忘れ得ぬ鳥達
4,銚子漁港での出会い−1(カモメ達) 
 クムリーンアイスランドカモメ  2012・2・4  シロカモメ(アラスカ亜種)  2012・2・4
銚子漁港ではいつか是非見てみたいと思っていたアイスランドカモメの成鳥、なかなか出会う機会はありませんでした。左の画像はようやく出会えた亜種クムリーンアイスランドカモメの第4回冬羽で嘴にはまだ黒斑が少し残っています。成鳥の一歩手前で初列のパターンは濃グレーでした。この時から遡ること3年の2009年3月、銚子港ではクムリーンアイスランドの第1回冬羽が数羽確認され、熱心なカモメウォッチャーの方々が個体識別を試みました。この個体はその時にNo3(3号)とされ、翌年以降も毎年渡来して各ステージの羽衣が詳しく観察された個体です。この日は第3漁港の周囲を飛び回っては漁港施設の屋根で休息することを繰り返していました。この個体はこの時以降も成鳥として毎年渡来していたようですが、私は観察するチャンスがありませんでした。この鳥を観察した同じ日の同じ場所で、小型のシロカモメも見ることが出来ました(右の画像)。この個体は以前はクムリーンアイスランドの可能性がある個体としてカモメウォッチャーの間では「デカム又はデカムリアン」の愛称で呼ばれて親しまれていました。今ではアイスランドではなくシロカモメのアラスカ亜種とされて、現在(2020)に至るまで親しまれています。
1 クロワカモメ(オビハシカモメ)  2005・3・20 カナダカモメ   2015・12・18 
この北米産の中型のカモメが銚子に姿を見せたのはおそらく2002年の年明けだったのではないかと思います。私自身、このカモメとの出会いは2002年3月、波崎でのことでした。そして上の画像はその3年後の銚子漁港での撮影で、脚に怪我をしているようでした。翌2006年からは私は見る機会はないのですが2014年には確認、撮影されているので、その後も継続的に渡来しているのかもしれません。このカモメはクロワカモメと呼ばれていましたが2012年発行の日本鳥類目録改訂第7版では検討中の種として標準和名をオビハシカモメとしています。 銚子でカモメを観察するようになってからの最初の目標はカナダカモメの識別でした。最初の頃は個々の識別ポイントを確認しながらのヨチヨチ歩きの頼りないものでしたが、年を重ねるにつれてあまり細かく見なくても雰囲気で分かるようになりましたが、個々の形態は思いの外変化に富んでいることも分かってきました。銚子に出掛けると多くのバーダーが「今日はカナダ見た?」とか「何羽見られてラッキー」など人気の鳥であるようです。近年独立種ではなくアイスランドカモメの1亜種とする見方が優勢となっています。
私がカモメをきちんと見ようとの思いで銚子に出掛けたのは2000年3月のことでした。銚子、波崎にはそれ以前から出掛けてはいましたが、アビ類、カモ類他が目的の場合が多く、カモメ観察は敬遠していたのです。しかし銚子に行ってカモメを避けていたのでは話にもならないとの想いから一念発起して取り組むことにしたのです。最初のカモメウォッチングでは殆ど何もわからないまま頭が真っ白なとても綺麗なカモメに出会いました。もちろん名前もわからないままデジスコで撮影し、帰宅してからあれこれ調べ、これがワシカモメの成鳥であることが分かりました。今となってはワシカモメ特有の顔つきや初列の色など一見して判別できる典型的な個体だったのですが、初めて出会った美しくも「謎めいた」カモメの印象は非常に鮮烈で、その時のことを今でもはっきり覚えています。