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クヌートの養父の訃報の続報 /
Knuts Vater ist noch tot 3

1963年ベルリン生まれ

登場人物・動物

トーマス・ドルフライン
(クヌートの育ての親)

クヌート (元小熊)

考えた時期:2008年9月

思いがけなくうたむらさんからドルフラインさんの記事にコメントをいただきました。今日はクヌートの親父さんが急死の続報です。

★ 死亡の状況

トーマス・ドルフライン氏の死亡は検死でも病死と確認されました。自殺、他殺、事故ではなく、心臓がその日に止まってしまったようです。原因として考えられるのは癌など直前に抱えていた重病のようです。今年の春先に癌が発見され手術を受けたため1ヶ月ほど仕事を休んでいたそうです。加えて死んだ週明けにひざの手術も予定してあったそうです。勝手な想像ですが、手術後体力が衰えていたのではないかと思います。この年齢では癌の進行も早いかも知れません。

70を越えるお母さんの話では本来はスポーツマンタイプで、手術後自転車に乗るのだと張り切っていたとか。

葬儀は45歳の誕生日になるはずだった10月13日に近い10日だそうです。

★ クヌートとドルフライン氏の関係

その後の報道でやはり悲しい話が伝わっています。クヌートが大きくなってしまったので(現在200キロちょっと)危険を考慮して動物園の園長がドルフライン氏にクヌートとの直接接触を禁じ、例のクヌート・ショーは終了しました。その後もドルフライン氏は早朝開園前(朝6時)クヌートの檻にやって来て会っていたそうです。毎朝ドルフライン氏が来るのを見てクヌートが大声をあげて叫んだそうです。ドルフライン氏は夕方までいたとかで、上司からは睨まれていたようです。

ドルフライン氏は仕事を超えてクヌートに愛情を抱き、そのため上司としては一定のラインを引かなければならなかったのではと思います。幼稚園で特定の子供を保母さんが贔屓しては行けないのと同じで、本来飼育係は全ての動物に愛情を持って接するか、全ての動物に対して「これは単なる仕事だ」と考えてドライに接するかのどちらかが正しいのでしょう。ドルフライン氏はその一線を越えてクヌートの父親兼母親として愛情を注ぎ、それもあって世界中の共感を得たのですが、個人的には難しい所に来てしまったのではないかと思います。ちょうど自分の命に関わる病気と同時期に来てしまい、手塩にかけて育てたクマが立派に成長しているのを見たかったのではないかと思います。

ドイツには口下手で自分の感情を上手に外に表現できない男性が結構多いのですが、ドルフライン氏も写真やビデオを見るとそういうタイプに近いのではと思えます。クヌートに対しては十分に愛情を示すことができ、それがドルフライン氏なりの表現方法だったのでしょう。園長の方からそろそろ距離を置けと言われていましたが、ちょうどその時ドルフライン氏の方は病気がきっかけで自分の生命が絶対安全なものでないと知ったのでしょう。で、生まれてすぐから昼夜を共に過ごしたクヌートは、自分の命を左右する重病の時には遠くから姿を見るだけでも大きな支えになったのではと思います。ちょっと前には自分がクヌートを支え、その後はクヌートの姿を見ることで支えられるような関係だったのではと思われます。大きくなったクヌートが手を離れたところでドルフライン氏が生涯を閉じたと考えるのは悲しいですが、そうなってしまいました。

もしドルフライン氏が全く病気などにならなければ、その後もずっと動物園で60歳ぐらいまで勤務でき、気の向いた時にクヌートの檻の前に立つことができたでしょう。契約があるのでクヌートは他の動物園に移されることも考えられますが、その動物園に休暇に遊びに行くこともできます。その場合は自分を忘れてしまったクヌートを前にして、こんちくしょう、恩知らずめと怒ったかも知れません。

何もかもがこの21ヶ月という短い時間に起き、ドルフライン氏の死という形で幕を閉じたのは悲しいことです。

★ トーマス・ドルフライン賞

トラが死ぬと皮を残すそうですが、クマの飼育係が死ぬと賞を残します。トーマス・ドルフライン賞というのができました。今後動物の飼育で良く貢献した人に贈られるそうです。

★ 親しい人の死

前回疑問に思っていた点については動物学者のコメントが載っていました。クヌートはドルフライン氏の死を理解できないという見解を出しています。今日いない、昨日もいなかったということは理解できるそうですが、ドルフライン氏が永遠にいなくなったということは理解できないそうです。ま、忠犬ハチ公のようなものですが、親しくしていた人が死んでしまったことを理解して悲しみのあまりクヌートが健康を損なう姿は見たくありません。クヌートにとってはこれでいいのかも知れません。

★ やはりレディー・ダイ効果

・・・になってしまったそうです。私は直後の動物園の入り口を見ただけだったのですが、動物園のインターネットには7000通近くのお悔やみの挨拶が届き、動物園のり入り口はその後花の海と化したそうです。

★ 息子の災難

ドルフライン氏には子供が2人はいるようなのですが、うちの1人は以前結婚していた女性との間にできたティーンの実子デビッド君。。メディアはドルフライン氏の死後放っておけばいいのに、おせっかいにも息子の事を報道しています。こういう場合真実かどうかは少なくとも50%疑ってかかった方がいいのですが、息子がクヌートをやっかんでいたようなトーンで書かれています。親子関係は今時の親子としてはかなり良い方です。

子供から老人まで多くのベルリン人にクヌートが好かれていることだけは確かです。そんなクマが自分の家庭環境に入って来てしまったのは息子のせいではありません。ドルフライン氏もたまたま仕事で役目を引き受けたのがきっかけ。デビッド君がメディアになぎ倒されないことを祈っています。どうやらラップ・ソングを自分でも作るような都会っ子なので大丈夫でしょうが。

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