トップ小説作成者・ネネちゃんのうさぎ2さん


〜明日はどうなる!?野原一家〜

時は江戸時代。そしてここは野原ひろしの助が殿様をしている野原城です。
「ふあ〜ぁ。あなたぁ!ご飯まだ!?あたしおなかがスッカラカンなんだけど」
ひろしの助の家内のおみさです。
「父ちゃん、オラの幼稚園服(5着)のおせんたくよろしくねー」
ひろしの助とおみさの子供、しんのすけです。
「たいや!たいうたやいやいやい!」訳「父ちゃん!あたしのミルク冷めてんだ
 けど!」

さて、当のひろしは書斎にいました。
「分かった分かった!今、殿様検定(六級)の試験勉強してるんだから静かにし
 ててくれよー!ったく、どうしてウチの家族はこう、人使いが荒いんだ!?
 家の雑用全部おしつけやがって!!」
「なに言ってんのよ、誰のおかげで殿様になれたと思ってんの?」
「ぐっ、、」
説明しよう。ひろしの助は元々百姓の息子で、おみさは殿様の娘だった。
そしてその殿様に足のクサさを認められて城の見張り番になり、おみさと恋に落
ち、結婚してしんのすけとひまわりが生まれた。と同時にひろしの助も殿様にな
った。自分のお城というカンジを出したかったので、小山城だったお城の名前を
おみさ達の雑用一式を引き受けるかわりにひろしの助の苗字の「野原」にしたと
いうわけである。
「ちゃんと契約書も持ってるんだからね。<おみさ殿、その子供殿の言うことを
 聞きます。なんなく御申し付けください!野原ひろしの助>シロにエサあげて
 きてぇ」
おみさは典型的な「権力を振りかざすタイプ」である。
「行ってきます、、うぅ、、」
かわいそうな殿様は外にいるシロにエサをあげに行きます。
「くぅぅん」
「シロ、、オレ死ぬまでこんな生活なのかなぁ、、」
するとシロは紙に犬語と呼ばれる文字を書いた。(書いた、と言っても前脚の肉
球でハンコのように押すもの)
<がんばって!あなたには仲間がいます!>
「シ、シロぉ!!」ひろしが号泣寸前で叫んでいると、
「父ちゃんうるさいゾ!いま「江戸ライダー」の再放送やってるのに!」
しんのすけからの静かにコールがとんで来るのだった。

そんなある日、、
「ひろし君、ちょっと話があるたい」
「はい?」
ひろしに声をかけたのはみさえの父で、現在お城の代表取締役のよし治でした。
「これはこれはお義父さん、ご無沙汰しております」
「うむ。ひろし君、悪いがおみさとしんのすけとひまわりをつれて来てくれんか
 ね。すごく重要な話なんだ」
「は、はい」
こうして、よし治の書斎に野原一家が集められた。よし治の妻のおひさや、ひろ
しの両親の銀の介やつるも来ていた。(銀の介とつるは現在「殿様ご両親」とい
う重要なポストに置かれている)
「ちょっと父さん、どうしたのよ。ご両親一同集めちゃって」
「父さんたちまでどうしたんだ?」
「だって呼ばれたんだもーん。自分だけで話すのはコワいから来てぇ〜って泣き
 つかれてのう」
「ワシャお前に泣きついた覚えなんぞなか!、、コホン、では今から重要な話を
 するたい」
「じゅうようってどういういみ?」
「とても大事な、って意味だよ」
「ふーん、じゃあ、この前父ちゃんがとってもだいじそうに本だなにかくしてた
 封筒もじゅうようなものなの?」
「ギクッ!あ、あれはだな、、」
「いいのよしんちゃん。後でそのへそなんとかをママが回収しとくからね」
「うぅ〜、、オレの一万二千円、、」
「ひろしの助、、哀れじゃのう」
「、、そろそろ重要な話をしてもよかとね?」
「あ、忘れてた」
「、、、コホン!じゃあ話すたい。はっきり言って、みさえもひろし君もしんの
 すけもひまわりも、しまりが無か!」
『しまり?』
「そうたい。ひろし君は一家の大黒柱だという気が薄れていて、気持ちが引き締
 まってなかと。みさえ、お前は最近家事をひろし君に押し付けてばかりでぶく
 ぶく太っとるたい。もっと腹を引き締めんか!」
「よっ!そのとーりー」
「しんのすけ、お前は子供だというのに一日中テレビばかり見おって!子供は風
 の子、元気に外で体を引き締めるたい!」
「でも、おシリはこのとおりしまってますぜじいちゃん」
「そしてひまわり!」
「むしされた、、」
「たや?」
「、、、こんど誕生日祝いの宝石あげまちゅからね〜!」
「うきゃきゃきゃ」
「あーっズルい!ひまだけぇ!」
「いや、ひまわりだってしまりが無いお前たちに囲まれてたら、いつかはだらし
 ない人間になってしまうたい。そこで、お前たち一家に試練を出すたい」
『試練?』「たぁ?」

