーマが過敏に反応している・・・」

座席も3列目ともなると、当然の如く山崎まさよしフリークの方々に囲まれるわけで、縦ノリの曲ともなればその興奮状態たるや非日常的空間へと変貌する。女性が大多数を占めるその空間は、20才代の男二人には多少難のあるもので、手を掲げステージに向かいアピールする瞬間などに参加するのには度胸を伴ったりする。
まして、コンクリートの床が抜けんばかりに揺れ始めると、彼らに同化するか、後退するか…、ある種の強迫観念に襲われる。(苦笑)

さて、ぶぅぶぅさんのレポートにもありますが、アンコール?、いや小生としては第2部としての登場の謎のゴスペル・(アカペラ)グループ『ミスペラーズ(たぶん)』。
某『5スペラーズ』に対し、3人なので『3(ミ)スペラーズ』なのだろう。
最初は『ウスペラーズ(ゴスペラーズと比較して音が薄い)』に聞こえたのですが、小生の結論では『ミスペラーズ』ということで。
そのメンバー構成は向かって左から江川ゲンタ・シスター(担当ベース&リズム&コーラス&ラップ)。
中央に羊の皮(正確には帽子)をかぶり、付け鼻とメガネを掛け、首から金の十字架を吊した山崎まさよし・神父(メインヴォーカル)。(紹介がなかった為不明)
右に中村キタロー・神父(コーラス)。
シスターのリズムセクションは一聴の価値有り。しかも格好・動作がかわいいです。
女性に大人気。
ポーズも決まっているのか、脇を占め、手のひらを方の高さにしてパタパタと手を左右に振る…、いわゆるブリッ子がベースになってるのかも。

その格好での選曲といえば、やはり外せない『審判の日』。
『長男』は意味が有ったのか無かったのか。曲のノリがよかったのだろうか?
その中でも秀逸は『お家へ帰ろう』。なんと言っても歌い出しが「メ〜、いっぱい〜…」。
会場で自然に起こっていたclaps(手拍子)を征し、代わりにSnap Finger(いわゆる指ぱっちん)を要求。
小生の周辺では鳴らせる人と鳴らせられない人の明暗がクッキリ顕れていた。
蛇足ではあるが小生は高々と鳴らし、誇らしげだったことを付け加えておこう。

迷える子羊・山崎まさよしは、歌の途中でも「メ〜」が入るお約束を披露。
途中で羊の装束ははずしてしまったのだが。

それにしてもミスペラーズの装束でギターを架けていたのに、前奏の一瞬(カウントくらい)しか使わなかったのは、神に対する贖罪をイメージさせるためなのだろうか。これは小生の読み過ぎかもしれないが。


いずれ時間が過ぎ、ライヴも終焉を迎える。
希有な時間を共有した者達は、それぞれの胸の内に余韻を残しつつ、様々な行動を取る。
自分の席にとりあえず座り込む者、帰りの交通機関を心配してか帰路を急ぐ者。
盛岡でのTransit Timeはその名の通り過ぎ去りし時間となった。

小生達も数分前の暗さを微塵も感じさせなくなったホールから、彼らを横目にしつつ席を後にした。
出口に向かう途中ふと鼻につく匂いが漂ってきた。
そう。外は雨。
アスファルトに降る小雨が発する独特の空気の中、今夜の余韻に浸るべく会場を後にした。




【総論】
今回のツアーはアルバム『Transition』+αって感じの構成ですね。
新しい曲をいかに自分の中で消化するかというサブテーマが背景にある気がしました。
そのなかで、『セロリ』『僕はここにいる』あたりは逆(商業的)に気を遣いすぎともとれましたね。
「どうせやるなら、とことん!」とも思いつつも、一緒に行った友人のように初めての人にしてみれば息抜きのような時間帯かもしれません。

3列目という席にありながら、山崎君の驚異的なギターテクニックの半分程度しかかいま見れない気分になったのと、『One More〜』『パンを焼く』が聞けなかったのは今回の不満点。

今までのライヴと同じ感覚で行くと裏切られる部分は多々あることでしょう。

正直言って、立ちっぱなしだったので足がだるいっす。
この点に関しては、いわゆるジャパニーズスタイルとの一線を画している部分だったので、座り聴きが無くなったことには残念です。

おまけに縦ノリが多いので靴はスニーカーをお勧めします(笑)

愚痴ですが盛岡では『明日の風』と『根無し草ラプソディー』は無かったかな・・・。その代わり『僕はここにいる』があったんですけど。
ラストの『Plastic Soul』の始める前にキタローさんがフリップに「あの曲」と書いていたんですが、不覚ながら小生にはピンと来ず…。
演出的には空振りでしたね、正直言って。
山崎まさよしのライヴに慣れている方々にしか分からない演出にはちょっと抵抗がありましたケド。
「だったらAugasta Campこっち(少なくとも東北)でもやりやがれ!(怒)」と思ってしまったり。

やっぱギタープレイが少なかったのは寂しい限りです。
その点はOne Knight Standに期待します。

アルコールを飲んでコンサートに行くとトイレに行きたくなるので気を付けましょう。

乱文にて。ほなまた。