Ron Klinger's Master Class
Ron Klinger Answers Your Bridge Queries
Ron Klinger

 

Ron Klingerは、ご存じと思いますが,オーストラリアの,国際試合にも入賞したこともあるブリッジプレイヤーです.しかし,現在では,ブリッジ・ライターとして国際的に有名です.これまでに出版した本は,フリッパーも含めると50冊近くになります.


彼はブリッジ・ゲームにおける行動基準を的確に,具体的に表現するのが上手で,SQT, Rule of 15, Rule of 22, the 3-over-2 rule など有効な指針が多々あります.

最近,これらの本のさわりをまとめた本が2冊でたので紹介しておきましょう.


  Ron Klinger's Master Class

これは、Klinger が,2003年10月下旬,EBUの主催で英国各地のクラブ(20箇所)で行った講習会ツアーの内容をまとめたものです.

彼の主要著作のエッセンスがベースになっているので,これを読めば,有益な情報が得られ,興味をもてば,そのテーマの本をひもどいてみるのも良いでしょう.

各章のテーマーを示しておきます.(関連著作のリストは最後にあります)

テーマ 関連著作
01 Hand Evalution #1
02 Constructive Bidding #2
03 Modern Duplicate Methods #3
04 When To Bid, When To Pass #4
05 The Law of Total Tricks #5,#6
06 Competitive Bidding #5,#7,#2
07 High-Level Bidding #3,#4
08 The Power of Shape #3
09 Declarer Play at Trump Contracts #8
10 Opening Leads,Discards and Signals #8
11 Hands on Deffensive Pay #2,#8
12 Tips to improve your bridge memory #9,#10

といっても,手にとって見ないと内容はわからないので,第4章と第12章の内容をちょっと紹介しておきます.

第4章は「ビッドする時とパスする時」の判断について講義したもので,その内容は次のとおりです.

  • Opening the bidding and the Rule of 22
  • Responding to partner's opening
  • Accepting an invitation
  • Overcall
  • 3rd-Seat Openings
  • Takeout doubles
  • After a takeout double by RHO
  • After partner's takeout double and RHO bids
  • After partner's takeout double and RHO redoubles
  • After partner's negative double and RHO bids
  • Competitive bidding in the part-score zone
  • Competitive bidding in the game zone

最初の「22のルール」はBergenの「20のルール」を修正したもので,20のルールにクイックトリックを付加し,22あればオープンするとしたものです.有利なバルなら,21あれば,オープンします.

迷ったとき,試してみるとよいでしょう.

AK5
KJ974
83
643
Bergen なら19でパスですが, Klinger なら,21.5あるので,有利なバルなら1Hとオープンします.
K5
KJ974
8
K6432
Bergen なら201Hですが, Klinger なら,21.5 なので有利なバルなら1H,不利なバルならパスします

 

2番目のレスポンスでは,レスポンダーのHCPが5以下のときの処理方法を説明しています.

  • 5HCPでも,メリットがあればビッドした方がよい.
  • 4-5HCPでも,パートナーのスートが短ければビッドした方がよい.
  • 5HCP以下でも,6枚スートあればビッドしたほうがよい.
例1 例2 例3 
W N E S
1 / 1  
W N E S
1 / 1  
W N E S
1 / 1  
KQ75
632
87
9643
984
KJ83
3
97432
QJ8742
865
542
4


3番手は9-12HCPのハンドでも,シンプルオーバーコールできるハンドならオープンしなさいと勧めています.

パートスコア領域での競り合いの心得として,

  • オポーネントが2レベルでとまったら,競り合うこと.
  • オポーネントが3レベルでとまったら,9枚フィットがなければ3レベルで競り合わないこと.
  • パートスコアのハンド(17-23HCP)なら,4レベルでは争わない.
W N E S
1 / 2 /
/ 3    
(North)
J2
J97632
AQ
1064
オポーネントがフィットして,2レベルでとまるのはHCPがないからです.こちらにも,フィットがあります.恐れず,3レベルで争いましょう.

第12章は「記憶改善」についての講義で,その内容は次のとおりです.

