あるところに動物達の住む島がありました。
この島のもっている空と海は青く澄み渡り、空気は爽やかであり、
そこは未だ人間の踏み入れることのない自然の宝庫でした。
ここに住む動物達は、兎と狐、そして亀と狸が住んでいました。
これらの動物達は、いつも仲良しでしたが、
当初この島には資源が乏しく土地も痩せていたために、
この島に住んでいる動物は協力して生きていく事を選択しました。
彼らの生活は食事を得る為にそれぞれが漁に出かけ、一日の糧を得ていました。
ある日のこと、狸の獲っている魚の量が極端に少ない時がありました。
もちろん心の優しい動物達は狸を助けました。
動物達は各動物によって魚の捕って得られる量が違うのに気がつき、
互いの動物は話し合いました。
狸「なあ、みんなどうやって魚を捕ってるのか教えてくれよ。
兎「僕は糸をつかって釣ってるよ。糸とコツが大切だよ。
亀「潜って食いつくんだ。じっと待つ時間が、とても長いから忍耐が必要かも。
狐「俺は網を使って獲っているよ。でも、網はすぐに破けるんだ。
狸「実は今まで魚が来てから棒きれで叩いて獲ってたんだ。
亀「それは、効率悪いかもね。
漁をする時には様々な方法が各動物にあるのをお互いに気づきました。
そこで、みんなのやり方の良い方法を使うことにしました。
しかし、この方法で獲ると魚の量が減ってきたのでした。
そこで動物達は、魚を捕る場所が互いに重なることのないように
場所を決めて漁をすることにしました。
そして島には沢山の子供達が増えてきました。
そこで、より沢山の漁を効率良くするために、それぞれの方法に改良がなされました。
改良された道具は、とても素晴らしく、それまでの人手を必要としませんでした。
でも動物達はそこで、他の動物に頼って楽をしようとはしませんでした。
人手が浮いた分を、より優れた道具の開発に注ぎ込んでいきました。
動物によって得意な分野があったので、
それぞれの得意とする仕事場に動物を送りました。
そうして幸せな生活を過ごして年がたつ内に、より多くの魚を獲るのを忘れ、
島では化かし合いを行って強奪し始めました。
そういう世界の中で、化かす能力のない兎と亀は次第に不満を露わにしました。
兎は速く進んでいく能力を備えています。
他の動物達にとって悪い嘘や、騙すことができません。
亀は兎と違って着実に頑張っていく能力を備えています。
でも動きが遅くて奪うことはできません。
そこで兎と亀は、「あの狐と狸のような強奪」をしないことを前提に
協力して生きていくことを約束して生きていくことを選択しました。
兎が新分野の開発と研究を開拓するかわりに、亀はその分野の改良を進めていき、
お互いが仲良く暮らし、お互いの約束を果たして生活していました。
しかしこの兎と亀との関係が保たれている中で、この兎と亀の子孫が、
この大切な関係を次第に忘れてしまいます。
兎は、亀との関係を忘れ、より過剰的に亀に生活していくお金を、どんどん請求します。
亀も、兎との関係を忘れ、着実に自らの基盤を固めると同時に
兎を閉めだす計画を密かに進めていたのでした。
亀は兎と長く暮らしていましたので、
兎の特性は兎以外の動物で良く知っているのは亀だけでしたし、
兎も同じように亀のことを良く知っています。
悪い亀は、兎が引っかかりそうな罠を仕掛けていました。
兎が大好きな人参を食べようとすると殺される動物虐殺装置や
彼らのもつ白くて黄色い模様のある者に、
特に注意させる為に形を変えて、さまざまな文献に残しました。
兎も馬鹿ではありません。
そういうことをしないように、防止策を打ち出して、次々と要求を強くしてきました。
兎がさまざまな事を考えて頑張っている内に、亀の対応が変わっていく事に
うすうす気づき始めましたが、亀を信じて頑張っていました。
しかし、その時には遅く、いつの間にか亀の暮らしが裕福になっていました。
そして亀が兎に対しての謀略に気づいた兎は、
あまりの衝撃に多くの兎は言葉を失いました。
兎は亀のいるところから少し離れて、ここから脱出する為の開発を余儀なくされました。
やがて、自らの考えと発想による開発によって兎は翼を得ました。
そして兎は、自由を勝ち取る為に、行く当てもなく飛び立ちました。
