トップ > 小説 > 作成者・パタリロ百世のペット アブラムシのハイドレストさん
一年前の新宿、野原一家はまだ三人家族で買い物帰りだった、あの少年と出会ったのは土砂降りに近い雨の日だった。 しんのすけHってきたねひろしw雨降ってきたね』だしんのすけぃ みさえ≠Aりましょう、そろそろ『気分の火焔』の犯行時間よひろし硲 『気分の火焔』・・・それは一ヶ月前から活動している放火魔兼爆弾魔である。こいつの場合放火というよりl体発火現象Aつまり人間専門の放火魔である 爆弾の方は手口はおろか爆発物がなんなのかすらも 判明していない。しかも決まって発火の方は、一週間に 二十一回、それも午前七時三十二分、午後の正午と午後四時 四十四分に必ず犯行を犯す。爆弾の方は一日一回、午前九時 犯行現場に必ず『一日一善』と書かれた紙を残す。 何故『気分の火焔』と言われるかというと、威力がコロコロ 変わるからだ。 放火の方はライター並みだったり溶鉱炉に放り込まれたよう に一瞬で骨まで燃え尽きたり、爆破の方も2B弾程度から 鉄筋のマンションが爆発途端崩壊と極端過ぎる、犯人の手がかり すらもないので恐れられている。その手口から『宇宙人説』 『超能力者説』、『悪魔説』、果ては『他国の情報部の新兵 器の実験説』などの説がある。 『気分の火焔』の犯行による死者の数は八万四千人、重軽傷者 は二十二万五千人。 しんのすけは帰ろうとした途端右側の一番高いビルから爆発 音が聞こえた気がした。ただ今の時間午後四時三十九分。 しんのすけ「あれ?さっきあのビルで爆発音がしたぞ。」 ひろし「本当か?しんのすけ。」 みさえ「やだ、まさか『気分の火焔』? 早く帰りましょう」 「ぐあぁ・・・」 更に悲鳴が聞こえたしんのすけ。 ひろし「ガス爆発だと思うが・・・」 しんのすけ「悲鳴・・・」 みさえ「え!?」 しんのすけ「オラ助けに行く!足には自信あるから!」 ひろし「おい!何言ってんだよ、俺も行く!」 みさえ「確かに、救急車呼んでも手遅れになる可能性もあるわね、 行きましょう!!」 ひろし「野原一家ファイア−!」 し・み「ファイアーー!!」 ひろし「非常階段から行くぞ!煙を吸わんよう鼻と口をハンカチ でおさえるんだ!」 し「ブ・ラジャー!」 野原一家は駆ける。非常階段を駆ける。そして屋上に着いた。 みさえ「何?これ・・・」 ひろし「どうなってるんだよ・・・この光景は・・・」 そのビルの屋上は、瓦礫が散乱し下の階の部屋が筒抜けで、 業火がめらめらと燃えていた。 ボロボロになった黒い中国服を着て、左腕の手首が砲状になっ ていて、右腕の手の甲は骨が見えていて肋骨が数本露出していて 両足は大きく肉が抉れていて顏が左半分焼けただれた少年は、 野原一家に気付き近づいた。 「ここは危ないよ、早く逃げた方がいいよ、大怪我するよ」 ひろし「君の方が大怪我だよ。」 みさえ「てか・・・死になさいよ・・・あんた・・・人として」 しんのすけ「かっこいい!!何その手!」 「左腕かい?これは義手なんだ、武器が内蔵されてる・・・ それより逃げてくれ、わけは後で説明するか・・・」 少年の喉笛が爆発した。 「ら・・・」 少年は倒れた。爆炎の間から男が現れた。 「余所見してっからこうなんだよ〜・・・ありゃ?君等誰?」 その男はどす黒い目が我が子を想う母の目に見えるとすら 思える目で野原一家を見た。 しんのすけ「お前何者だ!」 男は口を開き答えた。 「狐里收岳三十二歳独身、酷凰町出身、誕生日は十二月二十五日 クリスマスだな、 血液型はRH+のA型 、 現在イトーヨーカ堂浦和支店に営業二課の平社員として勤務、 木造の築96年の三階建て四畳半一間台所つき風呂なしトイレ 共同のアパート“さびれ荘”に先月から帯住、これでいいか?」 しんのすけ「好きな歌手は?」 ひろし「知りたくねぇよ!」 狐里「美空ひばりと北島三郎、後島谷ひとみも好きだ」 みさえ「あんたも答えんなよ!」 狐里「聞かれたから答えた。ただそれだけ」 ひろし「んなこたどうでもいい、『気分の火焔』ってのは お前だな!」 狐里「うん」 狐里は即答で肯定した。 みさえ「どうしてそんな事出来るの!?」 狐里「俺の宝貝(パオペェ)炎獄掌の能力で」 しんのすけ「お前人間!?」 狐里「うん、正確には道士、仙人の仲間さ」 ひろし「仙人や道士が人殺しをしていいのかよ!? 狐里「御法度だよ」 みさえ「ならどうして殺人を犯しているの!?」 狐里「趣味」 即答で言い切った。 狐里「ちなみに、このガキも道士、宝貝は義手、かといって仲間 じゃないがね、俺を討伐に来たの、『殺られる前に殺れ』、 『殺らなきゃ殺られる』を実行しただけ」 ひろし「お前は何故殺人をする事が出来るんだ!」 狐里「何でしたら駄目なの?」 みさえ「法律で決まっているからでしょ!」 狐里「刑法199条の事か? 確かにそれに則ったら俺は確実に 即死刑だな、だが現行犯の場合を除いては逮捕するって意外と 難しいぞ、それに・・・」 しんのすけ「それに・・・?」 狐里が革手袋を嵌めて指を鳴らすと野原一家からみて真正面の デパートの内部が全て吹き飛んだ。狐里は携帯電話で時報をかけた。 「午後四時四十四分ちょうどをお知らせします。」 狐里「これが俺の宝貝炎獄掌の能力!!半径九十三メートル以内なら 物質・生物・無生物・固体・液体・気体等を問わず発火や爆破が 可能な化学反応系の宝貝、これじゃ法律だと罪にはなんねぇ」 ひろし「罪にならなけりゃいいのかよ!」 狐里「まあね、だがそれは全てに当てはまるよ チャップリンが言った『街中で一人でも殺せば殺人罪になるが 戦場では敵とはいえ人を殺せば殺す程英雄になれるのはおかしい』 とね、あれ、俺も同意見だ」 しんのすけ「お前はどうなんだ!趣味で人を殺す大悪人じゃない か!」 狐里はしんのすけの左肩を叩いた。 狐里「確かに俺は極悪人だよ、それは自分なりによーく自覚 している。 自分を正当化するつもりは毛頭ない。だけどねしんのすけ君」しんのすけ「何極悪人」 狐里「君は一つ勘違いしてる」しんのすけ「なにが?」 狐里「自殺教唆や侮辱罪とかはマスコミは結構しているよ。 警察だって時に決めつけの捜査で物的証拠をでっちあげる事 だってある。 いじめは? 自殺まで至るケースもかなりある、そこまでいくのに 先生が気付かないはずがないのに見て見ぬふり、そして言い訳は 決まって『気付かなかった』、 歴史、特に近世を見てみよう、阿片戦争は貿易摩擦でイギリスが 中国にインド産の阿片を売り飛ばした、それにより中国の経済が ガタガタとなりその対策で阿片を処分したが逆恨みしたイギリスは 清に戦争を挑んだのだ」 しんのすけ「清って・・・どこ?」 狐里「最近の学校教育はどーなってんだよ!」 しんのすけは幼稚園児である。 ちなみに清とはその当時の中国の王朝名 〔一応調べましたが間違っていたら教えて下さい〕 狐里はノートパソコンでインターネットの書き込みをした。 「『今回のデパートの爆破事件の事ですが本当は一瞬で灰にする 火災のつもりでした。 そこでせめてものお詫びとして明日の犯行は絶対にしません。 [気分の火焔]より。 送信した。 直後狐里はノートパソコンを踏みにじり炎獄掌で燃やした。 ひろし「勿体ねー」 しんのすけ「芋田楽!話の続きは?」 狐里「狐里收岳! 他にもあるよ、オーストラリアは1960年代 くらいだったかは忘れたが白豪主義、いわば白人優先、つまり 白人以外の移民は受け入れない方針、かどうかは忘れたけど 近いのをとったのは確か、アメリカでもバスに白人席と黒人席があり 従わないといけなかったし白人席がいっぱいだったら黒人が席を 譲らなくてはならなかった。今はそれはないけど。 南アフリカでもアパルトヘイトと呼ばれる人種隔離政策が存在した。 肌の色が違うってだけでだぞ。滑稽だと思わねぇ!?」 しんのすけ「こっけいって・・・鶏の一品種?」 ひろし「ウコッケイだぞ、それは・・・」 しんのすけ「そーともいう」 狐里「そうとしか言わん、日本人もひどい事をしてきた。西欧列強 のまねをして朝鮮を侵略したりした、中国にも北部に満州国という 傀儡国家を作ったり強制連行して奴隷のようにあつかった。 中国人やロシア人を『マルタ』とよび生体実験を行った。 捕虜に対しても人道上どうかと思われる事も沢山した。 なのに教科書ではこういう事実は掲載されていないに等しい。 日本人同士でも当時、戦争を反対した者は『非国民』『国賊』 または『アカ』と呼ばれ特高警察に拷問されたり白い目で見られた りした。 極東裁判では明らかに『勝てば官軍』だった」 ひろし「なにがいいてぇんだ!!」 狐里「所詮何がよくて何が悪いのかなんざその時の都合と力のある 奴が決めれるって事さ!!金や権力、地位なんかがある奴が 好き勝手に面白くな!もしくはそんなもんを守りたいが為に隠匿 すっ奴もいる!何が言いたいかもうわかんだろ? 正しい者は 弱く間違った者は強いんだよ!!」 しんのすけ「違うぞ!正しい事はいつまでたっても正しい事だけど 間違った事はいつか朽ちるんだぞ!いつの時代でも!」 「確かにそうだな・・・」 少年は立ち上がった。 みさえ「どうして立てるの?」 「骨髄バンクに入っているから」 ひ・みの心「関係ねーよ、絶対・・・」 しんのすけ「お兄さんの名前は?」 「崎、崎生破、十二歳!」 ひろし「行くぞ狐里收岳!」 崎「あいつは一回ずづしか爆破も発火も出来ない!」 みさえ「と言うことは・・・」 ひろし「ああ、バラけりゃ勝機はある!」 四人は一斉に散った。 狐里「なっ・・・」 崎「疾っ!」 崎は義手を剣に変え、斬撃波を繰り出した。 狐里「えっ?」 空気を爆発させ相殺したように見えたが斬撃波はまだあり狐里の 右の掌を切断した。 狐里「ぐぁぁ・・・テメエよくも!」 狐里は崎の背を爆破した。背骨が見えてる。 ひろし「二十日洗ってないソックスキー−ック!!!」 ひろしの足は狐里の顔面に当たった。狐里は悶え苦しんでる。 狐里「ゲホゴホッガッ・・・グェッゴエッ・・・」 みさえ「ビックヒップアタ−ック!!」 みさえのケツのしかかりは悶えている狐里の背中に当たって 床の厚さ一メートルのコンクリートをぶち破り下の階に落ちた。狐里は 気絶寸前。 し・ひ・崎「嘘・・・」 狐里「あ・・・が・・・ぐ・・・ぢぐ・・・じょ・・・がぁ!!」 狐里は左手でみさえに手刀をいれ気絶させ屋上に上った。 崎「弱ってる!!」 狐里「俺はこのまま逃げてやる、そして次は・・・」 しんのすけ「とう!」 逃げようとした狐里に、しんのすけはドリルカンチョーを一撃! 狐里「あ・・・ぐ・・・ぎ・・・・。」 崎「終わりだ狐里收岳・・・」 狐里は手摺にのしかけた。その時手摺が錆びていたのか外れて落下した。 ひろし「『気分の火焔』はもう終わりだな・・・」 狐里は車道に頭部から落ちた。かろうじて虫の息だったが這っていた。 『生きようとする執念』が彼の肉体を動かしていた。 狐里は這って三b離れた駐車場に行き、停車していた運搬会社のトラック にしがみつき昇ってった。 狐里「まだ俺は・・・終わらねぇ」 二分後、運転手が乗って出発した。 「あっ『落・乱』始まる時間だ」 トラックは200キロオーバーで突っ走った。狐里は荷台の上に立った。 狐里「今回は・・・俺の負けだ・・・だがお前逹とはまた会う事になる だろう・・・」 その瞬間狐里は信号機に顔面を激突した。当然落っこちた。 (ちなみにトラックは時速二百六十キロ) 満身創痍でかろうじて息をしている程度、手遅れで息を引き取るのは 時間の問題だった。野原一家+αは静かに見守っていた。 その時暴走族が来て瀕死の狐里收岳を轢いていった。 ひろし「見るな!」 暴走族が通り過ぎた後、狐里收岳の遺体があった。 生死確認は不要だった。人間の姿形の原型を全く留めていなかった。 肉片は飛び散り骨は砕け散り狐里收岳だった物はただの肉塊となった。 烏や鳶、鴎がよってきて肉塊を啄んでいた。 崎「『事故死』か」 ひろし「救急車呼ぼうか」 崎「いいっすよ、一晩寝たら治る・・・『職能力』による怪我だったら 能力使えば楽勝でしたけど・・・」 しんのすけ「大丈夫!?怪我はない?」 他全の心「あるって」 みさえ「私達で出来ることはない?」 崎「それじゃ・・・バーバリーのコートとシルクハット買ってきて、 それと長靴、怪我隠す。金はあるから・・・それと領収書貰ってきて」 崎は財布を出した。小銭ばかりだが二十枚程千ドル札が入っていて、 他にも元、ペソ、ルーブル、ルピー、ユーロ、フラン、ポンド等の単位が あった。金持ちなのかもしれないが、煩悩はでなかった。 お金はあったためお望みの物を買うことは充分だった。 崎は野原家に一泊する事にした。来た途端階段でスースー寝た。 余程疲れていたのか寝返り一つうたなかった。 翌朝 みさえ「三人とも起きてー、ご飯よー」 しんのすけ「ほっほっほーい」 ひろし「飯だ飯−♪」 崎「わーい!」 今日は食パンと牛乳、それとトマトだった。 し・み・ひ・崎「いただき鱒は海洋型が桜鱒、陸封型がヤマメ!」 崎「ご馳走様でし太刀魚!」 間、10の十八乗分の一。 ひろし「怪我は!?」 崎「完治した」 義手の破損部分も完全修復している。 みさえ「早くない?」 崎「生まれつき回復力や再生力が通常人の九千万倍あるんです、まあ 宝貝や仙術によって与えられたダメージの場合五千倍に下がるけど」 しんのすけ「お兄さん外で遊ぼうよ」 崎「いいよー」 二人は庭に出た。 しんのすけ「宝貝お披露目してー」 崎「いいよ〜、じゃ石持ってきて」 しんのすけ「ほーい」 中くらいの石を持ってきた。 崎「いくよー、披露するのは四つねー。 まずは光線系宝貝『烈光砲』」 義手を変形させ手首を砲状にし、銃口から熱光線を出した。石は 消え去った。 しんのすけ「すごーい! 次は!?次は!?」 崎「じゃ次は打撃系の『波願十手』な・・・えい!」 義手を十手状に変形させて煉瓦に突いた。粉々になった。 しんのすけは拍手している。 しんのすけ「次は!?」 崎「打撃&変化系、蛮漢剣!」 ピーマンを投げて三cm離れた所から剣を延ばして斬った。 (勿論剣は義手を変形させた物) 崎「んでもって・・・」 ピーマンの切り口同士を併せるとくっついた。 しんのすけ「すごーい!!」 