低身長を伴う児童生徒およびその家族は成長ホルモンの知識のほかに、骨の役割を理解しカルシウムを 毎日600mgとることと、運動することにより骨を強くし、将来起こり得る骨粗鬆症の予防を自覚することが肝心です。
1.骨は、体を支える支柱としての役割がある。
長管骨;四肢に見られる長い筒状の骨、脊椎骨、大腿骨、脛骨
2.カルシウムを蓄え、それを供給する役割がある。
体重60kgの成人は約1kgのカルシウムが体内にあり、その99%が骨や歯に含まれている。
残りの1%は血液中や細胞内にある。カルシウムが不足すると、骨のカルシウムが少しずつ溶け出し全身の細胞に補給するいわば骨はカルシウムの貯蔵庫でもある。
3.臓器を守る。
脳や心臓、肺などの体の大切な臓器を外部からの衝撃から守る。頭蓋骨、肋骨、骨盤骨
4.骨髄で血球をつくる。
骨の表面は骨膜で覆われ、表面近くは皮質骨、内側は海面骨で構成され、海綿骨の編み目の間と骨の中心部の空洞には、骨髄が詰まっており、赤血球、白血球、血小板などの血球がつくられている。骨は血球の製造工場という役割がある。
骨の成長や骨量の増加、維持には、様々なホルモンが関係する。
出生時身長50cmの赤ちゃんが1歳で75cm、4歳で100cmと急速に身長が伸びるのは、脳下垂体からの成長ホルモンが盛んに分泌され骨の成長が促されるからです。
10歳を過ぎて思春期になると女性ホルモン、男性ホルモンといった性ホルモンが骨の成長と成熟に極めて重要な働きを持っています。
日本人のカルシウム摂取量は、1日必要量600mgの84%しかとっていません。
小柄とやせは、骨粗鬆症の危険因子です。それゆえ、吸収率の良い牛乳1日の必要量の2/3、すなわち牛乳400ccカルシウムに換算して400mgは毎日とるように心がけよう。
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男性 |
女性 |
13歳〜14歳 |
900mg/日 |
700mg/日 |
15歳〜16歳 |
800mg/日 |
700mg/日 |
17歳〜18歳 |
700mg/日 |
700mg/日 |
19歳〜 |
600mg/日 |
600mg/日 |
妊娠中 |
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900mg/日 |
授乳期 |
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1100mg/日 |
【厚生省日本人の栄養所要量】より
(1) 牛乳・乳製品の摂取量が少ない。アメリカ人は、2/3は乳製品でカルシウムをとっている。一方、日本人は、牛乳・乳製品からのカルシウム摂取量は、まだ全体量の1/4程度である。
(2) カルシウムの供給源としていた小魚・海藻・野菜などの摂取量が、‘魚離れ’の風潮や、 手抜き料理などが原因で減っている。
(3) 日本は火山列島なので、土壌が酸性になりやすく、土壌にカルシウムが極端に少ない。そのために、地下水や農作物に含まれるカルシウムが外国と比べて少ない。
牛乳・乳製品; カルシウムが豊富で吸収率のよい牛乳・乳製品は積極的にとる。
小魚; 食卓にしらす干しを常備して、気軽にひとつまみ加えるとよい。
豆類; バラエテイ豊かな大豆製品なら、毎日でも飽きずに食べられる。
野菜; 根より、緑の濃い葉にカルシウムが多い。
種実類; ごま、アーモンド、ピーナッツなども活用したい。おひたしをごまあえにするだけで、カルシウムを強化できる。
リンは蛋白質にも含まれるが、普通の食事をしている限り、めったに過剰になる心配はない。
しかし、リンは加工食品の添加物に多用されているため、インスタント食品中心の食事は問題です。
また、炭酸飲料やスナック菓子にも多く含まれているので、これらのとりすぎにも気を付けましょう。
ナトリウム、つまり塩分のとりすぎにも、カルシウムの排泄を促すので要注意です。
骨粗鬆症に早めに気づくために、自分がどの程度、骨粗鬆症になりやすい危険因子をもっているか、自覚しておくことも大切です。
A) 1〜3 |
各2点 |
B) 1〜3 |
各2点 |
C) 1〜3 |
各2点 |
D) 1〜3 |
各1点 |
E) 1 |
1点 |
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最高点21点 |
あなたの骨粗鬆症危険度は
10点以上 危険度大
9〜6点 要注意
5点以下 可能性は少ない
成人病予防協会「骨検診質問表」より作成
ダイエット中に上手に利用したいカルシウム源
カルシウムもビタミンDも豊富で、低エネルギーの魚は、積極的に食事に取り入れたい。
成人一人当たりの所要量はビタミンD 100U
しらす干し |
あゆ |
まいわし丸干し |
カップ1/2 (30g) |
1尾(60g) |
1尾(30g) |
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カルシウム159mg |
カルシウム150mg |
カルシウム420mg |
ビタミンD120U |
ビタミンD 138U |
ビタミンD 63U |
エネルギー53kcal |
エネルギー105kcal |
エネルギー111kcal |
わかさぎ |
あまだい |
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一人分カップ(40g) |
1切れ(80g) |
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カルシウム300mg |
カルシウム150mg |
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ビタミンD11U |
ビタミンD22U |
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エネルギー40kcal |
エネルギー82kcal |
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野菜のなかで最もカルシウムが多い 小松菜 、吸収率の高い豆腐をはじめとした 大豆製品 なども上手に利用しましょう。
ただし、油をたくさん使う料理法では、エネルギーが増えてしまうので要注意です。また、低脂肪の牛乳、ヨーグルトなどもカルシウム源として優れている。きのこ類は、低エネルギーでビタミンDがとれるのでダイエットには欠かせません。
最近は、ベビースイミングをはじめ、体操教室、サッカー教室など、スポーツ熱は加熱しているが、運動を楽しむ野外の空間は少なく、勉学におわれて遊びの時間はすくなくなり、一緒に野外で遊べる友達も少なくなり、車中心の社会では運動不足の子供が多くなってきています。
小児の健全な発育のためには、どの段階でも運動、日常の遊び、チームスポーツ(近所の友人とかくれんぼのような気ままな遊びから、リトルリーグ野球やサッカーのような組織的な活動まで)は有益です。
体力の向上や協調性といったような一見して明らかな利点に加えて、発育に重要な自尊心や自信といった、明確になりにくい面も同じように育まれていきます。それと同時に子ども達は協力、チームワーク、集団への参加といった社会に適応するために大切な要素を学びます。
すべての子ども達にとってこのような体験は成長の過程で重要であり、また楽しみでもあります。
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運動や競技の技術ガイド |
推奨される運動 |
幼児期(3−5歳) |
競争させない 実演を通じて指導する 楽しむことを強調する |
自由に遊ぶ 大まかな動きの運動 ウォーキング、ランニング 水泳、投げる、受ける 飛んだり跳ねたりする |
小児期(6−9歳) |
競争は最小限に 得点をあげることは強制しない |
スポーツの基礎をはじめる 水泳、ランニング、体操 サッカー、野球 |
思春期(10−12歳) |
基本的な技術の発達に焦点を当てて競争を監視する |
複雑な技能を要し 接触するスポーツ バスケットボール テニス |
テニス ランニング サッカー
もりもり小児科