| 初級室 |
トリックのとり方 |
2008/05/24 :2003/12/20 |
ブリッジのプレイの基本は「フォローイング・スート」( Following suit ) です。
リード権をもったプレイヤーがリードすると、他のプレイヤーはそれと同じスートのカードをプレイしなければなりません。そして、そのなかで最高ランクのカードをプレイしたプレイヤーがそのトリックをとります。
指定スートのカードがなければ、任意のスートのカードをプレイしますが、たとえそれがエースでも指定スートのカードが2だけならば、2の持ち主が勝者になります。
ただし、トランプ・コントラクトでは,切札の2は指定ス−トのAに勝ちます。
これをまとめると下図のようになります。
(Nがリーダー、スペードが切札、◎印がウイナーです。)
| (A) | (B) | (C) | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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したがって、トリックをとるには
と有利です。
トリックにとるには、基本的に次の4つ手段があります。
| 手段 | 説明 | |
|---|---|---|
| (1) | トップソリッド | トップウイナーで勝つ。(AKQJ,AKQ) |
| (2) | ハイカード | プロモーションで勝つ。(KQJ,QJ10) |
| フィネスで勝つ。(AQx,KQx,Kx) | ||
| (3) | 長いスーツ | スポットカードで勝つ。 |
| (4) | ラッフィング | 切札でラフする。(注) |
| (注)トランプ・コントラクト専用。 |
ペア間で、A,K,QまたはA,K,Q,JのようにAから連続したアナーがあればリード権を持てばすぐ続けてトリックがとれます。
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(A)(B)は4トリックとれますが、(C)(D)は重複しているので、絵札が同じでも3トリックしかとれません。
上図で、(C)(D)はどちらからとっても3トリックとれますが、その他の場合は、とる順序を間違えるとトリックが予定どおりとれません。
例えば、(A)の場合、WからA,K ととれば4をEのQでとり、つづけてJをとることができます。これをEのQからとれば3トリックしかとれません。これを「ブロッキング」といいます。(B)では、 A,K,Q とプレイすると3トリックしかとれません。最初EのJ からとれば4トリックとれます。
ダミーとデクレアラーで枚数が違う場合は、短い方の絵札から取りましょう。
トップアナーのないソリッド・シーケンスやソリッドでないアナーは効率よくトリックをとるための工夫が必要です。
ペア間で、ソリッド・シーケンスがあっても、トップアナーが無ければ、リード権を入手してもすぐにはトリックはとれません。
上位のトップアナーを追い出せば、ウイナーにすることができます。このため早めに上位のアナーに負けておくことが必要です。
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(A)では、オポーネントのAを追い出せば、3トリックとれます。
(B)では、オポーネントのA,Kを追い出せば、2トリックとれます。
このようにオポーネントが持っている上位のハイカードを追い出してトリックを確保する手法をプロモーションといいます。
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右図のNのハートは3枚連続のKQJ に2を加えたものです。 この組合せでは、Nからリードすると2トリックしかとれませんが、Sからローカードをリードすれば3トリックとれる可能性があります。Sからローカードをリードして、WがローカードをプレイしたらKをプレイします。Aをプレイしたら2をプレイします。成功したら、他のスートでSに入り、再びハートをリードします。
このようにプレイすれば、AがEにあれば、2トリックしかとれませんが、AがWにあれば3トリックとれます。
他の例をみてみましょう。
| (A) | (B) | (C) | ||||||
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いずれも、Sからローをリードし、
(A)では、Kをプレイします。
(B)では、最初J
をプレイし、次にQをプレイします。
(C)では、最初J
をプレイし、次にKをプレイします。
このように、絵札が不連続やトップレスの時に、オポーネントの絵札の情報が明らかでない場合は、
絵札のあるハンドに向かってローカードをリードする。
のが基本です。
ソリッドシーケンスが両ハンドに分かれている時、リードのガイドラインは次のとおりです。
| (A) | (B) |
(A)SからNに向けて、
2回ローをリードする。 (B)NからSに向けて、 2回リードする。 |
