トップ小説作成者・こっくりこっくりオクラホマミキサーさん


 ブリブリざえもんは町の嫌われ者だった。いつも他人の家にいいことがあるとそれにケチをつけてせっかくこみ上げてきた嬉しさを台無しにしてしまうのだ。
 しんのすけは町の異端児だった。いつもおかしな歌を歌いながら街中を歩いていたしわがままを言っては親に叱られていた。その親もおかしくて母親なんぞすぐに手が出て、自分の息子をぼこぼこのめったんこにのしてしまう。しんのすけの頭にタンコブの山が一つ二つと雪だるまのように重なっていくのを町のだれもが目にしていた。あの子には痛みという感覚がないんじゃないだろうか?あれだけ殴られて頭がおかしくならないのはよっぽど元の頭がいいのだろう。やさしい隣人はこう思っていた。
 ブリブリざえもんは自分の容貌、頭脳、運動神経など他人に負けるところなどどこのもないと自負していた。近所に住むマサオとか言う子供はおにぎりにみたててぎゅうぎゅうに握った後、花火を浴びせて焼きおにぎりにしてやった。ネネとか言うやんちゃな娘はおままごとごっこの中で離婚から裁判に持ち込み逆に慰謝料をふんだくってやった。風間君はもえP好きだが、オタク度に関しては自分の右に出る者はいないだろう。まさに自分こそがキモヲタ童貞ニートにふさわしい。ぼーちゃんという子供はぼーっとしているのでこの前一緒に話をした時、あいつの何倍も間を空けて放してやった。そうしたらさすがのボーちゃんもじれったくなったらしく、眉をちょっとだけ上げたのでおれの勝ちだ。 とにかくこの町で私にかなう者などいない。どんなものだって私の前では子猫同然に扱われるのだ。
 豚は地面に大きく文章を書いた。
   ブリブリざえもん様のお触れ書
 1.ぶりブリざえもんはこの町で一番かっこいいのである。
 2.ぶりブリざえもんはこの町で一番頭がいいのである。
 3.ぶりブリざえもんはどんな競争でも一位なのである
 これをうっとりと見上げてぶりブリざえもんは床についた何といってもキモヲタ童貞ニートなのだからこれぐらいしなくては、パソコンはつけっぱなしだ。

 そんなマイペースな二人だったが、今まで奇跡的に摩擦を起こすことなく過ごしてきた。しかし、二人も徐々に成長し行動範囲が広くなってくると家が数件しかない小さい村の中ですれ違わないわけがないのだ。
 ある日しんのすけは母親に頼まれて村はずれの八百屋に出掛ける途中、道草食って川のほとりで水の中のフナをのぞき見ていた。自分はフナという魚はまだ食べたことがないがきっとおいしいに違いない。とって母親に渡してやれば今日の晩御飯ももっとましなものになるだろう。毎日毎日野菜炒めばかりでは野菜が食べれないしんのすけにとっては地獄の日々だった。着物を脱いで川べりに身をよせ、水の中の魚へそっと手を出した。しかしフナもそう簡単に捕まるわけがなく身をひるがえしてすぐに水の中に逃げ込んでしまった。
 ちょうどそのころブリブリざえもんも同じ八百屋に行こうと沢を渡ろうとしていた。すると見慣れない子供が川の中を覗き込みながら魚を取ろうとしている。ちょうどいい新入りにブリブリざえもんのすごさを見せつけてやろう。そう思いブリブリざえもんは四本足で猛突進し、川を覗き込んでいるしんのすけを思いっきり突き落した。

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