崎「斬撃波は精神力を込めないと今の僕には出来ないんだ。 その程度なら幾らでも出来るけどね」 しんのすけ「次−!!!」 崎「そんじゃ次は・・・」 崎は壁を義手で思い切りぶち壊した。 ひろし「何だ一体!」 崎「なーんにもー」 壁は直っていた。ひろしは部屋に戻った。 しんのすけ「何したの!?」 崎は義手の手の甲を見せた。紫色の鱗みたいなのがあった。 崎「これで修復したの」 しんのすけ「それも・・・宝貝?」 崎「うん!これは『逆頭鱗』の能力!無生物なら有機物・無機物関係 無く壊れた物は修復可能なのだ!」 しんのすけ「白犬だけに尾も白−い」 崎「『職能力』ってのも持ってるから見せたる」 崎は両掌の紋を見せた。右手が四方手裏剣と思われる絵と紋様、 そして左手に『戻』と書かれた紋様が浮き出てきた。 崎「いくよー」 崎は両掌をあわせた。 崎「『手裏剣』に『戻』を・・・加える能力!!」 両掌を離すと手裏剣が五枚出で来て崎はそれを投げた。 ある程度進むと崎は左手の人差し指をクルクル回した。そうすると 手裏剣がブーメランの様にカーブし、そのまま崎の右掌に入ってった。 その際垣根の枝が切れた。 しんのすけ「これどうするの!?」 崎「大丈V!」 崎はまた手裏剣を出し今度は右手の人差し指に嵌めて反時計回しで回した。 そしたら垣根の枝が元の切り口にくっついた。 崎「これでいい?」 しんのすけ「うん!」 崎「さっきのをすると職能力によって起こった結果を元に戻す事が出来る んだ、間接的でも直接的でもね、効果を加えられた道具を元のただの 道具に戻す事だってできるよ」 しんのすけ「て事はドブじょうろく者は他にもいるの?」 崎「職能力、いるよー、兄貴にゼノちゃんに士朗に珍平に祥次に・・・」 夕方 崎「お世話になりました」 ひろし「ああ」 みさえ「元気でね」 しんのすけ「ずっとここにいてよぉ」 崎「迷惑になるからね、四人もいると」 しんのすけ「じゃ父ちゃんに出てって貰うから」 ひろし「聞こえてるぞ」 崎「そんじゃ・・・来年の今日遊びにくるよ、今度は家族と友人を連れて 来るから、約束だぞ」 しんのすけ「うん!」 崎「もし来れなかったらそっちが来てくれ、またな」 それから一年後、アクション幼稚園ひまわり組。 その日の今日は参観日で幼児逹は一年前の思い出で最も印象深い思い出を 発表し、しんのすけはその事を言った。 風間「しんのすけ、嘘つくなよ」 ネネ「漫画の読みすぎ〜」 しんのすけ「違うもんホントだもん!」 マサオ「仙人ってホントにいたんだー」 みさえ「懐かしいわー今どうしてるだろう」 もえ子「おたくは夢と現実をごっちゃにする家系なんですかー?」 みさえ「失礼ね!全部事実よ!」 ボー「確かに、『気分の火焔』の犯行手口は、それなら説得力がある」 しんのすけ「ありがとボーちゃん!」 ボー「どうも」 ひろし「人は起こった時にしか信じちゃくれないさ」 ひまわり「たうぅぅ・・・パパちゃいちゅき」 ひろし「父ちゃんもだよー」 むさえ「ねぇちゃん」 むさえがひまわり組に入ってきた。 しんのすけ「おむさえちゃん」 むさえ「よしんのすけ。」 みさえ「あんた写真撮りに那須いったんじゃなかと?」 むさえ「悪天候で・・・帰って来たとよ、そしたら郵便受けにな、 しんのすけ宛の葬儀の案内状が入ってて・・・」 他全「えぇ!?」 よしなが「誰なんですか?」 むさえ「崎生破 享年十三歳病死」 し・み・ひ「なんだとーーーーーーーー」 これが今回の騒動の、プロローグだった。 クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ 『少年道士の慰霊祭』 その日の夜、野原家は静かだった。葬儀の為崎生破の生まれ故郷『酷凰町』 に行くので荷造りをしているのだった。 一つ些細な問題があった。シロの事ではない。シロは今回は園長先生が預かって くれるからだ。 いつもは北本さんに預かって貰うのだか肝心の北本さんはロベルトの両親、 つまり北本さんの血縁に会いに外国に行ってるのだ。じゃあ何が問題かって? 案内状に同封されていた搭乗券の事。何故なら同封されていたのは合計六枚、 しんのすけ・みさえ・ひろし・むさえ、ひまわりは必要ないから二枚余る。 仕方ないので春日部防衛隊のうち二人を誘おうとするが三人は無理という返事が 返って来た。しんのすけは最後に風間君に誘いの電話をかけた。 風間「ああしんのすけか、こんな夜中に何の用?」 しんのすけ「実はかくかくしかじかで・・・」 風間「ふーん、ごめん、ママに相談して・・・」 風間君のすぐ後ろにみね子がいた。笑い顔を見せて囁いた。 みね子「いいわよトウルちゃん、行って来なさい。」 風間「でも塾が・・・」 みね子「たまには息抜きも大事です、ママの命令よ、行きなさい。」 風間「あ・・・」 みね子「但しお土産話を持って帰ることと葬式のマナーは守る事」 風間「うん!行けるぞしんのすけ!」 しんのすけ「ほんと?じゃ明日の朝門前に来てね」 しんのすけは電話を切り、落ち込んだ状態で床についた。 ひろしもみさえも五十歩百歩の状態だった。 むさえとひまわりは心配だった。こんな三人は見た事なかったから・・・ 翌朝風間君を含めた六人が野原家の門前に集まった。その時ひろしの携帯が 鳴り、とった。声の主はしんのすけの祖父でひろしの実父である野原銀之介 だった。 銀之介「おぉひろしか? 収穫終わったからのぅ、お前逹の顔見に行くから じゃ今日中に来るベ」 ひろし「えっ? 駄目だよ今日から四日間葬儀に行くから・・・」 銀之介「んじゃオラも一緒に行くっペ」 本当にすぐ来た。 しんのすけ「じいちゃん!」 みさえ「お義父さん・・・」 むさえ「銀ちゃん。」 風間「しんのすけのおじいさん」 ひろし「何でいつもいつも何の脈絡もなく突然来るんだよ!!」 銀之介「ええじゃろんなこたぁ・・・それよりお前元気無いのう・・・ どうしたんじゃ?」 風間「実は・・・」 風間君は銀之介に事情を説明した。 銀之介「ならオラも行くしかないか・・・よしっ!そうと決まれば羽田へレッツ ゴー−!!!」 そして、彼らは羽田空港に行き、チェックインを済ませて酷凰町行きの 飛行機に搭乗した。 離陸しても三人の元気の無さは決して変わらなかった。 風間「おいしんのすけ」 しんのすけ「何?風間君」 風間「あのおねぇさん綺麗だろ? ナンパしないのか?」 しんのすけ「風間君がしたら?」 銀之介「ひろし、混浴の温泉知っとるから今度二人だけで行くかの」 ひろし「どーせ下北半島で野生の猿と混浴すんだろ? それに暗かったら 見れねーよ」 むさえ「ねぇちゃんねぇちゃん、見てよこのカタログの宝石、綺麗だし値段も リーズナブルだよ〜」 ひまわり「たやー!」 みさえ「宝石っつったって磨いたり価値付ける人がいなけりゃただの石コロよ、 そんなもん興味ないわ」 てな具合である。本人逹だけではなく周りも不快にさせている。 風間君は慰めるのを諦め酷凰町のガイドブックを開いた。 『酷凰町』 西南日本の太平洋側に属する一地方。 面積‐鹿児島県出水市、宮崎県椎葉村、長崎県五島列島を併せた程。 気候‐本土に属しているが何故か亜熱帯気候。 地理的特徴‐北東部の海岸沿いに休火山が四つ程ある。 また、南東部の沖合いに枇榔島程度の無人島が五つあり、それらは全て オオミズナギドリやウミネコ、コアホウドリ等の海鳥の繁殖地となっている。 高さ千bを越えている山が二十程存在する。 植生‐北部はトウヒやコメツガを中心とした針葉樹林、 南部はボルネオやインドネシアを思わせる鬱蒼とした熱帯雨林、 その他の森林の七割以上が樫、椎、椨、楠を中心とした照葉樹林、 残り三割近くのうち、山の中腹から上にブナ、赤松、樅、栂、桜等が一割程、 海岸の黒松や干潟のマングローブ林、河川の河畔林が一割程で 残りが材木用として檜や榎、樟脳として楠、木炭用として樫の人工林である。 湿原や沼地も点在するため食虫植物等そこ固有の植物もある。 人口‐約三十三万六千人 「一年前迄は約十万人」 資源‐金が明治時代より採掘されていた。 温泉は休火山があるので湧いている。石油も採掘されて来た。 最近、メタンハイドレート、石炭、銀、ボーキサイト、石灰、燐、カリウム、 水銀、マンガン、ラドン、アルゴン、エメラルド、レッドサファイア、 トパーズ、オパール、イエローダイヤが発見され、フル稼働で採掘しても 全て今後二万年間は最低でも採掘可能という事が判明している。 それらの鉱山は廃鉱を含めて町役場の監視下に措かれている。 「先代町長の時、廃鉱を高値で売り払った事がある。」 採掘、産出された宝石の類いは町唯一の宝石商、また、他の地下資源同様、 貿易商や町役場直轄の研究所等に送られる。まだ他の資源が眠っている可能性はあり。 食料自給率‐総合約九十二%、但し南瓜のみ譯ありで栽培されているがただそれだけ。 また、ブルーベリーや杏は気候風土か土が合わなかった為全て輸入品。 米よりも雑穀や麦、野菜、果樹類の栽培は鎌倉時代より盛んであり第一次産業で 生計を立てている者は全体人口の五分の二程。 米の出荷は早く気候上短粒種も長粒種も作れるが生産量は全国的にも低い。 その代わり雑穀や野菜、果樹類や魚介類は海外に輸出出来る程である。 独立特区。 マリネラの姉妹都市。 りゆーその壱「酷凰町が『日本のマリネラ』と呼ばれていて、マリネラ国王が 『じゃ姉妹都市にして仲良くなろう』と思い付きで現酷凰町町長に相談を持ちかけ、 現町長も他の役員に相談もなく承諾したから」、 りゆーその弐「マリネラ国王と酷凰町の故人となった少年とチャットで知り合った メル友だったから」。 原水爆や中性子爆弾、反陽子ミサイルが開発、改良、配置されているという 噂があるが定かではない。 名産品‐エリ蚕やサク蚕の繭で作った絹織物。 町の花‐南瓜。 町の鳥‐朱鷺、烏。 「二種の理由は町の鳥を決めるのなら何種類でもいいだろという意見が出た為」 町の標語‐『来た時よりも美しく』、『人を見下さない』 とまあ一応酷凰町近郊にある空港に来た。案内人が空港ロビーに来るという 約束なので待つこと三時間、日が沈んだのにまだ案内役は来なかった。 三人は相変わらず元気が無かった。かろうじてしんのすけが喋る様になった くらいだった。 そして深夜十時。空港近くに誰かを捜している風貌の変わった女の子が来ていた。 服装は赤いジーパンに使い古されたスニーカー、そして上着は灰色のYシャツ。 まあ別段変わってはいない。 変わっていたのは髪の色と瞳の色くらいだった。 髪は黒に近い紫色、瞳はオレンジ色をしていた。彼女は誰かを捜していた。 「うぅ〜・・・絶対怒ってるよねー・・・崎君の知り合った春日部の人逹・・・」 野原一家はその女の子の側によった。当然驚いた女の子。 「何ですか貴方逹、お金はびた一文持ってませんよ?」 ひろし「んなこたぁどうだっていい!!お前なんか知ってんのか?」 「何の事で?」 みさえ「とぼけないで!あんたさっき何言ったの!」 しんのすけ「答えろ!答えんと針刺すぞ!」 風間「意味不明な言葉だな・・・」 むさえ「ねぇちゃんこの子泡吹いてるよ」 そして気絶した女の子が起きるのに更に三十分、それでようやく起きた。 「苦しい・・・」 女の子は咳き込んでいた。 しんのすけ「お前何か知ってんのか!」 「何なのよ私何か悪いことした〜?」 みさえ「さっきはごめんなさい、私達野原一家なの」 「えっ?貴方逹が!?あっ私崎家に居候させてもらってるゼノといいます」 風間「て事は君が出迎え?」 ゼノ「そうなりますね、大幅に遅れてすみません、遺体が棺からいなくなったから ついドタバタしていて・・・ちなみに私今年七歳になります」 とりあえずゼノの案内により崎家に着いた。崎家は長屋のような家だった。 ひろし「間借りしてんの?」 ゼノ「いえ、この長屋全部崎家になるんです、私は使ってない部屋に居候を しているんです」 みさえ「ふーん」 銀之介「あんたの他に誰か住んでるのかね?」 ゼノ「ええ、崎君の実兄が一人・・・十七歳でこっちも道士なんです」 むさえ「変わってんの?」 ゼノ「結構真面目な人ですけど・・・ただいまー」 「あーゼノちゃんじゃないか、お帰り、でそちらの方々は?」 ゼノ「野原一家の人逹です。」 「おぉこれはこれは、ウチの愚弟がお世話になったようで・・・ご多忙の中 来ていただき感謝致します」 兄はお辞儀をした。 「所でさゼノちゃん、お通夜まだ?」 ゼノ「とっくに終わりましたよ!まさか爆仙さん研究に没頭していて 通夜参加し忘れたんですか?」 爆仙「そみたい・・・ゼノちゃんは? ゼノ「私は午後迄先生のアシスタントのアルバイトで三日間高松市に取材旅行に 行ってたんですよ、てか三日間の料理作って冷蔵庫の中に入れた筈なのにまた 一回も食べてないんですか?」 爆仙「スマン、研究と開発ばっかしていてそれ以外何一つしてない」 ボサボサの黒髪でどこか崎生破に似ている顔つきの高校生、崎爆仙は ススだらけの白衣の汚れを払いながら呆れる事をサラッと言った。 そして自己紹介が済み長屋に入った。死体が消えた状況、それは棺桶に安置 していたらいつの間にか消えていたという事だった。 風間「どうして死体が消えたんですか?」 爆仙「まだ生きている可能性もあってどっかに歩き回っているって推測も出来る」 ゼノ「充分理解可能な仮説だから皆慌てているの」 ひろし「病死じゃないのか?」 爆仙「正確にはヘリの遊覧飛行中紙切れが舞っているのを見つけて拾おうとしてドアを 開けて拾う事は出来たけど間違って落ちたんだ,打ち所が悪かったらしくて一週間後に 絶命したんだ,と言っても半信半疑だったけどね」 野原一家と風間君はコケた。 ゼノ「通夜の残り物でよければ沢山ありますので幾らでもどうぞ,お風呂の用意は 済ませてあるので何時でもおはいり下さい,眠くなったら好きな空き部屋に どうぞ」 銀之介「一泊幾ら?」 爆仙「勿論要りません,その代わりろくなおもてなしは出来ませんが・・・」 むさえ「助かります」 ゼノ「後出来るだけお腹を減らしてくれると嬉しいのですが宜しいですか?」 翌朝・・・ しんのすけ「おはよぅ・・・あれ?ゼノちゃんは?」 爆仙「朝飯作ってる」 ひろし「五十人分はあったな,今日パーティーがある予定だったのか?」 