【比呂と歩美】
「ごほん!」
「・・・ときたら龍○散?」
・・・古い。それに、そのCMを知らない人もいるんじゃないか?
「あのさ〜、普通恋人がちゃんちゃんこ着て、
冷却シートをおでこに貼ってドアからでてきたら、
『大丈夫?』『あ、ごめんなさい、横になって』とか言ってくれない?」
「え、本当に風邪なの?」
「風邪に嘘も本当も無いよ」
「・・・だって付き合ってから一度も風邪ひいてないじゃない」
「だからといってずっとひかないとは限らない」
「そうだね」
「・・・・・・ドア閉めてもらって良いかな?」
「あっ!」
パタンとドアを閉めて外からの寒気が入り込まないようにする。
ふ〜っ、空気の入れ替えは必要とは思うけど、寒いのはつらい。
「比呂、インフルエンザじゃないでしょ?」
「ん、単なる風邪だよ。・・・うつされると思ったの?」
それなら心外だ。
「ちがうって。もしそうなら無理矢理病院に連れて行こうと思ったの」
なるほどね、確かにインフルエンザだったとしても、
私のことなら病院には行かないだろうな。普段から病気をしないのもあるけど、
医者嫌いだし。(健康診断でさえ嫌いなのだ)
「でも、多分バイトのときにもらったやつだから歩美にも行くかも」
「ま、もらったらそのときは比呂のが治っているだろうから、看病よろしくね♪」
着てきたコートをハンガーに吊るすと、私に近寄ってきて、布団まで連れて行く。
そのまま大人しく布団にもぐりこむと、歩美は両袖を軽く捲り上げている。
「さて、本当はレポートの資料を見せてもらおうと思ってきたんだけど・・・おさんどんかな?」
なんだ、恋人に会いたくて来たんじゃなくて、
レポートの資料が欲しかったのね・・・って、
資料なんて無いから私のを見て書くつもりだったな!
(フグ〜ッ・・・)
小さな小さなお腹がなく音。
そういえば、ご飯食べてないや。
「・・・おかゆ食べたい」
「わかった!台所使うわよ〜」
約一時間。
歩美は外に出かけ、台所に立ち、ご飯を食べさせ、クスリを飲ませてくれた。
「ごめんね」
「ん、なにが?レポートが書き終わっていなかったこと?」
んな訳ないだろ!
「せっかくきてくれたのに相手できなくて・・・もってきてくれたんでしょ?」
今日は3月14日。
言わずと知れたホワイトデー。
私が歩美と付き合い始めたきっかけの日でもある。
「辛そうだけど平気?」
「大丈夫。・・・でも、うつるかもしれないよ」
「いい、比呂が看病するから・・・」
バックの中から小さな透明なフィルムにラッピングされたクッキーとキャンディが取り出される。
よく見ると、キャンディはコンペイトウのようだ。
歩美はコンペイトウを包んでいるラッピングを広げると、
一つ口の中に含んだ。そしてそのまま私に唇を向ける。
唇が重なり合う。多少私の唇がかさついているのはしょうがない。
そのままゆっくりと2人でコンペイトウを解かしあう。
甘い甘い蜜が流れる。やろうと思えばいつでもできることなんだけれど、
お雑煮を正月にしか食べないように、一年にこの日だけにしかやらない二人のイベント。
ちなみに、ヴァレンタインデーは私が歩美にチョコを持っていき・・・同じことをした。
この後、2人が風邪で苦しんだのは・・・別の話。
・・・これが基本系になる話。
気まぐれでオリジナルで書いた連中にこれに似たシチュエーションを演じさせようかと。
もっとも、設定は全部異なるから、共通ワードは風邪、バレンタインかホワイトデー・・・だけかも。
ま、一ヶ月以内には書く予定なので、良かったら見てみて〜。