「今日から一週間、オマエたちを城から追い出すたい!」
『えーっ!!』
「ちょっとぉ、どうゆう事よ!」
「説明する事なんぞなか!一週間町民として生活して、少しはしゃきっとせい!
 ただそれだけたい」
「じーちゃんそりゃないでしょ〜、、」
「だいたい、その間の殿様はだれがするんですか?」
「その事なら心配なかと。代役はシロにしてもらう」
「シロに!?そんなムチャクチャな、、」
「そんなことなかたい。ひろし君が忙しい時にはひまわりやしんのすけの面倒を
 みてくれたり、みさえの肩たたきもしてるそうじゃないか。家来たちには犬語
 で指示も出せる。まったく良くできた犬たい」
「確かに、ひろしの助よりも良くできてるのう。足も臭くないしぃ」
「そうね。足も臭くないし」
「うんうん、足もくさくないし」
「たぁーぁ」
「お前ら!足のにおいで殿様決めてんじゃねーよ!」
「城を出る時には財布を置いてってもらうぞ。おみさなんかに金を持たせたら、
 一晩でワシの全財産を使われてしまうたい」
「父さんったら、オーバーねぇ」
「その一週間、どこで寝泊りすればいいんですか?」
「好きにしたらよか。野宿してもいいし、町民の家に泊まらせてもらうのもいい
 だろう」
「町民の家なんかに泊まるくらいなら、野宿した方がマシだわ」
「おみさ!お前はそうやってすぐ人を見下すたい!少しは町民の立場になって
 物を考えるたい!」
「はいはい、分かりましたよー」
「じいちゃん、オラお願いがあるんだけど」
「なんだ?しんのすけ」
「あーん、オラ銀じいちゃんにお願い〜」
「ほいほい、なんじゃ?」
「耳かして」
「ん?」
「明日の夜11時からの「ピチピチ水着ギャル大百科」録画しといてほしいん
 だけど、、」
「了解了解」
「ウオッホン!じゃ、おみさ達にはカモフラージュのために、町民の格好をして
 もらうぞ。一週間の修行を終え、根性もたたき直してきたら、それぞれ褒美を
 やろう」
「おおっ!じいちゃん太もも〜!」
「たいやー!」
「ご褒美もらえるんだったら私もやるわ!」
「よーし!野原一家、、」
「ファイヤー!!」
野原一家は、物がかかると強くなる。