爆仙「弟が一人で消費すんの」 風間「あれだけの量を一人で?」 爆仙「ああ,あいつ食べんと痩せる体質だったし生命力に比例しているし, といっても好物は限定されてたから選ぶのは楽だったけどね」 ひろし「だから『お腹空かしていて下さい』って言ったのか・・・」 ゼノ「すみません・・・いつもの量で作りました・・・」 爆仙「食いきれねぇよ」 「遊びに来たぜ!!!」 みさえ「何っ!!?」 来たのは緑髪で耳の前で赤い輪ゴムでそこの髪をまとめていて茶色い瞳をしていて 後の髪の毛はボサボサで服装は工場の作業着風で色は薄い水色,そして膝程の丈が ある白いマントをした崎生破と同年齢の少年が玄関蹴破って入って来た。 全員呆れたと驚いたの両方の感情を表す表情をした。 「メシの・・・途中だった?てか・・・お客さんいたの?」 ゼノ「何しに来たの魚塚連合のリーダーで道士で崎君のライバルであり 現在十三歳の中学一年生の職能力使いである魚塚士朗君」 士朗「誰に説明してんだ?」 ゼノ「気にしないで」 風間「魚塚連合?」 ゼノ「仙道含む能力者で構成された能力者集団,この人と崎君を統制者として 成り立っている組織で私も一応加入してる」 士朗「現在構成員は俺とゼノを含めた七人,最終目的は俺と生破を国王とし, 構成員を役人とした世界一平和で素晴らしく,差別や偏見の無い全ての生命が 快適に生涯生活可能な王国を建国する事・・・」 爆仙「何しに来たのお前」 銀之介「でかい野望を掲げとるのぅ」 ひろし「誇大妄想じゃねぇのか?」 ひまわり「た?」 ゼノ「珍しいね貴方一人でうちに来るなんて,いつもは葉孔君や新山君, もしくは燎帝さんと一緒にいるのに・・・」 士朗「いや愚痴溢しに来たんだよ,メシついでで・・・」 ゼ・ひ・み・爆「愚痴?」 士朗「そーだよ!俺と生破で宇宙一素晴らしい王国作るって約束何反故にして んだよこの阿呆! それに決着はどうなったぁ!?え? ライバルであるこの俺に一言の許しを得ず 勝手に墜落死なんてみっともねぇ死に方をすんなぁ!! てわけでメシ御馳走してくんないか? 俺腹減って腹減ってぶっ倒れそうなんだよ。 あれ?何で転けてんの?」 爆仙「いきなり態度変わるからだよ!」 士朗「で今日も中華丼?それともコッペパン?」 ゼノ「中華丼」 爆仙「士朗、お前飯食いに来たんじゃないのか?」 士朗「そだったな、生破への愚痴言いついでで空きっ腹満たしに来たんだったわ」 しんのすけ「崎のお兄さん・・・まだ生きてるの?」 ゼノ「『その可能性もある』ってだけ、半端な期待はしない方がいいよ」 しんのすけ「ゼノちゃん!」 ゼノ「何?」 しんのすけ「おかわりー!!!」 ひろし「朝飯は健康の基本だからな、ガンガン食べんといかんから五歳児ごとき にゃ負けはせんぞ〜!」 みさえ「私だって沢山食べるわよー、亭主や息子に負けるかー!」 しんのすけ「母ちゃんが体脂肪率を自ら増やそうとしている・・・遂にやけくそ になったか・・・」 みさえ「何ですって〜!」 しんのすけ「のわ〜! 『体脂肪魔獣ミサラドン』が暴れた〜!」 爆仙「面白い家族ですね〜」 銀之介「つい昨日迄はおちこんどったくせにもう本調子に戻りおったわい」 むさえ「よやっと何時ものねぇちゃん達に戻ったって感じだね〜」 ひまわり「とーとー」 風間「漸く五月蝿い野原一家に戻ったよ・・・ ところで魚塚さん」 士朗「『士朗』でいい」 風間「『魚塚連合』って組織の人達教えてくれませんか?」 士朗「構わんが・・・何でだ?」 風間「あの家族の輪に入り辛くて・・・ですので・・・」 士朗「名前と年齢だけでいいんなら教えるが・・・そんだけでいいか?」 風間「結構です」 士朗「俺とゼノ、生破は言ったから後五人か、十三歳は 葉孔遺介と 新山登機、 んで高校二年が先ず酷凰町の町会役員も兼ねている 久留米勇丸、 んでその同級生で幼馴染みの 土辺克馬だろ、 そして一番新入りで 『そんな馴れ合い団体に入った記憶ねぇしお前らを仲間だと思ったこと自体 刹那すらねぇ』が口癖の 伊澄燎帝、 あっヤベ正確には故人は含めてないにしろ八人だった! 十三歳の補欠要員の 霞彰、 総勢八名のまだ無名のチームだ」 風間「へぇ・・・」 しんのすけ「渋いお茶茶ある?」 ゼノ「うん、番茶と焙じ茶、どっちがいい?」 しんのすけ「番茶〜」 ゼノ「はーい」 この朝食会は一時間以上続いた、そしてその後彼らは崎生破の変わった友人達と とんでもはっぷんな騒動に巻き込まれていく事になる。 第一章 完 一方、ほぼ同時刻、酷凰町に存在するある一つのアパートの一室、 そこには電話片手でその内容をチラシの裏でメモしている高校生がいた。 「はい分かりました、今週中に善処します」 少しつり目で短い銀髪、右眼に檸檬色で『願』と書かれた眼帯をしていて 背中に白い字で『抜粋』と書かれ、左腕の袖には金色の龍が描かれた長ランを 着ていてズボンの方は普通の学生服だがベルトは蜥蜴革という格好をした 背の高い少年だった。 彼の名は久留米勇丸、酷凰町の町内役員にして道士、そして魚塚連合の構成員である。 三十分後、彼は書き終えたメモを役員専用の電送機で町役場に送り、取り敢えず 学校の宿題をする事にした。 勇丸「1945年8月15日、日本は無条件降伏を・・・」 二分後、玄関のドアをノックしている音がした。 勇丸「(何だ?家賃なら先月半年分前払いしたから催促じゃねぇ事は確かだし・・・ 新聞は毎月払ってるし・・・じゃ大した用持ちじゃねぇな) 只今留守にしております、『ピー』っという音が鳴りましたら十五秒以内に お名前と、御用件を・・・」 「い〜さ〜ま〜る〜さ〜ん・・・人が情報持って来てやったっつーのに下らないギャグ で追い返そうとすんなやぁ!!!!」 ドアノブの鍵穴から身長160p程の肩まであるくせのない灰色の髪をして、 右の瞳が藍色、左の瞳が茜色のオッドアイで黒の布地に白の斑模様をした背広を 着ていて、ルビー色のネクタイをしてる少年が出現した。 勇丸は一瞬思考停止したが直ぐ現状理解した。 勇丸「お前の勤務してる新聞社は今日休日じゃねぇしお前自体今日昼勤でしかも未だ 休み時間じゃない筈だぞ、 それなのに何の用だ十六歳にして若手No.1の腕利き新聞記者のペンネーム 『伊槍軟角』本名門川罪槍君?」 伊槍「人を仕事中毒者みたいに言うなよ苦学生」 勇丸「苦学生は罵り言葉じゃねぇしお前実際ワーカーホリックだろーが!!! まっんなこたどーでもいい、情報って何だ? いい方か?悪い方か?」 伊槍「その前にあんたんとこの幼馴染みの居候達は?」 勇丸「茜と胡蝶が散歩で克馬が河原の土手で昼寝だ」 伊槍「あっそ・・・まいいや、やばい情報だね」 勇丸「能力者関係か?」 伊槍「入手した情報がガセじゃなかったら・・・」 勇丸「取り敢えず魚塚連合には俺が直接召集かける、 お前は爆仙と祥次、百合姫と國広先生、それと城戸と珍平を呼んで来てくれ、 一刻を・・・争う事態になりそうなんだろ?」 伊槍「嗚呼・・・早くしないとな・・・」 時は一時間程戻り酷凰町の遊歩道、野原一家と銀之介、風間君は折角なので ゼノと士朗をガイドとして酷凰町の観光をしていた。 ゼノ「今日が國広先生のアシスタントのバイト休みでよかった〜」 風間「バイトしてるの?」 士朗「六時間制時給千円残業手当及び深夜出勤有りの」 ひろし「労働基準法は?」 ゼ・士「あの人の性格上絶対完全無視!」 全員即座に呆れた。 まあ我を取り戻したが。 ひろし「その先生、漫画家?」 ゼノ「小説家、趣味が高騰して十三歳の時デビューして現在十九歳なんですよ、 アシスタントは私以外採用した事がなくて挿絵も自分一人で描いてたんですよ、 凄い我儘で自己中心的なんです、 私自体バイトする気は最初は0でしたけどだだこねられて・・・で何だかんだで 一年以上勤め人をしてるんです。」 『ブラックジャック』の『月光花』の着メロが流れた。 士朗「俺の着メロだ、もしもしこちら東京都練馬区のゥv 勇丸「気済んだら俺の話聞いてくれ」 士朗「嗚呼勇丸か、受験勉強は捗ってる?」 勇丸「俺は未だ高校二年生だ、急ぎの用だから変なギャグは辞めて真剣に聞いてくん ないか?」 士朗「こっちも大真面目じゃわい!!! この後鮒釣りしたりボーリングしたりと スケジュールがたまっとんじゃい!!」 勇丸「全部放棄しろ! てかさお前ゥv m朗「はい?」 勇丸「リーダーなら構成員の報告っつか得た情報くらい真面目に聞け!! 近くに連合の構成員居ないか?ゼノでも葉孔でも霞でもいい!知らせる手間が 省ける!!」 士朗「て事は勇丸は俺から電話を掛けたのか?」 勇丸「いい加減にしろ馬鹿総帥!! 居るのか居ないのか、いたら誰が近くに居る のか、先ずそこから教えろ!!」 士朗「部外者七名」 勇丸「人の話聞いてたぁ?」 士朗「俺の他はゼノ一人だよ、そんで何?」 勇丸「魚塚連合本部に来てくれ、早い話が」 士朗「ちっとも早くないだろが」 勇丸「誰のせいだ誰の!!」 士朗「俺のせいに決まってんだろ!自分のやった事を他の奴に責任転嫁する程 俺は無責任じゃねぇ!!」 勇丸「威張るなよ!素直に自分のせいだって認める潔さは立派だがな!!」 士朗「あんがと」 勇丸「連合構成員全員と珍平と祥次と百合姫と國広先生と城戸も来る予定だから、 いいか?集合時間は午後七時半迄だぞ!」 士朗「無理、大切な用事がある、どうしても抜けれん」 勇丸「大切な用事?内容次第じゃ時間ずらしていいが」 士朗「『金田一少年の事件簿』の再放送がキッズステーションである」 勇丸「録画しろッ!!!!」 士朗「ビデオで?DVDで?オープンリールで?」 勇丸「なんでもいいわい好きな方で録れや!!!! てかオープンリールに録画機能はねぇッ!! いいか?確かに伝えたからな!分かったら返事しろ!」 士朗「ういーっ」 勇丸「返事は『はい』!」 士朗「はーい」 勇丸「返事は短く!!」 士朗「はいはいはいはい」 勇丸「『はい』は一回!」 士朗「はい」 勇丸「分かりゃいい、いいな?午後七時半だぞ!理解したな!?」 士朗は返事をしなかった。 勇丸「返事しろ!」 士朗「『偉大なる士朗様、御返事をおなさり下さい』と言えば返事する」 勇丸は顔や手に青筋が出来、握る受話器にもヒビが入っている。 勇丸「『偉大なる士朗様、御返事をおなさり下さい』」 士朗「ういさー」 五秒間静かになった。 勇丸「来なかったり一瞬でも遅刻したりすっとクロロホルム嗅がして 眠らせた後ビニールシートとナイロンザイルで簀巻きにした後ドラム缶入れて 猿轡かまして足をセメント漬けにしたうえで阿蘇山の火口に落とすからそう思えよ 魚塚士朗君? 分かったな!!!」 乱暴に切った。 少し沈黙した。 士朗「からかいがいのない奴はこれだから嫌いだ」 ゼノ「限度があるよ」 ひろし「あれだけからかえばなぁ」 みさえ「たとえ釈迦や天帝でも激怒するっての」 しんのすけと士朗以外頷いた。 士朗「今度会ったら謝ろ」 風間「その方がいいですよ士朗さん」 一方勇丸はというとゥ勇丸「次は葉孔だな」 伊槍「お疲れ様」 勇丸「あんがとよ、ところでお前珍平達に連絡済んだのか?」 伊槍「そだった」 勇丸「はよ行け」 伊槍「アイアイサー」 伊槍はジェル状の液体となり窓から外に出た。 勇丸「あいつ本当に人間か?」 連絡を気を取り直して続ける勇丸だった。 そして午後六時二十四分、士朗は大型の人力車の取手を掴んでいた。 士朗「乗れ」 ゼノ「OK」 風間「何処に・・・行くんですか?」 士朗「魚塚連合本部、爆さんは先に行ってるから、乗る?」 しんのすけ「乗る」 ひまわり「てや」 むさえ「私も乗ろっと」 銀之介「んじゃオラも同乗すっぺ」 ひろし「俺達も乗んないか?人力車なんて滅多に乗れんぞ」 風間「いいんですか?」 士朗「いーよいーよ」 みさえ「それなら遠慮なく・・・」 で全員乗った。 ゼノ「『シートベルト着用』と『口を開けて・・・喋らない』だけは守って下さい」 し・風・銀・ひ・み・む「?はい」 士朗「では・・・出発!」 全員がゼノの忠告の意味をその途端理解した。 『人力車』という次元の速度では無かったからだ。 例えていうなら多分 『屋根の無いリニアモーターカーが駅を無視して考えなしに突っ走っている』 状態であるだろう。 ゼノの心「士朗君、この前迄『時速80qを96時間休息抜きで走れる』くらいだった けど・・・ 今はひょっとして『時速120qで156時間休憩抜きで走行可能』なんじゃないかな、 まあ・・・崎君は『分速20qで7059時間呼吸抜きで疾走可能』・・・だったし 人間の脚力の限界点を二人共完璧に突破してるな。 凄いや、何でOlympic目指さないんだろう」 ゼノは心の中で考えながら眠りについた。 十五秒後・・・ そして勇丸は最後の連絡先、『伊澄燎帝』に召集の連絡をかけた。 勇丸「・・・というわけだ、直ぐに本部に来てくれ」 燎帝「あのな」 勇丸「何?」 燎帝「何百回何千回何万回言えばテメーらは理解するんだ?」 勇丸「何を?」 燎帝「俺は魚塚の飯事集団に入った覚えも記憶もねぇ!テメーらで勝手に何時までも 遊ぶのは関知しねぇが他人を巻き込むな!」 「大丈夫だよ久留米さん」 「兄貴必ず来るから」 燎帝「H(ハイドロ)ォ!O(オキシ)ィ!お前等何勝手に返信してんだぁ!」 O「『どんな用事でもキャンセルして来る』と言いました」 燎帝「言ってねぇ!!」 H「『俺様がいれば千人力だ、首長くして待ってやがれよ俺様の大切な仲間共』 と更に言いました」 燎帝「言ってねぇ!何お前等居候同然の身で家主の俺の科白を勝手に作るんだよ!! それも御丁寧に魚塚の馬鹿野郎が関わってるときに、しかもあいつ等にとって 都合のいい返事を!!」 H・O「『今すぐ行くからお前も早く来い、遅れたら御飯小鉢一杯にマヨネーズ 徳用のを六本分かけた混ぜ御飯食わすからな』と言いました」 燎帝「何だその銀魂の土方スペシャルのようなマヨ御飯は!!」 勇丸「じゃ遅刻すんなよ伊澄、じゃ本部で顔遭わそぜ」 燎帝「ちょっ・・・おい久留米!!」 切れてた。 一分後・・・ H「兄貴どこ行くの?」 燎帝「プチ家出」 O「何で?」 燎帝「スリランカで本場の紅茶が飲みたくなった」 H「私も行くー」 O「僕もー」 燎帝「駄目だ!!お子ちゃまは家でゲームしてろ、生活費、寝室の奥から二番目 の机にしまってあっから好きなだけ使え、いいか?