トップ小説作成者・リート2さん


ここは、いつもの川のそば公園。今日もここである悲劇がおころうとしていた。
「おーい、こっちこっちー!」
「・・・・・・しんちゃん、いつ来たの?」
「んー・・・30分くらい前?」
その言葉に風間くん、ネネちゃん、マサオくん、ボーちゃん、そして野原家に居候中のあすみと小百合は呆れた。
ここで、あすみと小百合とは誰なのかを説明しよう。

――2週間ほど前、よし治が野原家に来たときの事である。
「ところてん、じいちゃん」
「『ところで』だろ」
「むさえちゃんの件が一件着陸したところで質問があるのですが」
「『落着』でしょ。で、質問って何?」
「あのね、じいちゃんここに来たとき『頼みたいこともある』って言ってたよね。それ何?」
「ちょっと、天野家のことでな」
「え?何かあったん?」
「いや、そうじゃなか」
天野家、とは小山家が以前世話になった家で、冠婚葬祭では必ず出席する間柄である。
よし治の説明によると、あすみと小百合の両親と兄がヨーロッパに移り、二人は日本に残ることになったが、住んでいたマンションが不動産の手違いというか、裏にいる暴力団の企みというか、とにかく人手に渡ってしまった。
そこで新しく住むところが見つかるまで、二人が住んでいる神奈川に近いかすかべの野原家に居候させてほしい、ということだった。
「オラはいいけど、あんまり構われるのはなぁ。オラ見ての通り繊細だし・・・」
「「「「どこがだ」」」」
「それはともかく心配いらん。天野家はよほどの事がない限り、家族でも干渉せんからな」
「それに、あの家は美人揃いで居候するのは二人とも女の子だぞ〜」
「オラ大さんせ〜」
「オイ!わたしもいいけど、あなたは?」
「オレもいいけど」
「あたしもー」
「たいや(ひまも)」
「アン(ボクも)」
「よし、全員賛成だな。ところで、どうしてヨーロッパに?」
「女優の仕事とヘッドハンティング、と聞いたが」
「そういえば、二人のお父さんは科学者でしたね」
自分たちの結婚式の時、そんな話をしたのをひろしは思い出した。
「・・・ねえ、女優って言ってたけど、有名?」
「すっごい有名だって。ほら、この人」
といってむさえがテレビを指差した。そこには今日から放送開始したドラマ「ロザリオとバンパイヤ」のヒロイン・赤夜萌香が映っていた。
「・・・って、この人ってたしか・・・・・・天野沙鵺佳さん?」
「そ。有名でしょ?」
有名すぎる。
ここで少し昔話をしよう。かつて「ミアトル」という女性三人で構成されたバンドがあった。活動していたのはわずか四年だが今も根強い人気がある。
ほんとに少しだが、天野沙鵺佳とは「ミアトル」のキーボードで、その頃からのファンも多い。
まあそれは、歌手として活躍中のボーカルも、声優として活動中のギターも同じだが。

まあそういういきさつで、二人は野原家に居候中、というわけだ。

説明だらけで申し訳ないが、ここで2人の外見の説明もしよう。
あすみは黒い髪と目、天然パーマでゆるくウェーブのかかった髪を腰の辺りまで伸ばしている。
服はパフスリーブのブラウスに裾に白いラインの入ったノースリーブのこげ茶色のワンピース、ふちに白いラインの入ったオレンジのカラーを銀の十字架のブローチで止めており、白いソックスと黒の革靴を履いている。
小百合は銀髪紅眼、足首まである髪を細い黒のリボンでポニーテールにしてある。
服は胸元と裾に幅の広い白布が使われたキャミソールワンピースで靴は黒の短いブーツである。
双子なのに髪と目の色が違うのは、彼女達は二卵性双生児であすみは母親、小百合は祖母に似たからである。

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