セグロミズナギドリ
Audubon’s Shearwater
Puffinus lherminieri
いずれも2011年7月8日 南硫黄島北側海域にて
オナガミズナギドリと共に飛ぶセグロミズナギドリ(中央)
セグロミズナギドリは太平洋、インド洋、太西洋、カリブ海など世界中の北半球亜熱帯域に生息するミズナギドリで、日本近海では小笠原諸島で見られるとのことで、2011年7月、小笠原海運の硫黄島3島クルーズにツアー参加の形で乗船した際には是非見たいと思っていました。7月8日早朝、船が南硫黄島に近付いた際、やや距離があったもののこの鳥の群れに遭遇しました。それだけでも幸運とのことでしたが、南硫黄島を周回した後北に向かった際、午前9時少し前、再び20羽前後の群れに遭遇しました。この時は船の左舷、非常に近くを飛んでくれてクリアーな画像を撮影することが出来ました。その後も11時頃、翌日の母島航路上などで群れではありませんでしたが見ることが出来て、この鳥に関してはとても恵まれた航海となりました。

ところでセグロミズナギドリは図鑑等によれば世界中の亜熱帯域に分布し、繁殖域から遠く離れることはないとのことですが小笠原周辺で見られる個体群についてはしばしばオガサワラミズナギドリと呼ばれ、亜種扱いですが、別種とする説もあるとのことです。 学問的にも分類上の諸説があるようです。 試みに手元にある図鑑等の記述を並べてみました(2012年7月20日 記)

2018年1月25日 この鳥がセグロミズナギドリの1亜種ではなく、小笠原諸島の固有種であることが発表されました。 約100年前の発見時にオガサワラミズナギドリという種名で一旦新種登録されたものの、その後世界の海に広く分布するPuffinus lherminieriの1亜種として「セグロミズナギドリ」の種名が与えられていたもので、DNA解析などの結果、別種であることが証明されたとのことです。 種名は今後改めて与えられることになりますが、当初の「オガサワラミズナギドリ」の復活が期待されるとのことです(20180126記)

* 日本の鳥550(文一総合出版)  
  Puffinus lherminieri bannermani(Audubon’s Shearwatet/亜種 セグロミズナギドリ )
  Puffinus bannermani(Bannerman’s Shearwater オガサワラミズナギドリ) として別種とする説も紹介

* ALLBATROSSES,PETRELS & SHEARWATERS of the World(Princeton Univ. Princeton and Oxford)
  Puffinus bannermani (Bannerman’s Shearwater) として別種扱い。
  Audubon’s Shearwater の亜種とする説も紹介

* 日本鳥類目録 改訂第7版     
   Puffinus lherminieri bannermani(Audubon’s Shearwatet/亜種 セグロミズナギドリ)