俺はあくまで紅茶飲みに ダージリンに行くだけだからな、あいつ等の本部に行くわけじゃねぇからな? 何日か留守にする、いいか? 夜更かしはすんな 夜騒ぐな 家の掃除は最低でも二日に一回はしろ 食後には歯を磨け お菓子ばかり食うな 物は散らかすな 布団はたとんで押し入れにいれろ 夜遊びはするな 学校はちゃんと行け但し交通ルールは登下校時一般外出問わず守れ 苛めはするなそして誰かがやってたら止めろ いいか?これ等だけは守れよ?したらもう遊ばねぇぞ!!」 H「行ってらっしゃーい」 O「風邪ひかないでねー」 燎帝「野暮用さっさと済ましてこの家に帰らねーとな・・・」 顔立ちはかなり整っていて耳の周りは黒髪、後は白髪の久留米勇丸と同じ歳の 背の高く体格のいい少年はサングラスをかけて鼠の毛皮で出来た装飾の無い帽子を 被り緋色のシャツの上に濃いめのダウンジャケットと学校支給と思われる 蒼色の下のジャージを着て歯ブラシやタオル、薬等の日用品を詰めた非常用の リュックサックを背負って宝貝と財布をウエストポーチに入れて普通の自転車に 乗った。 燎帝「守れよ!いいな!!」 H・O「ほーい」 燎帝「土産買ってくるからな〜」 取り敢えずH・フロッドとO・コーカラムは燎帝に向かって手を降った。 H「パスポート忘れて外国の何処に行くんだか・・・」 O「全く・・・素直じゃないんだから・・・士朗、生破君の分迄皆を守ってくれよ」 H「じゃ久し振りに二人宴会やる?」 O「嗚呼、そうしよう・・・」 そうして野原一家達は『神湯山』という山の中腹にある廃寺に来た。 といっても士朗とゼノ以外は全員泡を吹いて気を失っているが。 士朗「どうしたあんた等!?誰かにやられたのか?」 ↑こいつに。 ゼノ「いや、普通は気を失いますよ」 士朗「お前は平気なんだな」 ゼノ「慣れてるから・・・そんな事よりさ、『神湯山石華洞』にこの人達運び ましょうよ」 士朗「境内の何処にあったっけ?」 ゼノ「自分達の本部の場所くらいちゃんと把握しとけ」 士朗「滝の前だろ?知ってるよ、真面目だなお前」 ゼノ「貴方達が不真面目過ぎるんです、ただ純粋に」 というわけで ゼノ「何が『というわけで』だーーー!」 士朗「ナレーションにツッコミかますな」 二人は廃寺の境内にある大きな滝の前に来た。 士朗「おい『神湯山石華洞』、俺だ主の魚塚士朗だ、通路出してくれ」 「問題ヲ出シマス、主ナラ解答可能ナ問題デス」 士朗「冗談こくな『石華洞』のメインコンピューター」 「スミマセン調子ノリマシタヨ」 ゼノ「結構ハイテクなんだね此所」 そんで滝から大樹をくりぬいて作った筒状の通路が出てきた。 士朗「よし、入るぞー」 士朗は野原一家達を全員抱えて『神湯山石華洞』に入っていった。 第二章 完 伊槍「その前にこの伊槍が僭越ながら『神湯山石華洞』の御説明をさせて戴きます。 『神湯山石華洞』は崎生破が九歳の頃担任の先生と共に授業をサボって来た日 に崎生破が偶然発見した洞窟です、描写でお分かりかと思いますが滝の裏側にあった ので今迄発見されなかったのです。 そしてそれから二年後親友でありライバルでもあった魚塚士朗にその洞窟を見せました 〔当時は魚塚連合は未だ創設されておらず、また士朗とつるんでいる人間も 崎兄弟、ゼノ、葉孔遺介、新山登機くらいだった〕 そうしたら魚塚士朗は洞窟に『神湯山石華洞』と命名し 〔崎は見つけただけで何一つしなかった〕 自分達の秘密基地にしようと言い出し更に隣県の自動車工場等から部品を窃盗し 崎爆仙の協力を得て装置を製造・設置したんです、 ちなみに筒状通路の原材料は御神木です、 長くなりましたがこれで終わりです。 ありがとうございました。」 拍手音が聞こえた。 ゼノ「何処から!!?」 第二章 本当に完 勇丸は神湯山を白というより雪色の短髪をしていて、背の高さは勇丸とほぼ同じ、 鼈甲色のフレームの眼鏡をかけていて黒に染めた夏服と右膝には『躍動』、 左膝には『憂鬱』と上の方の字がどどめ色、下の方の字で赤で書かれた制服のズボン を着ていて、ボロい包帯を足に巻いて足袋を履いている少年と共に登って『石華洞』 に向かって登っていた。 勇丸「なぁ土辺」 「克馬って呼べよ」 勇丸「すまねぇ克馬、今回は生き延びような」 克馬「馬鹿野郎、『今回も』、だろ?」 勇丸「それもそうだな」 克馬「春日部にいるお前の親兄弟の為にもな」 勇丸「お前郁の奴の事、未だ責任感じてるか?」 克馬「嗚呼、充分」 勇丸「今回の用事済んだら先ず片を付けるぞ」 克馬「嫌だ」 勇丸「それじゃ何時まで経っても仲直り出来ないぞ」 克馬「あれ祥次じゃないか?」 勇丸「聞け!!」 克馬「よっ祥次!!」 「勇丸さんに克馬さん・・・貴方達も僕同様『石華洞』に・・・?」 クセのない黄緑色の肩にかかる程度の長さの髪を凧糸で纏めていて、十三歳とは 少しばかり思えないほどの童顔をしていて普通の学生服を着ていて140〜150p程の 身長の少年『掘口祥次』は二人の友人に質問をした。 克馬「そうなんな」 祥次「僕は未だ生破君が死んだという事実を認めてません」 勇丸「俺もだ、てか祥次、話変わるけどお前のとこに伊槍の奴来たか?」 祥次「来てなかったら此所に来ていません」 勇丸「すまん!変な質問してよ、アイツの事お前がいきなり話すから」 克馬「勇丸と生破は気が合ってたし祥次は生破と親友同士だったもんな」 勇丸「伊槍の奴他の連中の所回ってたか?」 祥次「はい、百合姫さんと城戸さん、珍平君はもう『石華洞』に向かったと、 先生は原稿仕上げたら直ぐ行くそうです」 勇丸「連合の連中も全員時間内迄には来るって、伊澄の奴は・・・」 祥次「来ますよ、あの人天邪鬼なだけでちゃんと僕らや士朗君達の事考えてますし」 燎帝「それは誰の事だ祥次」 祥・勇・克「へっ?」 三人の後ろには拳を鳴らしている燎帝がいた。 祥次「お、お久しぶりです燎帝さん」 燎帝「冗談だ、嚇かして悪かったな」 勇丸「伊澄、結局来たのか、悪いな」 燎帝「来たくて来たんじゃねぇ!!!! いいか?俺は久留米から連絡が来た後 珈琲飲みにコロンビアに行こうと成田空港に向かったんだ」 注・連合メンバー「本人形のみ否定」の中で燎帝は唯一東京に住んでいます。 祥次の心「また始まったよ・・・」 勇丸の心「一体どうやったらあんな幼稚園児の学芸会のレベル以下の現実味全然ないアホな 嘘が思い付けんだよ」 克馬の心「嘘つく才能も何もないんだから黙ってりゃいいのに・・・」 燎帝「何か思ったか?」 祥・勇・克「いえ何も思っていません・・・」 燎帝「俺に嘘をつく才能や技術がねぇとでも思ったのか?」 祥・勇・克の心「自覚しろいい加減!!」 燎帝「成田空港までバスで行ったんだがつい昨日の祖父の葬儀と学校が七時間だったのが運悪く 重なってしまい目的地を寝過ごして・・・朝起きたら酷凰町に到着したから朝飯食った後 公園で更に一眠りをして帰るつもりだったが金が無いので仕方なく魚塚に交通運賃を 貸してもらおうと思ったが家にあいつが居なかったんだ、だが久留米の連絡であいつが 本部である『神湯山石華洞』にいる事を知ったので向かっていたんだ、それが理由」 三人とも何も言えなかった。 燎帝は『俺の言うことを納得したのか』と曲解、 三人は『この人嘘だと刹那で分かる苦しすぎる言い訳と理解した上でこんな戯れ言を 言ってるのか?』と思った。 燎帝「いいか?それが理由だぞ?」 祥次「ハイワカリマシタ」 勇丸「サテソロソロ時間ダシ無駄話ハ此処マデニシテイクカー」 克馬「ソダナー、サー出発ダー」 祥次「了解シマシタ、サッ遅刻シナイヨウペースヲアゲマショー」 燎帝「お前等全く信じてねぇんだな?そうだな?そうなんだな!!」 信じた方がおかしい。 そして四人は廃寺を目前にしてある声を聞いた。 「信号待った方が早いってだから言ったじゃないかー」 「そう言うな新山、着いた事実は揺るぎない事じゃないか」 「葉孔君、君がしたのは『急がば回れ』でも『近道』でもない、『寄り道』だ」 燎帝「葉孔に・・・新山に・・・霞か?」 三人「へっ?」 薄い水色の髪をしていて右目と口の左側の唇の部分が見えている蝉の仮面をしていて、 服装は緑色の背広でかんじきを履いていて亀虫が描かれているネクタイを付けている少年 『葉孔遺介』と 手入れが行き届いているのかいないのかわからない少しばかし長めの黄色の髪に黒い装飾のない ピアスをして、服装は鳳凰と梅の花が描かれている空色のセーターに白の長ズボンを着て 底が厚めのスリッパを履いている少年 『新山登機』、 そして紅色のショートヘアに野球帽を被り、服装は白黒の縦縞柄のTシャツに黄色の短パンを着て 白い靴下の上に黒い運動靴を履いている少女 『霞彰』が四人の近くの獣道にいた。 燎帝「お前等また何か馬鹿なことしたのか?」 葉孔「うんにゃ、違いますよ」 新山「馬鹿な事したのはこいつです!!」 新山は葉孔に人差し指を向けた。 話を聞くと彼らは此所から一番近い信号で偶然遭遇し、彼ら側の信号が赤信号だったらしい。 その時葉孔は歩道側の赤信号が点滅している時に 『いい近道見つけたから・・・少し回り道になるけどこっちの方が早いよ』 とぬかした。 〔『神湯山石華洞』にはその信号を渡ってそのまま少し整備されている山道を進んだ方が最も早い〕 〔その信号の待ち時間は三分弱〕 祥次「続きは?」 新山「それでね祥次君・・・」 更に聞くと、四時間かけて『神湯山』の裏側に行き、藪の中に入って更に五十分、葉孔は鍾乳洞に案内 してくれて、そうして二時間かけて洞窟を進み、最後の分かれ道の時彼が右に進むのでついていき洞窟の 出口についたらそこは酷凰町とは隣の町だった。葉孔に訪ねてみると 『あそだった、最後の分かれ道、左だった、行くの』 と言った。 問い合わせると前回の集会の時は召集の時葉孔は隣町で蕎麦を食べていた、その時鍾乳洞を偶然発見し、 更にちゃんと行っても一分しか短縮されない事も判明した。当然三人は四時間かけて山道まで戻って来た。 勇丸の心「アホらし過ぎてコメント出来ん・・・」 燎帝「そりゃ災難だったな」 霞「ええ・・・」 葉孔「一応困らせるつもりは皆無だったんですがね・・・」 克馬「結果見りゃお前が悪いだろ?」 祥次「僕達と一緒に行こうよ、行き先同じだし・・・」 霞「君の意見に賛成する・・・もう洞窟探検は懲り懲りだ」 七人となって同じ目的地に向かう能力者達・・・ 「あー弁当旨かった」 祥次「ん?」 葉孔「どしたの祥次」 祥次「いやさっき城戸さんの声がした気がして・・・」 勇丸「何処から?」 祥次「真後ろから・・・」 燎帝「じゃ振り向こう」 七人が同時に振り向くとそこには空の弁当箱と箸を持ってて、頭に白い三角巾を被っていて額に黒い 短髪が所々はみ出ていて、耳に赤鉛筆を挟み普通の学ランを着ていて茶色い鹿の革靴を履き、そして 右腰にリコーダー入れを差している高校二年生の『城戸創作』がいた。 城戸「よお祥次、元気だったか? 久留米も土辺も一緒か〜あれ?伊澄?何で?葉孔達なら分かるけど」 勇丸「それはだな・・・こいつは俺達の事を仲間って本心では思ってるけど照れていて変な嘘ついて・・・」 燎帝「あぶねぇ久留米!!」 勇丸「ゲブフォ!!!」 燎帝は勇丸を蹴りとばした。 勇丸「ガ・・・ガ・・・」 燎帝「今お前の背中にハブがいたぞ、安心しろ、潰したからな」 霞「本土にハブは生息してませんよ」 城戸「んでどうしているんだ?」 燎帝「あそれか?どうやら最近夢遊病の気があってな、昼寝している間に此所まで来たんだがそれまでの 間の事覚えてないんだ・・・で飯食わせてもらおう思って魚塚の本部に来たんだいや困った困った」 全員が刹那で嘘だと分かった。 ↑当たり前。 城戸「お前三歳の幼児でも一瞬で嘘だと分かる事言ってて恥ずかしくないのか?」 燎帝「嘘だと何故言い切れる!!」 祥次「どうやったら本当だって信じることが出来るんですか?その理屈をお教えください」 燎帝「五月蝿いチビ祥!!だいたい城戸は何で此所にいるんだ!!!!」 城戸「六時間前に伊槍が俺んちのソファーの隙間から出現して説明したらさっさと今度は普通に玄関から 出ていった、少し笛達を洗った後我が半身『農林一号』を持って家を後にした」 勇丸「他に何百本笛持ってる?」 城戸「何百も持ってないわい!!!」 勇丸「すまんな」 城戸「三十万本だ!!」 葉孔「いえその数は既に変質者の域に達しています」 ↑昆虫関係の図鑑を八百万冊以上持ってる人。 霞「城戸さんに失礼だよ、謝りなさい」 城戸「変人扱いされんのは慣れてる、気にすんなよ」 という経緯があり八人は『神湯山石華洞』に着いた。 ゼノ「すみませんこの名簿にサインして下さい」 新山「分かった、出席してるかどうか分かるようにだね」 城戸「あヤベ俺ペン持ってきてねぇ」 勇丸「貸そっか?」 城戸「芋版ならあるけど・・・」 ゼノ「構いませんよ・・・別段・・・」 八人全員サイン記入が終わった。 克馬「集合する部屋は?」 ゼノ「会議室でお願いします」 葉孔「OKOKカラOKクビOK」 勇丸「つまんねぇ・・・」 新山「士朗は何してんの?」 ゼノ「携帯からペンタゴンに向けてハッキングしてます、アメリカ政府を探るって」 霞「可能だろーね・・・」 燎帝「嗚呼・・・以前あいつ携帯電話でウィルス作って文部省のコンピューター使えなくした事あるもん な」 勇丸「後誰が来てる?」 ゼノ「爆仙さんと野原一家です」 祥次「生破君が春日部に狐里收岳退治しに行った時世話になった?」 ゼノ「そうなるね」 「ふ〜やっと来れた、今日は〜」 髪は膝まで届いている薄い肌色をしていてそれを何十という小さい束に分けていて、身長は155p程、 瞳の色は白く、服装はキョウチクトウの刺繍のある黒いYシャツに首にスカーフを巻いていて、 茶色いロングスカートを履いていて靴は業務用の長靴を履いている少女『虻川百合姫』は挨拶した。 祥次「百合姫さん」 百合姫「あ、祥次!あんた元気出たんだね、生破の通夜の日も元気なかったくせに」 百合姫は祥次の髪をくしゃくしゃにしてる。 勇丸「やめろ百合姫、祥次の奴嫌がってんぞ」 ゼノ「サイン下さい」 百合姫「あいよ〜」 ゼノ「後は國広先生と・・・珍平君と・・・」 葉孔「まだいんの?」 