エクソシスト
THE EXORCIST
1973年
監督・製作・脚本:ウィリアム・フリードキン
製作・原作・脚本:ウィリアム・ピーター・ブラッディ
リンダ・ブレア、マックス・フォン・シドー、ジェイソン・ミラー、
エレン・バースティン
1973年12月。全米で公開された『エクソシスト』は、少女リーガンに取り憑いた心霊 現象をリアルに描きつつ、悪魔と神の戦いを“悪魔祓い”というオカルティズムで表現 することで、世界中で大ヒットを記録した。日本でも配給収入28億5000万円 (現在の金額 に換算すれば膨大な数字となる) を記録し、70年代の一大オカルト・ブームを巻き起こした。 本作は、1949年に実際に起きた“メリーランドの悪魔祓い事件”を基に、ウィリアム・ピー ター・ブラッティが著した原作を、『フレンチ・コネクション』(71)でアカデミー最優秀監 督賞を受賞したウィリアム・フリードキンが心霊現象を初めてリアルに描き話題になった。 当時、劇場では観客はあまりの生々しさに、嘔吐したり、失神者が続出したという。
イラク。考古学者のメリン神父 (マックス・フォン・シドー) は、遺跡から銀色のメダルと、 悪魔パズズをあしらった黒い魔神像を発見し、不吉な前兆を感じたかれは、「やらなければ ならないことがある。」と言い、急ぎ帰国する。
ワシントン郊外のジョージタウン。学園紛争物の映画を撮影するため、女優のクリス・マクニ ール (エレン・バースティン) は、ひとり娘のリーガン (リンダ・ブレア)と、秘書のシャロン (キティ・ウィン) と共に、西海岸から引っ越してきた。ワシントンで借りた家の天井裏から、 大きな物音を何度も耳にしたクリスは、ネズミの仕業だと思い、使用人のカールにネズミ取り を仕掛けるように頼む。しかし、仕掛けにネズミはまったく掛からなかった。
リーガンが12歳の誕生日を迎えた夜、クリスの友人たちが集まってくれた。夜更けまでパーティ が盛り上がっていると、突然、寝室から降りてきたリーガンが、客に汚い言葉を吐き、しかも、 立ったまま放尿した。優しい娘の変貌ぶりに驚いたクリスは、リーガンを医者に見せるものの、 思春期特有の鬱病と診断される。その夜、リーガンの部屋から、突然大きな悲鳴が聞こえてきた 。駆けつけたクリスが娘の部屋で見たものは、激しく揺れるベッドと、その上で泣き叫ぶリーガ ンの姿だった。
様々な検査や治療を行うが、まったく原因がつかめず、クリスは、リーガンに何が起きたのか理 解できず苦しむ。ある日、催眠療法中、リーガンは医者の急所をワシ掴みして、悪魔に満ちた声 で叫んだ。「この娘は、俺のものだ。出て行け!」と。日増しにリーガンの形相は恐ろしい変貌 を遂げ、自分の陰部に十字架を何度も振りおろすのだった。
ついに医者にもさじを投げられたクリスは、イエズス会派教会のカラス神父 (ジェイソン・ミラ ー) に悪魔祓いを頼み込む。カラス神父の話を聞いたイエズス会は、エクソシスト《悪魔祓い》 として経験を持つメリン神父 (マックス・フォン・シドー) を派遣する。こうしてメリンとカラ スは、リーガンに取り憑いた悪魔パズズと対決することになる……。
この作品の悪魔に撮り憑かれたリーガンの様子には凄まじいものがあり、 首を180°回転させて話したり、緑の液体を吐いたり、白目を向けて話したりなどオカルトチックな シーンが多く精神的な恐怖を強く感じます。また二人の神父の心理描写もしっかりと描かれており、 物語をより深いものとしています。オカルトホラーにおける最高傑作と言っても過言ではないと思います。 この作品には「2」「3」とありますが、内容・恐怖ともにこの「1」を超えることは出来ていないと 思われます。