June.18,2001 天気に恵まれた今年の野音

5月27日 『ジャパン・ブルース・カーニバル』 日比谷野外音楽堂・2日目

        前日に後藤夫妻から電話があって、2日目はご夫妻も行くと言う。ボクも行くんだよと返事したものの、当日は朝から。午後からはあがるという天気予報であるものの、くじけそうになる。

        後藤夫妻に約束したから、行かないわけにもいかない。ウダウダと迷っていたら、出かける直前になって雨は止んだ。怖いので、この日はカッパ持参で日比谷に向かう。席に着いたら、すぐ近くで手を振る人がいる。なあんだ、別々に席を取ったのに後藤夫妻とはすぐ近くの席同士。後藤さんからビールの差し入れ。今回の冠スポンサーはキリンビール。ラガービール呑みながら開演を待つ。

        後藤ゆうぞうが今日もブルース・ハープを吹きながら出てくる。♪テルテル坊主テル坊主 明日天気にしておくれ・・・ 「明日じゃあかんねん! お足元の悪い中、ようこそいらっしゃいました。今日はラッキーでございます。このコンサートのチラシやポスターには載っていませんでしたけど、特別なオープニング・アクトの登場です」

        こうして出てきたのが、デービッド・ラルストン。ピンで渋いカントリー・ブルースを聴かせてくれた。へえー、こんな人がいるんだ。ギターを弾きながら、ホルダーにブルース・ハープを挟んでの熱演。

        去年は『ブルーズに乾杯』の方に出ていた、コテツ・アンド・ヤンシーのデュオが今年はこちらに出ている。たった一年で格上げ(?)だ。それも無理からぬところか。上手いもん、この人たち。ブルース・ハープとピアノのデュオなのだが、ジャズとブルースの中間あたりの音を出す。本当は夜のムードなんですがね。『サニー・サイド・オブ・ザ・ストリート』のスローからアップ・テンポに変わって行くところが実にカッコイイんだなあ。

        きのうに引き続き、『主催者からのお知らせブルース』。マキちゃん、ありゃ、きょうのチャイナドレスは薄い色のピンク! きのうとは色違いじゃないの。私の見ている位置が前日は真正面だったのに、きょうは下手より。ここからだと脇の深いスリットから足がバッチリ丸見え。きれいな足が見えて、ボク幸せ。

        きのうにひきつつづき、エリック・サーディナス。クネクネと歩きながらドブロを弾きまくる。その歩き方がオカマみたいだと後藤夫人。そう、なんだか内股で足を跳ね上げて見せたりする。クライマックスのビール瓶でのボトルネック奏法では、ビール瓶を手から落としてしまい、舞台の床は流れ出したビールとビール瓶のカケラだらけ。スタッフの皆様、お掃除ごくろうさま。

        マジック・スリムは黒人だけのバック・ミュージシャンで固めた。サポートのギター、ベース、ドラムス。プロレスラーかと思われる大きな身体で登場したマジック・スリムは力強いギターと、張りのあるヴォーカルで圧倒した。やや同じフレーズの繰り返しになるのが単調になりがちだが、正統派の押し一本やりのブルース。いやあ、圧倒されました。『ムスタング・サリー』で総立ち。最後は♪ヘイ! ヘイ! ブルース・イズ・オールライト!と大合唱。

        オーティス! オーティス! とオーティス・コールの中、トリのオーティス・ラッシュがきょうも登場。曲も前日とおんなじ。びっくりしたのは、途中でオーティス・ラッシュが絃を切ってしまってから。それまで目立たないでサポート・ギターを弾いていた男が、ソロを取ったのだ。それまで、ほとんどこの人のギターが聞こえてこなかったので、何を演っているんだろうと思っていたのだが、いやあ、この人、すっごく上手い人だった。オーティス・ラッシュより上手いんではないか? 