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| (C) | (D) |
(C)NからSに向けて、ローをリードする。 (D)SからNに向けて、 ローをリードする。 |
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| (E) | ||
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絵札が1枚で枚数が同じ時は、自分で状況を判断して決めます。
4枚ならオポーネントの分布とアナーの位置を考えてリードを決めます。(E)では、オポーネントが3−2の分れで、2枚はAxと仮定します。AxがWの可能性が強ければ、Kをフィネスし、次にダミーからローをリードしてダックします。これでQと4枚目がウイナーになります。
| (F) | (G) | ||||
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右図のように3枚なら、自分から行動しない方が得策でしょう。
オポーネントにリードさせるようにします。
| 現在では、この手法は次項のフィネスの一部として包括されています。間接フィネスということもあります。 |
AQのように中間が抜けている組合せをテナス(
Tenace )といいます。
テナスに向けてローカードをリードして下位のアナーを勝たせるプレイをフィネス(
Finesse )といいます。
フィネスのパタンの主なものはつぎのとおりです。
| (A) | Simple F. | (B) | Double F. | (C) | Combination F. | |||
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(A)では、Qをプレイします。
(B)では、最初10をプレイし、次にQをフィネスします。
(C)では、最初10をプレイし、次にJ
をフィネスします。
| (D) | Simple F. | |
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(D)はこれまでの例と異なり,Sにシーケンスがあります。この場合は、SからQをリードし、Wがローカードなら、そのまま通します。これも、シンプル・フィネスです。
アナーからリードするのはシーケンスのときだけです。
| (E) | Deep F. | |
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(E)は(B)に似ていますが、アナーが3つぬけています。この場合も、最初9をフィネスします。
練習問題 1
| 3NT/W | ||
![]() |
Nは
3をリードしてきました。Nのハートは4枚でしょう.7トリックは確実です。NにAがあれば,ダミーのKQが生きます.
最初、
Qで勝ち、スペードのローをリードし、Kをフィネスします。成功したら,クラブでハンドに入り,もう一度スペードをリードします.最初のフィネスが失敗しても,次に,
Kで勝ち,スペードの3−2の分かれに期待してスペードを続行します.
練習問題 2
| 3NT/W | ||
![]() |
Nは
6をリードしてきました。6トリックは確実です。ダミーのKで勝ち、
Q
をリードします。
| (A) Simple F. | ||
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Jをフィネスし、次にAをキャッシュする。(NのKxを期待して)
| (B) Combination F. | ||
![]() |
||
Jをリードし、Nがカバーしなければそのまま通す。カバーしたらKをプレイする。(965-KJ10)と等価。
| (C) 2 Way F. | ||
![]() |
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Qの所在が分かれば、フィネスの方向を決めることができるパタン。
QがNにあれば、Jをフィネスし、Sにあれば、10をフィネスする。
| (D) Backward F. | ||
![]() |
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Qの所在がわかっていて、オポーネントがQでカバーした時のプレイ方法。
J-Q-Aとプレイする。Eから5をK9に向けてリードし、9をフィネスする。
| (a) |
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2⇒Q。 | |||
| (b) |
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2⇒K。 | |||
| (c) |
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4⇒Q。 | |||
| (d) |