祥次「いるって・・・」 ゼノ「取り敢えず皆は会議室に行ってください」 燎帝「嗚呼分かった」 ゼノ「コーラと醤油煎餅くらいは用意してますから」 勇丸「サンキュー」 そしてゼノは待ってる。ゼノはいきなり背中から抱きつかれた。目隠しもされた。 ゼノ「あの・・・」 「だーれだ?」 ゼノ「いい加減にして下さい、声機械で変えてますけど貴女でしょ國広先生」 「あちゃーバレたかー」 髪は少し長めの朱色で瞳の色が焦げ茶色、スタイルはよく服装は迷彩柄の作業服で靴はビーチサンダル を履いている成人と少女の雰囲気を併せ持つ女性が現れた。 國広「今日のお仕事よくも来なかったねー」 國広はゼノの髪を引っ張ってる。 ゼノ「痛い痛い、てか今日は非番ですよ」 國広「私のアシなら私が頭の中で予定を変更して昼勤にした事くらい分かれこのサボり魔」 性格・我儘と自己中が服を着て喋っているような人。 ゼノ「無理ですよ國広先生、先生なら出来るんですか〜?」 國広「私はそんなサイキック設定じゃないもん小説家の道士って設定しかないも〜ん」 ゼノ「無茶苦茶過ぎますよ私だって普通の七歳の女の子なんですよ」 國広「そいえばそだったね、けど職能力持ってんじゃん」 ゼノ「そいえばそーでしたねすみませんね自分の設定忘れていて!!」 國広「あたしゃゼノちゃんの事尊敬してるんだよだから☆」 ゼノ「ありがとございます、処で原稿あがったんですか?」 國広「うん」 ゼノ「じゃサインして下さい」 國広「私のサインなら君いっぱい持ってるじゃんか」 ゼノ「出席の証明のサインをこの名簿にして下さい」 國広「芋版でいい?」 ゼノ「ネタ被ってます」 國広「はいはい、じゃ羽ペンでいい?」 ゼノ「はい」 そして『崖石國広』は名簿にサインした。 國広「会議室だよね?」 ゼノ「はい」 國広「生破の奴来てない?」 ゼノ「来てませんよ」 國広「『来られない』の方が正しいんじゃない?」 ゼノ「いい加減にして下さい」 國広「あいよ〜おやつは?」 ゼノ「用意してます」 國広「ゼノちゃん夜露は体に悪いよ」 ゼノ「後実質一人なんで・・・も少し待ちますよ」 國広「じゃまたね」 ゼノ「すぐ会いますけど」 現在時刻 午後七時二十五分 未到着者 残り二名 その時ゼノの携帯電話から音が鳴った。 ゼノ「もしもし」 「亀よ亀さんよ」 ゼノ「何珍平君?」 「あっゼノか、少し遅れるわ、わりーな」 ゼノ「早めに来てね」 「うし分かった〜」 ゼノの後ろには突っ立ってる赤髪をしていて右手には携帯電話を持ち、顔は猿顔に近く、服装は 長袖の袖が灰色で残りが紺色のボタン付きのジャージに両手にアナログ式の腕時計を付けていて、 紅葉の模様のある長ズボンを履いて、桐製の下駄を履いたゼノと崎達との間程の年齢をした125p程の 身長の少年がいた。 ゼノ「珍平君?」 珍平「そだけど・・・忘れたのか?」 ゼノ「どうして私の後ろに?」 珍平「此所に俺が来たから」 ゼノ「いつ来たの?」 珍平「さっき」 ゼノ「どうして近くにいるのに電話なんかかけたの?」 珍平「いや新型携帯Auで買ったから試してみたくて」 ゼノ「どんな携帯?」 珍平「電源OFFの状態で暗証番号を押すと・・・」 携帯の画面を珍平は空に向けた。そして暗証番号を入力、画面から熱線がでた。 珍平「おもしれーだろ?」 ゼノ「何処の死の商人から買ったのこんなもん」 珍平「Au」 ゼノ「嘘つくな!!」 取り敢えず珍平もサインして『神湯山石華洞』へ、そして集合時間になった。 ひろし「みさえ、このビール変だぞ」 みさえ「何処が?」 ひろし「苦い味がする」 伊槍「ようやく再登場致しました!」 ひろしの飲みかけの缶ビールの中から出現した(しかもビール缶を破裂する形で)。 珍平「お伊槍かぁ久しぶりだな元気だったか?」 伊槍「会社からは『休め』と言われているが」 ともかく全員集合した。 第三章 完 会議室、そこにあるパイプ椅子に勝手に座っている。 國広「ゼノちゃんカルピスある?」 ↑乳酸飲料好き。 ゼノ「ありますよ、常備二十八種類の飲料がありますから」 しんのすけ「ゲーム作ってるの?」 勇丸「内職で少しばかり、『梨を永遠に拾い続ける』とか『運ばれてくるペットボトルで倒れてるのを 立てる』とか・・・顧客は作れてるからいい金になるんだ」 風間「売れてるんですか!?」 勇丸「ボチボチ」 伊槍「皆さんお聞きください、これは俺の調べたある能力者集団の事です」 百合姫「能書きはいいから早く喋って」 伊槍「忍法『録音再生の術』!!」 伊槍は自分の首を自分でノコギリで切断し体は首の後頭部の皮を剥いだ。体は付いているスイッチの 『音楽』、『再生』のボタンを押し首を机の上に乗せた。 しんのすけは拍手した。 しんのすけ「すごーい」 みさえ「怖い・・・」 むさえ「化物・・・」 ひろし「それで世界中回って食っていけるんじゃないか君・・・」 伊槍「不労所得は嫌いなんで・・・」 風間「珍しい人ですね・・・貴方・・・」 伊槍「よく言われる、テーマ曲流します」 城戸「どんな曲だ?」 伊槍「帰命無量寿如来南無不可思議光法蔵菩薩・・・」 燎帝「曲じゃねぇだろ」 伊槍「それ人間の浄生なる相をつらつら観ずるにおよそはかなきものはこの世の始中終まぼろしのごとく 一期なりさらばまだ万歳の人身をうけたりということをきかずいまにいたりてたれが百年の形体を たもつべきやわれや先ひとや先今日ともしらず明日ともしらずおくれ先だつ人はもとのしずくすえの露 しげしといえり〜」 珍平「されば朝には紅顔ありて夕には白骨となれる身なり」 しんのすけ「オラも参加したい〜すでに無常の風きたりぬればすなわちふたつのまなこたちまちにとじ 一つのいきながくたえぬれば紅顔むなしく変じて桃季のよそおいをうしないぬるときは六親眷属あつまりて なげきかなしめど・・・」 ゼノ「やめい!これの何処がテーマ曲だ!葬儀に参加してるんじゃあるまいし!」 ひろし「しんのすけ、なぜお前が知ってる?」 しんのすけ「上尾先生に教えてもらった」 珍平「俺は育ての親かな・・・子守唄がわりによく聞かせてもらった」 爆仙「いい親だね」 珍平「あいつ仏教徒だったから・・・まあ道教や儒教も信仰していたがな」 勇丸「本題に入れ!!!!」 伊槍「はい」 克馬「怒ってるが何でだ?」 勇丸「立腹してんだよ」 珍平「立腹と言うと・・・」 勇丸「おい待て!絶対見当違いな事を言って俺に言葉は似てるだけの意味が全く違う単語を言わせようと してるだろ!!」 珍平「チッ・・・先手を打たれた・・・何故分かったんだろう」 勇丸「わからいでか!」 伊槍「本題に入りますよ・・・野原家の皆様にはお人払いを・・・」 しんのすけ「嫌だ!聞きたいぞ!ところで人払いって何?お祓いの一種?」 珍平「ちげーよ、人払いってのは密談の際、他の奴を席から遠ざける事、 または貴人の通行の際、往来の人を去らせる事」 士朗「流石は生き地獄」 霞「違うよ士朗・・・」 葉孔「そうそう、生き仏だって・・・」 燎帝「生き字引じゃねえのかよ?」 ゼノ「・・・また話ずれたよ・・・」 伊槍「聞く気あると・・・判断して宜しいですね?」 ひろし「ま生破君と関わった時点でもう既に関わってるも同義語だしな・・・」 みさえ「こうなったらとことん関わらせてよ」 ひまわり「たて・・・あたちも・・・たたわりゃちぇて」 銀之介「まあ話位は聞かせてほしいのう」 伊槍「感謝します、しんのすけ君、君に一つ訪ねたい事があります・・・」 しんのすけ「オラが何故こんなにカッコいいのかを・・・?それは・・・」 他全「聞いてない聞いてない」 伊槍「崎生破の能力と宝貝・・・見ましたか?出来れば宝貝の方から先にお願いします・・・」 しんのすけ「ん〜とね〜・・・『烈光砲』に『蛮漢剣』、そんで『波願十手』に『逆頭鱗』・・・」 伊槍「この三つだけですか?答えて下さい」 しんのすけ「うん」 伊槍「分かりました・・・他の宝貝を教えましょう・・・冷気と炎を放出する『氷炎竜』・・・ それと本人も命に関わるので滅多に使用しない『天鮮冥虐掌』があります・・・」 ひろし「あの質問の意味は?」 伊槍「大してありません・・・彼が幾つの崎生破の宝貝を知っているか・・・を聞きたかっただけなんで」 ひろし「俺からも一つばかり質問したい・・・仙道とは何だ?」 伊槍「仙人・道士の総称です、二種類あって大きく分けて人間かそれ以外かに分かれます・・・」 みさえ「それ以外って・・・どういう事?」 伊槍「動植物、または鉱物、もしくは天使や悪魔も含まれます・・・ごく稀ですが絶滅が確認された生物 も入っています」 風間「仙道の能力は?」 伊槍「流派によって違いますが大抵は宝貝です、仙人や手先の器用な道士により作られます、もしくは 特殊なアイテムによって間接的に造られますが危険過ぎてとても一般向きではありません・・・それと 普通の人間に使用は不可能です、理由は持つだけでせいぜい十分でミイラになります、他にも雲に乗ったり 水を酒に変えたり傷を治したりも可能です、ちなみに仙道になれば成長期なら普通より遅めの成長はします が基本的には不老不死です、但し暴力的な死からは逃れられる事は不可能だし病死する事もあります」 むさえ「結局老衰はしないけど他は一般人同様の死は免れないって事?」 伊槍「そうなります、処でしんのすけ君、崎生破は君に職能力の事を教えましたか?」 しんのすけ「うん、“手裏剣”に“戻”を加える能力っついうブーメラン手裏剣を・・・人差し指回してて 手裏剣で切った枝を戻してたりしてた・・・」 伊槍「レベル2も見せたんだな・・・」 注・職能力のレベル2設定はオリジナルです。 銀之介「レベル2って何だね?」 伊槍「崎生破の場合職能力で起こった破壊や結果を元通りにしたり効果を加えられた道具をただの道具に 戻す能力です」 みさえ「仙道の方は分かったけどさ・・・職能力って・・・何?」 伊槍「特定の道具に特定の効果を与える能力、元々この世界に昔からあった能力ではなくこの世界から すれば異世界に当たる世界『繁華界』の能力なんです、それを生破・爆仙両氏の実父である崎陽陰が 異世界侵入装置で繁華界に侵入した時に能力を会得するシステムを盗み出してこの世界に持ち出して 手始めに40人程に会得させたのです、それから口コミで広がったり彼が教えたりして現在レベル2迄なれた のはざっと4桁は行くでしょうな、きっと」 ひろし「地球でみたら何人に一人くらい仙道の能力を持ってるんだ?」 伊槍「仙道では地球上の全生命体の中では・・・一割五分以上二割以下ですね、 職能力に関しては人間や人間の仙道だけじゃなく人間以外の仙道の中にも会得してる奴結構いるから・・・ 全く持って不明ですね」 士朗「能力講座には興味ない、それより此処に集めた理由を聞かせろ」 伊槍「あーすみませんな、能力者の戦闘賭博場『破城塞』って知ってますか?知ってる人は挙手して下さい」 燎帝と珍平が挙手した。 士朗「珍平知ってんのか?」 珍平「育ての親に連れてかれた事がある、能力者の表向きは競技場みたいなもんだ」 燎帝「『当たらずとはいえ遠からず』だなその表現は・・・詳しく言えば殺し合いがギャンブルとして、 見世物として選手の能力者に行わせている趣味のいい見世物小屋だ」 士朗「何で知ってるんだ?」 燎帝「グレてる時知った」 勇丸「すまん、俺も風の噂程度なら町内役員になった時聞いた、あまりにもえげつない噂だから聞かなかった 事にしたんだ、この二人とは殆んど同じ、少し内容が違うだけの噂だ」 克馬「どんな噂だ?」 勇丸「選手集めだよ、今迄は戦闘狂や腕に自信のある鉄砲玉みたいな奴を集めてそういう事してたが・・・ 今年の三月上旬に総責任者が変わってから選手集めが乱暴になってきてるって・・・」 ゼノ「例えば?」 勇丸「いじめられっ子を見つけて能力会得する方法教える代わりに入らせたり・・・」 士朗「能力で・・・復讐させて?」 勇丸「そっ他にもニートやフリーターに高額なバイトっつー題目で能力与えてやらせたり指名手配犯を 匿わせて能力与えて『言う事を聞かないと警察につき出す』と脅して 殺し合いをさせたり・・・他にも非合法的なやり方で選手を集めているって」 新山「えげつないな・・・それ以前にこんな施設自体違法でしょ?何で取り締まらないの?」 伊槍「信じると思いますか?それが理由です」 士朗「そんで?俺等に何させたいわけ?其処潰すの?」 伊槍「平たく言えばそうなりますね、まあ返事をすぐ出せとは言いませんが・・・」 祥次「伊槍さんその『破城塞』の場所は?」 伊槍「昔は浅草に・・・」 珍平「深草?」 伊槍「浅草!」 珍平「ああしょうしょうのちがい」 燎帝「それが言いたかったのかよ?」 珍平「うん」 伊槍「浅草にあったのですが・・・都市再開発の影響で埼玉県春日部市になったんです」 勇丸「俺の故郷に?」 注・勇丸、克馬、珍平は埼玉県春日部市出身。 珍平「但し俺の場合春日部市の山奥にあって初めて来る奴は遭難しないと来れない魔境“辺離境部落”出身 だけどね・・・」 ゼノ「今のところは実在しない架空の地名です」 士朗「お前等誰に向かって喋ってんの?」 百合姫「期限は?」 伊槍「明日の未の刻」 珍平「つまり明日午後2〜4時って事ね、分かった」 伊槍「それではまた明日〜ご機嫌よ〜」 伊槍は断面同士をくっつけ、更に首に胴体を引っ込めて両足だけ首からだして歩いて去っていった。 霞「怖いよ・・・」 祥次「キショい・・・」 燎帝「あいつ・・・マジで本当に人間かよ」 士朗「一説では甲賀流忍術の首領の末裔って・・・」 珍平「まあ忍者ってのは大切な事は口伝っつって言葉で伝えるから・・・秘術中の秘術かも知れないな」 爆仙「まっ明日までのんびり出来るから寝るとしますか」 爆仙は床で雑魚寝した。 士朗「そだな・・・疲れたし布団敷いて寝るベか」 新山「うんそうだね・・・」 葉孔「御休み」 しんのすけ「オラ達は何処で寝ればいいの?」 ゼノ「大広間で宜しいですか?」 みさえ「布団で寝れれば別に何処でも・・・」 ゼノ「あっはーい」 ひろし「明日は帰れるのか・・・葬儀無しで・・・」 しんのすけ「父ちゃん葬式に来ないで済んだって思わないと駄目、大切な人が死んだっていう証拠が 葬式なんだぞ」 ひろし「通夜もだそれは」 しんのすけ「それに崎のお兄さんも死んでないぞ、オラがそう思っているから!!」 