その他の情報編
◆その他の関連情報@− オオクワ、昆虫採集時の注意点

 オオクワ採集には、樹液採集、朽ち木割採集、トラップ採集、灯火採集が知られています。シーズン中、最も行われている採集方法が樹液採集でしょう。何故かって? 単に樹液の出ている樹を見回るだけでうまく行けばゲットできるのですから、手間がかかりません。
 上記の採集は、いずれも木々が生い茂った森林か里山に入って行われる場合が殆どだと思います。しかし、オオクワがゲット出来るかもしれない、という甘い気持ちで臨むと後から取り返しの付かない事態となることがあります。深夜、電気の明かりもない山の中に一人で入った経験がおありでしょうか?都会で行われる肝試しなど足元にも及ばないほどの怖さと不気味さが漂っています。また夜行性の昆虫や動物も沢山いるので一層拍車をかけます。出来るだけ単独行動は避けて、最低でも2人以上で行動するほうがよいでしょう。
 初夏〜晩秋の時期にかけては、様々な生命が活動しています。木の葉が茂り、下草も膝上、もしくは背丈以上に伸びている場所も珍しくありません。当然、沢山の昆虫、爬虫類も存在しています。そう、オオクワが生息している地域には、人間に対して直接危害を与える恐れのある様々な生き物が待ち受けているのです。代表的なものが、スズメバチ、毒ヘビ等でしょう。刺されたり噛まれたりすると運が悪ければ死に至るという事態にもなります。これらの種類や行動特徴、万一の時の対処方法を予め知ったうえで野外採集をされるようにして下さい。また、服装も白系統の長袖・長ズボン・軍手・帽子・ハイカットの靴など、自分の身を守る必要があります。例え暑くても、絶対に半袖・短パン等の「軽装」で山に入らないようにして下さい。
 一方、冬期においてはスズメバチ、ヘビなどは越冬、冬眠状態となり、地上に姿を見せることはありません。材割り採集等、この時期の行動は比較的楽でしょう。ただこの時期は昼間の行動が中心になると思いますが、防寒対策が必要です。山地の気温は、都会のそれとは全然違います。

 樹液採集、材割り採集、他、それぞれがとても楽しいものだと思います。しかし、一歩間違えば危険な目に遭遇することを知っておいてください。尚、スズメバチ等の情報は、飼育技術情報のページにて簡単ではありますが、対処方法等ご紹介していますので参考にして下さい。


◆その他の関連情報A− スズメバチについて

 初夏から秋にかけて野外採集に出かけたときに、必ずといってスズメバチに出くわします。樹液を吸っていたり、空中を飛んでいたりと出くわさないことはまずありません。みなさんは既にご存知だと思いますが、刺されると最悪の場合死ぬこともあります。スズメバチの行動特徴、習性などを予め把握され危険な目に遭わないようにして下さい。

 スズメバチは、キイロスズメバチ、コガタスズメバチ、オオスズメバチ、モンスズメバチ等の種類がいます。一番多いのがキイロスズメバチで全体の約60%以上。次にコガタスズメバチが20%程度、オオスズメバチ、モンスズメバチ他で残りを占めます。種によって性格も異なり、特に人を襲ったりするのはオオスズメバチ、キイロスズメバチが多いようです。刺激(巣に近寄ったり、警戒エリアに踏み込む行為)を与えると必ず攻撃されます。他のスズメバチはこの2種よりも攻撃性という点では弱いようです。かといって絶対に大丈夫ということはありません。直接巣を刺激したりすると攻撃されます。

 樹液に集まっているスズメバチは比較的安全です。最も怖いのが、営巣場所に近づく事です。大抵、営巣されているのを知らずに近寄ってしまって刺されたケースが殆どだと思います。住宅地に営巣している場合は自ずとわかりますが、山林内はどこにあるのかわかりません。木の洞、葉の茂み、土中と様々な場所に営巣します。
 一般にスズメバチの巣から、半径3〜6m位が危険な範囲区域といわれています。この範囲の中に入って急な動作をすると攻撃を仕掛けてきます。巣の周囲には威嚇のためにスズメバチがブンブンしているので、絶対にその中に入らないようにすることです。威嚇の間は、どちらかというと「近寄るな!あっち行け!」という感じで、自分達の巣に近づいてくる敵に注意を促しているのです。しかし、いったん境界線を踏み越してしまうと、黒い物や動く物にまず1匹が襲いかかります。刺すと同時に、警戒物質を空中に噴霧して、仲間の援軍を呼び寄せます。そう、たちまち数10匹の攻撃にさらされてしまうのです。こうした状況にならないように常に注意を払うことが必要です。

