プロローグ 破滅は何の前触れもなく、突然に春日部を襲った。 「おい、何だあれ?」 よく晴れた日曜日の昼間、野原ひろしはふと空に見慣れないものを認めてみさえに声をかけた。 「何って?」 みさえも縁側に出てきて、空を見上げる。 「ほら、あそこで何か光ってるだろ。」 「あら、ほんとね。でもそんなに気にしなくていいんじゃないの。」 「隕石だったらどうする?」 「やだ、冗談やめてよ。」 みさえは笑ってまた中に戻った。もちろん、ひろしも本気で言ったわけではなかったの だ。 しかし、このひろしの言葉が真実であるとは、誰も思いもしなかった。 この会話の数分後、春日部は完全な廃墟と化すことになる‥‥‥。 |