忘れ得ぬ鳥達
11,与那国島 
 オオチドリ 2015・4・1  ハイイロオウチュウ  2018・10・9
私が与那国島を初めて訪れたのは2010年10月のことでした。頻繁に訪れる石垣島からはひとっ飛びの島ですがなぜかそれまでは行ったことはなかったのです。このときの目的は渡り途中のアカハラダカを見たかったからでした。しかし与那国で見られる代表的な鳥の一つは春のオオチドリの夏羽だと思います。初めての訪問から5年後の2015年4月、殆どオオチドリのみを目的に2度目の訪問を試みました。島に到着する前から情報が入っていたので、空港からポイントの東崎に直行しました。到着早々たった1羽でしたが非常に綺麗な個体を長時間にわたって観察することが出来ました。オオチドリはそれ以前に地元で2回ほどみていましたが何れも冬羽だったので是非1度見てみたいと願っての与那国行きでした。  2018年の10月、2度目の秋の与那国行きを決行しました。このときもハイイロオウチュウ1点に絞ってのことでした。幸いにこの時には少なくとも数羽のハイイロオウチュウが確認され、情報も頻繁に寄せられたのですが在島2日目まではタイミングが合わず見ることが出来ませんでした。そろそろ焦りが出てきた3日目、ようやく電線とまりの空抜けでしたが比較的間近に見ることが出来たのです。大変用心深い個体でしたがなんとか撮影することが出来ました。それ以前は舳倉島での出会いを期待していたのですが舳倉島では見ることが出来ず、より確実と思われる10月前半の与那国島に賭けたのですが、結果は一応成功したと言ってよいと思います。願わくはもっと良い条件でもう一度じっくりと見てみたいものです。
 オオメダ オオメダイチドリ 2017・3・31  アオツラカツオドリ 2017・3・28 
 私オオメダイチドリはマイフィールド(三番瀬や九十九里浜)でも7月から9月にかけて越冬地に向かう個体が少数見られます。7、8月には成鳥冬羽が、また8、9月には幼鳥を見ることが多いようです。しかし逆に繁殖地に向かうオオメダイは殆どみることはありません。春の与那国島では夏羽のオオメダイチドリを多数見ることができます。石垣島でも同様大きな群れを見ることが出来ます。秋にマイフィールドで見る個体群と春に与那国で見られる個体群は当然違うのだと思いますがメダイチドリと異なりこの鳥の渡りのメインルートは本州を縦断するコースではないので与那国、石垣で見られる個体群はその後北上して大陸方面に移動するのだと思います。  2017年春の与那国訪問の際は石垣島からフェリーに乗りました。理由はアオツラカツオドリを何とか見たかったからです。先輩や経験者からの情報では50%以上の確率で見られるとのことだったのです。石垣島を出港してからはカツオドリは多く見られたもののアオツラに出会うことはなく、与那国島の島影も大きくなってきた頃に大きな鳥が頭上を左舷側から横断、海面すれすれまで急降下すると船と反航するようにあっと言う間に遠ざかっていきました。これがこの時のアオツラカツオドリとの唯一の出会いで、よそ見していて気が付かなければ見ることは出来なかったと思うので一期一会を感じます。まだ若い鳥でしたが、またどこかで成鳥に会えることを願っています。
 私の与那国訪問はアカハラダカ、オオチドリ、ハイイロオウチュウなど与那国ならではの鳥を見たいといういわば決め打ち的な鳥見旅が始まりでした。しかしその後何回か島を訪れるなかでは、コマミジロタヒバリ、キガシラセキレイ、マダラチュウヒなどをライファーとして観察出来た他、クロウタドリ、ヤツガシラ、オオノスリ、チラ見に終わったシマクイナなどの印象深い鳥達を多く見ています。その他私は見ていないものの毎シーズン魅力ある鳥が記録されており今後も引き続き訪れてみたいと思っています。(2020・6・12 記)