トップ小説作成者・クレヨンえんぴつさん


作品、人物ともフィクションです。

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「トップニュースです。埼玉県春日部市で異常事態が発生しています。
本日の午前11時ごろ、突如武装した謎の軍団が春日部市を占拠しました。
現在も占拠は続いている模様です。現場と中継がつながっています。現場の
安曇さん?」
「はい、こちらですね、春日部市の隣のさいたま市になります!見てください。
あちらがちょうどさいたま市と春日部市の市の境になります。そこにですね、
手にはマシンガンをもっています武装した軍団や戦車が配置されています。
完全に春日部市はこの謎の軍団によって隔離されている状態になっています。」
「安曇さん、その軍団についてなにかわかっていることはありますか?」
「はい。目撃者の方によりますと、その軍団は突然ヘリコプターでやってきた
ようです。その他につきましては、警察も調査中としていまして、対応には
慎重な態度を示しています。」
「はい、それでは春日部市民の安否は?」
「はい、春日部市民の安否に関しましてですが、現在ヘリコプターや飛行機も
春日部市上空を飛ぶことを謎の軍団により禁じられていますので、春日部市内部は
完全な謎に包まれた状態になっていると言ってもいいと思います。しかしですね、
こちらのマンションの20階に住んでいる方の証言によりますと、大人と子ども
を別々の建物に監禁していたとのことです。以上、中継でした。」
「はい、安曇さん。ありがとうございました。春日部市のみなさんの無事と
この事件の早期解決を願っております。本日のトップニュースでした。」

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時は遡る。
7時間前ー・・・

「でね、母ちゃんがバキィッとけりを一発!!そしたら父ちゃんの鼻から
血がピューッって漫画みたいだったんだゾ!」
「しんちゃん家のママとパパってそれでよくリコンしないわよね。ネネん家じゃ
ママとパパはいつも笑いあってるわよ。」
「・・・ネネちゃんのママは猫かぶってるからね。」
「ぬぁんですってぇ!このオニギリ!」
「ひ、ひい!し、しんちゃん!僕の後ろでなにか言うのやめてよ!」
「・・・猫をかぶっているように性格が良いよね。」
「そうでしょう?さすがマサオくんねっ。」
「はぁ〜。」
いつものようにバカみたいな話をしていた園児たち。まさに平和だった。

バババババ
突如轟音が幼稚園一面に鳴り響く。凄まじい風が園児たちを襲い
砂ぼこりが立ち辺りは真っ白になった。
「キャッ!!!」
「うわっ!!!」
「な、なんですかこれは!!」
先生たちもその凄まじさに立っているのが精一杯だった。
砂ぼこりが消えると3台のヘリが幼稚園に姿を現していた。
ガチャッ
ヘリのドアが開き、手にマシンガンを持った兵士たちが降り立った。
その中の1人、リーダー格の男が言った。
「ここにいる諸君よ。我々がこの幼稚園を占拠した。我々の言うことに
従ってもらおう。そうすれば必ず生きて帰れる。しかし、言うことに
従わなければ・・・春日部はなくなるだろう。わかったか!」
誰もが唖然として口を聞くことができなかった。まるで映画の世界を
目の前にしているようだったのだからそれも仕方ないだろう。
・・・しかし例外はいた。

いつのまにかしんのすけはヘリコプターの近くで園児たちに手を振っていた。
「ほっほー!!ヘリコプターだゾ!風間くんっ!こっちこっちぃ!
風間くんのリモコンで動くのとちがって本物だゾ!」
緊迫した空気がその場を流れる。

「ガキ、動くんじゃねぇ。」
「風間くん!早くぅ!」
「ガキ、聞いてるのか!?」
「うん。・・・風間くん!」
「ガキ、先生とちがってオレは気が短いんだ。」
「うん。おじさんそんな感じするゾ。」
「なに?どこらへんからそんな感じがするんだ。」
「んとねーその四角くて割れたアゴに濃いお・・・・」
しんのすけの口を誰かの手が塞いだ。
「す、すいません、こいつは僕が動かないように見てるんで・・・しんのすけ!!早くこっちこいよ!なに考えてるんだよ!」
「ハッ・・危ない。ガキにのせられるとこだったぜ・・お前、ちょっと止まれ。」
「は、はい。な、なんでしょうか?」
「お前がさっきその坊主が言ってた風間か?」
「はい・・ぼ、僕は風間ですけど・・・なんでしょうか?」
「お前走れメロスって知ってるか?」
「はい。太宰治が書いた、友達を人質にされたメロスが友達のために数々の試練
を乗り越えてくやつですよね?」
「ああ。良く知ってるな。風間よ、お前は友達のためにメロスになれるか?」
リーダー格の男はしんのすけの頭を掴むとそのまま軽々と持ち上げた。
「おっ?」
「し、しんのすけ!!」
「風間よ、お前はメロスだ。オレの言うことをただこなせ。逆らったり
できなかったりしたらこの坊主がどうなるか・・・わかるな?」
リーダー格の男はニヤリと笑って腰をポンポンと押さえた。
腰には拳銃があった。

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