オープニングリード

2003/12/20

 

ミニブリッジでは、HCPの発表後、ダミーがハンドをまず公開し、デクレアラーがコントラクトを決めます。それから、ダミーの右側のプレイヤーがオープニング・リードをして、プレイが開始します。
すなわち、ミニブリッジのオープニング・リードは、ダミーのハンドを見て、そしてパートナーのHCPを参照してリードすることができます。

オープニング・リードするカードの決め方にはルールがあります。
したがって、パートナーはリードされたカードからそのスートの情報を知ることができます。

これらの約束事はコントラクトブリッジでも使えますから、しっかり覚えましょう。

 
 

■基本的な考え方

オープニングリードはコントラクトの成否を決定する重要なプレイです。

  762
8
AKQJ109
1054
 
QJ1098
QJ
7
KQ763
43
65432
5432
A9
  AK5
AK1097
86
J82
 

次のデールを見てください。
NSはパートナー間でHCP合計が25あるので、クラブにストッパーがないけれど、ゲームボーナスを狙いコントラクトを3NTにしました。
Wがスペードをリードすると、3NTはメークします。しかし、クラブのリードでは、このコントラクトはダウンします。

このように、オープニングリードは勝負を左右する重要なものですから安易にプレイしてはいけません。

オープニングリードの基本手順はまずスートを決め、次にカードを決めます。
スーツの決め方はコントラクトがノートランプかトランプかで違ってきます。
しかし、一旦スーツを決めれば、リードするカードはほぼ自動的に決まります。

 
 

■スートの選択

スートはコントラクトと自分のハンド、ダミーのハンド、そしてパートナーの HCP から決めます。

□ コントラクト

●ノートランプ・コントラクト

ノートランプは彼我の長いスートのエスタブリッシュ競争です。

長くて、強いエスタブリッシュできるスートを選びます。

  • ソリッド・シーケンスのあるスート。(例:KQJ32
  • アナーのある長いスート。(例:AQ873

該当するスートがなければ、安全なスート(例:875)にします。

● トランプ・コントラクト

すぐトリックをとれるソリッド・スートや短いスートを選びます。
ダミーに短いスーツがあるときは、ラッフィング防止のため、切札のリードを検討します。

該当するスーツがなければ、損のない(安全な)スートを選びます。

  • ソリッド・シーケンスのあるスート。(例:KQ32
  • シングルトンのスート。
  • 切札スート。
  • 損をしないスート。(例:832
切札リードは、デクレアラーがラフ作戦を実行しそうな時に有効です。
詳細は、参考事項をご覧ください。GO

 
 

□ 情報の収集

3NT/S 762
8
AKQJ109
1054
 
QJ1098
QJ
7
KQ763
4
  15  

オープニングリードをする前に、ダミーのハンドを調べ、パートナーのHCPを検討してから、リードするスートを決めます。

冒頭のデールについて検討してみましょう。


● ダミーハンド

ダミーのダイヤモンドで6トリックとれます。デクレアラーは15HCP持っていますから、4トリックとれるでしょう。従って、オポーネントにリード権を与えると3NTは楽にできます。

いずれにせよ、リードするスーツはスペードかクラブです。

● パートナーのHCP

パートナーのHCPは4ですから、Aと仮定します。
Aなら、KSにありますからリード権はSにはいります。
Aなら、Kはこちらにありますから、クラブで走れます。

したがって、リードするスートはクラブに決定します。


 
 

□ 練習問題

 (x)にカーソルを触れると答えがでます。

問題1 
W N E S   K7
KJ8
Q43
KJ985
8 13 5 14
ダミー(N) 
3NT/S
どのスートをリードしますか。
(a)   QJ1094  1095   AJ5   75
(b)   75  Q10984   J95  AJ5
(c)   AJ5  75   K10984   1095
(d)   1095  A105   75   A10764

問題 2 
W N E S   32
642
Q75
Q7642
8 4 11 17
ダミー(N) 
1NT/S
どのスートをリードしますか。
(a)   Q10987  AQ8  642  103
(b)   103  Q10987  AQ8  642
(c)   642  103  J10987  AK8
(d)   A108  642  103  KJ1098