        最後は恒例、ブルース・セッション。コテツやらデービッド・ラルストンまで上がっての大熱演。

        「まだまだこの先やりたいけれど、この続きはまた来年。縁と寿命があったなら、セイム・プレイス、セイム・タイム。また来年会いましょう!」後藤ゆうぞうの声に送られて、日比谷野音をあとにした。会場を出た途端に、ポツリポツリと雨が降りだし、やがて本格的な雨に。今年のブルース・カーニバルは恒例化しちゃった客同士のケンカもなかったので、天が味方してくれたのかな。

June.11,2001 さすが、オーティス・ラッシュ!

5月26日 『ジャパン・ブルース・カーニバル』 日比谷屋野外音楽堂・1日目

        日本でただ一人のブルース司会者を自認する後藤ゆうぞうのテンションもあいかわらず高い。ブルース・ハープを吹きながら出てくると、「5月のこの日は、オレみたいに毎日毎日Every Day I Have the Bluesゆうてる人も、初めてブルースを聴く人も、今日はたっぷりブルースを楽しみましょ。Are you ready? Are you ready for the blues!? さっそく行きましょうか! 今年のトップ・バッターはイチロー・クラスのバッターの登場だ! いいかあ! いっみるかあ! よっしゃ、呼ぼう! 上田正樹―――――!!

        ピアノがリズムを刻み始めると、ドラムスとベースが加わって来る。ギターもリズムで入って、さあ上田正樹の登場だ。うす紫色のシャツにジャケットを羽織って出てきた上田は、乗りのいいリズムに上手く乗ってR&Bを歌っていく。まったくこの人のノリは日本人離れしている。

        「サンキュー、おおきに。一度B・B・キングとCDを作りました。メチャメチャ売れると思ってましたが、まったく売れませんでした。その時売れてたのはB・B・キングではなくて、B・B・クイーンズでした。さすが日本です。ニッポン、チャチャチャ。ナンのこっちゃ」。うん、でもねえ、あれには近藤房之助も加わってて、けっこうソウルしてたんだけどねえ。今に『踊るポンポコリン』で育った子供達が、大人になってブルース演り始めるんじゃないかなあ。

        「今日もいい感じだというブルースです」と始めた3曲目、メンバー紹介が始まる。ピアノは日本人。何と彼の小父さんは映画監督の羽仁進だそうな。あとの3人はみんなアメリカ人。ギターは黒ずくめの格好でストラトキャスターを弾いている。ジャズ・ドラマーのトニー・ウイリアムスのバンドにいたそうだ。なかなかに気持ちがいいギターを弾く。ベースは丸々と太った男で、重量感のある音を出してくる。ドラムスはけっこうタイトで、これもまた気持ちいい。

        興が乗ったのか、お得意のアレが始まってしまう。喋るブルース。♪あれはいつやったやろうか? 夏の暑い日 暑い晩やった あんまり寝苦しいので 外を散歩しとったら 物干し竿に あるわあるわ おなごの下着 取ったらあかん 取ったらあかん・・・ なんだかブルース・カーニバル始まった早々に宴会気分!  ちなみに上田正樹のオフィシャル・サイトはここね

        さあ、恒例の『主催者からのお知らせブルース』だ。去年は浴衣姿で出てきたギターのカメリア・マキちゃん(静沢真紀)、今年は真っ赤のチャイナドレスに真っ赤のギターで登場だ。「今年のキーはAで行ってみようか」の後藤ゆうぞうの声に、マキちゃん、ギターでシャッフルのリズムを刻みだす。 ♪主催者 からのお知らせ いろいろあるから よく聞いてちょうだい トイレは この坂登って 便所はこっちからも 行ける きれいに使って 植え込みやらでせんように 今日の楽しい想い出に 家族の方へまのお土産に 今年も Tシャツできた 今年はグレーと白の二色で 三千円・・・ 途中、マキちゃんのギター・ソロと後藤ゆうぞうのブルース・ハープ・ソロを交えての、この年に一度のブルース、毎年楽しいんだよなあ。

        「背中には「りすぺくと・とらでぃしょん」という刺青をしょっているという・・・Are you ready!? 男盛りの29歳がドブロ三本サラしに巻いて、やってきましたニッポンへ。レディース・アンド・ジェントルマン! エリック・サーディナス!!」

