イワバホオジロ
Grey-headed Bunting
Emberiza buchanani
いずれも 2017年4月 トカラ列島宝島
この鳥との出会いは衝撃的でした。2017年4月下旬。鳥仲間とグループで訪れたトカラ列島の宝島。 それまで何度か訪れていた同じトカラ列島の平島よりも大きい島で初めての島であり、最初に車を借りてざっと島を一周したのだが、これといったポイントはつかめず、出会った鳥もそれほど多くはなく、やや期待外れの感があったのです。2日目の朝、朝食前の民宿周辺の偵察でも成果はなく、諦めて朝食に戻ろうかと思い、最後に港の横の砂浜をざっと探していた時に気になる鳥を発見、確認するとなんとその前の週に八丈島で外していたズグロチャキンチョウ♂でした。これだけでも一気にテンションが上がったのですが、さらに周辺を探したときに遠目に見慣れない鳥を発見、双眼鏡で確認、一目でズアオホオジロ又はイワバホオジロのどちらかに違いない鳥を見つけたのです。ホオジロ類としては特異な風貌の鳥で誤認しようもない鳥が目の前にいる。心の中で快哉を叫んだのは言うまでもありません。 大急ぎで宿に戻り、すでに朝食の食卓についていたメンバーに報告したのです。 そそくさと朝食を終え、皆で確認現場に急行しました。 後刻仲間と共に同定に取り組み、イワバホオジロと言うことで一致したのです。この時の記憶はあまりに鮮烈で忘れがたい思い出として残っていくことでしょう。 中近東から中央アジアに分布する種で、日本ではおそらく数例の記録しかない迷鳥です。

4亜種が記載されている。(1)
 Emberiza b. buchanani(基亜種) アフガニスタンから西パキスタンで繁殖 冬期はインド南東部に渡る。
 Emberiza b. cerrutii         トルコ東部、コーカサスで繁殖 冬期はイラン方面に渡る
 Emberiza b. neobscura      タジキスタン、カザフスタン東部、モンゴル西部に分布
 Emberiza b. obscura   
  

 なお、日本で記録された亜種は不明となっている(2)
(2020年2月8日記)

参考文献
1, Avibase - The world bird Database
2, 日本鳥学会  日本鳥類目録改訂第7版
3, 真木広造、大西敏一、五百澤日丸  日本の野鳥650    平凡社