忘れ得ぬ鳥達
1,谷津干潟に姿を見せた珍鳥 
 ミナミオナガミズナギドリ  2004・6・19  ヤマショウビン   2006・5・21
2004年の6月19日は朝からアジサシ類を求めて銚子方面に出掛けていました。おそらく昼前ごろだったと思いますが、取り合いから情報が入りました。「谷津干潟にミナミオナガが出た」とのこと。ミナミオナガ? そんなシギチ居たっけ?・・・一瞬そんな疑問が脳裏をかすめたほどミナミオナガミズナギドリの出現情報は唐突でした。周辺で鳥見をしていた仲間からも確認の連絡もあり、すぐに谷津干潟へと向かったのです。大海原に生息する海鳥にとってはいかにも狭い谷津干潟に何故入って来たのでしょうか? 谷津に向かいながらあれこれ考えていました。ミナミオナガミズナギドリは外洋の航路でも滅多に見ることのない鳥です。ましてその頃はまだ航路の経験が少なかった私にとっては殆ど可能性のない鳥でした。到着時その鳥は比較的元気に見え、時折窮屈そうに干潟内を低空で飛んでいました。ミズナギドリの中でも最も優美な種と言われるこの鳥には今に至るまで再会出来ていません。
この日は日曜日で、私は大磯の照が崎に海水を飲みに来るアオバトの観察に行っていました。多分午前10時過ぎ、鳥仲間から「谷津干潟にヤマショウビン」との情報がはいりました。即刻地元に向かって引き返しです。東名から首都高速を横断して京葉道路に! 最も渋滞する場所を迂回するべく一旦一般道におり再び京葉道路を走って谷津干潟に到着したのは午後1時頃でした。ヤマショウビンは淡水池の後ろ側の木立に見え隠れしていましたが、なかなか全身を見ることが出来ない。かなりの時間もどかしい思いをしたのだが、やがて干潟との間の草地に短時間ではあるが飛び出してくれた。全身を見ることができたのだ。センターの中からガラス越しに見守っていた多くのバーダーから大きな歓声があがり、隣同士、知り合いでもないバーダーが手を取り合い、抱き合ったりして喜びを分かち合ったのでした。この時の光景は今でも忘れることは出来ません。
最近では谷津干潟に足を運ぶことは本当に少なくなりました。 勿論鳥が少なくなってしまったからなのですが谷津干潟が今よりも豊かだった頃に姿を見せた珍鳥としてはこの2種以外に以下のようなものがあります。
ヘラシギ、ヒメカモメ、カンムリウミスズメ、ツクシガモ、コクガン他 ヒメカモメだけは見ることが出来なかったのですが、ヘラシギ、カンムリウミスズメなど普通では望むべくもない希少な鳥を谷津干潟という思いがけない場所で初めて見ることになったのでした。