 スズメバチは黒系統のものに対して攻撃する傾向があるので、採集時には頭から全身を白系統の服でかためるとある程度攻撃から逃れることができます。また、臭いにも敏感で汗、香水、トニックなどにも反応します。これらの習性を把握され、スズメバチから見づらい服装で山に入り、周囲の状況に気を配り、スズメバチが周囲を飛び回っていたらすぐに引き返す事が大切でしょう。

 野外採集時においての注意事項

 ※オオクワ採集に出かける時は、白系統の服を着用して肌を露出しないこと。靴、帽子、メガネのセルの色なども要注意。
 ※スズメバチが周囲を旋回していたら動きを止め、しっかりと現状を冷静に判断し、その後的確な行動に移って下さい。

 万一、刺された時の処置について

 ※安全な場所に逃げること。落ち着いて冷静になること(まずこれが一番大切です)
 ※刺された部位から毒を吸い出すか絞り出すようにする。
 ※水筒などの水があれば部位をよく洗い流す。小川等の水脈があればなおよい。

 ※抗ヒスタミン軟膏、副腎皮質ホルモン軟膏を塗布するかまたはそれらの錠剤を飲む。(アレルギー体質の人は要注意)
 ※氷か冷水で部位を冷やす。

 ※場合によっては救急車の要請も必要。
 ※尿やアンモニア水は全く効果が無いとのことです。かえって逆効果となるので避けて下さい。
 ※症状が軽かった場合でも、念のため病院での診察、治療を受けた方がいいでしょう。

 体質的に自分の体がスズメバチに刺されても大丈夫か否かを事前に調べておくことも大切かと思います。アレルギー体質の方はスズメバチやアシナガバチに1回でも刺された場合、向こう3年間以内に再度刺されると死に至る危険が高くなります。一度スズメバチやアシナガバチに刺されることにより、ハチに対するアレルギーとなるのです。この場合、一刻も早く病院で注射や点滴などの治療を受けなくてはいけません。

 自分の体質がスズメバチの毒性に対して強いのか弱いのかは、近くの病院や保健施設で簡単に調べてくれます。(要血液検査)。野外採集に頻繁に出かける方は知っておいて絶対に損はしないと思います。


◆その他の関連情報B− 日本国内の有毒蛇について

 オオクワ採集時に、スズメバチと並んで注意の必要なものに「毒蛇対策」があります。本州などでは、マムシヤマカガシ。南西諸島奄美大島、沖縄本島ではハブが知られています。このページでは、マムシとヤマカガシについて簡単ですがご紹介したいと思います。
 マムシは日本各地に生息。体長60p前後の比較的小型の有毒蛇。全体に暗灰色で銭形斑が有り。夜行性で山地のほか平地でも見られます。ヤマカガシは本州以南に生息。体長70p〜140pの有毒蛇。背面はオリーブ色。黒斑や紅斑があるのが特徴です。比較的山地に多いが平地でも見られ、夜間、昼間でも出現します。どちらもカエルを好んで捕食するので、カエルの多い所にも潜んでいるかも知れません。
 咬まれた場合の症状としては、腫れが伴ったり血が止まらないことが特徴ですが、毒性はマムシの方が強くヤマカガシは咬まれても無害のことも多いようです。マムシに噛まれたら1ないし2個の牙の痕が付くことが多いのですが、ヤマカガシの場合はアオダイショウなどの咬傷との判別が難しいとのことです。
 
蛇に噛まれた場合の処置は「縛らず、切らず(患部を)、速やかに病院に行く」ことが良いとのこと。ただし、症状次第では救急車の要請も必要かと思っています。採集に行かれる方は、念のため詳しい処置・対処法、万一の際の病院の場所などについて調べておくのがいいでしょう。


◆その他の関連情報C−  ダニについて

 オオクワガタ飼育は楽しいばかりではありません。飼育をし続けると歓迎しないお客さんもすり寄ってきます。例えば、ダニがそれに該当します。どちらかといえば成虫用飼育ケースで発生することが多いようですが、フレーク飼育でもマット上部の表面や内部に発生したりします。通常はほとんど気にしなくても過ごせるものなのですが、オオクワ飼育の場合は目立ってしまいます。気にしない、という人もおられるようですが、私は駄目ですね。あの動く小さなツブはどうも苦手です。
 ダニ類は昆虫類とは違い触覚が無く、ほとんどの種で目がありません。頭、胴体腹の区別が無く8本の脚がある点が昆虫との大きな違いでしょう。人間の生活から出たゴミや垢などを食べているチリダニ、ネズミなどに寄生する吸血性のイエダニ、人間の皮膚内に入り込むヒゼンダニなどをはじめ、確認されていないものも含めて1万種類以上が地球上に住んでいるといわれています。オオクワガタの成虫に寄生するものは白っぽい体色をしているものが多いように思います。そのダニの名前は何なのかは知りませんが、体液などを吸い取るものであれば早めの駆除が必要です。