        いきなり爆音のようなギターが鳴り響く。足にピッチリとした黒のパンツ、黒のラメ入りのシャツ、黒のテンガロン・ハットを頭に乗せた白人ブルースマン、エリック・サーディナス・トリオだ。三人の息がピッタリとあった演奏に、「CDを売ってますから買ってください」というMCに買いに走った人多し。私は、見に来る前に買って聴いてはいたのだが、どうもCDでの印象はあまり面白くなかった。しかし・・・やはり音楽はナマに限りますなあ。このバンドすごくいいのだよ。エーリック・サーディナスのドフロ・エレキが唸りをあげて疾走するし、ベースもドラムスも迫力あるんだなあ、これが。

        『ローリン・アンド・タンブリン』の途中のドラムソロでシャツを脱ぎ捨てて出てきたエリックの背中には、確かに何か刺青が彫られている。ちょっと遠くてなんだか分らないけどね。ギターを上手に向けて構えて高音のソロ、クルッと下手に向けて構えると低音のソロ。ちょうど男女に分けて話しているように聞こえる。お前は、噺家か? ボトルネック奏法とはいうが、途中でビールの小瓶から一口飲むと、そのビール瓶の首の部分でギターを弾き出した。揺れる瓶からふきこぼれるビール。最後には口に含んだビールを天に向かって吹き上げて、客席は盛りあがる、盛りあがる!

        後藤ゆうぞうは『クロスロード』に出てきたスティーブ・ヴァイ演じる悪者ギタリストに似ていると言っていたけれど、それもそのはず、彼はスティーヴ・ヴァイとツアーしてたりしたそうな。

        『主催者からのお知らせブルース・パート2』。今度はスロー。『フーチークーチー・マン』っぽいギターに乗せ ♪今日の出演者の CDをいっぱい売ってる 今年は特に このマキちゃんのCDが 始めて売っとるちゅうねん はよ買わんと 限定30枚 今日マキちゃんのCD売ってるから こうてちょうだ〜〜〜   こう言われちゃうと買っちゃうよね。へへへへへ、ボクも買っちゃった。あっ、マキちゃんてこんな子。すっごくかわいいブルース・ウーマンです。

        「時は昭和の6年、オギャーと生まれた元気な子。ヒューバート・サムリンと名付けられ、小学校に通ったけれど、やがて不良の仲間入り。働かないでガッポリ稼いで見せるぜ腕1本で。やってきましたメンフィスの街。ヒューバート少年たちまち頭角を現します。やがてナンバー・ワンのブルース・スター、ハウリング・ウルフに認められ、『なかなかいいギター弾くやんけ。オレの片腕にならへんか』 『兄貴ィー!』。こうしてハウリング・ウルフのところでギターを弾きはじめますけれど、ハウリング・ウルフに言われます。『いつまでもメンフィスじゃないのう。ブルース演るんやったらシカゴに行かなああかんと違うか? シカゴに行って一発当てようと思うんやけど、付いてきてくれるかい?』 『兄貴ィー! 付いて行く!』」・・・もう、ほとんど講談か浪曲。「プリーズ・ウェルカム! ミスター・ヒューバート・サムリン!」

        サポートギター、ベース、ドラムスのインストが終わると、銀色のレスポールを持ったヒューバート・サムリンの登場だ。ところがですねえ、今70歳ですか。ブルースマンで70歳くらいなら、まだまだ現役バリバリだと思うんだけれど、すっごく歳を感じさせられてしまう人だった。ギターを弾きはじめても、あんまり上手くない。サポート・ギターの人がバツグンに上手くて、そっちのリズムばかりが耳に入ってくる。歌も特に上手いとは思えないから、退屈してきてしまった。それ較べて、アロハシャツ姿のサポート・ギター、胸のあたりまで上げて弾くベース、そしてドラムス、この白人ばかりのバックバンドの上手さはどうだ。

        Tシャツプレゼントのクイズ大会。今日は[どっちが年上クイズ]。「オーティス・ラッシュさんと永六輔、年上はどっち!?」 「生きておられたとしたら、ハウリグ・ウルフとそごうの水島会長、年上はどっち!?」

