オオクワガタ、外国産クワガタの累代表記について

 
 オオクワガタの累代表記について

 当ショップでは販売するオオクワガタの累代表記を下記の通り定めることにしました。累代を表すFnの表示については遺伝子学的基本概念に則し、独自の事項を加えて表現いたしました。現在、ネット上で使用されている累代表記とは異なった部分もあると思います。お間違えないようにお願いいたします。

  WILD 野外採集・野外材割によって得た成虫。野外材割より得られた幼虫、及び幼虫から羽化した成虫。
       野外採集の♀持ち腹より産まれたことが明白な幼虫。及び幼虫から羽化した♂♀成虫。

  WF1  未交尾の上記WILD♂♀成虫の親より、飼育下にて産まれた幼虫、及び成虫。
  WF2  上記WF1♂♀成虫の親から産まれた幼虫、及び成虫。
        (独自事項として後述のF2と血統を区別するため先頭にWを付ける)

  F1   同一産地だが異なる血統を持つ種親の交配により産まれた幼虫、及び成虫。この場合、
       例えばA血統の黒川産WF1と、B血統の黒川産WF2を交配した場合「F1」となります。
  F2   以降、世代を経るごとにF3、F4へと重ねて行きます。

 同一血統による累代は野外採集成虫からは2代目まで。この場合、純WILDの血を受け継ぐものとして、また後述のF1、F2と区別するため、先頭の表記にWを付けることにします。但し、正確にはWF2以降は「累代飼育」となるため、Wの頭文字の表記は遺伝子学的基本概念に合わないかも知れません。この点のみ、独自事項としてWを付けさせて頂きます。


 ニジイロ、パプキンの累代表記について

 
ニジイロクワガタ、パプキンにつきましては、種親を複数の協力ブリーダーより購入したものを使用しています。いずれも外国産ですが輸入解禁されて既に数年が経過していること。現在、当地による規制強化によるWILDが入手困難な状況であること、等の要因につき、上記国産を対象としたオオクワガタの累代表記は適用いたしません。
 ニジイロ、パプキン成虫、幼虫ともに全て「飼育品」として表記します。種親の世代が特定できないための措置です。
 ご了承の上、ご購入をお願いいたします。

 参考資料 遺伝子学的基本概念

 表記の先頭についている「F」はFilial generation(子世代)のことで同血統ライン交配の累代数を表現したものです。
 同血統ライン交配を繰り返して初めてFnは進行する。
 同血統ライン交配のFn表記はお互いの累代数の多いほうを表記する。
 別血統ライン交配第一世代は親の世代に関係なくF1と表記する。

 累代飼育とは同血統交配(インラインブリード)の代を重ねた繁殖のことをいいます。通常、一般飼育下では同一血統交配を代々重ねることが多くなる傾向があります。同血統交配は他血統交配(アウトラインブリード)と比較して、高頻度で良質な遺伝子と粗悪な遺伝子が共に子孫に受け継がれていきます。種親に使用する成虫が、子孫の形成に大きな影響を与える「優性遺伝子」と「劣性遺伝子」のどちらを有するか、もしくはどちらを多く有するかを識別することはほとんど不可能です。「形の良い」「大型化」と形で判断することしか方法がないのが実情だと思います。
 この良質の種親と思っている成虫でも粗悪な「劣勢遺伝子」を何%か持っていれば、同血統交配を重ねていくことにより粗悪な遺伝子を持つ個体の発生率は増えていきます。このため、その発生率を抑制するために他血統交配を行うのです。累代繁殖は確率的に劣性遺伝子を継承し続ける可能性があるので安易な累代は控えることが大切だと思います。

 尚、成虫の累代表記や遺伝子学的基本概念については、「北海道ビートル研究会」田畠慎哉氏のサイトを参考に作成いたしましたことを最後に記しておきます。