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2⇒J。 | |||
| (e) |
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KがNにある確率が大きい時。 Qをリードし、Nがカバーしなければ次にJを続けます。QにKをカバーすれば、Aでとり、J9に向けて6をリードします。 |
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| (f) |
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QがSにある確率が大きい時。 Jをリードし、SがQをかぶせればKでとる。そして、2をリードして9をフィネスする。 |
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| (g) |
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Qの情報が分かってから、フィネスする方向を決める。 |
これは、オポーネントの「札の分かれ」を利用して、長い
スーツのスポットカード(アナー以外のカード)をウイナーにする手法です。
ブリッジの基本ルールはスーツ・フォローですから、オポーネントがフォローできなければ、2でも勝てます。
自分達のスートが8枚なら、オポーネントのカードは5枚です。その分布は5−0、4−1、3−2の3とおりですが、普通、3-2の分かれの頻度が一番多いのです。
| 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | ||||
| N | 2 | K | Q | 5 | 4 | 3 | |||
| S | A | 6 | * | ||||||
| E | 9 | 10 | J | ||||||
| W | 7 | 8 | * |
右図を見てください。3回ドローすれば、オポーネントのカードはなくなり、N の5,4,3 がウイナーになります。
この方法は、トランプ・コントラクトでも、オポーネントに切札がなければ有効です。
この手法をエスタブリッシュメントといいます。
練習問題
| 1NT/W | ||
![]() |
N
は
10をリードしてきました。SはAでとり、J
をリターンしてきました。
5トリックは確実です。オポーネントのクラブが3−2なら、クラブで走れます。
A,Kとキャッシュして、8でダミーに渡します。
13から自分達のカード枚数を引けば、オポーネントの枚数が分かります。この分かれ方、即ち分布の確率は次表のようになっています。
エスタブリッシュする時に、頭から取ったほうがよいかフィネスしたほうが良いかの判断をこの表を参考して決めます。
| 枚数 | 分布 | 確率(%) |
| 6 | 6-0 | 1 |
| 5-1 | 15 | |
| 4-2 | 48 | |
| 3-3 | 36 | |
| 5 | 5-0 | 4 |
| 4-1 | 28 | |
| 3-2 | 68 | |
| 4 | 4-0 | 10 |
| 3-1 | 50 | |
| 2-2 | 40 | |
| 3 | 3-0 | 22 |
| 2-1 | 78 | |
| 2 | 2-0 | 48 |
| 1-1 | 52 |
スート・コントラクトでは、切札はオールマイテイーです。サイドに強力なソリッドスーツがあっても、オポーネントがボイドならラフされます。自分達だけが切札をもち、オポーネントに切札を持たせなければ理想的なプレイができます。
従って、トランプ・コントラクトでは、切札をドローしてオポーネントの切札をなくすることを最初に検討します。これを「ドローイング・トランプ ( drawing trumps )」(以下、「切狩り」と略称。)といいます。
当然、切札をドローすると、こちらの切札枚数も減りますから、切札を使う必要があるときは、ドローするタイミングが大切です。
切札を使う必要がなければ、すぐ切狩りをしましょう。
トランプ・コントラクトでは、切札枚数の多い方(普通はデクレアラー)でドローし、切札の少ない方(普通はダミー)でラフするのが原則です。
初心者は何でもラフしたがりますが、デクレアラー側でラフするのはドローする力を減らしていることになり、実質的にトリックは増えません。
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このデールで、ルーザーは5つあります。
ダミーでハートのルーザーをラフすると、ルーザーは2に減ります。
結局、ウイナーで数えると、スペードが5+3=8、ダイヤモンドが1、クラブが2で、合計11となります。デクレアラーのダイヤモンドが短いから、ダイヤモンドをラフしても、これはもともとドローすれば勝っている切札を消費しているだけですからウイナーは変わりません。
デクレアラーがラフするのは@クロスラフとAダミー・スートのセットアップなど、特別な場合に限られます。