  • Count down a long suit
  • Working out when a card is high
  • What to discard, what to keep?
  • ignalling effectively to improve partner's memory
  • Remembering the odds
  • Red-on-red, black-on-black
  • Do not concentrate hard when you are dummy

最初の項目はスートの数え方です.オポーネントの枚数からフォローした枚数を引く減算法を,簡明で,余計に頭を使わないと勧めています.

最後の項目:ダミーの心得は,余計なことに頭を使わず,頭を休めよという忠告です.ブリッジでは集中力を高めることが大切です.ダミーにできることは,パートナーのリボークとミスリードの防止だけなので,それだけに注意してほかの雑事には頭を使うなということです.

最後に,本講義で引用した彼の著作のリストを上げておきます.

著作名リスト
番号 著作名
01 The Modern Losin Trick Count
02 100 Winning Duplicate Tips
03 The Power of Shape
04 When To Bid, When To Pass
05 Guide To Better Duplicate Bridge
06 The Law of Total Tricks Flipper
07 Bridge CConventions,Defences and Countermeasures
08 Guide To Better Card Play
09 Improve Your Bridge Memory
10 Better bridge with a Better Memory


出版社 CASSELL 発行年 2003
ISBN 0-304-36686-2 価格 £7.99


 
  Ron Klinger Answers Your Bridge Queries

こちらは、Klinger が読者の質問に答える形式になっていますが、やはり,一読すれば、彼の著作のエッセンスに触れることができます。

Eメール時代なので,彼の著作やコラムを読んだ読者からの問い合わせが多いようです.ビッデングに関するものがプレイに関するものの約20倍あるとのこと.これらの問い合わせから題材を選び,まとめたのが本書です.

目次は次のとおりです.

テーマ 頁数
01 Should I open with this junk? 4
02 What opening bid should I choose? 8
03 What is my best response? 7
04 Problems later in the auction 9
05 Problems after 2 opening 8
06 Questions on the Losing Trick Count 8
07 Worries in the slam zone 20
08 Mentions of conventions 14
09 Questions on competitive bidding 26
10 Queries on play and defence 15

ご覧のとおり,ビッデングに関するものが多く,なかでも,スラムと競り合いに関するものが多いようです.

第3章,第7章および第9章の内容をちょっと紹介しておきます.

まず,第3章から:

W N E S
  1 / ?
Pairs;
Both:non-vul
(South)
J642
6
A1086
8642

もう,お分かりでしょう. 1です.
「パートナーのスートが短ければ,4-5HCPでも,有効情報があればビッドせよ.」とガイドしています.

詳細は,"When to bid, when to pass"(p 39-40)を見てください.

第7章はスラムに関するものです.割り当て頁数が示すように,スラムに関する質問が多いのしょう.3番目の問題を見てみましょう.

W N E S
1 / 1 /
3 / 3NT /
?      
TEAM; Both:vul
(West)
7
-
KJ10954
AKQ873
マイナースートのフィットがあれば,スラムの可能性があります.4とビッドし,スラムトライします.これはフォーシングになります.

この後,オークションは次のように進み,スラムに達しました.

W N E S
1 / 1 /
3 / 3NT /
4 / 4 /
4 / 4 /
5NT / 7  
TEAM; Both:vul
(East)
A63
J875
AQ76
J10
4:選択
4: コントロールビッド
4:コンロロールビッド
5NT: グランドスラムフォース
Eは3アナーが2枚あるのでグランドスラムをビッドします.

E3NTはミスビッドで,ジャンプシフトに対し,4とジャンプすべきでした.このあとは,同じシーケンスでグランドスラムに到達します.

第9章は競り合いビッデングに関する質問です.

最初の問題を見てみましょう.

W N E S
    1 1
?      
TEAM; Both:vul
(West)
-
K1096
AQ95432
K9

次のどれが正解でしょうか.
(A):X
(B):2
(C):2
(D):3


正解は2です.このあとのオークションは彼の本で.

中級者には参考になる本です。一読をお勧めします。

 

出版社 CASSELL 発行年 2004
ISBN 0304-36673-0 価格 £8.99