問 題 動 物 園
〜魔法使いの半成功?〜

 

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あるところに一人の意地悪な魔法使いさんが居ました。

魔法使いは仕事上での実績などによる事情と、家庭内の事情との両面苦しんで悩んでいました。

ある日のこと疲れが溜まっていたのでしょうか身支度を整えている最中、

いろいろなことに歯がゆさが爆発したのか鏡を割ろうとしたのでした。

 

すると目の前に映っている鏡は叫びはじめました。

「まってください!どうして、あなたはそのような事をするのですか?」

 

鏡が喋ったことに魔法使いは驚きを隠せませんでしたが

誰にも相談できずにいた感情が吹き上げるかのように鏡に伝えました。 

しかし意外なことに魔法使いの口から出てきた話というのは意外なものでした。

 

「自分には一番立派な鏡があるというのに、

どうして鏡の向こうに写っている兎は、あんなに幸せそうにしているのだろう。

あの兎が憎くてたまらない。あの兎さえいなくなってしまえば・・・」

 

そこまで鏡に自分の気持ちを伝えたころには、さっきまで鏡を割ろうとしていた手に勢いはありませんでした。

鏡は答えました。

 

「確かに兎は現実では大きな悩みと苦しみを持っているが精一杯生きています。

太陽の光を浴びて元気いっぱいに草原を走りまわっている感じがするのかも知れません。」

 

なだめるように魔法使いへの言葉にを聞くと鏡に顔をきっ睨みつけて言いました。

「兎をどうにか面白くできないだろうか。」

 

鏡は、それはあなたの妬みと悔しさからきたものだと思いましたが、それだと自分が割られるかもしれないので、

鏡は魔法使いの機嫌を伺いながら考えているふりをしていると、先に魔法使いから言い出しました。

 

「・・・・・分かっている。自分はアイツを妬んでいる。

だが、こっちにも生活がある。この間、大聖堂の集会で成績表を見せられた。俺は最低のものだった。」

そんな時、楽しそうにしているのを見たら、どういう気持になるか?」

 

鏡は自分を割られない為にも恐怖を感じましたが、それを隠すように表向きをつくって

この場をやりきる為に答えました。

 

「私がいるじゃないですか。私は島中で一番大きな鏡です。

私を使ってあの兎を調べてあげればいいじゃないですか。」

 

こうして鏡と魔法使いの関係が深くなりました。

兎のことを調べていると色々な事が分かってきます。

そうしている内に兎が主催するコンクールの発表審査発表が近々あるらしいのです。

その時に兎がどのような行動をするかを魔法使いは予想することにしました。

兎がコンクールの賞品を去年どこから送ったのかを鏡の力を使って調べあげ、

賞品を送る際にきっかけを作って弱みを使ってやろうと思ったのでした。

 

当日。 

兎さんがコンクールの賞品を届けことのを詳しく知った魔法使いの計画当日は雨でした。

魔法使いは言いました。

「絶好の機会だ。今日きっかけを作って弱みを作って散々使いまわしてやろう。

使えなくなったら、その時は殺してしまえばいい。」

 

そういう魔法使いの表情には誰もが近寄りがたい恐ろしいものでした。

魔法使いが兎のいるところへ向かうと、これまで練っていた計画を行ったのでした。

 

いっぽう兎さんは、そのことを知らずに送る賞品が雨に濡れないよう包んで大切に運んでいました。

魔法使いは兎の行く跡をずっと追っていました。

兎が荷物をお店に届けて依頼し店を出たその時でした。

 

店先の置いていた傘を手にとり広げたとき偶然にも魔法使いが立てかけていた傘を倒してしまったのです。

兎は驚いて、どうしようと思いました。

魔法使いは何ということをしてくれたのだという表情でしたが心では嬉かったのですが、

兎さんにはとても恐ろしい顔で言ったのでした。

 

「やい。よくも俺の大事な傘を倒してくれたな!

見ろ、お前のせいで傘が汚れてしまった。

こなったら傘を全部張り替えなければならない。」

 

兎は言いました。

「すみません・・・本当にすみません。」

 

魔法使いは言いました。

「ただですむと思っているのか!ここから逃げるなよ。」

 

こういう色々なやりとりをしている中で、さっきまで振っていた雨もやんでいました。

 

数日後。

魔法使いを束ねる大魔法使いに、部下である悪い魔法使いさんが兎に行ったことが耳にはいりました。

次々と報告される内容を聞く度に驚きを隠せないような様子でカラスが伝える言葉に

聞き入るしかありませんでした。

大魔法使いは、部下のやった事を誤魔化す手はないものかと頭を捻りました。

 

それから約一週間後。

大魔法使いは、部下のやったことを兎から漏れないように口止めする為に、

たまたま大魔法使いの管轄に兎の恩師が住んでいることに目をつけ、

兎が相談する前に自分の所轄である大聖堂の近くに住まわせることにしたのでした。

 

兎さんは、ひとりで困って、どうにかならないか相談しようと試みましたが、

大聖堂付近に住まわせられる事になった兎の恩師は相談できる状態ではありませんでした。

 

ところが大聖堂に住む虎丸が親睦書をもらう為にたまたま滞在していたらしく、

兎の耳に入ったときには事が小さくなった時でした。その兎が聞いた人づての話によれば、

水村に飛ばすと脅しをつけ大聖堂の近くが安全と伝え、

恩師に安心感を持たせて住まわせ、部下を遙か遠くへ飛ばしたそうです。

 

兎は、魔法使いが心の底から大嫌いになっていたのですが、

経過と事情と、大魔法使いの行った対処に驚きを隠せませんでした。

 

やがて嫌な奴らだと思っていた兎の心も次第に

まだまだ魔法使い達もすてたもんじゃないと時間が経つごとに思えるようになったのでした。

 

 

 

 

終わり

 

 

問題動物園「魔法使いの半成功?」制作:原田

 

 

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