ひろし「そうだな、しんのすけ」 しんのすけ「何?」 ひろし「大切な人がいるならその人が生きてる内に大切にするんだぞ」 しんのすけ「へ?」 ひろし「いずれは父ちゃん達とも別れて一人で頑張っていかんといけんし・・・それに生きている限り 『死別』は必ずある、だからこそ人は家族や友達を大切にするんだぞ、いる時は五月蝿くて煩わしいだけ かもしれないがな・・・いなくなるとその人が自分にとってどれだけ大切だったかを気付くんだ、 だからいなくなる前にめいっぱい大切にしろよ、家族や身内、友達や隣人をよ、いなくなって『あーすりゃ よかった』じゃ・・・遅いからな」 しんのすけ「知ったように言うね」 ひろし「これでもお前より七倍生きてるしな」 しんのすけ「家族皆で今日は寝ようよ・・・」 ひろし「そうだな・・・」 しんのすけはその晩家族皆と眠った。 一方『破城塞』では 「よう元気か?」 「君か・・・何の用だ?」 「御挨拶だな〜折角来てやったってんのによ〜この招待状よこしてくれてあんがとよ責任者さん」 「いいのか?栃木からわざわざ来てもらってこっちの命懸けのバイトに付き合ってもらうんだぞ」 「気にすんな、肉塊になってた俺を復活させてくれた御礼だ、まあこれ済ませて好き勝手やりたいってのが 本音だがな・・・」 「明日で終わるから安心しなよ・・・『気分の火焔』・・・いや・・・狐里收岳君」 狐里「余計な問答だったな・・・じゃ暫くどっかで飯食ってくるよ・・・」 「期待してるよ・・・狐里收岳・・・」 狐里「ま俺は暫くはあれには出ねー、出るとしたら最後だからな」 「分かったよ、頼むね・・・」 第四章 完 翌朝、春日部市の外れ・・・ 狐里收岳はおでん屋の屋台で朝飯を食べていた。 狐里「おやっさんゴボウ巻きとうずらの茹で玉子、んでちくわぶと蒟蒻くれ、それと牛乳、牛乳はできれば 低温殺菌のにしてくれ、全部がそうじゃないが市販の高温加熱殺菌したのは栄養が殆んど分解されてるから」 「わったよ、兄ちゃんかみさんいるかい?」 狐里「俺は独り身だ、俺に興味持ってくれる物好きがいなかったんだよ」 「落ち込むな、そのうちいい出会いがあるさ」 狐里「あるといいな」 「賭け事はやる方かい?」 狐里「しねえ、博打は金賭けるよかその対象になる方が面白い、『その場で朽ちる』から博打なんだぜ」 「変わってんなお前さん、煙草吸う方かい?」 狐里「喫煙は生まれてこのかたした事ねえよ、飲酒は付き合いで少しだけだ」 「ほう」 狐里は少しだけおでん屋の店主と楽しく話していた。 狐里「おやっさん今日までこの春日部にいるんだよ、晩飯も此所で食わしてもらうわ」 「嬉しいね、この年老いた老いぼれにとって唯一の楽しみは屋台を通じて兄ちゃんみてえな若い社会の 歯車とか三十路越えたサラリーマンとかの苦労話を聞く事なんでな、兄ちゃんは今日初めて来たからお代は 半額でいいよ」 狐里「太っ腹だねおやっさん、んじゃ餅巾着とロールキャベツと白滝もらおっか」 「あいよ」 狐里「俺にゃおでんが唯一の本当に好きな食いもんだかんな、おでん食う時だけ全部忘れられるよ・・・」 「他の趣味はねぇのかい兄ちゃん」 狐里「温泉も好きだな、風呂上がりに低温殺菌のフルーツ牛乳を飲んで・・・サウナも設置されてりゃ必ず 入るよ、けどやっぱ最高の趣味は人殺しだな、特に火に呑まれている奴の断末魔はヨーグルトの肴には最高 極まりないし・・・」 「冗談うまいね兄ちゃん・・・」 狐里「ん?」 狐里の携帯電話から着信音が聞こえた。メールが来ていてそれを読んだ。読み終わり携帯を畳むと狐里は 立った。 狐里「おやっさん代金いくら?」 「えーと・・・5740円になっけど半額の2870円ね」 狐里「やべ小銭ねえや、んじゃ三千円でおつり130円」 狐里は店主に千円札三枚渡し百円玉一枚と十円玉四枚を受け取った。 狐里「十円一枚多く渡してるぞ」 その十円玉を返した。 「兄ちゃんまた来いよ〜」 狐里「開始時間か・・・少しくらい飯鱈腹食わせろってんだ、まいいや、終わったら先ず・・・この春日部 を俺の『炎獄掌』で壊滅させる・・・俺の復活祭・・・いや・・・復讐劇兼・・・この町の血祭りの序章は 始まったばかりだ・・・」 同時刻、野原一家&魚塚連合とその他は外で鍋を食べていた。 ひろし「みさえ、どうするか・・・決めたか?」 みさえ「分かってるでしょ?もう」 ひろし「すまん」 しんのすけ「父ちゃん・・・もしもだけど・・・『気分の火焔』・・・狐里收岳がいたら?」 ひろし「いるわけねえって・・・あいつは死んだんだぜ」 しんのすけ「そだね」 伊槍「決まりましたか?」 伊槍は石と石の間から出現した。 爆仙「君か・・・何しに来たの?」 伊槍「回答をもらいに・・・そして・・・」 全員静かになった。 伊槍「朝飯を食べに来ましたー☆御馳走して下さい〜♯」 全員が即座に転けた。 伊槍「あれ?どうしましたか?」 ↑本当に分からない。 士朗「伊槍さんよ、答えは分かってんだろ?」 伊槍「充分ね、だけど一応念の為に聞きました」 珍平「帰る」 他全「違うだろ!」 しんのすけ「オラ行く!」 珍平「さっきのは冗談だ、俺も行くよ、気が変わらないうちに行こうぜ」 伊槍「それでは・・・全員行くと・・・解釈してよろしいですね?」 静かに全員頷いた。伊槍は頭を下げた。 伊槍「感謝します」 爆仙「どうやって春日部まで行く?」 伊槍「飛行機で」 ゼノ「お金は?」 伊槍「この人数くらいなら俺の給料で充分事足ります。まあ弟に少し怒られましたが・・・というわけで 向かうは殷王朝!」 燎帝「モロに目的地違うだろ」 伊槍「そでしたな」 取り敢えず空港に着き、そして羽田行きの始発の飛行機に乗った。 そして羽田空港に着いた(乗っていた飛行機は炎上) 勇丸「俺等ってさ・・・死神に見放されてるよな・・・マジで・・・」 克馬「そっか?たかが飛行機事故に巻き込まれたのがこれで合計七回目ってだけだろ?」 士朗「俺は三回に一回は飛行機事故に巻き込まれている」 祥次「僕はこれで六回ですよ・・・」 國広「私は二回目」 燎帝「お前等ともう二度と飛行機に乗らない!」 珍平「だろーな・・・」 葉孔「そー言う珍平は?」 珍平「二十七回目」 ひろし「こいつらとは一緒に飛行機に乗らないようにしような・・・未だ死にたくないし・・・」 みさえ「そうね・・・」 伊槍「では稲荷神社に行きますよ〜」 燎帝「だから目的地変わってるっての・・・」 葉孔「お菓子は幾らまでですか?」 ゼノ「遠足か!?」 伊槍「八百円まで」 ゼノ「答えんなよ!!」 霞「バナナはおやつに含まれますか?」 ゼノ「遠足じゃないってだから!」 伊槍「果物ですので含みません」 ゼノ「答えんなっての!!」 しんのすけ「その八百円って消費税込み?」 ゼノ「どんな幼児だあんた・・・」 伊槍「判断にお任せします」 燎帝「いいのかそれで!!」 むさえ「行かないの?『破城塞』に・・・」 伊槍「当然行きますよ、俺達の目的はそれですからね・・・さあ行きましょう、『覆水盆に返らず』とも言い ますしね・・・」 祥次「用途・・・違います・・・全然・・・」 百合姫「どうやって春日部まで行くの?私等金大して持って来てないわよ・・・」 伊槍「その点は御心肺蘇生法なく〜ちゃんと手は打ってありますよ〜」 葉孔「手に杭を打ち込んだの?」 燎帝「言葉どうりに解釈するな!!」 伊槍「そろそろですね・・・」 黒く車体の長い車が来た。ドアが開くと赤絨毯がひかれた。 ひろし「すげえロールスロイスだ!どうしたんだよこれ?」 伊槍「買ったんです」 みさえ「幾らで?」 伊槍「五百円で、何でもこの車中古車を修繕したのですが元の持ち主の政治家が汚職が発覚して一家心中した 物らしくて・・・買い手がいなかったので安く買えました。運転は電子頭脳です」 風間「よくこんな車買う気になりましたね!」 伊槍「だから安いんですよ」 勇丸「ごもっともだな」 ゼノ「どんなにいい商品でも買い手がいなかったら価値ゼロですからね・・・」 とまあそういう事で曰く付きの外車に乗っていざ鎌倉に。 ゼノ「春日部ですよ・・・私等が向かっているとこ・・・」 士朗「だからナレーションにツッコミかますなっての・・・」 しんのすけ「あなた〜がいつか〜話し〜てくれた〜」 珍平「ふ〜ゆ〜が〜来る前に〜もう一度〜あの人〜と〜め〜ぐりあ〜いたい〜」 五時間後・・・彼らは春日部市にある廃ビルに着いた。ビルから綺麗な人が来た。女の人だった。 「お待ちしておりました、狐里收岳を殺した御一族と『不死の少年道士』崎生破の仲間達」 しんのすけ「おねいさんオラと一緒に喫茶店行ってパフェ食べない?」 ゼノ「何十年前の口説き文句だ・・・・・・」 銀之介「よかったらオラと一緒に風にならない?」 ひろし「やめろ恥ずかしい」 「申し訳ありませんが私十九歳から四十五歳までが範囲ですのでお付き合いできません」 燎帝「この車どこ止めんだ?モータープールがある筈だぞ」 「選手及びその関係者の車両は自転車から軍用ヘリまで屋上となっております、今車両用エレベーターが 降りますので今しばしお待ち下さい」 エレベーターの扉が開いた。そして車ごと入って屋上に着き、指定された場所に停めた。 「それでは選手専用エレベーターにお乗り下さい」 ともかくガイドの言った事を従いエレベーターに入った。エレベーターは降りていく。そして地下二十階。 「到着しました」 『選手控え室』と書かれたドアがあり開いた。 士朗「それでどうすれば良いわけ?」 「貴殿方の中から最低十名、最大十五名選手を選びこの用紙に登録して下さい、三十分以内でお願いします」 案内役はドアを閉めた。 勇丸「誰を選ぶんだ?」 士朗「俺と祥次と城戸、ゼノと爆さんと燎帝、葉孔と百合姫と勇丸と克馬、後珍平・・・後一人入れたいな、 立候補は?」 しんのすけ「ほい!!」 しんのすけは躊躇わず手を挙げた。 みさえ「冗談は時と場所を選びなさい!」 しんのすけ「オラだって崎のお兄さんの友達だもん!そして友達の友達のあんた達が戦うのにオラだけ高見の 見物しろだなんてそれこそ冗談じゃないぞ!それにこんな施設百害あって一利なしの負の産物だぞ!こんな所 なくす手伝いをオラだってしたいぞ!」 士朗「本気で言ってんだな・・・野原しんのすけ・・・分かった・・・含めてやるよ・・・但し命の保証は しないしすぐ助けてくれると思うなよ」 しんのすけ「うん!」 ひろし「しんのすけ・・・死ぬなよ・・・親の方が先に死ぬんだからな普通は・・・」 そして両者とも選手が決まった。 第五章 完 案内役が訪ねてきた。 燎帝「あんたか、何の用だ?」 「失礼な事を言いますね、選手登録表を貰いに来たのです。決まりましたよね」 士朗「嗚呼・・・この十三人だ」 登録表には十二人の名前とその次の空欄の右上に小さく黒い点があった。 「あの・・・十三人では明らかに無いのですが・・・明らかに十二名の名前しか書かれていませんが・・・」 士朗「いいから登録票書いたからな」 「はあ・・・承知しました」 國広「それで何しに来たの三流ガイド」 「申し訳ありません確かに説明不足でした一発屋の三流小説家の先生、コーラをお持ちしましたのでお飲みに なられればと思いまして・・・どうぞ」 珍平「これ砒素か青酸カリ絶対入ってんな」 國広「いや苛性ソーダとかストリキニーネやDDTが混入している可能性も充分・・・」 ゼノ「止めなさい二人共・・・」 ※砒素は窒素族元素の一つ。元素記号As、金属光沢のある灰色のもろい結晶と黄色粉末の二種がある。 毒性が強い。農薬、医薬などに用いられる。 ※ストリキニーネはマチンの種子ホミカに含まれるアルカロイドの一つ。強い苦味があり、中枢神経を興奮 させるので、興奮剤や強心剤とする。殺鼠剤にもなる。 ※DDT(dichloro‐diphenyl‐trichloro‐ethaneの略) 白色ないしクリーム色の粉末で、蚤、虱などを駆除する強力な殺虫剤。現在は、使用が禁止されている。 燎帝「んで案内はされんのか?」 「はい、しばしお待ち下さいませ」 案内役は去った、戻ってきた。 「選手の方は私について来て下さい、関係者の皆様は後程お願いします」 し・銀・ひ「はーい」 祥次「早っ!!」 珍平「行くぞ祥次」 祥次「あの人が早く戻って来た事スルー?」 燎帝「気にするなチビ祥、あいつらがああって事は俺よりあいつ等との付き合いの長いお前が一番分かってる だろ?」 勇丸「行こうぜ祥次」 ゼノ「止まってる暇はないよ」 祥次「そうですね」 「関係者の皆様は今暫しお待ち下さい」 新山「さっき似たような事聞いた」 そして十二人は選手の控えベンチに案内された。 「後十分程で始まりますので・・・何かしら不都合があったらこのブザーを鳴らして下さい」 燎帝「何であいつを選手にしたんだ?」 士朗「それってしんのすけの事言ってるのか?」 燎帝「それもあるが今言ってるのは『十三番目のウチの選手』だ」 士朗「だから目立たないように名前を書いてあいつにも『命が危なくなった時以外出るな』って念は押しとい たよ、心配は無用だ」 燎帝「分かったよ、其処まで言うなら何も言わない」 士朗「サンキュー燎帝」 ゼノ「何で私が選手に選ばれるのかな〜?」 克馬「生き残れそうな奴を抜擢したんだと思うぞ」 珍平「そうだよゼノ、俺達がピンチになったらこいつ等が絶対助けてくれるさ、だから俺達は逃げてりゃいい んだよ!!」 勇丸「お前も戦え、仙道の能力は持ってないにせよ職能力レベル2獲得してるだろ」 しんのすけ「よし、頑張るぞ!!」 時間になった。 「皆様今日は、今日もこの『破城塞』に来ていただき真に感謝しております、さてこの施設の趣向は何時もは 我々の用意した能力者が殺し合いどちらが勝つかを賭けて貰っていますが今日は何時もとは少し違います。 今回は三ヶ月ぶりに挑戦者がやって来ましたので少し趣向を変えてバトルロワイヤル方式のチーム対チームの 団体戦をやって貰う事にしましたぁ!司会は私1942年8月46日生まれ、生まれは中国育ちは福岡の北九州の 生まれながらのエンターテイナーであり『破城塞』の総責任者日ノ本裕二がお送りします!!」 ゼノ「何で普通に『9月15日』って言わないのかな?」 で残りの仲間達は案内役によって最前列特等席に座っていた。 霞「長いね」 新山「今回の話こんなんばっかなのかな?」 