PLASTIC ROVER 〜地下鉄からの一撃〜

作・演出 断寝俊太郎氏清

日時:平成3年12月28日(土) 19:00
            29日(日) 13:00・18:00

場所:びいどろほおる(江坂)

CAST:まつばらよしあき、岡崎正和、仲宗根正和、椋田信也、堀川清司
    栗山佳子、川内美香子、山田幸子、森田知美
STAFF:照   明:松本氏
    音   響:てきね
    舞台監督:まつばらよしあき
劇団舞台処女、伝説の旗揚げ公演の写真です。
劇団員のほとんどが初舞台だったため
「舞台処女」
という劇団名になりました。

公演日はみんなろくに芝居のことを知らないため
てんやわんやの大騒ぎになりました。
舞台写真がほとんど無いのもそのためです。
”ゲネ”という言葉も使ってませんでした。
写真を見てお分かりのことと思いますが、
みんな観光旅行のような
記念写真モードです。
舞台美術を担当していたのは、
当時まだまだ自分のことを天才と信じ、
自信に満ち溢れていた頃の
まつばらよしあき氏です。

舞台の設定が”地下鉄構内”だったので、
装置をすべて”ブリキ板”で
作りました。
想像していたものとはまったく違った
シンプルで
チープな
ものとなりました。

この舞台で使ったブリキ板はその後、
まつばら氏の個人的な作品の材料に
横流しされてしまいました。
スタッフの皆さんです。
照明の松本さん、照明助手の方、
その後どうしてらっしゃるんでしょうか?

てきねはこの頃すでに音響ブースに
座ってました。
写真の時には必ず女性の隣に
座ってました。
初代受付のお手伝いをしていただいた
ゆうこちゃんです。
偶然写真が残っていたので
掲載いたしました。
とってもかわいい人でした。

旗揚げからバックサポートしてくれてる
こまわりです。
髪の毛がまだフサフサしてます。

旗揚げは福井からのお客さんが
一番多かったときではないでしょうか?
大阪に友達あんまりいなかったしね。
主役の仲宗根くんとヒロインの栗山さんです。
前代未聞の大ボケコンビでした。
仲宗根はこの写真を撮ってる最中に
(本番二日目の二回目と三回目の休憩中)
「堀川、俺やっとセリフ覚えたで」
とうれしそうに豪語していた笑顔が忘れられません。

栗山は仲宗根の恋人役に決まったとき、
「仲宗根さん、明日から一生に住まないとダメですね!」
と本気で言い出し
周りを引きつらせるぐらい
カッパな女の子でした。

その大ボケな二人に
エエ加減協会会長のまつばら氏が加わると、
みんなセリフと段取りを
すっぽかしてしまい
あやうく芝居が終わらないところでした。

とにかくこのころは
セリフと段取りを
予定通りに本番でやり通すことが
奇跡に近い
行為であったことは
事実です。

物語は地下鉄の改札口から始まる。
男は仕事に疲れて帰宅しようと
地下鉄の改札を抜けようとしたとき、
足元に落ちているQ2ダイヤルのティッシュを
見つける。
男は改札を出る前に置いてあった公衆電話に
硬貨を入れてダイヤルを回すと
電話がつながった先に
リカという女がいた。
彼はそれから手持ちの硬貨の許す限り、
電話の向こうにいる”リカ”の声を
聞き続けた。
そうして夢中になっているうちに
電車の改札は扉を閉められ、
男は地下鉄から出られなくなる。
途方にくれていると
地下鉄の闇の中から
狂気めいた声が近づいてくる。
それは数日前から行方不明になっている
男の会社の
部長であった。
彼はその夜、地下鉄の構内を
さ迷い歩く。
それはさながら彼の記憶の迷宮の中を
さ迷い歩く
メタファーであるかのように。
そうして彼はいろんな人に追いかけられたり
色んな人に出会ったりしながら
彼が忙しさの渦の中で忘却してしまった
忌まわしく甘美な記憶を
蘇らせる。
時代はまだ携帯電話もインターネットも
なく、
テレホンカードよりも10円硬貨の
赤電話がまだまだ主流だった頃の話。
バブルの中で
自己崩壊にまで追い込まれた自我と
膨張しすぎた欲望が
地下鉄の中で混戦しあう。

そして彼の中でまた、
新しい日の光に向けて
地下鉄の扉が開かれる。


レッツ・ゴー・表紙!