ダニが発生・寄生した場合の処方

※成虫に付いたダニは流水(適温で)と毛先の柔らかいブラシなどで洗い落としましょう。
※マットは全交換しましょう。登り木、エサ皿なども電子レンジでの熱処理します。飼育ケースもきれいに洗いましょう。

 ダニが一番繁殖しやすい環境は湿度60〜70%、温度25℃前後といわれています。一般的には気温、湿度共に高くなる6〜9月にかけてが要注意です。気温の低い冬期は繁殖はしませんが、完全には死滅しないようです。飼育ケースや幼虫のフレークの中は非常に高湿度の環境であり、ダニにとって格好の住処となる条件が揃っています。ですから、上記の方法で駆除(マット交換等)しても時間の経過と共に元通りの状態に戻ってしまう場合がほとんどです(外部からの侵入、内部からの発生)。
 
 
市販されているダニ除去製品類を根気よく使用し続け、環境を「浄化」するように心がけて下さい。


◆その他の関連情報D−  殺虫剤の使用に関して

 雨が多く、気温の高い季節は「蚊」の発生する季節でもあります。地域によっては発生数が異なると思いますが、蚊の存在は我々を悩ませますね。刺されると痒いし、痕が残ったりしますから。この蚊を駆除するためには、殺虫剤を噴霧したりします。一家に必ず1個はあると思います。最近は、蚊、毛虫、ダンゴ虫、アリ、ダニ、ゴキブリなどの虫別に商品が出ていますね。殺虫成分の強弱の差こそあれ、基本的なものは似ています。
 あと、生活に馴染み深いものとして「蚊取り線香」があります。主に就寝中に焚く(もしくは使用する)ことによって、蚊やハエを殺す効果があるということはみなさんご存知かと思います。

 これらの虫が発生する夏場は、殺虫剤の使用の回数が増えます。特にオオクワガタは「虫」ですので注意して下さい。前述の殺虫剤が少しでも体に付着すると助からない場合が多いと思います。霧状になったものが空気中を飛散して離れている飼育ケースを直撃することも考えられます。オオクワガタを飼育している部屋では使用しないようにしましょう。
 一方、殺虫成分を含んだ煙(最近は煙を出さないものが主流?)を発生させる蚊取り線香も要注意です。特に飼育ケースを寝室等に置かれている場合はご注意下さい。

 蚊取り線香はハエや蚊などの小さな虫を対象とした立派な殺虫剤です。これに含まれている主殺虫成分は「ピレスロイド」と呼ばれ、除虫菊(シロバナムシヨケギク)の花に含まれる殺虫成分、ピレトリン類及びこれと化学構造のよく似たピレトリン類似の合成化合物の総称で、極めて微量で昆虫に対して効き目があります。人間や猫などの動物の体内に吸引されてもすぐに解毒されるという特性があり、家庭用の殺虫剤として一番使用されています。
 オオクワガタは致命的なダメージを受けないとは思いますが、充分にご注意下さい。
(以前、蚊取り線香で飼っていた鈴虫を全滅させたことがありました)

殺虫剤と呼ばれるものの使用に関しては次のことに注意して下さい。

 ・殺虫剤を使用する時、使用している時間の間は成虫用飼育ケースに新聞紙などを被せて煙や薬剤が入らないようにする。
 ・できれば、飼育ケースを安全な所に避難させておく。
 ・エア○ンチョールなどの薬剤が飼育ケースに直接当たったら必ず拭き取っておく。

 特に部屋の中で焚いてダニやゴキブリなどを死滅させる系統のものはオオクワガタも死滅します。ご注意下さい。

 当ショップでは、蛹の数が少なくなる7月中に一度、ダニ殺しの殺虫剤を焚いて一度飼育部屋をクリーンにします。産卵中の♀は別室で管理しているし、単独飼育の成虫は上部をタイベスト紙でシールドされた円筒容器で飼育しているので安全です。(それでも部屋に置いたまま、の状態では絶対にしませんが)

 私は、幼虫用飼育容器にダニの付着や設置場所に這っているのを見つけたら、軽く殺虫剤をシュ....と一吹きしたりします。容器には直接かかりますが、マットの底や中に居る幼虫には直接降りかかるわけではないので、状況に応じて使っています。直接吸引したり、生体に降りかけさえしなければ問題無いようです。容器に付着した薬剤も気化してやがて無くなるので、成虫取り出し時に影響が出ることはまずない、と考えています。