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Q&A

 

Q1 成長ホルモン治療では、定期検診がありますが、なぜ定期検診が必要なんですか?

 

Q2 成長ホルモン分泌不全性低身長症の息子は今年8歳です。2年前から成長ホルモンの治療を始め、背は順調に伸びているのですが、おねしょが治りません。やはり、からだが小さいことが影響しているのでしょうか?

 

Q1

成長ホルモン治療では、定期検診がありますが、なぜ定期検診が必要なんですか?

  成長ホルモン製剤は、身長を促進させる作用として、現時点では最も安全で有効な薬剤です。それゆえ、安全にかつ効率的に治療を継続するために、定期検診が必要です。定期検診時、体重の増加は成長ホルモンの投与量の変更を必要とする場合があります。定期血液検査は、原則として初年度は成長ホルモン開始時、1カ月後、3カ月後、6カ月後、9カ月後、12カ月後に採血の検査をして、身長増加の効果判定と副作用のチェックをします。その後は年に4回、身体測定及び採血検査を施行して治療効果判定及び貧血と肝機能、甲状腺ホルモンのチェックが必要です。尿蛋白、尿糖、尿潜血反応も同時に測定します。

 

成長ホルモン療法は100名の対象者が治療をスタートしても1年間トラブルなく治療が継続できます。しかし、ワクチン接種の副作用と同様に1万人がスタートすると数名に有害事象があり得ます。過去に報告された有害事象は成長ホルモン治療後数ヶ月前後に発現しているのでこの時期は特に注意を払います。

 

成長ホルモンを注射すると頑固な頭痛と嘔吐、または発疹の報告が外国であります。 尿潜血反応が陽性になる場合も時に遭遇しますが経過を見ていると陰性化する場合があります。腎炎を合併しない限り成長ホルモン治療を中止する心配はありません。

 

思春期になると偏食などで起こる鉄欠乏性貧血を伴う場合があります。鉄剤を投与するとさらに良好な身長の改善を観察されますので成長ホルモンの効果を十分にするには貧血のチェックは重要です。

 

定期検査として手のレントゲン検査は6カ月に一度の間隔で骨成熟の進行状況を観察するのに必要です。

 

定期検査の項目として思春期には男子は男性ホルモンであるテストステロンの測定、女子では女性ホルモンであるエストロゲンの測定を前思春期からモニターします。二次性徴の時期を予測することが成長ホルモンの治療中には重要な参考になります。定期的な骨密度の測定も骨を強くして背を伸ばすために参考となります。

 

成長ホルモン治療終了後は当小児科では年1回は来院してもらい、3年間は毎年一度、長期投与後の副作用のチェックをしています。治療終了後は体重が増加し、体脂肪量が増加する場合がよく見受けられます。背を伸ばすには長年の治療を要しますから、治療終了直後から通院を中断するのではなく、終了後もしばらくの間は、定期検査が必要です。

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Q2.

成長ホルモン分泌不全性低身長症の息子は今年8歳です。2年前から成長ホルモンの治療を始め、背は順調に伸びているのですが、おねしょが治りません。やはり、からだが小さいことが影響しているのでしょうか?

成長ホルモン分泌不全症の患者さんの中で、脳下垂体後葉ホルモンであるバゾプレシンの不足を伴った場合は、多飲、多尿の症状に加えて夜尿症も伴っている場合があります。このケースはデスモプレシンという後葉ホルモンの点鼻薬が効果があります。

しかし、一般的には低身長の児童のおねしょの頻度が正常身長児童より多いということはありません。

 

5歳過ぎても、夜のお漏らしが続けば夜尿症です。夜のしくじりのほかに昼もしくじる場合、膀胱の器質的異常が原因で起きる場合があり、泌尿器の先生に診てもらう必要があります。昼間に3時間以上排尿を我慢でき、お漏らしがなければ膀胱の機能は正常と判断して可能です。

 

夜尿症はほとんどの小児が大きくなると自然に治る病気ですので、お母さんはあせらずに子供に接し、しかってばかりでなく、子供に自信を持たせることが必要です。

 

日常生活で気をつけていただきたいことは、日課表や日記をつけるなどして、毎日規則正しい生活をおくること。 睡眠前は水分の摂取量を制限し、夜間一定の時間に起こして排尿させる場合はしっかりと目を覚ましてからにすること。昼間の排尿を我慢させ、膀胱の訓練をさせること、などを行います。夜尿症は成長とともに自然に治るものですから根気よく焦らずに接してください。副作用が少ない、優れた夜尿症治療薬が数種類ありますので一度主治医の先生に相談されるとよいと思われます。

 

 

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