ビロードキンクロ
Vervet Scoter
Melanitta fusca
2016年3月 千葉県 浦安市 2016年3月 千葉県 浦安市
 ♂第1回冬羽 2015年1月 波崎新港 ♂の頭部  
飛翔する♂(左)と♀  2016年1月 北海道 根室市 
 上の画像はいずれも亜種ビロードキンクロ Melanitta fusca stejnegeri
近縁のアラナミキンクロと並んで特異な容貌を持つこの鳥、初めての出会いは2001年12月、波崎新港でのことで、この時は♀の成鳥であったと記憶しています。その後この鳥はマイフィールドである船橋港付近の防波堤内に少なくとも2006年以降毎年渡来しており、すでに13年間に及びます。隣接する三番瀬船橋海浜公園を訪れるバーダーにもよく知られるようになっています。本来は北方系の外洋性のカモ類で、関東地方では冬期に房総半島、九十九里浜沖などで普通に見られますが岸近くには寄らないのでこの鳥を間近に見ることは滅多にありません。クロガモの群れと一緒に行動していることも多く、飛んだ時には次列風切りの白がよく目立ち、これによりクロガモと区別することが出来ます。
日本鳥類目録改訂第7版では、亜種ビロードキンクロ(Melanitta fusca stejnegeri)として記載されていますが、種全体としてはヨーロッパから西シベリア、東シベリア、さらに北米大陸の内陸部で繁殖します。日本近海に渡来するグループは東シベリア、カムチャッカ半島で繁殖する個体群(亜種)であるとされています。北米大陸で繁殖し、冬期北米大陸の東岸に渡る個体群は、White-winged Scoter(America) と呼ばれ1亜種との位置づけになっていると見られますが、この個体群の一部が冬期に千島列島沿いに北海道東部沿岸にも渡来しているとの見方もあるようです。

亜種については諸説があり、単純な形で整理されてはいないようです。
(2019年2月21日 記)

参考文献
日本鳥学会  日本鳥類目録改訂第7版
Avibase−the world bird database 
真木広造、大西敏一、五百澤日丸  日本の野鳥650    平凡社