ハンドブックに"礼儀とマナー"のぺ一ジ が出来てから改訂がありませんでしたが、今回
- デュプリケートのゲームを主として、
- 選手権試合よりはむしろ毎日のクラブでのゲームにおいて、
- パートナーとの間の他に、オポネントや 参加者全員との関係も考えて、
皆さんに気をつけて頂きたい事をマナー委員会が中心になってまとめました。
かつて英国の文豪、サマセット・モーム氏 がいみじくも"ブリッジは人間の知恵が現在でに考え出した最も知的なゲームである"と述べたように、ブリッジは素晴らしいゲームです。
ブリッジを特徴的にしているのは社交性、協調性というものが非常に大切だと言 う事でしょう。
これはパートナーと、二人のオポネントがいる事が囲碁将棋その他のゲー ムやスポーツとの大きな相違点になっているようです。
紳士、淑女のゲームといわれるブ リッジを楽しむためには、守るべき礼儀とマナーがあります。
ブリッジ規則
74条、
90条によって、ペナルティの対象になるマナー違反もありますが、"礼儀とマナー"はペナルティを取る事が目的ではなく、参加者がブリッジを楽しむ事が 出来るために守って頂きたいマナーを提案します。
その中には、個人的な癖や、社会人として 守るべき礼儀を守らない事、ブリッジの正しい手順に従わない事、また人を傷つける言動などがありますが、それぞれ具体的には次のような事です。
1 受け入れられにくい個人的な癖
- 貧乏ゆすり。
- カードを出す時にパチンと音を立てたり、 放り投げたりする。 自分のHCPやトリックを指折り数える。
- ハンドを人に見えるような持ち方をしたり、見えそうな姿勢をとる。
- 大きく足を組んだり、椅子に斜めに座ったり、椅子を大きく後ろに引いて座るなど。
- 試合中に、ガムを噛み続ける(日本ではあまり好感を与えない)
自分ではなかなか気が付かないようですが、 上記のような癖はお勧め出来ません。
2 社会人の常識として守るべき礼儀
- テーブルについた時、テーブルを離れる 時、お互いに挨拶を交わす。
- 身だしなみに気を付ける。 自分の飲み物やゴミの始末に留意する。 開始時間の10分前には到着する。
- 喫煙についてはそのクラブのルールに従 う。 クラブの備品や、洗面所などの設備を丁寧に扱う。
以上は、どこの世界にも共通するものです。
3 ブリッジの正しい手順に対する違反
- 同じコールを違った言い方で言う。
- コールやプレイに対し、同意や不満を示 す。 まだ終了していないトリックに勝ち/負けの意図を表す。
- 何をコールするか決めないで、ビディン グカードに手を付ける。 コンベンションカードを参照すれば解決
出来る事でも参照しないで説明を求める。
- 反則が起きた時ただちにディレクターを呼ばないで訂正しようとしたり、ルールを知っている人が勝手に裁定する。
- 人のカードに触れる。 クレーム出来る状態でもクレームしない。
- カードを見たり、カードを出す位置を見る目的で他のプレイヤーの手元を見る。
- カードヘの無関心を態度で示す(カード をひとかさねにしたり、伏せてしまうなど)
- オークションやプレイ、ディフェンスで テンポを変える。(わざと遅くしたり、早くする事は、パートナーに不当な情報を伝えていると見なされる事になります。)
- ラウンド中に不必要にテーブルを離れる。
- プレイ終了後、シャッフルをしないでハ ンドをボードに戻す。(次のテーブルにプレィ順が伝わる。)
ブリッジの正しい手順については、講習会で説明を受けたり、実際の試合の経験の中から学ばれた方が多いと思いますが、このハンドブックの"ゲームに参加するには''や`競 技会での手続き"のぺ一ジもご参照下さい。
4 社交的でない言動、特にブリッジ特有の 条件下で、人を傷付ける言動
これが一番マナー違反で問題になるところであり、難しい部分なのですが、以下に数例 をあげますので、パートナー、オポネント、また参加者全員とよい関係を保つために、是非参考になさって下さい。
- オポネントのビッド、プレイ、デイフエ ンスについて批判したり、ミスを指摘する。
- パートナー同士の話し合いにオポネント が口をはさむ。
- パートナーやオポネントに当てこすりを言う。
- パートナーと、ミスアンダスタンディン グを解くための話し合い以上の口論をする。
- 自分達の良い結果をオポネントの前で自 慢する。(パートナーを誉めたかったら、次のテーブルに移る途中にでもするとよいでしよう。)
- 執拗に不必要なレッスンや、講釈をする。 (オポネントは聞きたくないかもしれないのです) より経験の浅いパートナーに、自分のシ ステムを押しつける。
- 結果が悪かったからといって、パートナーに乱暴な言動をとる。
- ディレクターと大声で争う。
- ブリッジの腕を鼻にかける。
以上のように、自分がして欲しくない事を したり言ったりして人を傷付ける事が、マナー違反になります。 テーブルでは残念ながら違反が起こって、 自分達のゲームの楽しみが損なわれた時は、自分達で言い合ったり話をつけようとしないで、ディレクターを呼んで、起こった事を冷静に説明して下さい。ディレクターは公平に 判断して裁定するはずです。
以上のプレイヤーの礼儀とマナーは、初心 者の方に接した時には、より経験の長いプレイヤーは特によく守って下さるようにお願いいたします。
5 お勧めしたい良いマナーの例
- フェアプレイに徹する。
- 決められた時間内にゲームが進行するよ う心がけ、かつ常に一定のテンポでプレイするようにする。
- 次のテーブルに移ったら前のハンドの話は一切しない。
- オポネントのファインプレイや良いディフェンスを誉める。
- パートナーにもオポネントにもやさしく 丁寧に接する。
- 自分が楽しく、パートナーも楽しく、そ してオポネントも楽しいように。
- 自分より経験不足のパートナーと組む時 は、自分のシステム、コンベンションを強制しない。
- 他人の前でパートナーを非難しない。
- 勝ちにこだわるのは程々に。少なくとも、 あまり表に、勝とう、勝とうの気持ちをあらわにしないように。
- ペア間で同じコンベンションカードをオ ポネントが見やすいようにテーブルに用意する。
しかし、よりよい雰囲気の中でブリッジを 楽しむためには、プレイヤーは勿論ですが、クラブマネージャーとディレクターの協力が 欠かせません。特にディレクターは、ゲーム全体を円滑に運ぶ中で、自身とプレイヤーの マナーが正しくあるように注意して頂く必要があります。この点、各センター、クラブの 皆様のご協力をお願いいたします。
付: 見物人のマナー
ブリッジ競技会は見物自由です。有名プレイヤーや上手な人達のテーブルのすぐ傍で見学する事が出来ます。(試合によってはクローズドルームが設定されて、見られるのはオープンルームだけになることもあります。)見物する方にも守って頂きたい一般原則があ ります。そのいくつかを列挙すると;
- 1人のプレイヤーの後ろで見学し、その ボードでは他のプレイヤーのハンドを見ない。
- 個々のコールやプレイを誉めたり、驚き を表したりしないで、黙って観戦する。
- テーブルで起きた違反や反則行為を見物 人が指摘する事は出来ません。
- 歩き回ったりせず、着席して見学する。