奇人たちの晩餐会
LE DINER DE CONS 1998年
監督:フランシス・ベベール
脚本:フランシス・ベベール
ジャック・ブユレ、ティエリー・レルミット、フランシス・ユステール、
ダニエル・プレボスト、カトリーヌ・フロ、エドガー・ジブリィ

パシフィコ横浜でのフランス映画祭で上映されるや、客席の笑い声でホールが何度も 揺れ、現地フランスでも興行記録を塗り替えるという大ヒットを飛ばした傑作コメディ が本作であります。

出版業を営むピエール・プロシャン(ティエリー・レルミット)は、毎週水曜日の 晩に仲間たちと開く「奇人たちの晩餐会」を何よりも楽しみにしていた。 この晩餐会は、メンバーがそれぞれ奇人(バカ)を招待し、誰が一番バカかを陰で決め 、そのバカを招待した人物を優勝者とする、という悪趣味な晩餐会である。 今週ピエールが見つけたのは、税務官でマッチ棒で模型を作るのが趣味のフランソワ・ ピニョン(ジャック・ブユレ)という中年男。

ところが、晩餐会の直前にピエールはゴルフでぎっくり腰になってしまい、更に些細な 言い争いから妻は家出してしまう。痛む腰で晩餐会どころか動くこともままならない ピエールのもとに、共に晩餐会に行くためにピニョンが訪れるのだった。 彼は動けないピエールのためにさまざま気を遣ってくれるのだが、それが今までバカを バカにしてきたピエールにとっての悲劇の始まりとなるのだった・・・。

この作品はもともとが舞台劇で、そちらの演出も映画と同じフランシス・ベベール。 そのため、このドラマのほとんどがピエールのマンションの中だけで進むため、 タイトルにもある『奇人たちの晩餐会』の様子はほとんど描かれません。ピニョンの お節介のため次々に人が登場しては退場してゆく様子は、まさに舞台劇を見ているようです。

ジャック・ブユレ演じるピニョンのバカっぷりは目を見張るものがあり、それだけで十分本作を 見る価値があと言えます。しかしこの作品のテーマはあくまで『バカをバカにする人物が本当の バカなのだ』。最後にはピニョンをバカにしていたことを後悔するラストが待っています。 この作品のタイトル、『奇人たちの晩餐会』の『奇人』とは、 ピニョンの行動に振り回されるピエールたちのことを指していると考えることもできるのではないでしょうか。

この作品の中での自分の一番のお気に入りはオープニングで流れるテーマ曲です。 「コン♪」「コン♪」言っているので何かと思い調べたら、conは仏語で「バカ」そのものでした。 アメリカではドリームワークスが再映画権を買い付け、ダスティン・ホフマン主演で リメイクされる予定だそうです。