忘れ得ぬ鳥達
7,稲敷市の蓮田地帯 
 オオキアシシギ 2004・1・17  オオキアシシギと夏羽のアカアシシギ  2004・3・27
2004年1月11日は日曜日で、私は印旛沼周辺での鳥見を楽しんでいました。午後3時過ぎ頃に鳥友から浮島でオオキアシシギが出ているとの情報が入りました。時間的には夕暮れが迫っており厳しい状況でしたが即座に移動を決めたのです。なにしろライファーであることは勿論でしたが、今後2度と見るチャンスはないと思われたので躊躇はありませんでした。現地着は午後4時頃、すでに夕暮れが迫っていて観察は厳しくなっており、姿かたちを確認するのがやっとで画像も辛うじて証拠写真を撮ることが出来たのでした。幸いにその後も滞在してくれて、週末ごとにこの鳥を見に行きましたが印象としては嘴がやや反り加減でアオアシシギに似ていると感じました。しかし脚の色は鮮やかな黄色、背中の模様も違っていました。その後比較的長期に亘って滞在、おそらく3月末頃に渡去したものと思われます。その間夏羽への換羽が進むのではと期待しましたが結局あまり変化は見られませんでした。この時以来この鳥に出会う機会はありませんが千葉県も含めて国内では何回か記録はあるようです。
1   コキアシシギ夏羽 2010・4・22 アシナガシギ  2015・9・29 
この鳥は1999年秋にこのフィールド(当時の稲敷郡東町)の休耕田に姿を見せました。何回かポイントに足を運んだのですがタイミングが悪く、見ることが出来ませんでした。それ以来いずれいつかはと心に期していた鳥でした。そして9年後の2008年8月24日、三番瀬に居た私に茨城県の涸沼にほど近い茨城町のタンボにコキアシシギが出たとの情報が入りました。例によって取るものも取り敢えず急行したことは言うまでもありません。これがコキアシシギとの最初の出会いになりました。この鳥は1週間後には利根町に姿を現し、多くのバーダーが訪れました。その後コキアシシギは何回か渡来していますが2010年4月には夏羽のコキアシシギが短い間でしたが滞在してくれました。2008年の個体は幼鳥でしたがこの時は成鳥夏羽。初見のときにも増して印象深い出会いでした。 アシナガシギとの最初の出会いもコキアシシギ同様2004年8月に茨城町に渡来しています。夏羽から冬羽へ移行中の成鳥で、コアオアシシギの小群と一緒に行動していました。この時ももちろん現地に駆けつけて無事ライファーとしてゲットすることが出来ました。その11年後稲敷市の蓮田地帯に今度は幼鳥が姿を見せました。9月19日以前頃に60羽以上のコアオアシシギの群れの中で少数のエリマキシギ、ツルシギなどと共に行動していました。その後もアカアシシギやオグロシギ、オオハシシギなどが加わり賑やかなシギチの混群の一員として10月上旬まで滞在し、シギチファンを楽しませてくれたのです。コキアシシギ同様に茨城町でライファーとして出会い、その後年を経て稲敷市で再会した鳥なのです。またこのページに載せた3種は何れも北米大陸で繁殖し、冬季は中、南米で越冬する鳥達です。
利根町から東へ稲敷市(以前は稲敷郡)河内町〜東町の水田地帯、さらには浮島の蓮田地帯から甘田、西ノ洲の干拓地に至る利根川北岸の水田地帯には以前は多くの休耕田が点在し、特に8月9月のシギチの秋の渡りの季節には多くのシギ、チドリ類がこれらの湛水休耕田に立ち寄り炎天下の休耕田廻りがシギチファンの年中行事になっていました。しかしやがて国の減反政策の変化により休耕田がなくなり、極一部を除いて真夏の休耕田廻りをすることは少なくなってしまいました。現在では浮島を中心とした蓮田地帯に蓮根の収穫が進む9月中旬から10月以降に入ってくる渡り途中のシギチ、そしてその後に到着して越冬するクループ、いずれも稲敷市浮島、同本新を中心とした蓮田地帯が鳥見の舞台となりました。年によって状況が変わりますが9月のオグロシギ幼鳥の群れ、ウズラシギ、エリマキシギ、アカアシシギ、ツルシギなどが秋の渡りの主役となり、続いてタカブシギ、クサシギ、オオハシシギ、アメリカウズラシギ、オジロトウネン、時としてヨーロッパトウネン、ムナグロなどが越冬組の主役になっています。一方春の水田を舞台にムナグロ、キョウジョシギ、キアシシギ、トウネン、チュウシャクシギなどが立ち寄るなど、長い間に状況は変わってきましたが今に至るまでシギチファンにとっては大切な観察フィールドであり続けています。(2020・5・21 記)