「超時空!嵐を呼ぶ オラの花嫁」の初見直後個人的感想を書きます。ネタバレにはやっぱりなりますので、そのあたりはご注意ください。
今回はいきなりオープニングテーマでしたね。過去にも例はありますが、劇しんは大半が数分ストーリーを進めてからオープニングなので、今回も例えば未来しんのすけが固められ、タミコがタイムマシンを起動したところまではオープニング前という構成でもよかったと思います。何らかの意図を持っていたのかもしれませんが…。
いつもの公園に突然現れたタミコですが、見た感じ顔もスタイルも悪くはない感じがします。それにしてはしんのすけの態度が素っ気なかったのはなぜなのでしょうかね。普通だとすぐに飛びついて行きそうな気がするのですが…。しんのすけ的には美人のおねいさんではなかったとかなのでしょうか。
この場面では、なぜタミコが最初しんのすけと風間君を間違えたのかも気になります。未来の世界で風間君は金有電機の幹部社員になっており、いくらタミコが金有電機と関係ないと主張していても風間君のことは知っていたのではないでしょうか。未来の風間君は現在の風間君とあまり見た目が変わっていないわけですし、現在の風間君を見てしんのすけだと思うのはいくらなんでも。それとも、後に風間君とタミコが結婚式を行うことになる伏線だったのでしょうかね。
しかし一方で、未来についてのしんのすけとタミコの掛け合いは見事でした。台本があるかのような(もちろん実際には台本があるのですが、劇中の二人にとっては存在しないはず)展開で、よく二人とも途中で詰まることなく言い続けることができたものですね。
未来へタイムスリップ中に呼び名を決めていましたが、「タミコさん」「タミさん」「タミー」の中でしんのすけは「タミさん」を選びました。タミーと呼ぶほど親しみを感じているわけではなかったものの、タミコさんと呼ぶより呼びやすいのでしょうか。タミさんと聞いて、「金矛」のマタ・タミを思い出したのは私だけでしょうか。
ところで、あのタイムマシンには「むかし」「いま」「みらい」の3つのボタンがありました。「むかし」を押せば過去に行き「みらい」を押せば未来に行くことはわかりますが、「いま」を押したらどうなるのでしょう。特に何も起こらないのでしょうかね。そして過去や未来への移動量は決められないようですが、固定の時間だけ移動できるということになるのでしょうか。それなら、現代の公園でしばらく時間がかかった分だけ未来でも時間が進んでいたので未来しんのすけは連れ去られた後というのが納得できます。ただしラストで戻ってきた時に、未来で1日過ごしているはずなので戻ってきた時点では1日過ぎていないようなので、この考えでは完全には説明がつかないのですよね…。SFは難しいです。ここは初段のひろしに解説願いたいところです。
話変わって、花嫁(希望)軍団が偽の名刺に必死になるさまは「ヘンダーランド」の追いかけあいを思い出しました。またラスト近くで壊れたレールからジェットコースターごと落下する時に、しんのすけとタミコと未来しんのすけが手をつなぐ場面は「ハイグレ魔王」のハラマキレディースを思い出すなど、過去作品の一場面を連想するようなところが何箇所かありました。これはファンサービスととらえるのか、ネタの焼き直しととらえるのかで印象は大きく変わりますが、好意的にファンサービスだと思っておきます。
未来のマサオ君とネネちゃんの惨状は、笑えるところではありますが大人が見ると同情してしまう面もあります。風間君の姿というのもやはり同じく…。そこへいくと、ちゃんと夢をかなえているボーちゃんはさすがですね。しんのすけも、子どものままでいいという夢をかなえていると言えなくもないでしょうか。見た目は大人になっていても、言動はあまり変わっていないようですから。それでも毎日を生きていけて、さらに素敵な婚約者がいるのならばなんとうらやましい生き方でしょうか。
防衛隊の未来の次は、野原一家の未来の話題ですね。ひろしは、遺伝的に避けられない運命なのかもしれません。そうだとすると、しんのすけもいずれは…? ただ、みさえのほうはそうでもなさそうな。みさえの両親は特に太っていなかったですし、みさえの体型は本人の責任でしょう。あの時代のまさえやむさえがどうなっているのかも見たかったような気もしますが。そしてシロたち、全員シロにそっくりでしたが、母親にあたる犬はどんな犬だったのでしょうかね。やはりシロによく似た犬だったのでしょうか。たぶんあの中にはシロ本人はいなかったでしょうけれども、あれだけそっくりだとシロがいないという感覚はまったくしません。最後にひまわり、登場してきた段階では猫のお面(ヘルメット?)をかぶっていたわけで、誰なのかわかりませんでした。特徴ある髪の毛が見えた段階でようやくひまわりだとわかりましたよ。そう思うと、ひまわりのあの髪型というのはものすごく独創的なものなのですね。しんこちゃんの髪型も似たような雰囲気があるのですが、やっぱり? 昨年といい今年といい、ひまわりがおいしいところを持っていっていますね。しぎの監督はひまわりのことがかなりお気に入りだと思われます。まあそれはそれで悪くないですが。
敵のことも触れてあげないといけませんね。今回の敵役は金有増蔵でしたが、商売をする以上は儲けを出さなければやっていけないわけですし、儲けにならないものを切り捨てるという考えそのものはまったく当然のことなのですよね。何事も行き過ぎるのはよくない、過ぎたるはなお及ばざるがごとしを身をもって示してくれました。見た目はさえないおじさんにしか見えませんでしたが、ひまわりいわくいろいろと悪事を行っていたようですね。悪い政治家のような…。
今回は感動的な場面はあまりなかったですけれども、全体としてストーリーにまとまりがありました。そのため、初見でも話に入り込みやすく、良い印象です。もちろん、なぜ未来の世界にアクション仮面がたくさんいたのかとか、パンフレットを読まない限りはわからないような点もありましたし、気になる点がまったくないわけではありませんが、全体としては水島監督時代以降の作品では「ケツだけ爆弾」と並ぶ2大良作と感じています。
エンディングが流れ、最後の最後に「臼井儀人先生に感謝をこめて」と出た時にはやられました。それまで上映中は臼井先生のことが頭から抜けていたのですが、メッセージが表示された瞬間に、きっと先生も空の上からこの作品をご覧になって、そして安心なさったのだと思いました。来年も次回作が公開されると思いますが、仮にメッセージが出なくなったとしても、これからもずっと感謝の気持ちは忘れてはいけませんね。ということで、最後にもう一度
臼井儀人先生に感謝をこめて