問題 3 
W N E S   J96
AQ93
J1063
86
11 8 8 13
ダミー(N) 
1H/S
どのスートをリードしますか。
(a)   AKQ  1076   84   Q10743
(b)   Q10743  K106  976  74
(c)   84  Q10743   AKQ   1076
(d)   1075  84   Q9743   AKQ

問題 4 
W N E S   8742
K
J853
J542
9 5 6 20
ダミー(N) 
4S/S
どのスートをリードしますか。
(a)   1065  953  Q1092   AK3
(b)   AK3  1075  942  Q1093
(c)   Q1093  AQJ   1074   963
(d)   953 Q1092  AK2   1076
 
 

■ カードの選択

スートが決まれば、どのカードをリードするかは約束事で決まります。
ということは、リードされたカードをみれば、そのスートの情報を知ることができます。
一般的なガイドラインを以下説明します。

□ ガイドライン

選択したスーツの枚数とアナーの有無でリードするカードが決まります。

● 用語説明
用語 説明
シーケンス アナーが連続しているもの。
(NTコントラクトでは)3枚以上。(注)
(トランプ・コントラクトでは)2枚以上。
非シーケンス アナーが連続していないもの。
フォースベスト トップカードから数えて4枚目のカード。
例えば、 A107543 なら、5
3枚スーツの場合は、2枚シーケンスでもよい。

● ノートランプ・コントラクト
スートの枚数 アナーの有無 選択順位
4枚以上 ソリッドシーケンス
KQJ3,KQ106,Q1095
トップから。(注)
非シーケンス
A543,KJ95,Q543
フォースベスト。
3枚 ソリッドシーケンス
KQJ,KQ3,QJ9
トップから。
非シーケンス
A54,KJ9,Q54
ボトムから。
なし
964
トップから。
Aで始まる場合は例外があります。例題参照。

● トランプ・コントラクト
スートの枚数 アナーの有無 選択順位
4枚以上 ソリッドシーケンス
KQJ3,KQ86,QJ95
トップから。
非シーケンス
A543,KJ95,Q543
フォースベスト。(注)
3枚 ソリッドシーケンス
KQJ,KQ3,QJ2
トップから。
非シーケンス
A54,KJ9,Q54
ボトムから。(注)
なし
854
トップから。
2枚 なし
54
トップから。
アナーにAがあれば適用しない。
AxxxxAxxxからはスポットカードをリードしない。
リードするなら、A

□ 例題

2枚   AK; A10; 72;
3枚
(アナーなし)
   874;743;
(アナーが1枚または不連続な2枚)
  K82;Q104; KJ5;1054;
(アナーが連続)
  AK2;KQ8; 1094;QJ4;
4枚以上






  (注1)
(NTの場合)
  AKJ1092; AQ642;AK92; A97532;
  KJ10954;KQJ96;KQ96
  Q862;Q8652; QJ104;QJ92;
(切札の場合)
  AKJ1092;A9753; AK92;
  KQ64;KQJ9;KJ642
  Q862;Q8652; QJ64;

 
 

□ 練習

 オープニング・リードに次のスートを選びました。
ノートランプ・コントラクトとスート・コントラクトの場合で、どのカードをリードしますか。
(ANSにカーソルを触れると答えがでます。( )はスートの場合です。)

(A) AK3 ANS (B) KQ10 ANS
(C) 1062 ANS (D) KQ2 ANS
(E) QJ98 ANS (F) KJ32 ANS
(G) A632 ANS (H) AK63 ANS
(I) KQ32 ANS (J) AK642 ANS
(K) QJ643 ANS (L) AKQ1032 ANS
 
 

■参考事項


□ ソリッドシーケンスからのリード

ソリッドシーケンスは絵札で始まる連続カードのグループです。
コントラクトがNTの場合は3枚連続、切札の場合は2枚連続が条件です。
3枚連続の場合、次の3種類あります。

  名称 条件
(a) 完全シーケンス 3枚連続 AKQx, KQJx, QJ10x.
(b) 不完全シーケンス 最初の2枚が連続 AKJx, KQ10x, QJ9x.
(c) 内部シーケンス 2枚目から連続 AQJx, KJ10x, Q109x.