町のはずれに、町民になりすました野原一家をのせた牛車が止まった。
野原一家を下ろした後、牛車は城へと戻っていった。
「ほんっとーに町のはずれだな、、」
「焼け野原だね」
「たいやい」
「、、あーん!あたしもう帰るー!」
みさえが騒ぎはじめた。
「でも道が分からないだろ、オレたちずっと寝てたんだから」
「母ちゃんおまたげないゾ」
「たあ」
「くっ、、、」
「とりあえず町へ出なきゃな」
「父ちゃん、ピチピチの町娘いるかなぁ」
「いるいる、わんさかいるぞ!」
「あは〜オラ楽しみ〜」
「オレも、、ハッ!」
「どうしたの、別に続き言ってもいいのよ?」
「、、やめときます」
「よーし!町までしゅっぱつおしんこー!」
二十分後
「父ちゃん、これが町?」
「たぶんな」
「町娘、いないね」
「いないな」
なんともいえない空気が漂っている村だった。例えるならお化け屋敷のような。
「あなた、怖い、、」
「大丈夫さ。人は住んでいるみたいだし」
ひろしの助の言うとおり、手入れされた畑や掲示板もあった。
「どうしましたか、、」
野原一家の背後から声がした。
「ギャーーーッ!!でたーー!」
「お、おみさ、幽霊じゃないぞ。良く見てみろ!」
そこに立っていたのは老人だった。
「おおっ、怖いかお、、」
「顔のことにはふれないで下さい、、」
「ど、どうも。あなたが村長さん?」
「はい。あなたたちは?」
「通りすがりの野原一家だゾ」
「たい!」
「は、はあ、、」
「あのー、失礼ですが、この村には村長さんのほかに誰が住んでるんですか?」
「私と私の妻のほかには誰も住んでいません。あんなことがなければ、、」
「お?あんなことって?」
「話すと長くなりますので、私の家へどうぞ」
「はい」
野原一家は村長の家に入った。
「ほんの三ヶ月前までは、活気のある楽しい町でした」
「町娘もいた?」
「はい。わんさかいましたよ」
「おお、わんさか!」
「しんちゃん、話に口つっこまないの」
「ところが、ここから近いところに桜田城というお城が出来たんです。
 それからというもの、ウチの村の人口が多いからって、何人もの村人が強制的
 に家来や女中にされてしまったんです」
「ひどい城だなあ」
「しかも、わざわざその桜田城のとなりに風間城というお城が建てられたんです
 よ。風間城は桜田城をライバル視するようになって、ただでさえ半分以下の数 
 にっていた村人をすべて持っていってしまったんです」
「かわいそうに、、」
「私と妻は泊まりこみの仕事で他の村に行っていたので助かりました。
 でも帰ってきたときの驚きようったらないですよ。あとで事情を知ったのです
 が、私達にはどうすることもできず、、」
「あなた、、」
「ん、、」
「村長さん、だいじょぶだゾ!オラたちがみんなをオタスケするゾ!」
「え!?」
「しんのすけ!?」
「オラ、いっつもアニメで見てる人助けがしてみたいゾ!」
「たーっ!」約「あたしも!」
「しんちゃん、ひま、、よっしゃ!あたしもやってやろうじゃないの!」
「オレも、殿様の、、いや、大黒柱の底力、見せてやるぜ!」
「野原さん、、」
こうして野原一家は始めての人助けに挑戦するのだった。
『ぐぅぅぅぅ、、』
「ハラがへってはいくさはできぬといいますなぁ」
「そうくると思った、、」
こうして一日目は終わったのであった。

二日目
「おっはよー、あれ?組長さんどしたの。げっそりしちゃって」
「村長です、、。あなた方が昨日の夕食に文句ばかりつけるものですから、胃を
 やられまして、、」
「ほら見ろ、おみさのせいだぞ」
「だってぇ、あんなに単純な味付けの料理なんか食べたことなかったしぃ」
「肉のないすき焼きなんて初めてだったしぃ」
「とにかく妻の料理にケチつけないでほしいですねえ」
「ひいぃ〜っ!すみませんでした!」
「と、ところで組長さん」
「村長です!」
「ま、間違えました!えーっと、桜田城と風間城は具体的にどこに建ってるんで
 すか?」
「そうですねえ、徒歩二十分ってとこでしょうか」
「よし。おみさ、しんのすけ、ひまわり、それぞれの城に偵察に行くぞ!」
「偵察?」
「、、って何?」
「ガクッ!おみさ、おまえ知らないのかよ、、」
「あたし、世間知らずだもーん」
「、、あっちが今どういう状態なのか調べるって事だよ」
「あ、そーなんだ」
「もしかしたらそのまま潜入捜査になるかもしれない。各自、責任をもって動く
 ように!」
「ラジャー!」
「ブ、ラジャー!」
「たい!」
「てゆうか、オレたち刑事じゃなかったな」
「あ、そーだったわね」
「まったく、先がおもいやられますな」
「おまえが言うな!」