「お金をお賭けするのですか?」 國広「幾らから?」 「百円からです」 風間「安いですね」 新山「じゃ士朗達のチームに一万円」 「どうも」 銀之介「オラは三万円」 霞「私は五百円」 ひろし「信じようぜ、『我が子』が出るんだ、二万円」 みさえ「五千円ね」 風間「千円で宜しいですか?」 「はい」 國広「八万円」 むさえ「二百円ね」 霞「今の倍率は?」 「現在『破城塞』側が1,00000007倍、貴殿方のチームは208倍です」 ひろし「すっげ・・・」 日ノ本「それではルールを説明します!! 1,制限時間は六時間です、三時間経つとセカンドステージに移ります。 2,勝利条件は四ポイント稼ぐ事です。相手チームの誰でもいい、一人殺害する毎に一ポイントそのチームに 加算されます、 3,時間内にどちらのチームも勝利条件を満たしていない場合控え選手同士の戦いとなりどちらかが死ぬ迄 戦います、以上です」 勇丸「質問、俺達控え選手いないんだけど3の決勝に移った時どうやって選手決めれば良いわけ?」 日ノ本「いい質問ですね、昔は控えがいなかった場合一番外傷の少ない選手に出場して貰っていましたが現在 この『修復ドリンクX』を全員飲用、もしくは注射をして外傷を治して貰いチームの最大戦力が強制参加で 戦って貰います」 燎帝「バトルロワイヤル式なのは本当か?」 日ノ本「はい、ではファーストステージを用意します」 日ノ本は椅子の肘掛けについてあるボタンを押した。 「外レデス」 日ノ本「外れか」 ゼノ「駄菓子屋のくじか?」 日ノ本「これだ!!」 闘技場から田舎と都会の箱庭が出てきた。 日ノ本「君達はこれからこの門を潜って貰う」 日ノ本がスイッチを押すとしんのすけ達、相手、両方のベンチの前に羅生門そっくりの門が出た。 祥次「烏のミニチュアまである・・・」 日ノ本「一ヶ月かけて製作しました、ちなみに烏は一匹一日、箱庭は一年かけて作った」 勇丸「器用だなあんた」 日ノ本「元映画製作のジオラマ作りの正社員してたし・・・それに子供の頃箱庭職人に弟子入りしてたし」 ゼノ「潜るとどうなるの?」 日ノ本「小さくなる、安心してよ、ガス、水道、電気は通ってるから」 燎帝「映画会社に再就職しろ!!」 日ノ本「そろそろ時間だから入ってね〜!それと我々のチームは十四人と控え一人、君達は十二人だね・・・ それと門を潜ったらバラバラに配置されるから、以上!」 それで全員入っていった。 先ず爆仙は山にいた。 爆仙「皆と早く合流しないと・・・僕は戦闘能力0だからすぐにやられ・・・」 爆仙は本能で伏せた。直後爆仙の頭があった場所に光線が通った。光線は岩を簡単に貫いた。 「凄いな御宅・・・俺の『碪裟砲』を避けれた奴はお前が初めてだ・・・俺の名はマルコキアス、『破城塞』 の能力者だ」 長い金髪で顔に煉瓦模様の入れ墨があり古代ヘブライ文字が全面に書かれた礼服を着ていて雪駄を履いている 美青年風の男が現れた。右肩に宝貝の大砲を背負っている。 爆仙「僕は崎爆仙、I am爆仙、蓬莱島の道士です、『長崎』の『崎』に『爆ぜる』、そして『仙人』の 『仙』です、宜しくお願いします」 日ノ本「あの子ついてないなー・・・いきなりマルコキアスと遭遇って・・・」 國広「あれ?」 霞「何ですか國広先生?」 國広「マルコキアス・・・確か何処かで・・・何処だっけ?」 必死で思い出そうとしている。 風間「確かに何処かで聞き覚えがありますね・・・『マルコキアス』って・・・」 マルコキアスは『碪裟砲』を再び発射した。爆仙はその直前右にずって避けた。そのおかげで死なずに済んだ が右手の中指と薬指が消えた。何の痕跡も残さずに・・・ 爆仙「つ・・・(これくらいで済んでよかった・・・奴の光線の正体を推測しよう・・・先ず火傷をおって いないという事は『烈光砲』みたく熱線を発射するタイプの宝貝じゃないな、という事は切断光線かな?違う な、それなら指は血くらいは残っている筈だ、『天鮮冥逆掌』と同じタイプか?それも違う、それなら消えた 場所から侵食消滅する・・・て事はあの可能性か・・・なら防げるな・・・)」 マルコキアス「何をブツブツ言っている!『碪裟砲』発射ァ!!」 爆仙「てりゃ」 爆仙は光線が『碪裟砲』から発射された瞬間キューブを光線に向かい投げた。キューブが光線に当たった途端 膨らんで『碪裟砲』の光線を吸収した。 マルコキアス「何だこりゃ!!?」 爆仙「僕の宝貝『錘享石版』、これは物理的な直接攻撃を除いて攻撃なら何でも吸収するんです、更に中に コンピューターが内蔵されていて『吸収した攻撃』と同じ攻撃が『持ち主』に対しての攻撃だった場合自動的 にその攻撃の軌道を読んで持ち主の代わりに受けるんです、耐久値は存在しますが一撃目で破壊する事は絶対 不可能だし稼働する毎に蓄積した攻撃のエネルギーを使用するのでそんじょそこらの宝貝じゃ破壊する事 すら難しいでしょうな」 マルコキアス「何だその反則技のような宝貝は!そんな宝貝なら有名になっていておかしくない筈なのに聞い た事すら無いぞ!!」 爆仙「当然ですよ、爆さんオリジナル、つまり僕が一昨日造った宝貝ですよ、それよりあんたの『碪裟砲』の カラクリは大体の推測が出来ましたよ、全く恐ろしい宝貝ですね、物体を構成する分子を強制分解させるん ですね、この世に存在する物体は全て分子の集合体みたいな物だ、あんたの『碪裟砲』はその分子の結合を 光線に触れた部分のみ分離させ大気に還元する、だから火傷しなかったし光線に触れた部分のみ消滅したんで すよね、マルコキアスさん?」 マルコキアス「いつ気付いた?」 爆仙「指の部分肉や爪はおろか血すら痕跡そのものが無い事に気付いてからです」 日ノ本「これは凄い!素晴らしい論理的思考の持ち主だ!」 マルコキアス「つまり俺の宝貝の能力はバレ俺の宝貝の攻撃もお前には届かないと云うわけか・・・俺からも 一つばかり質問がある、お前・・・何で指を無くして痛がってないんだ?さっき痛がっていたが明らかに芝居 だったぜ・・・教えろ」 爆仙「さあ・・・気のせいじゃないんですか?」 マルコキアス「まあいいか・・・最早『碪裟砲』ではお前を殺す事は出来んからな・・・」 マルコキアスは『碪裟砲』を捨てた。 霞「えっ?」 新山「宝貝を捨てた?」 マルコキアス「見せてやるよ七十二の魔王の・・・真の姿を・・・」 マルコキアスは顔が狼のようになり翼や身体が肥大化し皮膚が黒くなり眼が白くなった。 マルコキアス「どうだ・・・これが俺の真の姿だ・・・」 國広「思い出した!!『マルコキアス』!!魔界の四代実力者の次に強い七十二人の魔王の一人だ!!」 爆仙「で?どうするの?」 マルコキアス「こうするんだよ!!握り潰せ、『死者の手』!」 爆仙と『錘享石版』の真下から巨大な腐った手が出現した。手は爆仙と石版を握り潰した。正確には爆仙は 足を、石版は完全粉砕。 マルコキアス「どうだ、これが魔王の実力だ」 爆仙「あーあ結局使わないといけないのか職能力・・・まあ当然か・・・あちらが全力で戦ってくれるのに、 こっちだけ出し惜しみするってのは嘗めた話だ」 日ノ本「どんな能力ですかな?果たしてマルコキアスに勝てますかな?」 爆仙「下準備しといて良かった・・・“ダイヤモンド”に“鋏”を・・・加える能力!」 爆仙は掌同士を合わせ道具のダイヤモンドを出した。 爆仙「反撃といきますか」 爆仙は手に持ってるダイヤを石版の残骸に擦っている。 爆仙「限定条件第一段階クリア」 日ノ本「何をするんだ?」 爆仙とマルコキアスが戦闘を開始した同時刻・・・士朗は河原で石投げをしていた。 士朗「飽きた」 ↑こいつの行動には基本的に一貫性はありません。 士朗は今度はビルが乱立している住宅街に来た。 士朗「仲間も敵もいないってのは楽だけど暇だね、そこに隠れてるお前もそう思うだろ?」 「能力者を感知出来るのですか貴方は」 士朗の後ろのビル同士の間から白と灰色の中間の色の多少長めの髪をしていて左目の周りには黒い流線型の痣 があり白い中国服を着用し右手に腕時計を着け木製の銀箔が貼ってある靴を履いた男が現れた。 士朗「気配が丸出しだ」 「それはそれは私ごときには過ぎた御忠告感謝します、私の名は『瑠奏劫』・・・『破城塞』選手でございま す、以後お見知りおきを」 士朗「俺の名前は『魚塚士朗』十三歳、魚塚連合の代表取締役みたいなもんだ、宜しくな」 瑠奏劫「個人的怨恨は一切ありませんが死んで戴きます」 士朗「そうか・・・そう来るか・・・こっちはあんた殺したって何の得にもなんねーし・・・俺が勝ったら 一つばかし言う事聞いて貰うぜ・・・」 瑠奏劫「『勝てたら』・・・ですがね・・・行きますよ・・・宝貝『斑董矛鞭』・・・」 藍色の鞭を振るった。士朗と地面に当たったが破壊はない。 士朗「どういう事だ?」 地面からコンクリートを突き破って西洋風の鎧のゴツい兵隊の土人形が出現した。 瑠奏劫「この宝貝『斑董矛鞭』には破壊力は皆無ですが無生物をこれで叩く事で私の意のままに操れる疑似 生命体を産み出す事が出来るのです、そしてこれに当たった純粋な生命体は産み出された疑似生命体の標的と なるのです、それと産み出された疑似生命体は発生と同じくこれにより叩かれた純粋生命体と十分の九の実力 を持っています、粉々にするかこの鞭の所有者である私の意識を消せば疑似生命は消滅しますがそれまでは 貴方に襲いかかって来ますのでご注意を・・・」 士朗「厄介だな・・・」 一方珍平は火葬場にいた。 珍平「御丁寧に装置も使える・・・あれやろっと・・・」 そして珍平が火葬場の装置の点検をし終わったのと同時刻、薄い緑色の少し長さが不揃いの髪をし、瞳の色は 茶色、口元にご飯粒をつけ、指は長めで手首に赤い輪ゴムをつけて、服装は赤と白の縞模様に胸元にカナブン の絵が描かれているYシャツに継ぎ接ぎや縮れ毛だらけのボロくてギチギチの白い長ズボンを履いて足に麻縄 を縛っているだけで殆んど裸足で左手にコンビニの袋を握っている割合美形の少女が来た。 「何この匂い・・・何か焼いてるのかな?」 少女が見てみるとそこには火葬場の装置を使って干物を焼いている珍平がいた。しかも飯盒も近くにある。 珍平「そろそろ飯炊けたか・・・」 「あんた何してんの!?」 珍平「自炊」 「ここで?」 珍平「いっぺんやりたかったのこれ、俺骨壺を花瓶代わりにしたり中に入ってたお骨をラーメンの出汁にした 事あったけど流石に火葬場で自炊はした事なくてさ〜」 「つきあいきれない・・・」 珍平「御挨拶だなお前の名前と血液型とスリーサイズと体重と何者かを教えろ」 「そっちから」 珍平「俺の通り名は『珍平』、本名は忘れた、血液型はA型、ナノテクと生物工学の博士、一応博士号も 持ってる、因みに九歳」 「あたしの名前は『楡岬冬樹』、血液型はO型、スリーサイズはB81W54・・・何言わせんの!」 珍平「ホントに言うとは思わなかった・・・で何者?」 冬樹「『破城塞』の職能力使いで数合わせの補欠」 珍平「俺も職能力使いだけどさ・・・何歳な訳?」 冬樹「十三歳」 珍平「ふーん・・・戦うのか?自慢じゃないが俺はあのメンバーの中の攻撃系統の職能力使いの中で一番 弱い、最弱の能力の持ち主だぞ!」 冬樹「あたし一番新入り」 珍平「そのコンビニの袋は?」 冬樹「おにぎり、ツナマヨと鮭と昆布と梅おかかとエビマヨを七つずつ・・・それとざる蕎麦三つ・・・」 珍平「焼き上がった焼き上がった・・・食べる?」 冬樹「食べる」 二人は三十分の夕食会をした。 一方爆仙とマルコキアスは・・・ 爆仙「さてと・・・足ないんだし殴り殺してくれよ・・・もう手はない・・・」 爆仙はダイヤを持って手を挙げた。指が治っている。 マルコキアス「何か疑いを持つが・・・それでは遠慮なく!!」 マルコキアスは殴りかかったが爆仙は当たる寸前で伏せてダイヤを殴りかかった腕にかすらせた。 マルコキアス「な・・・」 爆仙「くらえ」 爆仙はダイヤを持っている手を振り上げるように五p程挙げると爆仙がダイヤで擦った石版の破片が浮かび 上がりマルコキアスの爆仙に対し殴りかかった右腕に思いきり当たってマルコキアスの右腕にめり込んだ。 マルコキアス「ガ・・・グ・・・何なんだ・・・」 爆仙は同じように今度は腕にダイヤを擦り合わせている。足が元に戻っている。 爆仙「行くよ三流魔王」 ダイヤに糸をつけダイヤを投げた。ダイヤはマルコキアスの腹に当たった。爆仙はもう一度能力発動に使った 行為『ダイヤの位置をその場から上に上げる』をした。爆仙の拳はマルコキアスの腹に引き寄せられるように 当たった。 マルコキアス「グブォッ・・・ガガ・・・ガガガガガ・・・グベ・・・」 爆仙の殴った方の腕も有り得ない曲がり方をしている。 日ノ本「彼の能力はどうやら『ダイヤで擦った物体間を引き寄せる能力』らしいね・・・それもかなり強力な 能力・・・単純故に応用が広くそしてその強力な能力は己に応用するとその代償は高い・・・」 爆仙の腕は治っていた。 マルコキアス「何故治る?幾らなんでも早過ぎる」 爆仙「仕方ない教えますよ、僕の能力のレベル2です。『空間操作能力』・・・と言っても正確には物理空間 的な移植及び三次元のコントロールです、この腕や足・・・僕がダイヤを出す迄このダイヤをこっそり四肢に 接触させた赤の他人の物・・・いわば借り物の四肢だったんですよ・・・ちなみに移植した四肢は自分の操作 下に入っているので僕の意思でコントロールできます」 マルコキアス「その四肢を無断拝借された人は?」 爆仙「今頃かなりの大怪我を負ってるでしょうな・・・」 マルコキアス「罪悪感は・・・感じんのか?」 爆仙「何故僕が罪悪感を感じないとならないのですか?僕はあくまで非常時に備えて借りただけ、その人達の 四肢を破壊したのはあんただ、あんたの方が罪悪感を感じないといけない・・・」 風間「何か凄いですよあの人・・・」 ひろし「ものは言い様だな・・・」 みさえ「どっちが悪魔か分からないわね・・・」 爆仙「んじゃ止めと行きますか・・・レベル2発動・・・三次元空間操作・・・」 マルコキアスの周りの空間がマルコキアスを潰そうとしている。爆仙は能力を発動させたのだった。 マルコキアス「何だこのふざけた能力は!いや・・・それ以前に・・・お前・・・お前人間なのか?」 