「BEHIND THE MASK 〜夢見るfake shadow〜」
2002/4/20・21 大阪 スペースゼロ
作・演出  断寝俊太郎氏清
照   明 高橋健二郎
音   響 中田裕之
装置美術 片岡大介
小道具   田中千恵子
舞台監督 菅野正隆
制   作 小澤通秀

「アメリカが崩壊した」というキーワードが携帯電話のメールの文章として発信された。発信者は桐原という名の男。
発信先は携帯ツールを持つすべてのこの国の人へ。
桐原の元彼女の雫は、身体中に時限爆弾を巻きつけて
桐原の部屋で消滅のときを静かに待つ。
桐原は雫の刹那的な快楽に憧れを抱く。
桐原は設計事務所に勤める。彼の建築理念は
「立ち続けること」であったが、そんなもんでは
飯は食えないと一笑にふされる。
設計事務所にオニハギと名乗る女の子が現れ、
図面をくれと言う。
不動産屋と銀行員。彼らもまた資本主義社会の中で
分厚い仮面をかぶって生きている人間である。
オニハギ(少女)は設計事務所で手に入れた図面を
不況で販売不振にあえぐ不動産屋と銀行員に
売れと指示する。
毎晩、経済や国政に対する不信をメールで発信している
桐原の元へついに国家権力の手が伸びる。
CIAと名乗る男はモノも言わず、桐原の部屋のものを押収し、高圧的な態度で彼に質問をし、連行しようとする。
しかし、さしものCIAも桐原の部屋にいる雫の姿に
動揺し捜査を切り上げてしまう。
安心した二人に雫の深い眠りが襲う。
彼女は深い眠りの中、彼女が逃げ出してきたはずの
人間関係に追われている。彼女は身を隠し、息を殺す。
しかし、雫は見つかってしまい取り押さえられてしまう。
彼らの目的は雫の身体であり信用であり存在である。
自分自身の快楽のために他人を地獄に突き落とすこと
ができる人々に捕まってしまった雫は、
夢の中で身体を解体されバラバラにされてしまう。
雫の悲鳴に飛び起きた桐原。夢と現実が奇妙に
交差し始める。今まで日常だと感じていた世界が
急に仮面をかぶった偽りの表情に見えてくる。
オニハギ(少女)が手を組んで一儲けしようと現れ
桐原を誘う。彼女の狙いは桐原が持つ膨大な
アドレスデーター(リスト)である
桐原のアドレスデーターとオニハギの偽の情報が
手を組んだとき、日本はデフォルトに向けて
走り出す。必死で止めようとするCIA。
しかし、この国は再びバブルへと突き進んでいく。
偽の情報がどんどん日本にばら撒かれ、日本株は
どんどん上昇していく。もはやこの国の情報は
真実を告げることはない。。
そんな偽の情報が飛び交う中、雫はゆっくりと
自分自身の消滅について語り始める。
雫は桐原に手錠をかける。雫は初めて桐原を束縛し
自由を与えようとする。ごっつい嫌がる桐原。
そして世の中はバブル景気真っ只中。
経済基盤が脆弱な状況でのバブル景気は
その国の経済をデフォルトへと加速させる。
日本から流れ出た偽の情報に外国の投資機関や
投資家からの外貨が流れ込んでくる。いろんな国の
通貨が日本の国を乱れ飛ぶ。
日本版ビッグバンの慣れの果て。
株・土地・債権。この国におけるすべての価値が
ブームのピークに差し掛かる頃、オニハギは
もっている大量の債権を市場に売りさばく。
相場の世界は勝者はいつも一人。後はすべて敗者。
しかし、敗者はいつも自分が敗者であることさえ
気づかない。
バブルを止められなかったCIA。テロメールの発信者の
桐原と再び対峙する。
雫が初めて自分のことを語り出す。
そして、彼女の身に巻きつけた時限爆弾が
爆発の時間を指し示す。
右肩上がりに上がり続けていた相場が一気に暴落。
この国は建国以来最悪の事態に陥っていく。
ホリ当ての赤い照明も右下がりになっている。
デフォルトした日本を俯瞰する桐原。
彼の左手には相手を失った手錠がぶら下がる。
車椅子に乗った雫が登場。
身体は血にまみれている。
しかし、時限爆弾はない。
時限爆弾を外され、生き延びることを余儀なくされた
雫は怒り狂い、桐原に罵詈雑言を浴びせ噛み付く。
しかし桐原も悪言を応酬させる。
デフォルトしバラバラになったこの国に、
一つの真実が生まれる。
以上、あらすじの全編でございました。
お次は劇場でお会いしましょう。