「ここが桜田城か」
桜田城は壁一面がピンク色で、所々にウサギの模様も描かれていた。
「ふんっ、ウチの父さんの城に比べたらたいしたことないわ」
「今は父ちゃんのお城でしょ」
「たい」
「それはさておき、、あなたぁ!このカッコどうにかならないわけ!?」
おみさたちはウサギの着ぐるみを着こんでいた。(顔が見えるようになってる)
「だってしょうがないだろ。この城で働いてる人はみんなコレ着てるんだし。
 カモフラージュのためだ、ガマンしろ!」
おみさはあれこれ文句を言っていたが、ひとまず潜入することに。
勝手口から忍び込んだ野原一家は大広間に入った。
「な、なんだ!?」
同じくウサギの着ぐるみを着た女中や家来たちが、かがんで何かを探していた。
「よく分からんが、とりあえずマネしよう」
何がなんだか分からないまま、ひろしの介たちはかがんだ。
しんのすけが近くの女中に話しかけた。
「おねいさん、みんな何を大勢でさがしてるの?」
「えっ、知らなかったの?ネネ姫様の遊び道具の人形の履物が無くなっちゃった
 のよ」
「で、その姫さまはどこに?」
「ほら、真ん中で指示を出してる、、」
しんのすけたちが真ん中を見ると、しんのすけと同じ年頃の女の子がどなりちら
していた。
「みんな全力で探すのよ!私のイケメン殿様人形のゲタがなくなったんだから!
 見つからなかったらタダじゃおかないわよっ!!」
「ほうほう、ここにも未来の母ちゃんがひとり」
「どういう意味よ!」
「ちょっと、そこ!口うごかしてないで手ぇ動かしなさいよ!」
ネネのどなり声が。しかしここで引くのはおみさのプライドが許さない。
「あんた!だまって聞いてればずいぶん威張り散らしてるじゃない!
 働かされてる人たちの身にもなってみなさいよ!」
「何よオバさん、ネネに口答えする気?」
「オ、オバ、、!あたしは、野原城の殿の家内なのよ!アンタの城なんかすぐに
 ぶっこわせるんだから!!」
「の、野原城、、」
「ふんっ、驚いてものも言えないか!」
「何それ。ネネ聞いたことなーい」
「ガクッ、、な、何で知らないのよ!」
「おみさ、、おまえの中の野原城の知名度がどれくらいかは知らんが、俺たちが
 この城のこと知らなかったのにどうして桜田側が知ってるんだよ、、」
「母ちゃん、じいしきかじょーだゾ」
「なんかゴチャゴチャ言ってるけど、、とんだ無礼者だわ!であえであえー!」
がっしりした家来が出てきて、野原一家は取り押さえられてしまった。
「あたしに対する侮辱罪で、地下牢に入れておきなさい!」
「はっ!」
野原一家は地下牢へと連れて行かれるのであった、、。
「あとでタダじゃおかないんだから〜!」

「父ちゃ〜ん、ここ暗〜い」
「た〜い」
「しょうがないだろ、誰かさんが騒ぎを起こしちゃったんだから」
「あはは、、で、でも、住めば都って言うしぃ、この地下牢だって慣れればど
 ーってこと、、な、なあに?しんちゃん」
「母ちゃん、ここがみやこに見えますか?」
「、、見えません、、ハイ、、」
「こんな所にいちゃ、風間城の偵察もできねえな、、、よし!」
「あなた、何か考えがあるの!?」
「ない」
「ガクッ、、ちぇ。ぬか喜びして損した」
「とりあえず何か考えるしか無いだろう。しんのすけ、何か案はあるか?」
「ほい!じいちゃんにケータイでお電話して、助けてもらう!」
「おっ、いいね!じゃさっそく、、、ムリでした」
「え、なんで?」
「見ろ、おみさとしんのすけが昨日ゲームやりすぎたから、充電しておいた分が
 全部なくなってるよ」
「うーん、どうしようか、、、」
ひまわりはする事がなくなってカベを叩いていた。
『ポンポンポンポン、、』
「ひまちゃん、静かにしましょうねー」
「ん?カベにしては安っぽい音だな、、もしかしてこの奥空洞なんじゃ、、」
「母ちゃんがけったらこわれたりして」
「まっさかあ。それっ」
バキッ、バリバリバリ、、
「ほんとにこわれたね」
「きっともろいカベだったのよぉ」
カベの向こうには短い通路、その奥にはまたカベがあった。

「そりゃっ!」
おみさが次のカベをヒップドロップで壊した。
そのカベもまたもろい物だった。
「倉庫だな、、」
ひろしの助たちは倉庫に出ていた。
「とにかく、牢屋からは脱出できたみたいね」
部屋の入り口の扉が開いた。
「こらっ!その着ぐるみ、、桜田城の者か!なぜ入ってきた!」
「えっ、ココ桜田城じゃないんですか?」
「何をいっておる、ここは風間城だ!お前たち、さては桜田からの偵察係か?」
「ち、ちがいますよ!とにかく事情を話しますから、聞いて下さい!」
「何を騒いでいるんだ?」
着飾った男の子が入ってきた。
「はっ、殿!実は、先ほどこやつらが入ってきまして、、」
「君たち、とりあえずそのあつくるしいカッコはよしたまえ。そこに更衣室が
 あるから、着替えておいで」
「は、はい。どうも、、」

「へぇーっ、町民って者はこういうカッコをしてるんだね」
「い、いえ。実は俺たち本当の町民じゃなくて、、」
「?じゃ、何なんだい?」
「実はオラたち、殿様一家なんだゾ!」
「えーっ!で、ひろしの助さんはどこのお城の?」
「野原城というんですが、、」
「かすかべのふたば町に建っているお城ですね」
「、、えっ、知ってるんですか!嬉しいなぁ」
「いやぁ、どっかの城のワガママ姫とちがって、ボクは情報収集をかかしません
 からね!」
「あ、そうですか、、」
「殿、カベ穴を塞いできました」
「ご苦労」
「あのぅ、失礼ですがあの通路は、、?」
「あぁ、アレは、、その、、」
「失礼ですが、それについてはノーコメントということで」
「なんかあやしいゾ、、」

