トップ小説作成者・ハイパーサイボーグ「シロ」007号さん


私の名はMrX。しかし、ここでは本名を明かしておこう。
私は野原しんのすけ。探偵である。
これは私が生涯をかけて手がけた事件(?)の数々を記録したものである。
なお、私の住む世界は漫画クレヨンしんちゃんの世界に限りなく近いが、
全く異なる世界なので・・・ つづく

≪探偵録≫
FILE1「初仕事」target野原みさえ
ある日、しょぼくれた男から依頼が来た。
「報酬は安いが初仕事だ。しょうがない・・・」
その内容は妻の生活調査だった。
(調査開始)
ターゲットの名は野原みさえ。29歳主婦である。
朝起きて夫を送り出すと、息子を自転車で幼稚園に送る。
「けっこう大変そうだな・・・」
しかしその後様子は激変。
昼までワイドショーを見て、3時間昼寝。やっと買い物に行くと思うと
近所のおばさんたちと2時間雑談。
その後三日間に亘って調査するが、いずれもだらけた生活だ。
(調査終了)
依頼人にこのことを伝えると、
「これで小遣いUPの口実ができます。」
と泣きながら言って、報酬2倍にしてを帰っていった。
「しかし、得はしたけど退屈な仕事だった・・・」

FILE2 第1章「館と再開」 targetたかくら ぶんた
いつものように郵便受けをのぞくと珍しく一通の手紙が入っていた。
[我が館に来たれし  Bunta Takakura]
「たかくらぶんた・・・どっかで聞いた名前だな。」
手紙に記されていた住所の通りに行った。
館に着くと、そこには名の知れた探偵や裏の人間が数十人。その中に旧友の
「風間」「ネネ」「マサオ」「ボー」がいた・・・
風間とネネは私と同じく探偵を、マサオはネネの助手。ボーは情報屋だ。

私たちはしばらく意気投合した。
風間は東大を首席で卒業。医師免許も持っている。
ネネは夫のマサオ(っていうか部下みたいなかんじ・・・)と探偵家業をしながら
生活をしている。
ボーは相変わらず。情報屋と言うことしか教えてくれない。

ところで、さっき意気投合したと言ったが、取り消そう。
意気投合しているのは四人だけ、
この人たちが旧友だとわかったのは数日後。
話に乗ってはいるが、私はこの人たちにあった覚えが無いのだ・・・
今までの会話だって私は溶け込めずにいる。

私がその場をこっそり離れようとしたそのとき、銃声と悲鳴が館内に響いた。

私は無意識に悲鳴の聞こえた方へ走った。 
すると、1人の男が倒れていた・・・
「まさか・・・」
私が確認しようとしたとき、その男は起き上がった。
「皆さん、お久しぶりです。」
その男は中学のとき担任だった先生だった。
歓声が響く。
よく見ると周りの人もすべて扮装した旧友たちだった。
つまり、これはしゃれのきいた同窓会だったのだ。
しかし、このときもまだ私は何のことかわからずにいた。
みんなの顔が目に入ったとき、私は頭が真っ白になった。
私は糸の切れた操り人形のように床に倒れた・・・

FILE2 第2章「記憶」 
気がつくとそこは病院のベッドの上、みんなが心配そうに私の顔を見ている。
「・・・もう大丈夫。」私がそう言うとみんなは病室を出て行った。
・・・みんなの顔を見てすべてを思い出した。
私は3年前、一人暮らしを始めてすぐに、階段から落ちて
記憶の一部を失ってしまったのだ。
私は記憶が戻ってうれしい反面、悔しさも感じていた。
まず、みんなのことをすぐに思い出せなかったこと、
そしてなにより、親の顔を見ながらも記憶が戻らなかったからだ。
あの時依頼に来た男は私が記憶を失った事実を知って会いに来てくれた
私の父親だった。あの依頼は私に会うための口実だったのだ。
さらに私は知っていて当然の母親の生活を調査していたのだった。

「・・・もう一度、会いに行こう。」それが開き直った私の出した答えだった。

あれから三年。今私は風間たちと探偵事務所を開いている。
なかなか依頼が来ないが、儲けはけっこうある。
そんなある日、事務所に一通手紙が来ていた。
「おまえらの事務所に爆弾を仕掛けた。詳しくはPM1時に電話をかける。」
と書かれた手紙は私たちの心臓の音を速くさせた。

12時59分32秒、33、34、35、・・・1時
ジリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリ
私が電話に出た。
「この声は録音されたものだ。俺本人はお前たちの中にいる。
君たちのお仲間一人は今頃俺のアジトでぐっすり眠っているさ。
いまからその中にいる偽者を当ててもらう。そして爆弾を見つけ、
解体してもらう。さあ、やってみろ。野原しんのすけくん。ガチャッ」
聞き覚えのない声だった・・・現在心拍数176。史上最大のピンチ。

あれから1年・・・
それにしても間抜けな犯人だった。声を変えるのを忘れて
ばればれだったのだ。
今私たちは探偵を副業にしながらみんな同じ会社で働いている。
そしてその4年後、私は両親と再会することとなる。
   
            完

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