いずれの場合も、連続するカードのトップからリードします。

 

□ 切札のリード

一般に、ダミーの切札はラフ用です。従って、ダミーのハンドに短いスーツがあれば切札のリードは効果的です。

1S/S 863
52
9843
9752
 
A94
KJ97
QJ10
843
7
  22  

左図で、ダミーはハートでラフできます。自分のハートのK,Jを生かすためにも、ダミーの切札を除去すべきです。
A,4とプレイし、デクレアラーがハートをフィネスしたら、残りの切札をプレイして、ダミーの切り札を消し、ラフを防止します。

 
1H/S 863
K52
984
9752
 
KJ5
842
AQ76
K43
5
  19  

左図は、切札のリードが一番安全な場合です。
切札以外のリードはデクレアラーを助ける可能性があります。

 

 


● シングルトンの場合
4H/S 8
Q652
K843
K752
 
A94
9
QJ10
843
843
K1083
652
A98
  16  

一般に、自分の切札が短いという事は、パートナーの切札枚数が多いと考えてよいでしょう。
従って、切札のリードはパートナーの切札にフィネスをかけることになり、利敵行為となることが多いのです。
シングルトンの切札リードは避けたほうがよいでしょう。

● 切札が強い場合

自分に強いスートがある場合は、ラフするより、デクレアラーにラフさせて、切札のコントロール力を低下させる手法が効果的です。

4S/S A62
QJ
9874
A54
 
10973
K43
KJ1073
2
7
  15  

図では、クラブをリードするより、ダイヤモンドをリードしてデクレアラーにラフさせ、デクレアラーの切札を減らすべきです。




切札が4枚あれば、強いサイドスーツをリードしなさい。    (Lawrence)


Aのあるスートからのリード

● AKx(x)

本稿では、AKのあるスーツからのリードは

3枚以上ならKをリード、2枚ならAをリードする

と決めています。

これは北米で古くから使われている約束です。(勿論、日本でも。)
しかし、最近ではAKx(x)の場合はAから、AKの場合はKからリードするプレイヤーも増えているので、初めてペアを組む時は確認が必要です。

● A(Q)xx

スーツコントラクトでは、このスーツからスポットカードはリードしない約束になっています。リードするなら、Aです。

● ノートランプでのAのオープニングリード

ノートランプで、Aからリードするは AKQJx, AKJ10xx のような、自力でエスタブリッシュできる特別なスーツの場合です。

この場合、パートナーはアナーがあれば、ブロックしないように、Aにアナーをプレイする約束になっています。


□ ルール・オブ・イレブン

パートナーのリードがフォースベストなら、そのスーツのデクレアラーにある枚数が分かります。

フォース・ベストをXとすれば残りの3人がもつ上位カードの枚数は(11 - X )となります。
この関係をルール・オブ・エレブン ( Rule of eleven ) といいます。

ダミーと自分の枚数を引き算すれば、デクレアラーの枚数が分かります。

  J85
 
6
K93

例えば、6がフォース・ベストと仮定すると、N、E、Sにある7以上のカードは(11−6=)5枚です。
7以上のカードは、ダミーに2枚、Eが2枚あるので、デクレアラーには1枚しかありません。Kはダミーのアナー捕捉用に残し、9をプレイします。


□ オープニングリード・スートの返し方

ノートランプの場合、パートナーは長くて強いスーツをリードします。
したがって、リード権をえたときは、オープニング・リードのスーツをリードバックして、そのスートをエスタブリッシュすべきです。

このとき、次の約束事があります。

(1) 3枚スーツなら、トップカード。
(2) 4枚以上なら、オリジナル・フォースベスト。

これを守ると、パートナーはあなたの枚数を推測できます。

例1 J85
  例2 J85
 
6
A93 6
A983
  9を返します。   3を返します。

 

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