その頃の桜田城は、、。
「ふふ〜ん♪やっと見つかったわぁ、ネネのお、と、の、さ、ま♪」
「ネ、ネネ姫様!大変です!」
「なーにぃ?今、ネネ忙しいのー」
「先ほど、地下牢に入れた者たちに逃げられました!」
「ふーん」
「ネネ様!もし、外部へ情報を漏らされてしまったら大変ですぞ!」
「何よ。別に何にも悪いことしてないから大丈夫じゃない」
「使用人たちのことです!あの村から村人を連れてきて、ムリヤリ城で働かせて
 いると知られたら、この城の信用は地に落ちてしまいますぞ!」
「え!?てことは、ネネもお婿さんをもらえないかも知れないの?」
「そういう事です」
「くう〜っ!!よし、家来を騒動員させて、あいつらを探させるのよ!」
「はっ!」

その頃、野原一家は殿様と風間城を散策していました。
「桜田城とちがって、ここはすっごい居心地がいいわぁ〜」
「だな。マッサージ機多数完備、大浴場あり、しかも飯が美味い!」
「でしょう?だからホラ、使用人たちもすごく楽しそうに働いているんですよ」
しかし、しんのすけは使用人たちが楽しそうに働いている様には見えなかった。
やつれて、今にも倒れてしまいそうな人がいっぱいいたからだ。
「あんまり楽しそうじゃないような、、」
「コラっ!何言ってるんだしんのすけ!」
「そうよ、口を慎みなさい!」
「えっ!?」
「風間くん、俺たち、ここで働きたいなあ」
「そうね。私も働きたいわぁ」
「と、父ちゃん、母ちゃん、どしたの?」
「ささ、気が変わらないうちに、あちらの部屋で手続きを、、」
ひろしの助もおみさも、殿様について行ってしまい、ひまわりとしんのすけは
取り残されてしまいました。
「父ちゃん、母ちゃん、戻ってこーい!、、野原一家、どうなっちゃうの?」

しんのすけは広い廊下の真ん中で立ち尽くしてしまった。
背中に背負っているひまわりは今にもぐずりだしそうである。
「オラが、、何とかしなきゃ!」
と、決意を固めるしんのすけ。しかし、それと同時に腹の虫も鳴ってしまった。
「腹がへってはいくさはできぬ!おとなりのネネちゃんとこで食べさせてもーら
 おっと」
しんのすけは堂々と風間城を出ていった。町人の格好をしてるからと言って、
根は若様なのである。
その姿を家来が認めた。
「しんのすけ様、どちらへ行かれるのですか?」
「ちょっとおとなりまで遊びに行ってくるゾ、くるしゅうないゾ〜!」
「は、はあ、、」

「風間様、先ほどしんのすけ様とひまわり様が城を出ていかれましたが、、」
「ふん、放っておけ。こっちは新しい家来が欲しかっただけだ。子供なんか
 戦力外だよ」
「風間様がおっしゃるようなことでは、、」
「、、う、うわ〜ん!それを言うな〜!!」
「し、失礼いたしました。どうかお泣きやみを〜!」

しんのすけは桜田城の門を叩いた。
「おーいネネちゃ〜ん、オラお腹すいたゾ、なんか食べさせてー!」
「なんだなんだ?コラ子供!汚い手で門を触るな!」
しんのすけはムッとして反論した。
「汚いのはこの門のほうだゾ!ほら、こんなに汚れちゃったゾ!」
確かにしんのすけの手は真っ黒だった。
「分かった分かった。これからはちゃんと掃除するから。だからもう帰んな」
そういって門を閉められてしまった。
「まったく、、でもどうしよ?」
「た?た!たいやい!」
突然ひまわりが騒ぎ出した。
「どした?ひま」
ひまわりは地面を指差しながら叫んでいる。
「お、何かある」
しんのすけはそれを拾った。
「指輪か?」
すかさずひまわりの手が伸びてきて、それをかっさらってしまった。
「たーい♪」
「んもー、ま、いっか。ひまのご機嫌もなおったし。どっか別のところを、、」
「待って!!」
突然門が開いた。
「お?ネ、ネネちゃん!?」

小説トップに戻る

トップページに戻る