あるところに動物達だけの住む島があった。
ここの動物達は互いを啀み合うことなく、そして快適に生活をしていた。
当初は少ない動物の数だったが、時が経つにつれて各種多くなってきた。
そこで動物達は互いの仕事を分担することを約束し別れた。
そういう中、それぞれの村が発展した。
しかし多くの機会に恵まれているにも関わらず、
自らの動きが遅いためにそこまで進むことのできない動物の村があった。
それは亀達の住んでいる亀村。
ある日、この村に突然変異で生まれた3匹の亀がいた。
彼らは亀から生まれたにも関わらず、とても早かった。
しかし亀の利点である「確実に進む」利点が削がれている部分もあり、
若いだけあって、とてもせっかちでもあった。
彼らの名前は「接勝」と「幼治」、そして「集進」と村中から呼ばれていた。
そんな中、彼の提案と考えとやる気に感化されたのか、やる気が出ててきたのだった。
しかし現実はそう問題も解決し、早く進むものではなかった。
ここで経験のある亀さん達は、拒否する手に転じたのだった。
結局、議会は平行線のままなかなか進まなかった。
会議室の近くにある喫茶店で、一休みしようかと3匹の若い亀達が、その店に入った。
ウエイトレス「ご注文をどうぞ。」
接勝「おっ。早いねー。俺、コーヒーとアイス。集達と幼治はどうする?」
集達「俺、アイスティーでいい。氷三っつ。」
幼治「グレープフルーツ。氷なしで。」
ウエイトレス「少々お待ちください。」
三人が注文するとウエイトレスが、カウンターの奥のどこかに行った。
接勝「どうして、あの人達は、こう・・・頑張ってみようという気がしないのだろう。」
ため息を付きながらも、もはや諦め加減のようなしぐさで、両手を広げて言った。
集達「その必要がないからさ。」
接勝「どうして?」
幼治「今はこれで良いからだろう。」
接勝「これのどこが?これは彼らの将来にとっても、とても大切な事だよ。
現にスイスでも行われていたし、パリでのやり方は金という単純な概念だけでなかった。」
そう言い終えると接勝ソファーに背にもたれて座った。
幼治「ここは亀村だ。亀村には亀村のやり方があるんだよ。誰もがそれを気にして考えている。」
集達「俺もそう思うよ。これは彼らにとっても一番興味ある話だからね。
だから君だけの話ではない。」
接勝「そうか。僕だけの話だけではないからか。でも積極的な姿勢が感じられないよ。」
ウエイトレス「お待たせしました。」
それぞれの若亀達の前に注文したものが並ぶ。
ウエイトレス「それでは、ごゆっくりどうぞ。」
三人が注文するとウエイトレスが、カウンターの奥のどこかに行った。
早速、接勝はテーブルに置かれたアイスを食べ始めた。
集達「それにしても・・・」
手元に持っているコーヒーカップを小皿にゆっくりと戻しながら集達は言った。
集達「ただ言っていることを、ただ聞いているだけでもいいのに、どうしてそれが駄目なんだろう。」
接勝「うん。俺はそれが気になるんだ。」
さっきまでアイスを食べる為に使っていたスプーンを、すばやく戻したが為に、
派手な音でカチャンと、店内に響き渡った。
集達「すこしは静かにしろよ。それと口の周りが汚れてるよ。(笑)」
幼治「それは多分・・・。」
接勝「多分?」
幼治「まだそういう時では無いからさ。」
接勝「それぐらい分かってるさ。」
両手を頭にのせて、聞いていた接勝は力が抜けたように、下にさげて
ぶらんとしている状態になった。
集達「でも、面白いよな。」
幼治と接勝「何が?」
集達「これだけ、いろんな人が、世界や東の方での良いやり方のアドバイスを言っているにも関わらず、
裏切り扱いで言う奴がいるから最悪だよ。良い気分にはなれない。」
接勝は自らの手をテーブルに置くと握りこぶしを作った。
接勝「こんなことだから、亀村から良い人材が逃げるんだよ。」
幼治「そう言うなよ。」
接勝「なら、おまえはどうなんだよ?」
接勝に言われて集達は、視線をテーブルに落とした。
今まで3人だけが熱心に喋っていたと思われる、このテーブルに重い沈黙の空気が流れた。
幼治「彼らも、きっと分かっているさ。でも、これは時間もかかる。
短時間では解決できるものではない。だから、彼らなりに、僕達を見ているんだよ。」
接勝「そう願いたいね。」
幼納「・・・・・・・・・・。」
集達「でも、俺らを馬鹿にしてゴマ擦っている奴にはムカつくな。」
接勝「俺もそう思う。」
幼治「あいつらは、気にするな。ただの冷やかし連中だ。」
集達「彼らはやること何かをやるネタもないから、ただ面白がっているだけさ。
いつだってインターネットを見てネタを探して冷やかす事しか考えていない。」
接勝「それをやらせているのが誰の手だか色々予想できるよ。」
幼治「でも彼らも村民だ。俺だったら大きな気持ちで、じっとかまえておくよ。」