初級室

礼儀とマナー

2004.09.19.2/e

 
 

◎ 紳士・淑女の知的ゲーム

 ブリッジはイギリスで原型が誕生したといわれ,何百年の歳月をかけて現在のようなスタイルになりました。家庭やクラブで親しまれ、国際試合も数多く行われ、今やブリッジプレイヤーは世界中で膨大な数に上がります。
 ところが、ブリッジを通じての交流がますます盛んになるにもかかわらず、国際ルールブックには礼儀やマナーに関する罰則制度をどこにも記していません。それは、このゲームがもともと信頼と誠実を基盤にしているので、罰則規定をつくる必要がないと考えられているからです、長い年月の間に人々が育てきた素晴らしいルールでもあります。
 ゲームに勝ってもフェアプレイでないと、マナーのよくない人として結局は仲間からボイコットされます。ブリッジが社交のゲームといわれる所以です。楽しい集いが続けられるように皆さんの努力をお願いします。

1. ゲームに臨んで

(1) フェアプレイの精神で

 いろいろなカードゲームの中でも、ブリッジほどインチキのしやすいゲームはありません。フェアプレイに行わなければ、このゲームは成り立たないといってもいいでしょう.ですから、テーブルを囲む4人には、いつもフェアプレイに徹することが求められます。これはブリッジプレイヤーにもっとも必要な精神です。
 よいブリッジプレイヤーとは、フェアプレイ精神の持ち主で、かつ、パートナーにも相手側にも礼儀正しい振る舞いができる人のことをいいます。技術的な優劣はまったく関係ありません。

(2) ブリッジフェイスで

 ブリッジでは、カードの情報を動作や表情などで知らせることを禁じています。発言はもちろん,決められた言葉以外はいけません。ですから、ポーカーフェイスよりもっと表情を現さない「ブリッジフェイス」をしてください。落ち着いてプレイすればそんなに難しいことではありません。要は、感情をコントロールし、ごく自然な態度でプレイすることです。

2. ディールで

(1) カードは静かに扱う

 カードは、できるかぎり音を立てないように扱います。シャフルのときを除いて、手に持ってバリバリ鳴らしたり、プレイするたびにパチリと音を立てたりするのは、スマートな行為ではありません。シャッフルも、気をつけるとかなり静かにできます。

(2) カードを見つめない

 ディーラーがカードを配っている時、あなたはどこを見ていますか。何の気なしに、ディーラーの手元を見ていたりしませんか。ディーラーがカードを配っている間、他のプレイヤーはカードを見ないで待っていてください。(ディーラーを信頼しましょう。)

3. オークションで

(1) 決められた言葉を使う

 オークションのときに使える言葉は決まっています。ビッド、パス、ダブル、リダブルなどのコール全部で”38の言葉”です。
 これ以外の言葉はもちろん、表情や抑揚、強弱などの変化をつけることもできません。何らかの行為でカードの情報や考えを伝えることはルール違反になります。順番が回ってきたら、コールの言葉を1つ普通の表現で告げてください。

(2) 進行に注意を払う

 コールの順番を間違えたり、オポーネントのコールを聞き落としたりすることのないように、ゲームの進行には十分注意を払ってください。
 コールを聞き落としたので復唱してほしい場合、また質問をしたい場合、どちらの場合もコールの順番が自分に回ってきた時にオポーネントに要求できます。
 復唱も説明もその要求があった場合のみ行い、復唱は一部ではなくコール全体を繰り返します。要求がないのに勝手に自分のコールを説明してはいけません。

4. プレイで

(1) テンポに合わせる

 オークションでもプレイでも、進行のテンポに合わせてください。わざと遅くしたり早くしたりすることは、すべて情報を発信しているとみなされます。また、前のトリックが終わっていないのに次のリードを用意したり、終わっていないのにトリックを取ったりすることも、同じように情報を教えていることになります。十分気をつけてください。

(2) ハンドを見ない

 ハンドのどの位置からカードが抜き出されるか、他の人のプレイするカードは気にかかるものです。しかし、気にかかるからといって他の人のハンドを見つめてはいけません。見つめるのは、大変失礼な振る舞いです。パートナーのハンドも同様です。
 カードの情報は、オークションとプレイされたカードで得た情報で満足すべきと心得てください。

(3) 途中経過は話さない

 プレイの途中で「あと何トリック」とか「何トリック取った」などとトリックの数をいったり、スコアの点数を口に出してしまうプレイヤーがいます。熱心なあまり、思わず喋ってしまうのだろうと思いますが、どちらも許されない行為なのです。ゲームが終了するまで、途中経過は話さないようにしましょう。

5. ゲームのあとで

 ゲームが終了しても、フェアプレイの精神を持ち続け、紳士・淑女でいてください。それが、ブリッジを楽しく、ながく続けられる秘訣でもあります。
 負けたから、レベルが低いからといって、ゲームの勝ち負けにこだわるのはよくありません。真に良いブリッジプレイヤーとは、パートナーに対しても最後まで、信頼と誠実をもって接することのできる人のことです。


◎ パートナーシップ20箇条

1. たかが遊びである.
2. 自分で楽しく,パートナーも楽しく,そしてオポーネントも楽しく.
3. パートナーを愛し,応援し,失敗はともに悲しむ.
4. 古風といわれようと,パートナーには親切に.
5. 自分より経験不足のパートナーと組む時は,パートナーの力量に合わせたシステエム・コンベンションを使うこと.決して自分のブリッジを強制しないように.
6. プレイが終り,十分検討するまでは,パートナーがミスしたと思わない.
7. ハンドを討議する前に,もう一考.自分のミスを棚上げして,恥をかかぬように.
8. 失敗談は自分のを.
9. 講釈はやめておく.
10. 自分が言われたくないことは,パートナーにもいわない.
11. 定石のプレイが今回失敗したからといって非難しない.
12. 終わったハンドについて,ミスアンダースタンデ ングを解消する以外,いい合わない.
13. 他人の前で,パートナーを非難しない.
14. パートナーと対立してオポーネントにつかない.支持できない時はただ黙る.
15. パートナーの素振り次第では沈黙は金.
16. この人と組むときめたからには,よほどのことがない限り興奮しない.
17. 罵倒したい衝動にかられたら,テーブルを離れよう.
18. 腕が違いすぎるときは,無理に我慢するより次回から別の人と.ただ,確信を得るまでは,簡単にパートナーを捨てない.
19. パートナーも勝とうとしているのだ.(パートナーは味方でありますぞ)
20. 空き時間には,他の話題を.

JCBL HANDBOOK 1999 から)