爆仙「失礼だな・・・」 爆仙はポケットから鞭を出し振るった。マルコキアスの右腕が宙を舞った。鞭で切断したのだ。 爆仙「これは宝貝じゃない、通常武器です、正式名称はなくただ単に剣の切断能力を持つ鞭です。ただこれに も少しばかり細工が施されてありまして電子頭脳が内蔵されていて相手が攻撃するとその動きから発する熱 に反応し先読みしてその攻撃をガードする、という分かり易い武器です」 マルコキアス「殺してやる・・・」 爆仙「動けないですよね・・・しかしあなたの口は火炎を吐けるので念の為・・・」 爆仙は発動の為の動作をし、マルコキアスの口を開かないようにした。爆仙は更にマルコキアスの左足を鞭剣 で切断した。更に爆仙はマルコキアスの頭に乗り鞭剣で微細な傷を少しずつ負わせた。 爆仙「どうしました?反撃しないので?じゃ十秒内に命乞いして下さい、意外と聞くと思いますよ・・・」 当然出来ないが爆仙はその事を承知の上で言っていた。十秒経った。 爆仙「ハイ、終了」 爆仙はレベル2でマルコキアスを圧死させた。 爆仙「あんた等は『悪魔』と呼ばれているが本当に悪魔の名に相応しい生物は・・・人間だよ・・・まあ僕が 言っても説得力は全く無いがね・・・さてと他の奴等はどこだろうか・・・なるべく戦いたくないが・・・」 爆仙は歩いてその場を去った。 日ノ本「まずはあちら側に一点追加か・・・中々やるな〜・・・」 霞「あいつ等は十四人だったから残りは十三人・・・」 新山「そしてこちら側は残りの人数はそのまま・・・」 一方、士朗対瑠奏劫は・・・ 瑠奏劫「さて・・・我が宝貝で産み出された疑似生命体をどう対処するのですか?」 士朗「簡単だ!」 士朗は掌を合わせた。 士朗「“インク”に“溶”を加える能力!!」 士朗はインク瓶を出しよく振って瑠奏劫の疑似生命体にかけた。疑似生命体は溶けた。 瑠奏劫「インクに溶解力を与える能力・・・ですね?」 士朗「当たり、ちなみに振ったのは溶解力を高める為・・・俺のインクは振れば振るほど溶解力が高まるって 仕組みなんだよ」 瑠奏劫「私も・・・職能力を出す事にします・・・」 瑠奏劫は宝貝をしまい掌を合わせた。 瑠奏劫「“メス”に・・・“啜”を・・・加える能力・・・」 銀色に輝くメスを出した。 瑠奏劫「行きますよ」 瑠奏劫は士朗に一瞬で近づきメスを右肩に刺した。 士朗「で?そんだけか?」 瑠奏劫「よく見なさい・・・メスをね・・・」 士朗「な・・・」 瑠奏劫のメスは文字通り士朗の血を吸っていた。その証拠に傷口から血は流れていない。士朗は瑠奏劫から 距離を取った。 瑠奏劫「どうですこの“メス”に“啜”を加える能力は・・・これは傷口に触れている限りその傷から血液を 啜るのですよ・・・しかも私の職能力はその特定の道具なら大量に道具紋に 入れる事が出来る型、つまり使い捨て型の能力なんです、どうしますか?魚塚士朗君?」 そして珍平と冬樹は・・・ 冬樹「あー満腹〜」 珍平「んでどうする?」 冬樹「戦うに決まってるでしょうに・・・」 珍平「それもそうだな・・・殴り合いか?パトリオットミサイルか?」 冬樹「何したいの?」 珍平「んじゃ“ペンライト”に“焦”を加える能力!」 冬樹「“紅花油”に“隔”を加える能力・・・」 そして勇丸は・・・河川敷にいた。雲に乗って辺りを見渡していた。 勇丸「敵は・・・居ないようだな」 「いたりして」 「いたりするよ」 勇丸の後ろには髪型、服装、顔まで瓜二つの二人の姉弟、兄妹で通じるだろう双子がいた。 服装は正装の赤い背広、履き物は体育館シューズ、瞳は灰色と何もかも一致していた。 唯一違うのは髪の色、勇丸から向かって左の方が群青色、右の方がクリーム色だった。 勇丸「なんですか君達は、今俺は君達と遊んでいる暇はねぇんだ・・・・・・どこか行けよ」 「名前教えて」 「フルネームで」 勇丸「久留米勇丸、これでいいか?」 「あたしは『不和美智恵』」 群青色の髪をした方が言った。 「僕は『不和恭彬』」 クリーム色の髪をした方が言った。 美智恵「あたし達は十一歳」 恭彬「拾われた身だからここで殺す」 美智恵「個人的怨みはないけれど」 恭彬「あなたは今の年齢が享年となる」 美智恵「絶対あなたの事は忘れないし墓参りするから・・・」 恭彬「死んで下さい」 勇丸「『ハイ分かりました』と言う程俺は聞き分け良くないんだよ、それに享年は一歳追加されるから この年齢のままじゃないんだよ餓鬼共・・・少し目覚ましてやる、安心しなよ殺しゃしねー」 美智恵「餓鬼って言われた」 恭彬「どしてだろう?」 勇丸「命の事よく考えてないから餓鬼って言ったんだよ、お仕置きしてやる・・・俺の宝貝『竜舌施珠』でな」 勇丸は剣玉を取り出した。 美智恵「やる気満々だね」 恭彬「笑える形してるねあの人の宝貝」 美智恵「さて・・・“虫眼鏡”に“閃”を加える能力」 恭彬「“紙風船”に“輝”を加える能力」 勇丸「何か直感でやばい組合せってのは解る・・・」 そして珍平と冬樹は・・・道具取り出したのはいいがお互い何一つしていない。 珍平「何かしろよ」 冬樹「君がしなさいよ」 珍平「じゃそする」 珍平は冬樹にペンライトの光を当てたが通じない。 冬樹「よかった・・・非戦闘の能力・・・熱っ!!」 珍平のペンライトの光が当たっている右腕の手の甲を見ると火傷していた。 珍平「俺の能力は俺のペンライトの光に当たっている部分を焦がす能力!! 但し最低五秒は当たって ないと焦がす事が出来ない、それに限定条件『左足を右足より前に出す』だし・・・つってもその五秒 当たってりゃどんな物質でも焦がす事が出来るけどよ」 冬樹「よかった〜ならこっちも行くか・・・えい」 冬樹は紅花油を自分の周囲にかけた。 珍平「近づきゃいいか」 珍平は走った。そして接近したが紅花油をかけた地点で弾かれた。 珍平「あたっ!」 冬樹「はい残念、あたしの能力は結界を作る、紅花油のかかったのなら何処でもね」 珍平「へー」 冬樹「但し限定条件で“地面もしくは地面に繋がっている物にかけないと駄目”ってあるからこうしてない と能力使えないけど・・・どする?謝る?」 珍平「能力には相性がある・・・お前の敗因は俺の職能力のレベル2はお前の職能力と相性抜群だったせい だよ・・・行くぜ・・・こいつが俺のレベル2だ!」 珍平のペンライトから出る光が一メートル程のライトサーベルになった。 珍平「反撃開始!!!!!!」 珍平は冬樹に向かっていった。 冬樹「えっ?正面から突っ込んだ所でどうにもならないのはとっくに分かっている筈でしょ?」 隔絶結界に珍平が足を踏み入れた途端・・・ 珍平「てりゃ!」 ペンライトを振り隔絶結界を破壊した。 しかし珍平は未だ走っている。 冬樹「待って!殺さないで!頼むから!」 珍平はペンライトのスイッチを消してペンライトの底で冬樹の頭を叩いた。 珍平「はい終わり」 冬樹「つ〜・・・」 珍平「最初から殺す気無かったよ、命簡単に奪える程俺は外道じゃない」 冬樹「つって〜頭ズキズキする・・・」 珍平「死んだら痛みも感じなくなっぞ」 冬樹「負けたな」 珍平「2つ〜3つ程質問に答えて貰うぜ」 冬樹「何?」 珍平「何故こんな施設の選手やっている?」 冬樹「苛めをあたし受けていて凄く辛くなって自殺も考えた事もあるんだ」 珍平「で?それの続きは?」 冬樹「入水自殺する直前に『破城塞』のスカウトマンが来て 『仕返ししたいか?ただ自殺するだけじゃ心残りあるだろ?見返りは少しばかりうちで働いてくれればいい』 って・・・」 珍平「そんで?」 冬樹「能力貰って苛めてた奴等全員痛めつけた、そして今に至る」 珍平「逃げようとは考え無かったのか?途中で・・・」 冬樹「考えたよ当然、だけど『いいのかな〜』って思って・・・」 珍平「いいんだよそんな事気にしなくて」 冬樹「えっ?」 珍平「そいつ等は利用する為にあんたに能力与えたんだろ?それによ」 冬樹「それに?」 珍平「俺は生物の最低限の権利は『寿命が来るまで精一杯生きる』事だと思っている」 冬樹「何が言いたいの?」 珍平「だからさ、一度きりの人生だろ?天に召されるまで自分流で生きてみろ、生きている限り辛い事も楽しい事も 公平にやって来るように出来ているんだ、生きてみろよ、凄く辛くたって長い人生の中じゃほんの僅かな時間だろ?」 一方士朗と瑠奏劫は・・・ 瑠奏劫「てい」 メスを大量に投げつけた瑠奏劫、士朗は剣で全て叩き落とした。 士朗「流石に投げつけられるだけなら反応できるぞ」 瑠奏劫「らしいですね・・・」 士朗「『辺王剣』の餌食になりたくないなら降伏しろよ、命まで取らないから」 瑠奏劫は一瞬の隙をつきメスで士朗を引っ掻いた。 士朗「な?」 瑠奏劫「“メス”に“啜”を加える能力・・・レベル2・・・」 瑠奏劫は士朗を掠めたメスを自分の右胸に突き刺した。 士朗「え?何で・・・」 瑠奏劫のメスを刺した傷口から血管を流れるように彼の皮膚の色が赤黒く変わっていった。 瑠奏劫「ふう・・・」 士朗「おい・・・何の冗談だよ・・・」 瑠奏劫「誰に話しているのです?」 瑠奏劫は士朗と同じレベルのスピードで士朗の後ろに回り背中にメスを刺した。 士朗「お前・・・そんな速かったっけ?」 瑠奏劫「私のレベル2は『メスが啜った血液の持ち主の身体能力を自分の身体に突き刺す事でトレースする』能力! 腕力も、走行速度も、脚力も何もかもを!」 士朗「厄介な能力だな・・・少し甘く見すぎていた。本気出させて貰う。諦めたくないしな」 瑠奏劫「ほう・・・ワクワクしてきましたよ!凄く!」 一方燎帝は、図書館にいた。 燎帝「ふー早速敵のお出ましか・・・あー俺とことんついてないな・・・」 「んな悠長な事言えるのか?何故ならお前はこの『風月華雷』に殺されるからだ」 長刀を腰に差した唐笠を被り道服を着た男が現れた。 風月華雷「職能力を出せ」 燎帝「宝貝は?」 風月華雷「出せ」 燎帝「あんたは出さないのか?」 風月華雷「既に出している、この宝貝『嵐柳刀』と我が職能力“嵐柳刀”に“定”を加える能力をな・・・」 燎帝「準備OKかよ・・・いいぜかかって来いよ、バトル開始だ」 霞「現在状況は?」 新山「爆仙さんが魔王を殺害して珍平君は選手と共に助けに入る為捜索中、そして士朗と勇丸さん、燎帝さん 位かな戦っているの・・・」 霞「ま・・・頑張れ〜」 一方祥次は・・・ 敵能力者と戦っていた。但し今は避けるのが精一杯だが・・・ 祥次「はあ・・・はあ・・・はあ・・・」 「どうしたの?逃げてばかりじゃ勝てないよ?それともあたしを宝貝使わせ続けて疲弊したところを叩くの? ちゃんと戦おうよ」 薄い赤髪の短髪に日の丸の入った鉢巻きをして、胸の膨らみは大きく、チャック式に改造した学ランを着て 小さい太鼓とバチを持った高校生程の少女と戦っていた。 燎帝対風月華雷・・・ 風月華雷「どうしたぁ?来いよさっさと・・・」 刀を構えている風月華雷、壁に隠れ様子を見る燎帝・・・ 風月華雷「まあ隠れても・・・無駄だけどな・・・」 刀を振る風月華雷・・・同時に燎帝の右肩から左脇までバッサリ斬られた。 燎帝「ぐぷ・・・」 血を吐く燎帝、出血を抑えて辛うじて進んでいく。 風月華雷「俺の職能力は俺が対象として定めた物を物理的な距離や障害物を無視し攻撃する能力・・・」 燎帝「ち・・・」 燎帝の右手から何らかのオーラが出てきて出血を無くした。 風月華雷「お前・・・術士か?」 燎帝「何でしょう?」 風月華雷「除霊師?」 燎帝「案内屋」 風月華雷「ふーん・・・『蘭柳刀』の・・・いい獲物が出来たらしいな・・・」 燎帝「そりゃどうも」 一方、士朗対瑠奏劫は・・・ 瑠奏劫「面白い、非常に面白い!」 士朗「速いな・・・俺・・・あんな速かったのか・・・」 士朗はマントをくるんで棘付きの巨大ボールになった。 瑠奏劫「同じ手は何度も喰らいませんよ・・・」 瑠奏劫は五キロ程後方にバックし『斑董矛鞭』を振るい数十の疑似生命体を発生し士朗に向かわせた。 士朗「ち・・・攻略すんのかよ・・・」 士朗は全ての疑似生命体を破壊したがスピードも緩んだ。 瑠奏劫「速い突撃ならこうすればいいだけです」 士朗を球体状態のまま蹴り飛ばした。 士朗「たく・・・反則能力だな・・・」 瑠奏劫「そのマントの名前は?」 士朗「後で・・・教えてやるよ!」 瑠奏劫「ほう・・・」 そして珍平と冬樹は・・・ 珍平「おい見つかったか?選手は・・・」 冬樹「ううん・・・この箱庭意外と広いよ・・・」 珍平「見つけたら教えろよ、早めにこんな戦いを終わらせる」 冬樹「うん!」 そして勇丸対不和美智恵、恭彬姉弟(兄妹?)は・・・ 勇丸が圧倒的不利だった。 恭彬「闘わないの?」 勇丸「二対一は卑怯じゃないのか?」 美智恵「戦場ではそんな理論は通用しない」 恭彬「ただ生きるか死ぬかのどちらかがある」 勇丸「そうだな・・・何一つ間違っちゃいねえよ・・・お前さん達の言ってる事・・・」 美智恵「なら死ぬ?」 恭彬「今死んであなた変にtoughnessだから・・・」 勇丸「百歩譲ってこの小説が映画化されたらどうなるかな?」 美智恵「あくまで非公式サイト」 恭彬「GANTZ小説が多々あれど知る限り一つもアニメ化されてないのと同じ理由」 勇丸「もしもだよ・・・」 美智恵「早く死んで」 恭彬「てか死ね」 勇丸「語調変わったよねこいつ今!」 美智恵「何言いたいの?」 勇丸「俺には死ねない理由があるんだよ・・・」 美智恵「何それ?」 恭彬「教えて」 勇丸「『生きたいから死ねない』・・・」 美智恵「つまんない」 恭彬「下らない」 勇丸「人が生きたいと思える理由は結局全てこの理由じゃないのかよ・・・」 美智恵「どういう事?」 恭彬「教えて」 勇丸「人が生きたがる理由は・・・『死にたくない』、それだけじゃないのかよ?」 士朗対瑠奏劫はまだ戦闘中・・・ 祥次対河内宇美(祥次が戦闘中の敵)・・・続行 燎帝対風月華雷は燎帝は本領発揮するか?嵐柳刀の能力は? 珍平と冬樹は他の戦闘を止められるか? 他メンバーとの対戦者は如何なる能力者か? そして狐里収岳の復活と目的は? しんのすけと十三番目の登録者は生き残れるのか? 崎生破は何処へ? クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ 『少年道士の慰霊祭』 第一部 END |