        「時は昭和の9年、ミシシッピー州フィラディルフィアでオギャーと生まれた元気な子。オーテイス・ラッシュと名付けられ小学校に通いますが、やがて不良の仲間入り。やってきましたシカゴの街へ・・・」。みんなおんなじじゃないの! 「ミスター、オーーティース・ラッシュ!!」

        ドラムスがドカドカドカドカっと入ってくる。黒人のでっかい奴で、すっげえ迫力のドラムを叩く。きょう見た中ではピカイチ。ベースはヒューバート・サムリンの人とは正反対に、すっごい下のところで構えて弾いている。ピアノがまた上手い。転がすようないいピアノを弾く。1曲目、オーティス・ラッシュが出る前にヴォーカルを取ったが、それがまた上手い。サポートのギターは、音ちょっとセーブしすぎじゃないかなあ、小さくしか聞こえてこない。

        バスタムのトレモロに乗せ、ドラムスの黒人が野太い声で「ミッスターーー・オーティーーーーーーース・ラッシュ!!!」の声でオーティス・ラッシュが出てくる。1曲目が『ストーミー・マンデー』。それですぐさまお待ちかねの『オー・ユア・ラブ』だ。あのブルージーな印象的なリフの最初の部分から、リズムが変わって中間部の楽しいノリのいい部分。ピアノのソロがカッコイイ!そしてまた最初にもどって・・・。ああ、いい曲だよなあ。サポートギターの音が小さいのが不満だけど、いいバンドだなあ。オーティス・ラッシュは、さすがにギターも上手く歌も迫力がある。

        『ダブル・トラブル』が始まる。往年に録音されたものより遥かに良くなっている。声の張りも今の方がいいみたいだ。バシンバシン、ドカンドカンと鳴り響くドラム、心地よいピアノの音色。そしてラッシュのギターが泣く、泣く!

        必殺『ギャンブラーズ・ブルース』だあ! いいぞ、いいぞ! もう客席も総立ちだ!

        ラストは、ヒューバート・サムリン、エリック・サーディナスも出てきてセッション大会。サムリンはいらないなあ。ありゃ、途中で絃切っちゃったよ。サーディナスのドブロはよく耳に入ってくる。ジャカジャカジャカジャカ高音がやたらに入ってくるのが彼のギターだ。

        「こんな凄いセッションないで! これこそブルース! ディス・イズ・ザ・リアル・ブルース! まだまだやりたいけれど、この続きはまた明日」という後藤ゆうぞうの声で1日目はお開きとなったが、まだ翌日には2日目が残っている。というわけで、翌日レポートはまた後日


June.1,2001 春雨に 震えてブルース 野音かな

4月30日 『ブルーズに乾杯Vol.2』 (日比谷野外音楽堂)

        天気予報では、午後から雨は止むということだったのに、開演時間が迫っても小雨ながら降っている。どうせもう止むだろうとカッパを持たずに出てきてしまったのだが、大丈夫だろうか?

        会場に入ると、もう前座バンドは始まっている。今年は、OLIVES、TOKYO TOPS、THE DICKS、ヤングナッツと出たが、私の見たのは最後のヤングナッツから。ギター、バンジョー、ウッドベース、ウォッシュ・ボードの4人組。宇多村さんが、すでに写真を撮っている姿が見える。今回は、宇多村さんの写真と連動して書いてますので、合わせて見て下さいね。トリのスウィンギン・バッパーズの吾妻光良の姿も関係者の客席側に見える。さすがにジャンプ系だと関心があるのか、ジーッと見つめている。実際、この人がいなかったら、日本語でジャンプ・ブルースを演ろうというバンドなんて出てこなかったかも知れないのだ。人数の規模としては小さいながらも、バンバンバザールしかり、世田谷ジャンボリーしかり。