ダミーに短いスーツがなければ、すぐ切狩りをしましょう。
| 4S/W | ||
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このデールのルーザーは3です。
ダミーでラフできるスーツがありません。リード権を得たら、すぐ切狩りを開始します。
| 4S/W | ||
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このデールのルーザーは4です。
ダミーでハートのルーザーをラフできます。リード権を得たら、ハートをラフした後で切狩りをします。
ラフする必要がある時は、ラフが終了してから切札をドローします。
切札を使う必要がなければ、すぐ、切札をドローします。
キャッシュする時は、短いほうの絵札からとりましょう。
アナーが不十分でオポーネントにアナーが残る場合は最後までドローせず、オポーネントにその切札でラフさせるようプレイしましょう。
| 4S/W | ||
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![]() |
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このデールのルーザーは3です。
オポーネントは
K,Q,Aとプレイしてきました。デクレアラーはラフし、切札をA,K,Qとドローしました。Sはフォローしなかったので、
J
がNに残りました。
K,A,Qとプレイし、オポーネントに残っている切札でラフさせます。
KはNにあることは明らかですから、コントラクトはメークします。
オポーネントのスートがなければ切札でラフできます。
ラッフィングは、ダミーで行うのが普通です。
| 4S/W | ||
![]() |
このデールで、ルーザーは4つあります。ハートが3、クラブが1、ダイヤモンドとスペードは0です。
オポーネントのスペードは4枚で普通
1−3の分れです。
ダミーのハートは1枚ですから、2ルーザーはダミーでラフできます。従って、リード権をとったら、すぐハートをプレイして、ダミーのハートをボイドにします。そのあと、切狩りしながら、ハートのルーザーを2回ラフします。
結局、ルーザーは2ルーザーに減り、コントラクトはできます。
ダミーのスートがエスタブリッシュできれば,そのウイナーでデクレアラーのルーザーを捨てることができます。
このため、デクレアラー側でダミーの長いスートをラフして、そのスートをエスタブリッシュしたのち、切札をドローして、コントラクトをつくる方法が効率的です。
| 4S/W | ||
![]() |
このデールで、ルーザーは4です。ハートが3、クラブが1です。
ダミーでラフできるスーツはありません。
オポーネントはハートをキャッシュして、4トリック目にNがクラブをリードしてきました。
デクレアラーはAでとり、ダイヤモンドをK,Aとキャッシュします。N,S
ともフォローしました。3枚目のクラブを
Aでラフします。N,S
はフォローしました。これで、Eのダイヤモンドはエスタブリッシュしました。切札をドローして、最後にダミーで終わるようにし、ダイヤモンドでクラブのルーザーをすてます。(切札が0−4の分れでない限りこの方法は成功します。)
ダミーの切札をドローとは関係なくラフ専用に使えれば、その枚数だけトリックがとれます。
| 4S/W | ||
![]() |
このデールで、ルーザーは6です。ハートが4、クラブが2です。
Nはダミーのハンドをみて
5をリードしてきました。
デクレアラアーはAでとり、
A,
A
ととり、ハートの4ルーザーをラフします。デクレアラーはダイヤモンドをラフしてハートをリードします。
交互にラフするのでクロスラフ ( Cross Ruff ) といいますが、デクレアラーのラフはエントリーのためです。
この手法では、クロスラフする前に、ラフ対象外のスートのウイナーを取っておくことが大切です。
この例では、最初に
Aをとりました。これを後回しにすると、オポーネントがクラブを捨てて、クラブをプレイする時にラフされるかもしれません。
| (A) | (B) | ||
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(A)はシンプル・フィネスのパタンですが、トランプコントラクトでは(B)のパタンがこれと同じ働きをします。
(切札=ハート)。
SからKをリードし、WがAをカバーしたら、切札でラフします。カバーしなければ、他のスートをデスカードします。
練習問題
| 4S/W | ||
![]() |
Nは
4をリードしてきました。ルーザーは4(ダイヤモンドが1、クラブが3)です。
Aでとり、
Kで1回切札をドローします。そのあと、ハートをA,Kとキャッシュして、
10をリードし、Sがローなら、ダイヤモンドを捨てます。
![]()
Qをプレイしたら、ラフします。これで、
9がエスタブリッシュするので、ダミーで終わるよう切狩りをした後、ハートでダイヤモンドを捨てます