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リース・ウィザースプーンはコメディーに向くか
2005 USA 95 Min. 劇映画
出演者
Reese Witherspoon
(Elizabeth Masterson - 総合病院の医者)
Mark Ruffalo
(David Abbott - 庭園設計家)
Donal Logue
(Jack Houriskey - 精神分析医、デビッドの友人)
Dina Spybey
(Abby Brody - エリザベスの姉)
Ben Shenkman
(Brett Rushton - エリザベスと同じ病院の医者)
Ron Canada
(Walsh - エリザベスと同じ病院の医者、主任)
Jon Heder
(Darryl - 神秘主義やオカルトの本屋)
見た時期:2006年6月
長い間ロマンティックなコメディー路線に閉じ込められていたウィザースプーン。いつまで我慢するのか、いずれメグ・ライアンのように潰れるのかと心配していましたが、最近脱皮作戦が成功し始めているようです。
私が彼女を知ったのは 連鎖犯罪/逃げられない女。赤頭巾を現代に置き換えてあり、コメディー風ではありますが、ロマコメではなく、風刺に近いです。いくつか当時の映画の常識を破るシーンもあり愉快でした。例えば黒人差別に対する反論にもなっていました。
その後いずれ見てやろうという作品がいくつか続いていましたが、あまり見るチャンスが無く、次に見たのが完全犯罪。これも出来が良くて、このジャンルでは高く評価しています。彼女の生かし方がいいです。次のアメリカン・サイコは彼女中心の作品ではなく、役としても彼女の個性が出ないような役でした。 作られた順序で見ていないのでクルーエル・インテンションズは後から見ましたが、これもあまり彼女に向いているようには見えませんでした。
その次に見たのがキューティ・ブロンド。堂々の主演でしたが、彼女の良い面は出ていません。その後この路線が続き、人気はどんどん上昇しましたが、どんどん彼女の役が固定してしまいました。夫のライアン・フィリップも実はかなり能力のある俳優なのですが、彼の方はこれと言った大きな成功作が無く、2人の将来を心配したものです。フィリップの方は役選びにはまだ巾があり、奥方よりおもしろい役も入るようです。成功するには能力を犠牲に、ぱっとしない俳優にとどまるならおもしろい役も取れるという難しい状況の中で、夫婦仲も危ういと書かれ、本人たちは迷惑しているだろうなあと思える日々が続いていました。
ところが最近ウィザースプーンに変化が見え、音楽路線、スリラー路線に進み始めたようなのです。音楽路線では色々な所から良い評価を受け、レコーディングしないかなどという話まで出たそうです。そして最新作はバーニー・レイクは行方不明。確かあれはスリラーではありませんでしたか。
私が見た作品作品は以下の通り。
元々私が彼女を気に入った理由はフィルム・ノワール的なダークな作品に小粒のブロンドの女の子が出て来て、ぴかっと光るからだったのです。もし彼女が3本コメディーを撮って1本好きなジャンルを選べるようになったのなら、うれしいのですが。売れるジャンルを止めてしまうことはないですが、せっかくきらりと光るジャンルもカバーできるのなら是非、とファンの私は思ってしまいます。
彼女が演じるコメディーは啓蒙的で、こういう作品を誰かが作っても無駄ではないと思えますが、彼女がコメディアンとしての才能にあふれているかと聞かれると、中ぐらいという答になります。彼女がやって失敗ということにはなりません。本人もやる気できれいに収めています。しかし根っからのコメディー向きの人では無いように思えるのです。(後記: グウィニス・パートロフの方が最近コメディーで成功しています。2010年)天賦の才能はどちらかと言えばフィルム・ノワール的な作品にあるような気がして、たとえばフェム・ファタール的な役柄でも行けるのではないかと思うのです。
今回見た作品は自分が住んでいたアパートがまた貸しされ、そのことに気付いていない幽霊エリザベスの役。大怪我をして意識不明になり3ヶ月も入院していたため、姉がアパートを一時的に人に貸したのです。そこに住み始めたのが最近妻をなくしたデイヴィッド。普通なら大悲劇になるところ、コメディー仕立てになっています。そこで生きるのは彼女の明るさでしょう。前半エリザベスが「自分は幽霊だ」と納得するまでに暫く愉快なやり取りがあり、後半は彼女が《まだちゃんとと死んでいない》ことが分かったため、2人が協力して延命策戦に乗り出すというストーリーです。
いつもの彼女らしく至る所に教えが盛り込まれていて、教育映画に仕上がっています。ウィザースプーンのコメディーを見る時にはいつも道徳教育がついて来ると思っていた方がいいです。あまり押しつけがましくないので、ストーリーの邪魔にはなりません。道徳が荒廃した感のある現代、彼女のプロダクションは誰かが教育に手を出さないとダメだと感じたのでしょう。皮肉なことに私の好きなタイプの映画では彼女は必ずしも正しい事ばかりをやっているわけではないのですが。
ウィザースプーンが音楽映画でオスカーを取ったのはちょっと意外でしたが、彼女は今でなくてもいずれはオスカー候補になり、取る日も来ると思っていました。私生活ではある事、無い事書かれ、大変な毎日を送っているようです。「できる」と本人も周囲も思っている有能な俳優が結婚して、子供ができるとそれだけでも大変。その上ハリウッドというのは不思議な所で、有名人が2人結婚すると片方に良いオファーが集中し、もう1人が耐えなければならないケースが頻繁。それで崩壊する関係も多いようです。ピット、アニストン夫妻も、なぜか急に夫人に食指が動くようなオファーが集中し、バランスを取るのに苦労したようです。
その上この職業では子供を作るのもなかなかタイミングがあって大変な様子。ところがウィザースプーンは周囲をどうやって説得したのか分かりませんが、さっさと子供を生んでしまいました。大スターは苦労してやっと時間を見つけてというケースも多いようです。その上フィリップも主夫をやることに同意しているらしく、育児には詳しいようです。とまあ、セレブ夫婦としては群を抜いて普通の生活も送ろうという努力が見える2人。いつかクールな私立探偵物か何かのフィルム・ノワールで共演してくれたらファンとしてはうれしいのですが。
後記: 残念ながら離婚してしまいました。
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