        さあて、定刻3時。いよいよ始まりだ。トップは、Bloodest Saxophone。テナー、バリトンの2本のサックスにトロンボーンという3管をフロントに、ギター、ウッドベース、ドラムスという構成。ふて腐れたような表情のテナーの甲田伸太郎がギロッと会場を見渡すと、「ホウ! ホウ! ホウ!」と叫ぶなり、♪ペッパー警部捕、邪魔をしないでーえ ペッパー巡査部長 と一節歌ったと思いきや、それに被るようにして突然ドラムスが突っ込んでくる。そのまま『ハーレム・ノックターン』へ。重低音の音が、腹に響き渡って気持ちがいい。

        甲田のMC。「日比谷の野外音楽堂・・・率直に感想・・・割と広ーい! きょう、出演バンドたくさん・・・楽屋・・・率直な感想・・・ほぼ狭い・・・テンヤワンヤ」。そうだよなあ、何しろ9バンド、プラス前座4バンド、さらには6人のダンスチームまでいる。楽屋はさぞかしタイヘンなことになっているだろう。

        このBloodest Saxophoneというバンド、カチッとまとまっていて気持ちがいい音を聴かせてくれる。なかなかソリッドで私は気に入ってしまった。と、思いきや「粋な曲を聴いてください。タイトルは『さわやか』」と始まったのはグレン・ミラー風だから、結構引き出しは深いとみた。ホームページはこちら

        何とか霧雨程度だったのが、次の鬼ころし BLUES BANDの演奏が始まった途端、強い雨に変わる。ベースの人なんて舞台上で水に滑って倒れそうになっている。しばらく我慢して聴いていたのだが、途中でさすがにあきらめて売店に走り、カッパを買ってくる。「みなさん、雨の中、すいませんねえ。みなさん、偉いですよ! 私だったら・・・こんなこと言っちゃいけないか。私だったらコタツの中で・・・あんなこと、こんなこと・・・」。『ロック・ミー・ベイビー』が始まる。ギター、ブルース・ハープ、ベース、ドラムスの4人編成。

        今回の『ブルースに乾杯』では、最もブルースらしいバンドで、曲もブルースの名曲中心。「オレを振りやがって。今度オレに逢ったら後悔するぜ」、『ネクスト・タイム・ユー・シー』だね。ブルース・ハープとギターの掛け合いが楽しく、雨の中でも観客は楽しんだんじゃないかな?

        かぼちゃ商会というバンドは、『沖縄(ウチナー)恋唄』というCDが出ていて、てっきり沖縄音楽を演るバンドだと思い込んでいたのだが、出てきたメンバーの格好を見て、ビックリしてしまった。何と、この人たちチンドン屋さんなのだ。「何でブルースにチンドン屋が出てくるのかと思われるかもしれませんが・・・ボクたちも演りにくいんですよね」

        「ネオ・チンドン、かぼちゃ商会でございまーす。先ほどまで降っていた雨も、すっかり止みまして、すっかり音楽日和でございます」。そうなのだ、この人たちが出てきた途端に、雨が止んだ。バンジョー、チューバ以外の、トランペット、トロンボーン、チンドン、ゴロスが全て女性ということで、空模様も機嫌を直したのかな? 『ゴッド・ファーザーのテーマ』などを演奏したあと、ジャズの名曲『ブルース・マーチ』。こういう二拍子の曲を聴いていると、ジャズなのか、マーチング・バントドなんだか、チンドン屋なんだか分んなくなってくる。そこがまた面白い。

        女性ヴォーカルが登場。「ブルースの集まりということで・・・」と、『スイート・ホーム・シカゴ』を始めたのだが、これがコプシ、コロコロの演歌調。続いてCD化された『沖縄恋唄』。ホームページを見ると、結構長く演ってる人達なんですね。もう、10年! この人たちがチンドン屋を演っている姿を何処かの街で見てみたいもの。

        the tribe T-Slim。ヴォーカルとブルース・ハープのT-Slimのバンド。一ヶ月も前に見たことを今書いていることもあって、何だかあんまり印象にない。とにかく短かったような気がする。「えっ! もう終りなの」という感じだった。結構ソリッドな音だったというのは憶えている。

        雨が上がったとはいえ、とにかく寒い。冠スポンサーのワイルドターキーが売店で水割りを売っていたのだが、急遽お湯割の販売を始めたということを聞き、さっそく買いに行く。店のお兄さん、どうやらワイルドターキーの本社の人らしく、紙コップにワイルドターキーを注いでくれるのはいいけれど、物凄くサービスがいいんでやんの。ドボドボと注いでくれる量の多いこと! その上から熱いお湯を注いでくれたけど、こんな濃いお湯割、酔っ払っちゃうよお!

