ニシオジロビタキ
Red−breasted Flycatcher
Ficedula parva
2007年3月 徳島県 2011年1月 埼玉県
2016年12月 東京都 2011年2月 千葉県
2000年9月に発行され日本鳥類目録改訂第6版では亜種オジロビタキは(Red-breasted Flycatcher Ficedula parva albicilla)として記載されており、検討中の亜種としてオジロビタキの基亜種(Ficedula parva parva)が巻末にリストアップされていました。しかし2012年9月に発行された日本鳥類目録改訂第7版では、6版では検討中であった基亜種に対して依然検討中とされながらもニシオジロビタキ(Ficedula parva)となり、独立種としての和名、学名が与えられ、英名としては従前のRed-breasted Flycatcherが充てられています。そして従来の亜種オジロビタキは独立種オジロビタキとして引き続き鳥類目録本編に記載され、オジロビタキ(Taiga Flycatcher Ficedula albicilla)となりました。
この両種は数少ない冬鳥として毎年渡来していますが、ニシオジロビタキが大多数を占めており、オジロビタキの渡来は大変少ないとされています。私がこの鳥を初めて見たのは2003年1月、多磨霊園でした。そして当時はオジロビタキとされていたこの鳥も、やはりニシオジロビタキ(おそらく第1回冬羽)だったのです。その後2007年に徳島市で♂成鳥を観察するなど、この鳥に出会う機会は少なからずありましたが、画像を検討した結果は舳倉島での1回の例を除いてすべてがニシオジロビタキでした。 ニシオジロビタキは北ヨーロッパからバルカン半島、ウラル、カスピ海方面で繁殖し、冬期はアフリカ北西部、インド北西部に渡るとされています。これに対してオジロビタキは東ヨーロッパ北部、シベリア、カムチャッカ半島まで東西に広く分布繁殖し、インド、東南アジアで越冬します。不思議なことに分布域が日本と離れているニシオジロビタキの方が日本では観察機会が多く、日本により近い地域で繁殖、越冬するオジロビタキの方が稀であり、分布域その他については未解明な部分が多くありそうな気がしています。 なお、近縁の種として、北部インド、カシミール地方で繁殖し、冬期はインド南部スリランカ方面に渡るカシミールオジロビタキ(Kashmir Flycatcher Ficedula subrubra)があり、この3種をニシオジロビタキを基亜種とする亜種関係にあるとする説もあるようです。(2017年1月記)