ヒ シ ク イ
Bean Goose
Anser fabalis
亜種ヒシクイ(A.f.serrirostris 2001年5月 印旛沼北部 亜種ヒシクイ(A.f.serrirostris 2010年12月 印旛沼北部
亜種オオヒシクイ(A.f.middendorffii 2006年11月 蕪栗沼 亜種オオヒシクイ(A.f.middendorffii 2002年12月 潮来市
関東地方では唯一、この鳥の安定した渡来地として知られる江戸崎の稲波干拓地で亜種オオヒシクイを見たのがこの鳥との初めての出会で、2000年1月のことでした。そして2度目の出会いは、思いもよらない季節に思いもよらない場所でのことでした。2001年の5月の連休のさなか、シギチを求めて田植え直後の印旛沼北部の水田をパトロールしていた時のことでした。霧につつまれた水田にうっすらと姿を現したひとかたまりの鳥影、5羽のヒシクイと思われる鳥がたんぼに降り立っていたのでした。北帰行のさなか、何かの理由で降り立ったのでしょう。日本に渡来するこの鳥の多くはオオヒシクイとのことで、その後蕪栗沼や朝日池、琵琶湖周辺で見ることが出来た個体はすべてオオヒシクイでした。 関東地方には江戸崎の渡来地の他にも少数又は単独で散発的に渡来することがありますが、この場合はヒシクイが記録されることもあるようです。繁殖地はシベリアの広範囲にわたっており、分布域の東西及び南北で亜種を異にしているといわれ、特にシベリア北部のツンドラ地帯で繁殖するツンドラ型(亜種ヒシクイ)と南部のタイガと呼ばれる針葉樹林帯を繁殖域とするタイガ型(亜種オオヒシクイ)の間に採餌様式に適応分化した形態の差異が明確に見られると言われています。Avibase ではツンドラ型とタイガ型を別種とし、ツンドラ型を2亜種、タイガ型を4亜種に細分していますがこれ等の亜種はいずれも東西方向に住み分けているとされています。(2014年2月16日 記)