奪い合って騙し合っていた狐と狸は、飛んでいる兎を見ました。
あまり上を見上げたことのない亀までも、その兎の飛ぶ姿には、眼を見張りました。
その時に、どんどん悪化していく島の経済状態に
狐と狸はやっと我に返りました。
悪い亀は、さまざまな罠を利用するために、これを起動しましたが、
現在兎は飛んでいるのです。多くの罠は全て無効なものとなりました。
一体どういうことになったのか黒い狸は悪い亀に問いかけると、
兎が謀略を企てたというように聞かされました。
このことに驚いて、そして兎の姿に嫉妬した狸は、
あの兎の持っている翼をどうにかならないものか悪い亀と相談しました。
こうして、裕福な黒い狸が 悪い亀に依頼する関係ができました。
悪い亀は 兎への謀略と戦略を 黒い狸に教え込みました。
亀「兎は飛んでいるのです。いつか地面に足をつける時があります。」
狸「そうか。その時に多くの動物達が、兎を捕まえるようにすれば良いのだな。」
悪い亀は兎の研究をさらに続けることにし、
狸は兎の危険性を映画やTV、雑誌や漫画などで伝えて世論に訴えました。
批判して奪い取るやり方を知っている黒い狸にとって、
これは狐とやっている戦いとなんら変わりませんので、このやり方はお手の物で、
その効果は絶大でした。
しかし、そういう動物の中で、取り残された狐は、
今までの自らが犯してきた過ちに関して、
未だに飛び立っていく兎に、正直に反省の意味を込めて歌い始めました。
亀のなかにも当時から兎と仲良くしていた者もいて、
飛び立つ兎に感動し、彼らの生態の素晴らしさを訴える者も現れ始めました。
そういう状況の中で、黒い狸は研究した兎の翼の情報を持って、
真似て自分の背中に取り付け、翼を得た兎に見せるように化けて振る舞い、
そして多くの動物達を騙して生活を始めました。
しかし、その姿も簡単に見抜かれてしまい、黒い狸と、悪い亀は面白くありません。
そして世論は「狸が悪い方向へ向かいつつある」という評価を
出しつつあることを知った悪い狸は自らのやったことを、全て兎のせいにしました。
しかし世論は馬鹿ではありません。
これは『何も言わない人形に腹話術を唱えて罪を被せる、姑息で汚いやり方』
として捉えました。
これに驚いた狸は焦って、自らの疑いを晴らすべく、
兎は誠実で真面目であり悪いことをしません。この事を含めて、
「兎は二重人格者だ」と主張しました。
こうすることで兎に対する信頼を恐怖心へとすり替えようと試みました。
それでも狸に降りかかる疑惑が気になってか、
全てを兎に向けるための細かな工作を行い、
時には同じ狸を殺して、その反逆心を あおって兎へ向ける戦略も行いました。
これらを見た兎は、
地上の事の成り行きに交渉を求めて、一匹の兎が地上に降り立ちました。
黒い狸のもくろみが成功し、兎はすぐに捕らえられました。
兎「僕は交渉しに来た。でもこの扱いはなんだ。清々堂々としろ。」
黒い狸「話し合いなんて、最初から目当てじゃないんだよ。」
兎「何をする!痛いじゃないか!」
黒い狸「最初からお前の翼をもらおうと思っていたんだよ。」
黒い狸は白い兎から生えた翼をむしりとりました。
翼をもぎとられた背中から沢山の血が出て、辺りは真っ赤に染まりました。
その兎は、あまりの痛さに悲鳴をあげて死んでしまいました。
黒い狸は、兎からもぎ取った翼を自分につけてみました。
黒い狸「なんだ。飛べないじゃないか。
悪い亀「兎を殺さずにもっと捕獲して研究しましょう。
この様子を一部始終、空から見ていた他の兎は大変驚きました。
兎1「おい。悪い亀と黒い狸が、俺達を殺すために、協力しあっているよ。
兎2「こりゃあ。大変だ。
こうして翼を得た白い兎は、地面に降り立つことが、以前より少なくなりました。
これらを冷静に見ている狐は、
翼を得た兎に協力を促しますが、なかなか降りてきてくれません。
それだけ兎の受けた心の傷は深かったのでした。
それから黒い狸と悪い亀は、翼を得た兎を捕まえるための網をもって夢中で追いかけました。
すると、どうしたことでしょう。
以前に悪い亀が、翼を得た兎を殺すために動物虐待装置を しかけていましたが、
黒い狸と悪い亀は、その罠にかかって死んだのでした。
めでたし、めでたし。