        舞台では、司会の後藤ゆうぞうが、ワイルドターキー提供の毛布を会場の全員相手にジャンケンでプレゼント中。この寒さでは、あの毛布欲しくなるよなあ。 ブランケット争奪野球拳大会だ。 ♪ブランケット ほーしーな こういう具合にしやしゃんせ アウト セーフ ヨヨイノヨイ  くっそー、私は1回目にして敗退だ。

        カリフラワーズというのも、ジャイブ系の要素がある。テナー・サックス、アルト・サックス、トランペットの3管に、キーボード、ギター、ベース、ドラムスという編成。なぜか♪うぐいすが〜 粋な声して〜 親しげに〜 手を出しゃ〜 おまえは〜 逃げるだ〜ろう〜 って、これは都都逸かあ? 唖然としていると、始めた曲が、♪ボクの彼女はバナナが大好き とかいう、ちょっと意味深な歌。そこへ女性ダンサーが登場。クネクネと、妙に気にさせる踊りを始めた。♪セックス! オン・ザ・ビーチ! とかって歌うもんだから、ちょっとヘンな気になってくる。日本語のオリジナルで勝負している、なかなかいいバンドで私は気に入ってしまったホームページはこちらね。宇多村さんが、温かい缶コーヒーを買ってきてくれる。「いいね!」とお互いにニンマリ。

        ツインギター、ベース、ドラムスのSONS OF BLUES。ICHIROと松浦喜博の強力なギターに、ジョニー吉永のドラムスというスーパー・バンドだ。これに途中にチャールズ清水がキーボードで加わる。ジョニー吉永は、ひょっとして酔っ払っているのかもしれない。「さびーなー」と「痛えじゃねえかよ、この野郎」を連発している。宇多村さんに言われてあとから写真を見てみたら手に包帯をしている。どうしたんだろう。チャールズ清水が加わったこともあって、松浦がアイドルワイルドサウス時代に演った『台風』をサービス。さらには、オールマン・ブラザース・バンドの『ミッドナイト・ライダー』など、これぞロックだというものをぶつけてくる。

        「ジョニー!」という観客の声に「うるせえ! 呼びつけにするんじゃねえ!」 そうすると観客の方も、こわごわ「ジョニーさーん!」。コワモテのジョニー吉永だったが、なかなかにドラムも確か。最後まで「まったく、寒いし、痛えし・・・」とボヤきっぱなしなのは、やっぱり気になったけど。このバンドもホームページあり

        THUMB UP ALL STARSというのは、横浜のライブ・ハウスによって集められたセッション・バンド。ギター3人、キーボード、ベース、ドラムス、パーカッション2人の8人編成。3人のギターが、それぞれ個性があって、さすがにトリプル・ギターは迫力がある。ロッド・スチュワートの『ピープル・ゲット・レディ』あたりで最高潮。ここに、ブルース・ハープのコテツまで飛び入りで、盛りあがること!

        ダンシング・チームのパフォーマンスを挟んで、さあ、いよいよトリの吾妻光良&スウィンギン・バッパーズだ。トランペット3人、トロンボーン、サックス4人、ピアノ、ベース、ドラムスのインストが始まる。ソロを回し合ったあと、ついに登場、吾妻光良! ギターを弾きながら、『齢には勝てないぜ』のイントロ部分の呼びかけのような歌の部分が始まっている。この部分は、毎回違うのだが、この日のはこんな感じ。

♪オーイ みんな〜(イエー!)
 オーイ みんな〜(イエー!)
 日比谷のみんな〜(イエー!)
 ちょっと寒くないか〜あ
 そうとう寒さが応えてないか〜あ
 春のあ〜め〜
 冷たいあ〜め〜
 そぼ降るあ〜め〜
 応えるぜ 応え〜るぜ
 雷来〜るぜえ
 風邪ひいちゃうぜ
 風呂に入れ〜 風呂には〜いれ〜
 帰ったら風呂には〜いれ〜
 健康で 丈夫で 長生きだい
 そのわ〜けは〜 そのわ〜けは〜
 この極楽パパが教えてやろう
 齢には勝てないぜ

