タンチョウ
Red−crowned Crane
Grus Japonensis
2005年12月 鶴居村のサンクチュアリーにて(北海道阿寒郡)
一時は絶滅寸前にまで追い込まれたこのツルですが、日本では古来つるかめというお目出度い組み合わせとして親しまれて来たツルそして民話「鶴の恩返し」に登場するツルはきっとこのタンチョウなのだと思います。学名が意味するところも分布が必ずしも日本列島のみではないにもかかわらずやはり日本古来の鶴であることを示しているようです。もともとは渡りをする鳥であり、越冬地であった本州での乱獲、繁殖地であった北海道各地での開発による生息環境の喪失などにより絶滅寸前に追い込まれ、わずかに釧路湿原周辺の留鳥性個体群が保護活動の結果厳冬期であっても繁殖場所から鶴居村への極く短距離の移動のみで冬期の餌を保証される生活スタイルが確立されたとのことです。 花鳥風月をテーマとした日本画や工芸品などに登場する鶴は殆どがタンチョウですし、標準和名のタンチョウ(丹頂)つまり頭のてっぺんが赤いと言うだけでことさらツルという名前をつけなくても通用するほど人々に馴染んだ存在だったのでしょう。(一般にはたんちょうづるとも言われています) 色々な意味で日本産の他の6種類のツル類とは一線を画した位置づけにあると思います。夏に道東をドライブすると、道路際や民家の近くでタンチョウの姿を見かけることがあり、時には車と同じ方向に並んで飛んだりして、風景の一部に溶け込んだ自然のタンチョウの姿に感動すら覚えることもあります。