黄泉がえり（２００２）

　　監督　：　塩田　明彦　（月光の囁き）
ＣＡＳＴ　：　草彅　剛
　　　　　　　竹内　結子
　　　　　　　石田　ゆりこ
ＴＩＭＥ　：　２時間６分



ＳＴＯＲＹ：　熊本は阿蘇に一人の青年がやって来た。彼の名は川田平太。厚生労働省のエリートだ。彼は故郷阿蘇で起こって
　　　　　　　いる”ある現象”を調査する為にやって来た。それは、死んだはずの人間がある日突然還ってくると言うもの。
　　　　　　　最初は信じられなかった平太は、次々と還ってくる死者の普通の人間と変わらない事に戸惑うようになる。
　　　　　　　平太には橘　葵と言う幼なじみが居た。葵と平太にはもう一人俊介と言う葵の恋人が居たが、俊介は事故でもう
　　　　　　　この世には居なかった。町役場に勤めている葵にも協力してもらいながら、この”黄泉がえり”現象を調査する
　　　　　　　平太はやがて、ある衝撃的な事実に直面する事になる・・・。

　　評価　：　三週間のみの公開が口コミで大ヒットを飛ばし、興収３０億円突破を果たした異色の作品。
　　　　　　　一言で言うとこの映画は『ほんとに良い映画』でした。この映画を酷評する人はまず居ないんじゃないかなぁ？
　　　　　　　『ワンダフルライフ』でも同じ事を思ったけど、最初のつかみだけでこの映画は大成功だったと思います。
　　　　　　　でもね、これは多分今の僕の心情なんだろうと思うんですけど、それほど感動は出来なかったんです。確かに
　　　　　　　亡くなった人が戻って来るのは誰もが嬉しく思う事だとは思います。亡くなる瞬間に何もできなかった無念とか
　　　　　　　個々によって様々な想いがあると判ります。しかし、その後にやって来る二度目の別れほど最初の別れよりも
　　　　　　　さらに辛い事は無い気がするんです。映画では、最後に『残された人は皆穏やかな・・・』と言う台詞があります
　　　　　　　が、ほんとの所そんなハズは無いと思うんです。おそらく、この映画の評価の分かれ目はそこでしょうけども。
　　　　　　　映画としては、超常現象の解明などは一切せず登場人物だけにスポットを当てた映像表現にし、この作品の良さを
　　　　　　　上手く引き出していたと思います。夫婦愛・兄弟愛・家族愛それぞれに素晴らしいもので、特に聾唖の母への思い
　　　　　　　を伝える精神科医の斉藤家のお話は感動せずには居られません。母親役の忍足亜希子さんは、ほんとの聾唖の
　　　　　　　役者さんです。映画全体に散りばめられた、何気ないシーンがそれぞれほんとに素晴らしいシーンばかりです。
　　　　　　　そして僕的に脚本に犬堂一心さんが入っている事に納得せざるを得ませんでした。
　　　　　　　この映画で爽やかな感動に触れてみて、そして自分の生きる意味を見つめ直して観てはいかがでしょうか？
　　　　　　　　★★★★

戻る