        この人のユーモアのあるステージの楽しさはどうだ! 暗い歌詞や難しい歌詞は一切ない。聴いていて楽しくなってくるメロディーとユーモラスな歌詞。この人のステージを見ていると、音楽ってこんなに楽しいんだという気になってくる。

        1曲終わると、酔っ払った客席から盛んに声がかかる。「みつよしー!」の声には、「ミツヨシは止めなさい。おかあさんじゃないんだから・・・時間も遅くなってまいりました。さっさ演らないと終りません」。今度は「カッコワリー(カッコ悪い)!」という声がかかる。「カッコワリーはやめろよ」。言いたい放題の客席に、返す言葉がまたユーモラスで、この人の人柄なんだろうなあ。場内から爆笑が起こる。

        そのまま『Go,Go,Go』へ入る。これはみんなでこれから何処かへ繰り出そうという歌で、これまた楽しい。GOという語感から、♪ゴー、ゴー、ゴー、五反田へ ゴー、ゴー、ゴー、護国寺へ と[ご]で始まる場所を並べるのだが、最後が ♪ごろんぼ波止場へ、ゴー となるあたりが吾妻らしい。2番の歌詞になると食べ物。 ♪ゴー、ゴー、ゴー、五目そば ゴー、ゴー、ゴー、ごぼう巻き・・・・・ごはんも取ろう ドンと豪華にゴー ってちっとも豪華ではないのだが、[ご]で始まる高級料理が思いつかなかったといのが、これまた吾妻らしくて可笑しい。

        客も悪乗りして、かけ声が「ハゲー!」になったりする。「ハゲは止めなさい」。そうなんだよね、いくら吾妻が優しいからといって、ハゲはないよなあ。けっこう気にするのだよ、私もハゲの仲間として・・・。ここで、ゲストの女性ヴォーカルが入る。ウエストロード・ブルース・バンドのベーシスト小堀の奥さんでもあるレオさんという人。へえ〜、すっげえ美人じゃないの! 歌も上手い! ここでは吾妻はバックで徹してギターを弾いている。その楽しそうなこと!

        さあ、舞台もいよいよ佳境。これまた乗りのいい『ボンゴ・ブギ』で盛りあがってから、『秋葉原』へ。石丸電気のCMソング♪電気のことなら石丸電気 の部分のメロディーから始まるこの曲は、日本一の電気街秋葉原とブルースを結びつけたという、到底並の才能では考えつかない名曲だ。どっかに逃げてしまった彼女を捜しに秋葉原に来るという設定が可笑しい。エンディングのオノデンのCMソング♪電気いろいろ秋葉原 オ・ノ・デン!のメロディーに到るまで、抱腹絶倒の楽しさだ。

        ラスト・ナンバーも、やはり笑えるブルース『ゴミの日来るまで』。振られちゃった男が、彼女の想い出の写真や手紙や贈られたセーターなどを処分しようと、紙袋に詰め込んでいる。しかしやはり未練タラタラな様子が歌われていく。♪とりあえず 次のゴミの日来るまで と歌うと、バンドのメンバーからの「明日は燃えないゴミの日だよ」というセリフが返って来るのが、また楽しい。こんな曲書ける人は、絶対に日本にはいない!

        これだけで終わらないのが、こういうフェスティバルの楽しいところ。最後は舞台に上がれるだけの出演者が上がって、一大セッション。それにしても吾妻のギター・テクニックは惚れ惚れする。血管ぶち切れそうな乗りで繰り出してくるそのフレーズは、私の脳味噌を引っ掻き回してくれる。

        終演後、寒さに震える私と宇多村さんは、ラーメン屋に直行。宇多村さん、ご苦労さまでした。その結果モノに出来た写真、是非見てください。この日の興奮が伝わってくるはずです。

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